天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨の晴れ間の長谷

八丈千鳥(御霊神社にて)

 今年は例年と違って南足柄の紫陽花まつりには出かけなかった。紫陽花には食傷したからである。ただ先日、小田原城で紫陽花をみたのがきっかけで、鎌倉長谷に行ってみたくなった。
 いつものように藤沢から江ノ電に乗り、極楽寺で下車。極楽寺から成就院、光則寺、長谷寺と歩いた。でも紫陽花のさかりは過ぎていた。特に成就院材木座海岸を見はるかす坂道の紫陽花は、全て切り取られて、茎が露わになって無惨であった。つまり今年の花は終りで、来年のために手入れがなされていたのである。
[修正]伊東一如さん(短歌人会所属)からのご連絡で、参道工事に伴い3年間は見られないだろうとのこと。(定番コース故、HPは見ないままで出かけるので、時々間違える!)
 光則寺では、蓮の花、未央柳、ギボウシなどが、また長谷寺では桔梗、アガパンサスヒルザキツキミソウなどが目についた。このヒルザキツキミソウは、アカバナ科の常緑多年草で北アメリカ原産。観賞用として輸入・栽培されていたものが野生化している。


     人恋ひて孔雀啼くなり蓮の花


  海側の席に座りて頭にさせる日差を厭ひ江ノ電は行く
  あぢさゐの花のさかりは過ぎたりな坂にあまたの茎の
  切り口


  六月と十月に咲くあぢさゐの白きしぶきの八丈千鳥
  そこここのあぢさゐ寺を訪ねてはことし新種の花を
  探しぬ


  江ノ島をまなかひにして止まりたる電車の窓にみる
  夏の海


  生しらす食べむと降りし腰越は人が列なす潮風の道
  駅ごとに一首詠まむと目をこらす梅雨の晴れ間の
  江ノ電の席