海のうた(12)
一首目:江ノ島電鉄は明治33年に設立された。当初は、片瀬(江ノ島)と藤沢間を走っていたが、明治43年には鎌倉までを開業した。
四首目:竜骨は、船底の中心を船首から船尾へ貫く主要部材で、船の背骨となるもの。
すぐそこに海、軒先をかすめゆく江ノ島電鉄骨骨
(こちごち)しくて 今野寿美
なめらかにフロントガラスを光らせてガソリン不足の
まま走る 海 江戸 雪
自転車を漕ぎながら知る横浜は海に向かって低くなること
早川志織
竜骨という名なつかしいずれの世に船と呼ばれて海にかえらむ
井辻朱美
地球儀のジグソーパズル ただ青い海のピースが山ほど残る
河路由佳
海の画像写りしテレビそのままの重さかかえて部屋隅に寄す
浜田康敬
海のこと言いてあがりし屋上に風に乱れる髪をみている
岸上大作