天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

道づくし(2/11)

白川静『字統』(平凡社)

 以下では、和歌・短歌の世界でどのような道が取り上げられてきたか分類してみたい。
先ずは、道の定義を辞書に当たってみておこう。白川静『字統』によると、道は首を携えて進む形で、
外地に赴くときの啓行(先導、旅立、出発)の儀礼を示す。正岡子規日露戦争に従軍記者として赴く
明治二十八年に作った歌、
  かへらじとかけてぞちかふ梓弓矢立たばさみ首途(かどで)すわれは
が、「道」の原義をよく現している。
 このようにして啓かれたものが道であり、人の安んじて行くところであるから、人の行為するところを道といい、
道徳・道理の意となり、その術を道術・道法といい、存在の根源にあるところの唯一者を道という。
現代の国語辞典で、みち[道・路・途・径]の意味するところを整理すると、
(1)人や動物、車などが行き来する通路。ある地点と地点をつないで長く連なった帯状のもの。
(2)目的とする所へ至る経路。道すじ。(3)道のり。距離。道程。(4)ある状態に至る道すじ。
(5)人のふみ行うべき道すじ。人としてのあり方や生き方。
(6)ある関係を成り立たせている理(ことわり)。また、世間のならい。
(7)(仏教・儒教などの)教え。教義。(8)ある専門的分野。方面。(9)方法。手段。手順。
ということになっている。