天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湖のうた(7)

十和田湖

  氷の下にねむりてゐたるみづうみは烟れる雨に半眼開く
                    高嶋あき
  秋日さす湖の渚に水を飲む鳩はさながら光をぞのむ
                    並河健
  夜の更けに醒めて聞きをり汚れたる湖(うみ)の哭く声
   魚の哭く声           小西久二郎


  湖をみてより青く濡れていく視界のなかの誰もかれもが
                   黒崎由起子
  木がくりに見ゆるみづうみ山山の抱へきれざる水たたへをり
                    滝下恵子
  ベレー帽飛ばすばかりに吹きつける湖からの湿り持つ風
                    神作光一
  藍色にひかれて来たる湖よりフラスコに汲みて色なきその水
                    貝梅文平


いずれも判りやすい作品だが、小西久二郎は具体的にどこの湖を詠んでいるか分らないが、迫力あり。環境汚染の一例として鑑賞すればよいか。
今までにいくつか例を見たが、湖を擬人法で詠った作品は多い。