なんだか知らないうちに「俺の大好きな漫画を100コ選んでお前らにオススメするよ!」的な企画が流行っていたようで、ぼくの周りでも何人かやってる人がいて楽しそうだなー、と思ったので便乗してみる。ぼーっとしてたらオリジナルの企画さんのほうは〆切られちゃってたので、あくまで勝手に俺ルールでやります。

・今現在、我が家の寝室にあるもの
・1作家さんにつき基本的に1つ
・全部で100とか無理。たぶん40くらい

 「今現在」と「寝室に」がポイントといえばポイントで、実家に置いてあったり、なんらかの事情で手放してしまったぶんが外れるのと(特に、巻数の多いクラシック的なやつとかほとんど実家に置きっぱなんで軒並み抜けてます)、寝る前にふらっと読むことが多いの中心なんで、そのぶんの偏りが微妙に出たり出なかったりします。要はオールタイム・リコメンドでは微妙にないですよ、ということなんですが、つっても好きで何度も読み返してるのばかりには違いないしそう解釈してもらっても差し支えないです。こんな風に書き連ねている前置きは、本当にただの性急なる僕の無駄口にすぎない。

 なお、添えて紹介している画像は amazon にあった中から表紙が好きなのを個人的に選んでるだけなので必ずしも最新刊とは限りません。


Landreaall 10 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) おがきちかLandreaall

 でまあ、1発めは当然これしかありませんよね。ランドリオール。あーもう本当に本当に本当に大好き! オフラインなり Twitter で交流のある人には「お前いいかげんそればっかうぜーよ」とか思われてそうだけど、どう思われようと今後も執拗に読め。読め。読まないと殺す。とゴリ推しつづけてくのでさっさとみんな読めばいいんじゃないかな。そんで1億部くらい売れたらいいのに。

 3巻までは主人公・DX が、森の樹に眠る女性を救うべく火竜と戦うお話。その後、4巻以降は王都のアカデミーへ舞台を移しての学園編。エカリープ編も勿論いいけど、なんといってもアカデミー編の面白さたるや尋常じゃないので、いいから黙って4巻まで読め、と。間違っても1巻だけ読んで「んー・・・ちょっとハマれなさそうかなー」なんて放りだしたら死刑です。ひとりひとり、みんながちゃんとそこで息づいていて、ゆっくりとしっかりつながっていて素晴らしいんだ。伏線の張り方、なんていうカタい言葉が似合わないくらい、彼らの日常はさりげなくちゃんとつながっていて、なので一読めには多少わかりづらい部分もあると思うけど、そのぶん何度も繰り返し読むうちにどんどん中へ入っていける。さりげなくてあったかくて可愛い。

 ほんともう、なんでイオンはあんなに可愛いんだろう。DX と戯れてるときのイオンも好きだけど、ライナスに餌づけられてるときが実はいちばん好きだったりします。「菜の花は咲いちゃったらおいしくないから刹那的」と「本物の騎士ってわけわかんな〜い! ワイルド!」で死ねる。1〜10巻(以下続刊)

コダマの谷 王立大学騒乱劇 (ビームコミックス) 入江亜季/コダマの谷

 ランドリオールは別格として、去年のベスト1を選ぶなら間違いなくこれかな。ランドリ好きな人にも是非併せてオススメしたい(勿論その逆も可)。あんまり自覚なかったんだけど、どうやら俺ってこういう日常っぽい(vs魔王の大冒険、的なやつじゃなく)ファンタジーが大好きだった、らしい。ライダーの飄々っぷりやマージのいじらしさもすごくいいけど、もうけどこれはアーサーとウーナに尽きます。「えがおなんかもう最高だ!」ってお前・・・お前こそなんだその無限の可愛さは! 殺す気か。

 「群青学舎」もそうだけど、入江さんの作品はどれもほんとに後味が良いな。本編も、オマケの After Story も、どっちも余韻が絶妙。ライダーとアーサーの再会もすごく読んでみたいけど、読めないのがまたいいんだよな。全1巻。併録の小品集「フクちゃん旅また旅」も絶品で、完璧すぎる1冊。

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス) 石黒正数それでも町は廻っている

 それ町ほんと最高だろ。大好きな作品ばかり挙げてるせいで、3つめにして早くも誉め言葉のバリエーションが尽きかけておりますが、だって他にどう言えばいいかわかんない。歩鳥の突き抜けた爛漫さを見てるだけでアテられて幸せになれるよ。あとゆるさ。ゆるいの大好きです。ゆるくてあったかいのが好きなんだよな。警官のおっちゃんや森秋先生とのバトルもたまらないんだが、タケルと裏口から抜け出して夜の町を探検するとことかすごいぐっとくる。

 メイド喫茶漫画・・・ということに一応なってますが、作者の石黒さん自身メイド喫茶へは行ったことがなく「メイド喫茶という舞台は、商店街という大舞台、日常という世界のほんの一部でしかない」と書いているように、メイド喫茶あんま関係ない。というか、いや関係あるけどメイド好きな人のみをターゲットした安易な萌え漫画では全然ないので食わず嫌いは大損確定です。あと紺先輩が可愛いです。1〜3巻(以下続刊)

ストレンジ・プラス 3 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) 美川べるの/ストレンジ・プラス

 ストプラもまた最高だろ。ゆるいのが好きとか書いた直後であれなんですけど、こんだけ怒涛のハイテンションで鬼攻めされたらそんなの笑わないでいれるわけねえっつの。べるの作品はどれもこれもバイタリティが毛穴から蒸気のごとく噴き出てそうな強烈すぎるテンションが死ぬほど面白いんだけど、やはり巧美のキャラが圧倒的に立ちまくっててストプラを筆頭に挙げざるをえません。バカネタとオタクネタ(と、ストプラだと特にケツネタ)を織り交ぜつつごった煮の塊にして至近距離から全力でぶつけられて酸欠連発。なんつーかもう、すげえ。1〜7巻(以下続刊)

女子高生 5 新装版 (アクションコミックス) 大島永遠/女子高生

 これこそド直球なタイトルといかにもな表紙絵でものすごい食わず嫌いされてんじゃないかと思う漫画なんですが、て言ってるぼく自身そう思って5巻くらいまで完全スルーしてたんですが、試しに手ぇ出してみたら超面白え。あくまでエロや萌えは添え物で、メインは女子高のバカ軍団4人(+2か3)を中心とした、くだらなさ全開のバカ漫画です。愛すべきバカども。香田のバカの加速度的な進行度がなんかすごい。あと由真と桃香の姉妹の距離感とかも好き。

 ・・・とか言いつつ画像は小川ちゃんの5巻を選びましたすいません大好きです小川ちゃん。時々俺が「○○だヨー」みたくうざいカタカナ語尾で喋りだしやがったら大抵その直前に「女子高生」読んでますので、そういうときはアイドル小田桐みたいな扱いで適当にあしらってもらえればいいと思います。1〜9巻(以下続刊、ただし休載中)

よつばと! (2) (電撃コミックス) あずまきよひこよつばと!

 鉄板ですね。これほど安心して誰も彼もに広くオススメできる漫画もそうそうないんでは。髪の毛から爪先まで全部で「生きてるって素晴らしい」を体現しているよつばはほんと太陽みたいで、周りの人たちもみんなしっかり生きてて、普通の日々を当たり前に楽しんでるし素晴らしいな。読むと元気になれるのは、よつばの元気を分けてもらってるというより、よつばの「世界の見え方」を読みながら知らず知らずに自分も共有しているから、こそな気がする。よつばがあんなにいつも楽しそうなのは、単に世間知らずのコドモで、世の中の嫌ないろいろに縁のないユートピアの住人だからじゃないんであって。

 作中でよつばが大きくなったりはたぶんしないと思うんだけど、なったらきっと歩鳥みたくなるんだろうなー、て勝手に思ってます。風香も好きです。みうらも好きです。みんな大好きです。1〜6巻(以下続刊)

十二秘色のパレット 第2巻 (花とゆめCOMICS) 草川為/十二秘色のパレット

 セロ君かわいいよセロ君。タイトルはじゅうに「ひそく」のパレット、と読みまして「秘色」というのは物から色を抜いたり、抜いたその色を他へ移す、という要は超能力で、その使い手さんを「パレット」と言います。でもってこれは、そのパレットの養成学校に通うへなちょこパレット、セロ君をめぐるお話です。

 白黒2色しか使えない画面で「色を抜いたり移す」という能力の設定はなかなかチャレンジングブルな試みですけど、そんな英語はありませんけど、あまり色の鮮やかさなり画面の説明に意固地で必死なふうもなく、かといって主設定として話にきっちり取り込まれ活かされているし、何より健気に頑張っているセロ君が可愛すぎてもう素晴らしいです。言い換えるとセロ君さえ可愛ければ別に他はどうでもいい、とも言えます。言っちゃダメです。

 草川さんの絵はなんていうかちょっと変で面白くて、ていうと言い方悪いですけど、だってセロ君の造型とか明らかに目が縦に爬虫類すぎるし、けどなんでこんな可愛いのかな。前向きに頑張ってる姿がこっちにまで元気を分けてくれて(それもあまり押しつけがましくなく、ていうのもけっこうポイント)ほんともうこういうの大好き。あとセロ君はへなちょこパレットなので1話めでいきなり留年しますが、そこにほんのりシンパシーを感じてしまうのも大好きな理由のひとつかもしれません。明らかにそうなのに「かもしれない」と保険を打つのがオトナの会話術ですね。あとオヤジが面白すぎて最高。1〜4巻(以下続刊)

キャラメラ 1 (ヤングジャンプコミックス) 武富智/キャラメラ

 もともとこういう青春群像みたいのにわりと目のないほうなんですが、中でも群を抜いて「キャラメラ」は大好きです。場末のゲームセンター「キャラメル」に集う人たち(=キャラメラ)のお話。ジャニーズ顔の可愛い男のコでだらしなくて女グセも悪いしちょっとした一芸を持っていて人生に迷ったりとかダメんなったりぐるぐるしながら、けれど1人の相手をずっと思いつづけてて突き進まずにいれない青い衝動・・・みたいんとこで秋重学さんの「D-ASH」(これも大好き)とけっこうかぶる気がします。舞台がゲームセンターだけあって、それよりもうちょっと身近っぽい感じ。

 ・・・とはいっても、ぼく自身は普段ゲームセンターとか全然行かないし思い入れ的なのも皆無なんですが、だけど「そうゆう淋しん坊らがツルむ場所」でうだうだだらだらしてるキャラメラっ子たちを無性に羨ましく思えてしまうのは、やはり青春マジックの為せる業でしょうか。青春マジックとか言ってて恥ずかしくないんでしょうか俺は。恥ずかしいです。

 変に膨らませず3巻でコンパクトにまとまってるらへんも読みやすくて好きだけど、なんといっても「キャラメラ」は1話(と2話(の最初の2ページ))が。これぞキュン死! な感じでたまらなくやばい。「最高の第1話」だと勝手に信奉してるんですが、アッ子さんが可愛すぎてどきどきするし、初体験のぞくぞくしてぼーっとなってく感覚とか短いページにぎゅっと出ていて、ほんとにもうぞくぞくする。健気な亜子ちゃんも好きです。全3巻。

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC) 沙村広明/おひっこし

 青春群像といえば当然「おひっこし」も外せないわけですが、ほんとに青春群像として好きなのかこれが? と言われれば、いやまあ・・・小ネタの1コ1コの絶妙さだよね要は。ということで遠野くんと赤木さんがくっつこうがくっつくまいがぶっちゃけどうでもいいんですけど、いやーそれにしても絶妙ですよねやっぱり。なんかこのだるい感じとか。そろそろわざわざ書くまでもなく「どうせお前あれだろ、小春川だべ?」的な突っ込みが千葉弁で入りそうな気がしますので、あえて意表を突いて文学部2年の福島みこと派です、とか言ってみたいけど結局まあ小春川ですよね、それは。譲れないよね。そして全然なんの作品紹介にもなってないわけですが、まあ元が元だしなんかこういう適当な感じでだいたいいいんじゃないすか。全1巻。

団地ともお (4) (ビッグコミックス) 小田扉団地ともお

 ともおかわいいよともお。バカだしわがままだし鬱陶しいけど見てて飽きねーなーこいつ。超面白え。バカとくだらなさとゆるさと家族愛とか友情と変な人たちとほんのり切なさやしんみりが、ごちゃ混ぜというほどごちゃごちゃでもなくフラットに並んだり時々交わったり、その面白さをなかなかうまく説明しづらい不思議な傑作。「団地ともお」なんていう、まんまだしいかにもありがちっぽい、けど考えてみれば独特で不思議に絶妙なタイトルがそれを象徴している・・・ような、気がする、自信ねえ。

 ともおはよつばみたく「なんでも楽しめる」無敵の力をもってるわけじゃないし、基本いい奴だけどけっこう頻繁にヤな奴だし立派にちゃんとクソガキだしバカで面白いけど、本人は面白くないときも多いし拗ねたり素直じゃなかったり時々ウソもつくけど、時々ウソをつくのも含めてウソがなくて血の通ってる人肌感がすごい良いな。体温がある。ていうかありすぎ。大友克洋童夢」と並ぶ、団地マンガの最高峰。並びません。1〜10巻(以下続刊)

ヘブン… 鈴木志保/ヘブン・・・

 過去の日記(id:amn:20060509:p1)をリサイクルしよう、という試み。省エネとも言います。

 「シンプルな直線と曲線の組み合わせと、白/黒の塗り分けと、それらの配置だけで(・・・て言ったら「いやそれ漫画って全部そうじゃん」ていう話で、そのへんはぼくの貧弱な説明より実際に見てもらえれば一発なんですが)こんだけ感情豊かな画面をつくれちゃう鈴木さんはすごいです。特に線。1冊を通して、書き文字を除くほぼ全ての線が定規で引いた歪みのない線(つまりフリーハンドの部分が一切ない)んですけど、キャラクターのひとりひとりと、ひとりひとりがコマごとに見せるいろんな表情の多彩さと、何よりこの愛くるしさはなんなの! と小一時間、問い詰めたくなるくらい可愛い。ベツレヘム(少女)もカモミール(くまのぬいぐるみ)もチェシャねずみ(の擬人化)も可愛いし、AA の紙キレだって何この可愛さ!

 もちろん紙キレがそんなにも可愛く見えるのは、単に作画がそうってだけじゃなく、キャラクターや明かされる正体などのストーリー的なバック・アップでさらに増幅されてるんだけど、そのストーリーがまた良いんですよ。大雑把に言えば前向きな人間賛歌・・・というか人間以外のキャラクターのが多いんで万物賛歌? になるんですけど、ただ安易に「かわいいは正義」っぽいんじゃなく、その裏側の喪失――切なさとか儚さを乗り越えるふうに描かれていて沁みる。

 例えば、筑波さくらさんの諸作品とか「よつばと!」の読後感とかに似てるかなあ。ちょっと恥ずかしいくらい大袈裟に「世界って最高だね」とか「生きてるって素晴らしいね」って叫びたい衝動が、内側から沸々滲んでくるような。恥ずかしいくらい眩しくて強烈な「お前らとにかく問答無用で幸せな気分にさしてやる」熱が全体に満ち満ちてる感じ」。全1巻。

イエスタデイをうたって 3 (ヤングジャンプコミックス) 冬目景イエスタデイをうたって

 晴かわいいよ晴。雑誌掲載率や単行本の刊行ペースといった作外の要素が、作中に流れる時間のゆっくりさを何より雄弁に物語っている、という捩れた逆転を観測できる本作ですけど、だってさもう晴がそこにいてくれるだけで他に何が必要だっていうんですか? 1〜5巻(以下続刊)

会長はメイド様! 2 (花とゆめCOMICS)  藤原ヒロ会長はメイド様!

 「それ町」読んで「こんなのメイド喫茶漫画として認めれねえー!」とお嘆きの方への正統派。と適当に言ってはみたものの、ほんとにこれがメイド喫茶漫画の王道なのかよくわかりませんが、最近の王道っぽい少女漫画(ていうか花ゆめ系)のぴったしド真ん中だよなー、ていう気はする。で碓井くんがまた王道すぎるくらいの完璧超人すぎてちょっと困る(気に食わねーとか個人的なやっかみじゃなくですね、結局いつも最後は彼が、さらりとお手軽にまとめてくれちゃいすぎて話の幅が少々平板)なんだけど、まあ美咲が超絶に可愛いんでそんくらい別にいいんじゃないすかね。いいのか? いいや。1〜3巻(以下続刊)

桜蘭高校ホスト部(クラブ) (1) (花とゆめCOMICS) 葉鳥ビスコ桜蘭高校ホスト部

 ハルヒ可愛いよハルヒ。で、あと全体的な印象としては↑の「メイド様」とだいたい同じなんですけど、碓井くんが完璧超人役をひとりでこなしてる「メイド様」より、それを6人で分担してるぶんバリエーションも広げやすいし、6で割ったぶんひとりひとりに欠点が還元されててとっつきやすいのと、あと単純に環のバカさとか好きなんですよね。などと理由をつけてみたところで結局はハルヒの可愛さが全てを上回るので別にどうでもいいんですけど、ていうかこんな感想ばっかでほんといいのか? と自問するまでもなく絶対ダメだと思いました。1〜10巻(以下続刊)

ありのままの君でいて (花とゆめCOMICS―秋吉家シリーズ) 日高万里/ありのままの君でいて

 日高万里さんは最近初めて読みまして、「秋吉家シリーズ 完全版」ていう、万葉さん以外の5人の話をまとめた2分冊のを読んだんですけど、十波のいじらしさが可愛すぎたり千鶴の話も泣けちゃうくらいぐっと来たけど、一久をめぐるサチ、奈津子、松岡、めぐ・・・の心の揺れ方や切なさとか結びつきみたいのが絶妙でとても良かった。結果的には違いますが(詳しくは書きませんけど)みんなが一方通行の片思い、ていう状況は「ハチミツとクローバー」にわりと近い。めぐ可愛いよめぐ、ていうのも勿論ありますが、とは別に「終わらない恋のために」→「ありのままの君でいて」に於ける奈津子の成長がとてもくっきりと力強く描かれているらへんもすごく好きです。奈津子かっこいいよなーほんと、憧れる。

 6兄弟のうち、長女の万葉さんの話だけ「完全版」には含まれておらず「世界でいちばん大嫌い」という全13巻の長編で別枠です。そっちは未読なんで、この夏の課題図書に早くも決定しています。

ラブロマ(1) (アフタヌーンKC) とよ田みのるラブロマ

 ホシノくん可愛いよホシノくん。この絵でラブコメとかちょっと何考えてんの、てそれは第1話を見た時点で誰もが思うと思うんですけど、ここまで正々堂々、正面きってやられちゃうともうお見事としか言えないです。傑作でしょう。「ラブロマ」は見開きの大ゴマの使い方がめちゃくちゃ上手いというか、1巻の「無敵のカップルですよ」とか2巻の自転車に乗れたときとか、どれもこれも狙い済ましたかのようにぎゅんぎゅんくる。

 個人的には4巻のマラソン大会の話がベストだと思ってて、いつもホシノくんは浮世離れレベルに前向きすぎて、苦を苦にも感じず突き進んでいれる(ように見える)らへんも頼もしくて好きなんですけど、そんな無敵のホシノくんが去年の自分の位置を振り返りながら、ぜえはあしながら自らの「成長」をはっきり確認しながら一歩一歩、苦しいのを乗り越えて走りつづけるシーンはほんとに勇気づけられる。ちょうど似たような経験をぼく自身もしているせいか、いっそう感情移入してしまえれるのもあるんでしょうけど。

 あとネギシさんがごはんを食べるときの「もぎ! もぎ!」ていう効果音がたまらなく大好きです。全5巻。もぎ!

トランスルーセント 5―彼女は半透明 (MFコミックス) 岡本一広トランスルーセント 彼女は半透明

 「トランスルーセント」は本の版型や厚さとか、全5巻ていうのもそうだし、そういう外的な要素から読んだとき感じるまっすぐさの温度や、唯見くんのバカさに至るまで、いろいろ「ラブロマ」と似てたり近いところが多くてなんとなく双子の作品みたく思います。「ラブロマ」がホシノくん視点でコメディをふんだんに盛り込みつつ描いているものを、「トランスルーセント」は白山さんの視点からもう少し控えめに描いているような。

 白山さんには「透明病」という、乗り越えなければならない苦が予め設定されているけれど、「身体の一部(ときどき全部)が透明になってしまう奇病」なんていう突飛な設定にもかかわらずとても身近に感じれるのは、ちょっと内気な普通の女のコの、ちょっとだけ当たり前じゃない日常の中の、当たり前の心の揺れや恋する気持ちについての話だからね。そんな彼女の隣でアホだけど「見ようと思いさえすれば、俺には見えないものなんてないんだ」て力強く言いきる唯見くんはアホだけど実にかっこいいなあ、アホだけどな。

 あと、これ前にもまったく同じこと書いた気がするんですけど2巻の138ページの5コマめの白山さんが鬼可愛すぎて即死なのでもうぶっちゃけそれだけでいいです。ちら。

スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス) 岩本ナオ/スケルトン・イン・ザ・クローゼット

放課後保健室 3 (プリンセスコミックス) 水城せとな放課後保健室

苺ましまろ 3 (3)    電撃コミックス  ばらスィー苺ましまろ

 主役はおねえちゃんです。最高です。妹もわりかし好きです。茶髪は鬱陶しいけどこいつのおかげで面白いのでありがたいです。外人も時々可愛いと思います。だってもう他に語る言葉が見つからなくて軽く今ちょっと絶望しています。1〜5巻(以下続刊)

もやしもん(5) (イブニングKC) 石川雅之もやしもん

 どれ選んでもロクな表紙がねえ、というのに今更ながら気づいたので、なんとなくノリでキョコタンにしてみました。キョコタン派じゃないです。金城さん大好きです。だって今 Google 窓に「もや」まで入れたら「もやしもん 金城」て履歴が真っ先に浮いてきたほどです。再登場まだかナー。

 「もやしもん」は菌マンガですが、結局やっぱり農大のゆるい雰囲気とか、学祭のバカなノリが愛しくてたまらないので学園モノっぽく読みます。菌たちがわいわいがやがやしてたり樹御大のロング薀蓄スピーキングとかあんまし真面目に聞いてません。菌ストラップとか興味ねえし。金城さんと及川ちゃんさえいれば良いです。こんなことばっかしか言ってなくってごめんなさい。いやほんとに。1〜5巻(以下続刊)

ニアアンダーセブン (2) (角川コミックス・エース・エクストラ)  安倍吉俊ニアアンダーセブン

 ニアは、自分にしてはめずらしいことでアニメから先に入ってニアのちょこまかへなちょこっぷりに骨抜きされまして、漫画のほうは言い方悪いですけど追体験ツールお気軽版ていうかですね。さっきからゆるいの大好きだよゆるいの、と呪詛のごとく呟いてばかりいますが、漫画版はそれにしたってゆるすぎるにも程があるので、ぶっちゃけ単品で激オススメできるかっつーと正直あんま自信ないです。

 実際問題ゆるいの大好きなんですけど、このへん言葉で説明するのすげーむずいんすけど、朧げながらであれ一応、軸っぽいのが最低限は通ったうえでのゆるさというか、徹頭徹尾だるんだるんで輪郭の「り」すら定まんないくらいじゃさすがに時々ちょっとだるいっすねーみたいのは一応あったりなかったりします。先に見たせいの贔屓目もいくらか入るんでしょうが、アニメ版はそのバランスがわりに絶妙で好きでした。全2巻。

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス) よしながふみ西洋骨董洋菓子店

プラネテス(3) (モーニング KC) 幸村誠プラネテス

魔女 2 (2) (IKKI COMICS)  五十嵐大介/魔女

大日本天狗党絵詞 3 (アフタヌーンKC) 黒田硫黄大日本天狗党絵詞

Marieの奏でる音楽 (上) (バーズコミックスデラックス) 古屋兎丸/Marieの奏でる音楽

ビューティフル・ワールド (フィールコミックスゴールド み) やまだないと/ビューティフル・ワールド

 エロエローでぐっちょぐちょーなないとさんも嫌ではないけど、きらきらーでほのぼのーなこういうないとさんがもっと好きです。「ビューティフル・ワールド」なんていうド直球にも程があるタイトルは、そのまま自分の好きでたまらない漫画(或いは、漫画だけに限らず)の傾向全体を象徴してるフレーズみたく思う。それは世界のビューティフルな部分だけを美味しいとこ取りで切り取るような作業ではなく、大雑把に言うと「世界は必ずしもビューティフルばかりじゃないけど『それを受け入れたうえで』見方、見え方のピントをほんの少しズラしたり、絞ったり、交換してみれば必ずどこかにビューティフルは見つかるんだ」といったようなことです、と思います、たぶん。

 それが真理かはわからないし、ぼく自身そういうのを信じれない気分になったりも時々するし、そういうのより耽美とか残酷な悲しみや絶望の暗さや黒さに胸を打たれたり圧倒されるとか勿論ないわけじゃないけど、そうじゃないときはだいたいいつも、そんなふうのことをぼーっと悠長に考えている。全1巻。あと、ナナ可愛いよナナ(結局最後は全部これ)

おおきく振りかぶって (1)  ひぐちアサおおきく振りかぶって

 ひぐちさんは単行本「家族のそれから」に併録されている「ゆくところ」という短編がとにかく大好きで、「家族のそれから」もけっこう好きで、「ヤサシイワタシ」はすげーなあこれ、とは思うものの痛々しくってあまり何度も読みたくはなくて、で「おお振り」はなんかまあ普通に読みやすいし面白いかな・・・くらいの、なんとなく惰性半分にすらすら追ってた程度なんですが、だったんですけど、こないだの8巻で一気にハマってしまって今もう面白くて仕方ありません。何がって試合後の桐青のキャプテンと和さんところで不覚にも泣いた。

 「ゆくところ」「家族の」「ワタシ」・・・と追ってきていれば、ひぐちさんの人間の描き方はほぼ折り紙つきというか、野球以外の部分は面白くて当たり前みたくすら感じれますけど「おお振り」は野球の部分もばっちり面白くてすごい。例えば他に野球マンガだと「Rookies」とかすごい好きだけど、あれは野球はあくまで舞台装置で、そのうえで展開される感情のやりとりが面白いんであって、或いは逆に野球というゲームを徹底的に分析や解説した説明書みたいなマンガもありますが、そればっかりで感情が捨象されているんではまったく興味を引かれませんし、じゃあ「おお振り」はというとメインはやっぱり三橋くんの成長物語なんでしょうけど、同時に1プレー1プレーを丁寧すぎるほど丁寧に、プレイヤーの感情の部分と意図や判断とか理性の部分を両方ちゃんと描いてくれてて、いろんな「わくわく」がぎゅっと詰まってて良いです。1〜8巻(以下続刊)

岳 (3) (ビッグコミックス) 石塚真一/岳

不思議な少年(2) (モーニング KC) 山下和美不思議な少年

クマとインテリ (EDGE COMIX) basso/クマとインテリ

LA QUINTA CAMERA―5番目の部屋 (IKKI COMIX) オノナツメ/La Quinta Camera

花咲ける青少年 (7) (花とゆめCOMICS)  樹なつみ花咲ける青少年

 俺内クラシック超定番。これはもう相当ルーツというか、少女漫画ぱらぱら読みだしてわりかしすぐらへんでピシャーンてやられて、そっから一気に傾倒するきっかけにもなったし、自分ん中の「これぞ少女漫画」ていうベーシックな観をかなりがっつり占めてる作品でもあって、ほんとすごい影響受けたし未だに死ぬほど好きです。好きすぎて実家に全12巻を1セットと、こっちにも1セット(読み返したくなって耐えきれず再購入)と、さらに文庫版で全6巻も1セット(装丁だけに金払いたくなるほど好き)と、おまけにバラでなぜか数冊(謎)・・・と全12巻のものをトータル30数冊もっている、ていうビスケットな事態に陥っているくらい。

 スケールの壮大さ(といっても指一本で惑星爆破とかの超レベルじゃなく、あくまで現実と地続きな)や、その壮大さを青天井にずるずる拡大させていかず適量できりっとまとめ上げれる捌き方の巧みさ、壮大なのに大雑把ではない緻密で微細な場面場面の描き方、並べ方や置き方、それに画面全体の華やかさとか、あと単純にこういう政治やら国家やらを絡めた話みたいのが少年漫画になかったせいもあるし、とにかく全部が全部すごい新鮮で、たぶん読んだの14歳くらいんときですけど、要はだから「ドラゴンボール」みたいのにもういいかな・・・てちょうどなりかけてた矢先にカウンターでこれが来たんで、その反動も込みですごい衝撃だったということなんでしょうけれど。

 こんだけ完璧なエンディングもそうないでしょう、ていうくらいほんとに完璧なエンディングと、そこへ至る流れ(クライマックスがどーん! てあってそのまま(もしくはオマケ程度の後日談がちょろっとついて)ハイ終幕、ていうんじゃなくて、クライマックスを乗り越えた後にやや控えめなもう一波乱がつづいて、それもオマケ程度じゃなく今までと同じにきっちり書ききったうえで、ゆるやかにラストへ・・・という話のもってき方)なんて特に衝撃で、勿論その「こんなの今までなかった! 感」が加味されるせいもあるだろうけど、この終り方はまさしくベスト・オブ・ベストだとずっと思ってる。

 ついでに言うと、ぼくが「幽遊白書」は19巻がベスト。と言い切るのも確実に「花咲ける青少年」の影響から来ていて、それはクライマックスどーん! →終了。の流れには常に一抹の寂しさというか、ああこいつらともこれでお別れなのね・・・ていう作品世界との接続を解除される感覚がつきまとうんだけど、それは当然どんな作品であれそうなんだけど、こうして One More を交えながら彼らの「その後」を丁寧に描いてくれるとそれが中和されるような、最大の事件の後もこんなふうに小事件をちょくちょく挟みながら彼らの日々はつづいてくんだね・・・みたくずっとつながれているふうに錯覚できるのがとても心地良くて、それはその作品世界や登場人物を好きであればあるほど幸せで甘美な錯覚なんであって。その心地良さをぼくに教えてくれた「花咲ける青少年」は、やっぱりいつまでも特別だと思う。

 ちなみに画像がカール・ローゼンタール君になってますけど、これは新書版+文庫版=全18冊のうち amazon に書影が唯一これしかなかったせいで、彼を特別イチ推しとかでは別にないです。いや好きだけどね、カール。地味だけど。花婿候補は3人ともみんな好きだな。ユージィンの生まれ変わる話も大好きだし、ルマティの演説シーンは何回読んでも鳥肌立つくらいぞくぞくして泣きます。みんな幸せになれるといいな。

ここはグリーン・ウッド (2) (ジェッツコミックス)  那州雪絵ここはグリーン・ウッド

 「グリーン・ウッド」もクラシックですね。画像が瞬なのは、これまた amazon に他になかったからですけど瞬は実際かっこいいと思うよ。これもやっぱりメインの4人とも好きだな。誰ひとり見劣りとか影薄かったりしないで4人ともしっかり立ってて良いです。やたら番外編の多い作品ですが、番外編は正直あんまし好きじゃなくて読み飛ばして、本編ばかり何度も読んでしまうのはやっぱり学園とか寮の雰囲気が好きなんだろうな。古典の立山先生の話とか大好き。

 「グリーン・ウッド」は男子校で男子寮のお話ですが、ぼくは中〜高が男子校で、大学時代に男子寮だったんで足すとぴったり「グリーン・ウッド」で、しかも緑都学園て実際ぼくの高校がどうやらモデル(の一部。明記されてはいませんが、けどどう考えてもそうとしか思えない描写がちらほら)になってるっぽくて、したらそんなの余計に面白いに決まってるじゃないですか。現実は勿論もっと乾いたりスレてたり泥臭い悪意も時々あったりするけど、でも基本バカでぐうたらで能天気でくだらないことでわいわいやってる、なんともいえない楽しさや心地良さみたいのがうまく出てると思う。全11巻。

銀魂-ぎんたま- 16 (ジャンプコミックス)  空知英秋銀魂

 本家ナツ100さんは「ジャンプとかそういう有名すぎるやつはダメ」というルールなそうですが、ぼくは勝手にパクってるだけなんでそんなルールは余裕で知りません。ガン無視です、だって好きなんだもの。とりあえず画像が松平のとっつぁんなのは基本です。

 「銀魂」のゆるさとかだるさとかナメた感じとか全体的にぬるま湯かげんが、ほんともうムカつくくらいツボすぎて、けどさすがに19巻もつづくとマンネリだしそろそろ潮時かなー、みたくわりと頻繁になるんですけど結局やっぱり好きで何度も読んでしまう。なんといっても言葉選びの妙が命なんで、ギャグの回と、単行本の穴埋めページの作者の漫談だけで十分な気がつい最近までしてましたけど、だって実際ストーリーものは粗いし弱くて週間連載にメリハリつけれる程度にはまああっていいのかな、くらい思ってたけど(ごめんなさい何様ですか)わりと最近ストーリーものもけっこう良くなってきてると思う。

 ジャンプでしかできない遊びを、たぶんほんとはきっとすごい気ぃ使ってんだろうけど、それを表に出さずに悪態ついたりおちょくって遊び倒してる感じとか、なんかそのコミュニケーションの距離感みたいのがわりと自分の素に近いらへんで心地良いんだと思うけど。1〜19巻(以下続刊)

ONE PIECE 32 (ジャンプコミックス)  尾田栄一郎ONE PIECE

 わざわざリストアップして紹介する意味を1ミリたりとも感じませんが、せっかくなんで好きなものは好きだときっちり表明しときたくて入れました。「銀魂」のフェイクっぷりも大好きだけど、それとは別で今「全力で少年漫画してます」みたいのって思いつく限り「ONE PIECE」と「あひるの空」と「鋼の錬金術師」くらいしかないんだよな。そういう正統派はやっぱりいつもあってほしいし、そういうのがしっかり面白くあってくれるのは大変頼もしいことです。1〜47巻(以下続刊)

鋼の錬金術師(16) (ガンガンコミックス)  荒川弘鋼の錬金術師

 ハガレンは完璧ですね。完璧な少年漫画だと思う。今読んでも十分面白いのに、こんなのが子供の頃にあったらもう夢中んなっちゃって仕方なかったろうな。小難しい用語とか概念とか多いし残酷だったり救いがなさすぎて重い描写もけっこうあるけど、それを「大人が読んで面白い少年漫画」みたいんとこへ逃げずにきっちり子供に向き合って描いてるらへんとか素晴らしいと思う。そのメッセージを今ダイレクトに少年時代で受け止めれてる奴らがほんと羨ましいです。

 関係ないけどドラクエとかFFとか、あと「ONE PIECE」のドラム島とかもだけど、そういうファンタジーものに必ずと言って良いほど出てくる「氷の国」「雪の世界」みたいのが昔っから無性に好きで、なので今のブリッグズ編とかもうわくわくしてたまんないです。ということで画像は16巻です。ただでさえわくわくしてたまらないのに、しかもアームストロング少将の男前っぷりが即死モノすぎて最高です。1〜17巻(以下続刊)

レベルE 3 (ジャンプコミックス)  冨樫義博レベルE

ケロロ軍曹 (3) (角川コミックス・エース) 吉崎観音ケロロ軍曹

遠藤浩輝短編集(1) (アフタヌーンKC) 遠藤浩輝 短編集1

 短編ていうのが正直あまり好きではなくて、キャラクターに感情移入しきれる前に終っちゃうとか、できたらできたで今度はもうちょっとつづきを読んでみたくて物足りなく思えてしまうことが多いんだけど、この3編――とりわけ「神様なんて信じていない僕らのために」は(短編。というにはけっこう分量ありますけど)好きで何回も読んだな。大学の演劇サークル、ていう舞台からして好みだし。

 ぼく自身はそういうサークルにいたわけじゃないけど、ずるずるモラトリアム引きずってた期間の長かった(というかヘタしたら未だに引きずっている・・・的な自虐は置いとくとしよう)せいもあるだろうし、ああいう全体的に閉塞していて、けれど息がつまるほどには苦しくないし実は案外居心地良かったりもして・・・というぐだぐだした雰囲気に弱い。なので正直いってストーリーを真剣に読み込んでいる、というよりはその雰囲気になんとなく酔ってるだけな気もするけれど、でもそういう「好き」も自分にとっての「好き」に変わりはないわけで、だからやっぱり好きなんだ。

 神様がどうとかの殺人鬼の話は確かにけっこう鬱陶しいし、わかりやすくいえば要するに中2っぽさ全開なんだけど、劇中劇という形でうまく(? と言えるほどうまくもないかもしれないけど、まあ)消臭できているのであまり気にならない。Blankey Jet City を引用とかしちゃうのはさすがにちょっとずるいですけどね。10年前の作品なので、これが今出てきたら同じように受け止めれるかは自信ないけど、10年前に読んで受けたときの衝撃は未だに鮮明でやっぱり抜けれない。

神様の名前  多田由美/神様の名前

 多田さんはどれが好きとか全部好きというか多田由美が好き、ていう感じで、「神様の名前」を選んだのは表紙がかっこいいのと、全編カラーの「庭の木」という作品が入っているのと、あと(こればっか言ってる気もしますが) amazon に他の画像があんまりなかったのと、そして何より初めて読んだ多田由美が「神様の名前」だったからで、たぶん18か19くらいんときだと思うけど、そのとき「こんなにかっこいいマンガがあるなんて!」と鮮烈すぎる衝撃だったのがやっぱり未だに鮮烈で、ざらざらと乾いていて、灼けつくみたくひりひりした空気に一瞬でやられてしまったのでした。

 短編があまり得意じゃなくて、と書いたばかりであれですけれど多田さんのは長編も短編も関係なく全部好き。この短編集の中だと「見つめていたい」が特に好きです。え、これでもう終っちゃうの? ていうような、彼らの日常の1シーンをほんと無造作に鋏でじょきりと切り取ったような、でいて最後の1ページの、たった3コマでハッピーエンドには程遠い、ほんの些細な光が少しだけ隙間から差し込んでくるような、多田さんの作品のそういう寡黙な弱さにぐっときます。

ヘルタースケルター (Feelコミックス) 岡崎京子ヘルタースケルター

最後の制服 3 (まんがタイムきららコミックス) 袴田めら/最後の制服

B.B.joker (2) (Jets comics (198))  にざかなB.B.Joker

監督不行届 (Feelコミックス)  安野モヨコ/監督不行届

銀曜日のおとぎばなし 1 (集英社文庫(コミック版))  萩岩睦美銀曜日のおとぎばなし

銀河鉄道の夜―最終形・初期形〈ブルカニロ博士篇〉 (ますむら版宮沢賢治童話集) ますむらひろし銀河鉄道の夜


ハトのおよめさん 少女セクト すんドめ 秘密 蒼海訣戰