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2010-09-25

12 一人飲み 6

| 14:59 |  12 一人飲み 6 - VENJOの落書き を含むブックマーク  12 一人飲み 6 - VENJOの落書き のブックマークコメント

身体から一瞬にしてアルコールが全部蒸発したような気分になった。カウンターに座っていたサラリーマン風の男、以前俺を指名したお客だった。確か、1回目は昼間にまるで会社を抜けだしてきてデリヘルを呼んだみたいな感じだったと思う。あれからまた昼間にもう1回指名してきた。相変わらず緊張していたな。

2階も顔見てると完全に俺の記憶と一致してしまっているのが分かった。この人は間違いなく俺を指名したお客だ。向こうも気付いたみたいだ。

「ちっ…」

俺は聞こえないような小さな舌打ちをした。

こういう時はどういう感じにストーリーは進むのだろうか。

馴れ馴れしく話し掛けてきて「今日はお店はないのかな?」とか「今日、今からどう?」とか言ってくるのか。そう言われたら俺は8割機嫌悪く対応するだろう。それほど大人ってわけじゃないから「今日は話し掛けないでもらえますか?プライベートなので」とか「プライベートで会うってのをやっちゃうとお店に出入出来なくなりますよ、知ってました?」とか言おうかな。

そんな気分でいたら、あのサラリーマン、そそくさと会計を済ませて出て行った。相当気まずい雰囲気だったらしい。でも一安心だな…。これでこのカウンターは俺だけのもの。

それから俺は魚のあら煮を注文したり、ブリカマを注文したり、焼酎を飲んだり、熱燗を飲んだり、これでもまだぶっ倒れる事はないのか?え?って感じに自分の身体への挑戦みたいな感じで次から次へとアルコールを摂取していった。でもさすがは親父譲りの超酒豪。女になってもアルコールが屁でもない。

ただ、胃の残りスペースは小さくなりつつある。食べるペースはゆっくりに、飲むペースもゆっくりになって、俺はアイフォーンをいじりながらチビチビとウイスキーやら焼酎を飲み始めた。

ようやくここいらで、アルコールを摂取していて気持ちいい瞬間、アルコールハイって奴か、頭がぽわんぽわんして気持ちいい〜ってのを味わっていた。注文を重ねるごとに店員はビビっていたけどね、俺がどんどん平らげていくから。

夢見心地で一人酒を楽しんでいたら、店の玄関の方から凄いうるさい女が数名ほど入ってきたような気配がする。こんな時間に何しに来てんだ?って俺もまさにその「こんな時間に」しかも一人で来てる女なわけだけど、その「ぎゃはははは!」って下品笑い声を上げながらドタドタと入ってくる女達は、一人でカウンターに座っている俺が珍しかったのか、「お?」って声を上げ、口に手を当てて、急に黙って通りすぎていった。さっきのサラリーマンにしろ、今のクソうるさいギャル女達にしろ、なんだか俺を畏怖の対象みたいにしていくよな。

しばらくしてから店の奥からまたあの「ぎゃはははは!」という下品な笑い声が聞こえ始めた。

2010-09-23

12 一人飲み 5

| 12:04 |  12 一人飲み 5 - VENJOの落書き を含むブックマーク  12 一人飲み 5 - VENJOの落書き のブックマークコメント

夜に出かけようと思っていた。夜ってのは具体的には人が少なくなり始める23時頃。だけどお腹が減りすぎて空腹でたたき起こされた感じになった。

22時の事だった。

それからテレビみたいしながらようやく23時となって、俺は昼間買ったワンピースに着替え、同じく昼間かったアイフォーンを手に持って夜の街に出た。目指すは「飲み食い処・葉民」

一人でそういうお店に行くのが怖くないかとか色々と思うところはあったけど、俺には男の友達が居ないし、友達になれそうな女性も居ないし、そういうわけで、XX病が原因で脳は男のまま、身体が女性化した俺には友達がいない。もう随分一人で過ごしてきたから寂しいとか感じ無くなったな。

葉民について受付にいた女性にお一人ですか?と聞かれ、はいと答えるとカウンターへと案内された。

人は…居た。

少ない時間を狙ったのにこんな夜遅くにもいるのか。サラリーマンっぽい男性が一人。どうやら残業でもしてからその帰りにお酒を飲もうって来てるっぽい。そうか、俺と同じ様な事を考える奴がいるのを計算にいれなかったか。でもまぁ、カップルだとか家族連れだとかじゃなくてよかった。そうだったらうるさくてしょうがなかった。

席についてから俺は「とりあえず生ビール」と一言。

とりあえずなんて扱いをしてしまったらビール様に失礼だとは思いながらも、とりあえず生ビール。これから沢山飲みますよっていう合図だ。

おつまみっぽいのを2、3品注文して、ビールはあっという間に飲み干した。2杯目。まてよ、俺って女になってからコンビニで果実酒買って飲むぐらいでそれほどお酒飲んでないけど酔いやすくなってるとかないよな?

俺は2杯目のビールを半分ぐらい飲んだあと、自分に問いかけた。まだ全然自分を保てているよな?って感じに。その返答はもちろんYESだ。男の時から酒は強かったんだ。女になったからと言って仮に弱くなってもたかがしれてる。

2杯目も完全に飲み干した。さてと、そろそろビールのようなジュースみたいなお酒はもういいかな。ランクアップしないとね。というわけで次は日本酒を注文。2合ほど飲み干したところで店の様子を見てみる。シーンとしているな。テーブル席とかは。後はカウンター。

あのサラリーマンと目が合ってしまった。

さすがに女子高生みたいな年齢の奴が自分(サラリーマン)よりも沢山酒を飲み散らかして真っ赤な顔しをしてるんだから、案の定驚いていた。俺の眼つきが悪いのか、すぐにそいつは目を逸らす。なんだ?俺ってそんなにガラが悪い女に見えたのか?デリヘル嬢には髪を真っ白にして歌舞伎役者みたいな髪型した奴もいるけど、俺の髪は日本人そのもの、生まれた時から染もしてないぞ。

俺はそのサラリーマンらしき男をじーっと見つめてみる。目が合わないように前のほうを向いて「私はあなたに興味ありませんよ」という事をアピールしているようにも見える。

なんか、この人どこかで見たことあるぞ…。

あ、この人、俺のお客さんじゃないか…。

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