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扁桃隊訓練

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2014-08-13

母から子への恐怖の伝達

22:01

Intergenerational transmission of emotional trauma through amygdala-dependent mother-to-infant transfer of specific fear.

Debiec J, Sullivan RM.

Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Jul 28. pii: 201316740.



ラット母親から子供への恐怖の伝達を評価するモデルをつくり、その伝達のメカニズムを調べた論文


におい条件づけを行った母親ラットを子供のいるケージに入れ、CS提示する。7日後、子供にY迷路テストを行わせ、CSのにおいと慣れたにおい(床じきのにおい)のどちらを選択したかで子供への恐怖の伝達を評価している。(Fig 1A)

におい条件づけを行った母親といた子供は、コントロール群に比べてY迷路テストで高い恐怖の伝達を示した。(Fig 1B, C)


今度は母親と子供を別々のケージに入れ、においだけが伝わる状態にした。すると、恐怖を感じている母親のにおいとCSを曝露された子供のコルチコステロン血中濃度が上昇し、Y迷路テストでは高い恐怖の伝達を示した。(Fig 2B, C)

また、コルチコステロンの合成阻害剤を投与すると、Y迷路テストにおける恐怖の伝達は減弱した。(Fig 2 D)


母親から子供への恐怖の伝達後のc-Fos発現を調べたところ、扁桃体嗅球で発現が上昇していた。主嗅球尾側の糸球体層での発現上昇が顕著であったことからGruenberg ganglion-necklace gromeruli(GG-NG)経路の必要性検討した。

子供のGGの軸索切断を行った群では、母親から子供への恐怖の伝達が阻害されたが、におい条件づけによる恐怖は障害されなかった。(Fig 5A)

また、ムシモールで扁桃体を抑制した場合にも母親から子供への恐怖の伝達は阻害されたことから、母から子への恐怖の伝達は扁桃体依存的であることが示された。(Fig 5B)


母親がいなくてもにおいだけで恐怖が伝わるのは興味深いです。

51

2014-07-25

肥満女性でみられる食と関連した報酬学習の障害

12:18

Impaired Associative Learning with Food Rewards in Obese Women

Zhihao Zhang, Kirk F. Manson, Daniela Schiller, Ifat Levye

Curr Biol. 2014 Jul 15. pii: S0960-9822(14)00676-9.

一般女性と肥満女性(BMI>30)の連合学習成績を比較

・肥満女性は食べ物(peanut M&M)を報酬とした場合の連合記憶の成績が一般女性よりも低い。お金を報酬とした場合、一般女性と肥満女性の記憶成績に差は認められない(Fig. 2)。

・肥満女性の食べ物を報酬とした連合記憶の成績はBMI値と負の相関がある(Table. 1)。

・この肥満女性でみられる食べ物を報酬とした連合学習の障害は男性ではみられない(Fig. 2)。

このことから、肥満女性では食べ物に関連した報酬学習特異的な経路が障害されていることが推測される。

2nd

2014-06-25

TRPチャネルを介した湿度の知覚

12:55

Drosophila hygrosensation requires the TRP channels water witch and nanchung.

Liu L, Li Y, Wang R, Yin C, Dong Q, Hing H, Kim C, Welsh MJ.

Nature. 2007 Nov 8;450(7167):294-8.

ハエ。湿度を感じる機構はあまり理解が進んでおらず、この論文以外ではゴキブリ、線虫でその機構が発見されている。前報により、湿度の知覚に機械感覚が関与していることが示唆されているため、transient receptor potential (TRP) とdegenerin/epithelial Na+ channel (DEG/ENaC) ファミリーに着目し、スクリーニングをおこなった。

・行動によるスクリーニング(湿度~100%と湿度~0%のチューブ提示した場合、通常12-30%のハエが湿ったチューブに移動。)の結果、TRPチャネルであるnanchungとwater witchを同定。ハエの触覚においてnanchung、water witch発現ニューロン存在(Fig. 1)。このニューロンの抑制により、湿度への指向性が変化(Fig. 2)。

乾燥した空気、または湿った空気に対する触覚ニューロンの応答性を記録。ドミナントネガティブまたはRNAiでnanchungの機能を抑制すると乾燥した空気への応答性が減弱。一方で、water witchの機能を抑制すると湿った空気への応答性が減弱(Fig. 3)。

・nanchung、water witch発現ニューロンは中枢神経系へと投射を送っており(Fig. 4)、そこから行動などの変化を引き起こすと考えられる。

以上の結果から、ハエの触覚に存在するTRPチャネルの1つであるnanchungが乾燥した空気を、water witchが湿った空気を知覚し、中枢へと情報を伝える。

湿度の知覚には温度知覚経路の関与も示唆されており(Russell et al., 2014, PNAS)、湿度と温度知覚の関係気化熱以外の観点からも説明できるのか、興味をそそられます

2nd

2014-05-25 怪我による警戒心アップ

怪我による警戒心アップ

11:35

Nociceptive Sensitization Reduces Predation Risk

Robyn J. Crook, Katharine Dickson, Roger T. Hanlon and Edgar T. Walters

Curr Biol. 2014 May 19;24(10):1121-5.

怪我による防衛行動の鋭敏化は多くの種に共通してみられ、強力な選択圧がかかったことが容易に推測できる。これを実験室レベルで確かめた論文

モデルとしてイカを使用。イカの第3の足の先っぽを切断し、捕食者(ブラックシーバス、スズキの親戚)に対する反応を観察。直径360cm、深さ90cmの環境

・警告反応などといった捕食者の存在に対する反応が怪我群で鋭敏化。局所麻酔により痛みを感じなくさせた場合、この鋭敏化は消失する(Fig. 2)。局所麻酔のみの投与は無傷なイカと同程度。

・怪我の痛みを局所麻酔でなくした場合、生存率が19%に。怪我による防衛反応の鋭敏化により生存率は45%にアップ。無傷な場合は75%(Fig. 3)

怪我による生存コスト、防衛反応の鋭敏化の利益を数値化した点がポイントかと

2nd

2014-05-11

神経活動によるオリゴデンドロサイトの分化と、その行動変化への関与

11:05

Neuronal activity promotes oligodendrogenesis and adaptive myelination in the mammalian brain.

Science 2014 May 2

Gibson EM, et al.

神経活動に依存してオリゴが分化することはvitroでは言われていたし、経験に依存してミエリンや白質が増減することはヒト及び動物でわかっていました。

足りなかった部分をつないだような論文です。


・THy1::ChR2マウス、右M2領域を光刺激(左周回歩行から刺激成功を判断できる)。

・刺激3時間後、EdU標識増殖細胞がM2(図1)、脳梁(図2)で増加。その多くがオリゴ系譜細胞、残りは神経前駆細胞

・このとき、外傷によるミクログリア活性化の程度は野生型と同程度(図3)。

・野生型では、増殖細胞は刺激24時間後もまだ増殖能を持つのに対しTHy1::ChR2マウスでは増殖能を持たない(→分化を示唆)(図4)。分化に必要エピジェネティックな指標も、分化を示唆(図4)。

・上記細胞は4週間後に成熟オリゴへ分化していた(図5)。

・また、ミエリンが厚くなっていた(図6)。

・このタイミングで、運動機能(limb swing speed)が向上(図7)。

・オリゴの分化を止めるというHDAC阻害物質で、光刺激による分化、ミエリン化、行動変化は全て抑制された(図5〜7)。

刺激した回路周辺のオリゴが増えてミエリン化、そして行動変化に必要であるという主旨。


オリゴはまず分化が起こり、その後隣接するオリゴが分裂すると言われているので、解釈が複雑ではあります。でも

行動に関連してミエリンが可塑的に変化する→オリゴの供給が滞れば行動(精神)異常が生じる

と夢見るくらいには充分な論文だと思いました。


でっしー。