2011-11-16
Domaine Mongeard Mugneret
出迎えてくれたのは当主ヴァンサン・モンジャール氏。「せめてもう少し早ければ、黄葉で光り輝く黄金の丘、まさに "Cote d'Or"を見ることができたのにね」と、残念そうだった。既にどこの畑の葉も全て落ちていたからだ。
2009年はとても良く出来た年だったよと満足そうに語る口調は、自信と喜びに満ちているようにも見えた。
2009年の収穫は9月9日にスタートした。温暖な気候が続いたおかげで、例年に比べると腐敗果や不良果が少なく、健全な葡萄が沢山取れたそうだ。対して2010年はアペラシオンによっては50%もダウンしてしまったところもあったそうで、それを「自然の成せる業だからね」と、素直に受け入れていた。
このドメーヌでは熟成において90%はステンレスタンクを使用しない。アリゴテとACブルゴーニュ・シャルドネのみ使用する。ほとんどの場合、彼らは1,2年使用したオーク樽を使う。これは赤のリーズナブルなキュヴェであるパストゥグランでもそうだ。ステンレスタンクは温度管理が細かくできるで、醗酵の過程でのみ使用する。樽も樹の段階から自らが厳選したもののみで樽を造らせる念の入れよう。ヴァンサンのこだわりが随所に垣間見れる。
綺麗に整理されたテイスティングルームで試飲を始めた。
1.Bourgogne Hautes Côtes de Nuits Blanc Prieure 2009
平均樹齢35年。所有面積30.82a。除梗100%。
ハニー、ナッツ、西洋梨、白桃、パイナップルなどの香りが印象的。オーク樽のニュアンスが見事にアクセントを加えている。酸は穏やかでやわらかく、熟度も程よくバランスが取れている。とても良く出来たワインで、フレッシュでみずみずしさが際立つ一本。通常H-C-Nは酸が強いワインだが、この年はとても良いバランスが取れている。
2.Marsannay Blanc "Clos du Roy" 2009
平均樹齢40年。除梗100%。
所有面積41.18アール (Haの100分の1/以下 a)
600Lの大樽で造られる。
前出のHauts Côtes de Nuitsよりも酸の度合いがはっきりとしたワイン。桃、柑橘系、香辛料、りんごなどの香り。ミネラリーでしっかりとした果実味も魅力のひとつ。
3.Bourgogne Pinot Noir 2009
平均樹齢28-55年。所有面積2.52ha。除梗100%。
ステンレスタンクでアッサンブラージュしているものを試飲。現時点ではややガスが残る程度。生産量は140HL。Flagey Echezeaux村とVougeot村の区画からの葡萄が使われる。黒いベリー系の熟した香りに、スパイスの要素が溶け込んでいる。とてもきっちりとしたバランスの良い造りで、角のないタンニンと果実味のバランスはとても良い。飲み飽きしないベストヴァリューACブルゴーニュ。
4.Bourgogne Hautes Côtes de Nuits Rouge 2009
平均樹齢25年。所有面積2.48ha。除梗100%。
とても果実味豊かでやわらかく、酸とのバランスも良い。チャーミングで可愛らしい味わい。通常150hl生産が可能だが、、ヴァンサンは100hlをネゴスに販売したそうだ。残りの50hlのみがドメーヌとしてリリースされる。それはこの年の出来が良かった為に他のドメーヌが葡萄を売ってくれず、ネゴスが困っていたのを見かねたからだという。自社で販売した方が利益にはなるが、一時の自社の利益だけを追求しても、ブルゴーニュは発展しないと考えているのだ。
5.Bourgogne Hautes Côtes de Nuits Les Dames HUGUETTES 2009
平均樹齢35年。所有面積2.36ha。132hl生産。
新しくリリースされるキュヴェ。畑は2008年に購入したもの。 Les Dames HUGUETTESはリューディ名。Hautes Côtesで唯一リューディ名がある。黒いベースのラベルの上部に真紅の大きな一輪の薔薇が印象的なラベルで、PARISで先行販売したら飛ぶように売れてしまったそうだ。前出のHautes Côtes de Nuitsよりやわらかく、わかりやすい味わいが特長。昔、NSGだったが格下げされてHautes Côtesになりリューディ名だけが残ったそうだ。ある程度の数量を造ることが出来るので、これまで造っていた他のキュヴェとはコンセプトを変えたそうだ。従来のキュヴェはこれまで通り、個人消費向けとしているが、このキュヴェはパーティなどの様々な人が気軽に飲めるように工夫されている。
6.Savigny Les Beaune 2009
平均樹齢36年。所有面積58.88a。
新樽比10%。除梗100%。
樽からのサンプル。香ばしく焼いたパンを連想させるイースト香など新樽を10%加えるだけでも木の香りの要素が強く感じられる。これまで試飲したワインよりも濃密さと奥行きが1ランク上がる。
2009年の熟度の高い果実味とタンニンは1999年産と、とてもよく似ている。
7.Fixin 2009
平均樹齢40年。所有面積1.58ha。
新樽比10%。除梗100%。
前出のSavigny Les Beauneよりもオークのニュアンスが出ており、甘みも若干抑え目な印象。少し乾いたタンニンはまだ液体には溶け込んでいないが、高いポテンシャルを感じさせる造り。
8.Savigny Les Beaune 1er Cru Les Narbantons 2009
平均樹齢53年。所有面積1.37ha。新樽比30-40%。
Fixinよりもやわらかい甘みを備えている。タンニンの角もなく、エキス分に十分に溶け込んできている。格が急に何段階も引き上げられたような印象を強く受ける。一部は瓶詰めを始めているそうだ。新樽比率を高めているので、果実味と樽のバランスを見極めながら行うそうだ。
9.Vosne Romanée 2009
平均樹齢35-72年。所有面積1.37ha。
新樽比30-40%。除梗100%。
質感のキメの細かさはこれまでのものより群を抜く。香り立ちが非常に華やかで、ぎっしりと詰まった色とりどりのブーケを嗅いでいるような、フローラルな香りに包まれている。タンニンの角もなく、なめらかで純度の高いエキス分は一切の青みも感じさせないほどに熟れている。
10.Nuits Saints Georges Les Plateaux 2009
平均樹齢45年。所有面積69.62a。新樽比30-40%。
前出のVosne Romanéeよりも、さらに濃密で、しなやかな印象。タンニンもとてもやわらかく溶け込んでおり、酸の度合いもしっかりとしている。果実味の凝縮感が高く、粘性も強い。言い方を変えればニューワールドを思わせるような凝縮度を感じてしまうほど熟度が高い。エレガントというよりはパワフルさが前に出ている。いつもは冷たい風が吹いている畑なので酸のしっかりとしたワインが出来ているが、2009年に関してはそれが当てはまらないそうだ。
11.Chambolle Musigny 2009
平均樹齢35年。所有面積30.98a。
新樽比25%。除梗100%。
新樽はChambolle Musignyの個性を活かす為、新樽の比率を25%に少し減らしている。残りは1年樽を使用する。とてもリッチで高い凝縮度を感じる。熟度の高い黒果実の香りと、バラ、スミレの香りに、鰊や海苔の佃煮のような磯の香りがほのかに漂う。現時点ではやや焦点は定まっていないが、アペラシオンの個性であるエレガントさは十分に楽しむことが出来る。
12.Gevrey Chambertin 2009
平均樹齢40年。所有面積38.3a。
新樽比25%。除梗100%。
果実味、タンニン、酸のバランスが良く、現段階でも飲み心地が良く完成されてきている。香りの華やかさは特筆すべきもので黒果実、ミネラル、スパイス、赤い花などの豊かな香りが複雑に絡み合っている。シルキーで継ぎ目もなくしなやかな飲み口は多くのファンを増やすことだろう。
13.Beaune 1er Cru Les Avaux 2009
平均樹齢40年。所有面積45.52a。
新樽比30-40%。除梗100%。
現段階では香りの要素はやや閉じているが、バラの花びらのような香りが感じられる。大らかな果実味がとても印象的。オスピス・ド・ボーヌの隣にある畑。
14.Pernand Vergeless 1er Les Vergeless 2009
平均樹齢40年。所有面積75.02a。
新樽比40%。除梗100%。
アタックからとても濃密で熟度の高い果実味とゴージャスな香りが一瞬で口腔を支配する。タンニンの角はないが、若干乾いている。酸味がしっかりとしているので白身魚、特に川魚などと併せるとよいマリアージュとなるだろうとヴァンサン氏は語る。
15.Vosne Romanée 1er Cru Les Orveaux 2009
平均樹齢25-52年。所有面積1.08ha。
新樽比30-40%。除梗100%。
熟した黒果実の芳しい香りの中に、ヨード、磯、土、ヴァニラ、ショコラなどの香りが入り混じっている。より濃密で熟した果実の力強さを感じる。Vosne Romanéeらしい繊細さと複雑味が際立つ。サンプルは新樽から取ってきたものだが、新樽の強い個性に負けないだけの十分な果実味の豊かさがある。タンニンも溶け込んでいて、アメリカンオークを思わせるヴァニリンな甘い香りがほのかに漂う。
16.Vougeot 1er Cru Les Cras 2009
平均樹齢35年。所有面積55.82a。
新樽比30-40%。除梗100%。
甘くよく熟していて果実味の凝縮度がとても高い。Les Amoureusesにとても良く似た、石と砂の多い土壌で女性的なエレガンスさが前に出た味わいが特長。そのエレガンスにこの年特有のパワフルさが加わり、よりスケール感がある造りになっている。通常年は10樽ほど生産が可能。2009年も例年通りの収量だったが、2010年は半減してしまったそうだ。
17.Vosne Romanée 1er Cru Petit Monts 2009
平均樹齢50年。所有面積30.21a。
新樽比30-40%。除梗100%
タンニンもしっかりとあるが、少しも青みを感じさせない熟度のしっかりとした果実味と、バランスの取れた適度な酸は、とても品がある。傑出したしなやかさとVosne Romanéeらしい複雑味に富んだ味わい。
18.Vosne Romanée 1er Cru Les Suchots 2009
平均樹齢50年。所有面積22.44a。
新樽比30-40%。除梗100%
現時点ではやや透明度が弱いが、これからの本格的な冬の間にゆっくりと透き通ってくるそうだ。生産量は多くはないが、ヴァンサン・モンジャールお気に入りのキュヴェ。濃さ、酸、甘み、タンニン、そのどれもが品よく、優雅にワインを形成している。よく熟したタンニンが液体にきれいに溶け込んでいる。
19.Nuits Saints Georges 1er Cru Les Boudots 2009
平均樹齢35年。所有面積75.02a。
新樽比30-40%。除梗100%
甘みがより強い分、繊細さよりもパワフルさが際立っている。Vosne Romanéeよりも収穫を遅くするそうで、そのおかげもあってタンニンが良く熟すようだ。ヴァンサン氏曰く、正式にはLes Boudotsではなく、Aux Boudosが正しい呼び名だそうだ。
20.Echezeaux 2009
平均樹齢25-60年。所有面積1.76ha。
新樽比50-60%。除梗100%。
熟度、凝縮感、タンニン、ミネラル感がとてもしっかりとしており、ストラクチャーのしっかりとしたスタイル。酸も十分にあるが、バランスが良く適度に表現されており、シルキーでスケール感の大きいスタイル。フィネスと美しさに溢れている。
21.Clos de Vougeot 2009
平均樹齢40-68年。所有面積62.59a。
新樽比100%。除梗100%。
Echezeauxよりオークのニュアンスが強い印象。まだタンニンは溶け込んでいないが、要素が多く香り立ちが素晴らしい。
22.Echezeaux Vieille Vigne 2009
平均樹齢80年。所有面積73.55a。
新樽比90%。除梗75%。
よく熟しており、甘くジューシーな果実味。タンニンも質が高く、果実味もキメが細かい。甘みとしなやかさ、酸とのバランスは絶妙。既に抜きん出たオーラを放っている。将来がとても楽しみなワイン。
23.Grands Echezeaux 2009
平均樹齢80年。所有面積73.55a。
新樽比90%。除梗75%。
現時点では還元香が支配的。タンニンは良く熟していて、甘みも十分。酸もしっかりとあるが、少しもバランスを欠いていない。1990年の酸の度合いに非常に似通っている。将来的に大化けするであろう傑作ワイン。
24.Richebourg 2009
平均樹齢40-68年。所有面積1.3248ha。
新樽比100%。除梗75%。
果実味、熟度、旨み、ミネラル感、酸、どれもとても高いレベルに到達しているが、素晴らしいバランスの上に成り立っているところはさすがと言うべき。香りも華やかで、品のあるゴージャスさが抜きん出ている。現時点でもすでに飲み心地が良く、ひたすらシルキーでエレガント。
DomaineThomas Morey
ぽつぽつと雨が降り始めた昼過ぎの訪問。出迎えてくれたのはトマ・モレ氏。「よく来たね、じゃあ早速始めようか」と、ガレージに近い醸造所のステンレスタンクから抜き出した赤から試飲を始めることとなった。
2007年ヴィンテージからChassagne Montrachet村を牽引してきた偉大なる生産者Bernard Moreyは事実上引退した。代わりに長男Vincent、次男Thomasの2人の息子に畑は相続され、それぞれの名でリリースされることになったのは周知のとおり。畑の分配は、基本的には父 Bernard Moreyが決めたそうだ。Cailleretは10樽程しか出来ないので、Vincentに分け与え、代わりにバランスが取れるようにより希少なVide Bourse、Dents de Chine、 BaudinesをThomasだけに分けたそうだ。Truffièreは両方に分けられた。今でもVincentとは互いのワインをきちんとした形で試飲する機会を必ず設けているそうだ。もちろん、父であるBernardもそこに加わる。互いのワインの出来を確認し、意見交換することはとても重要な事なのだと言う。
2007年からそれぞれのワインをリリースし始め、徐々に個々の性格がワインに如実に現れて来ている。彼はそれぞれのワインをこう評している。
Vincentは厚みがあり、リッチなスタイル。
Thomasは自らのワインをミネラル感とキリッとした酸を備えたエレガントなスタイルと感じているそうだ。Bernardそっくりの関取のような恰幅のいい体躯をもつVincentと、同じ遺伝子が入っているとは思えないほど細身でスマートな出で立ちのThomas。両者の見た目がそのままワインにの個性となっている。とても面白い。
彼が手がけてからの年柄を簡単に説明してくれた。ファーストヴィンテージとなった2007年はとても酸がしっかりとしたストレートなワインで長熟型。2008年は酸がしっかりあるが、熟度が高くバランスが良い。特にプルミエ・クリュはかなりリッチに仕上がっている。2009年はミネラリーで、ピュア。そしてとてもリッチなスタイルで、テロワールの個性が見事に表現されているそうだ。そして仕込み終えたばかりの2010年は1996年ととても良く似た良い酸を備えた長熟型のワイン。とても凝縮した葡萄が収穫できたそうだ。
1.Bourgogne Pinot Noir 2009
新樽比率30%。甘みもしっかりとあり、濃厚で厚みのある凝縮した果実味。一切の青みがなく、タンニンもしっかりとあるが、角がなく見事な造り。ミネラル感と大地の香りに満ちている。芯がしっかりと通った、傑出したACブルゴーニュ。これを書いている時点で既にAMZ、ドメーヌ共に一切の在庫がないのがとても心苦しい。価格を考えるとかなりの掘り出し物のひとつ。手にされた方はとてもラッキー。
2.Santenay V.V Rouge 2009
新樽比率50%。1952年植樹。17樽、約5100本生産された。2010年は極端に減ってしまい、6樽になるそうだ。現時点ではまだタンニンが果実味に溶け込んでいないが、豊かな果実味とミネラル感、総合的なバランスは、このアペラシオンの新たな一面を感じさせてくれる。
3.Chassagne Montrachet Rouge V.V 2009
新樽比率50%。中身のしっかりと詰まった果実味とミネラル感。タンニンはやや硬さはあるが、酸も適度にあり、スケール感は大きい。落ち着いてからまた試してみたい1本。
4.Santenay 1er Cru Clos Saint Rousseau 2009
新樽比率80%。1974年植樹された樹を持つ畑を1978年にMOREY家が購入。所有面積 0.41 ha。標高250〜280mの緩やかな斜面に位置し、茶色の粘土質石灰土壌と、石の多い土壌はとても恵まれた立地。その為、熟度が高く凝縮した葡萄が取れるのが特長。スミレやブラックチェリーやフルーツの熟した香りが際立っている。
5.Beaune 1er Cru Les Grèves 2009
新樽比率30%。Grèvesはラテン語を語源とする言葉で砂利を意味する。とても熟度が高く、ボーヌらしく、シルキーで繊細。タンニンは角もなく、控えめでその分ミネラル感とふくよかな果実味を感じやすい。
赤を一通りテイスティングすると、新しくできたテイスティングルームへ移動し、白を試飲することになった。そこがまたとても面白い作りになっていた。テイスティングするカウンターテーブルがガラス張りになっていて、その中に彼の所有する畑の土がきれいに仕切られ、ディスプレイされているのだ。これを見ながら試飲すると、何故その昔、それぞれの畑が細かく分類され、別々のワインとしてリリースされることになったのか、その大きな要素となった土壌を、とても分かり易く知ることが出来る。
同じ村とは言え、それほど土壌の違いは明確なのだ。色合い、石の大きさ、土の種類などが全く異なる。日本でも検疫とかがパスできるのであれば、こんな感じにディスプレイされたワインバーがあればいいのにと個人的に思った。
6.Bourgogne Chardonnay 2009
Chassagne Montrachetの二つのコミューンから出来る葡萄から造られる。一部の樹は黒葡萄が植えてあったが、植え替えてこのワインを造るようにした。Thomasのワインは赤、白はもちろん国を問わず、人気が高いのであっという間に完売してしまったそうだ。通常、5200本程度が生産されるが、2011年産から貸し出している畑が返ってくるので若干生産が増えるとの事。「同じような場所にあるので、クオリティを落とさずに生産することができるけど、それでもまだ足りないんだよね」と、嬉しい悲鳴をあげている。3年樽のみで造られるこのワインはハーブ、ミント、ライチ、白い花や白い果実の香りがぎっしりとつまった魅惑的なワイン。ミネラリーで酸も伸びがあり、果実味とのバランスも実にバランスが取れている。
7.Beaune 1er Cru Les Grèves Blanc 2009
新樽比率30%。1969年から所有している畑で、1999年に植樹された。非常に芳香性に富んで、熟度が高く、ミネラル感に溢れている。若いうちから既に完成されており、品質と満足感がとても高い。若いうちから十分に楽しめるのも特長のひとつ。
8.Saint Aubin 1er Cru Les Puits 2009
新樽比率30%。Les Puits とは井戸の意を持つ。白い石灰岩に覆われた土壌で、小さな石を大量に含んだ土壌。果実の熟度も程よく、酸のシャープさとフレッシュさもバランスが良い。白い花、柑橘系、フルーツの香りが実に良いアクセントを与えている。甘く、ほろ苦く、酸も適度にスッキリとしていてミネラリーな造り。
9.Chassagne Montrachet 2009
新樽比率30%。果実味の熟度、伸びのある酸、塊のようなミネラルは、村名では考えられないほど高いレベルを維持している。とても複雑で美しい透明感に溢れ、惚れ惚れするような果実味とミネラルは特筆に価する。果実味、酸がバランス良い秀作。
10.Chassagne Montrachet 1er Cru Les Embrazées 2009
新樽比率30%。プルミエ・クリュや村名クラスでは30%以上新樽を使用しないのが彼の流儀だ。それ以上高めてしまうと、オークのニュアンスが強く出すぎてしまい、繊細な味わいが消えてしまうと考えているからだ。このキュヴェは兄であるVincent Moreyと分け合う畑でThomasの畑からは10樽が生産された。Vincentはこの年90樽生産し、60樽はネゴスへ売却したそうだ。鉄分が非常に多い土壌で、その為かリッチで厚みのある、ミネラル感満載のワイン。白い花、桃、蜂蜜、柑橘系の香りがとてもきれいにブレンドされ、品の良い香りを放つ。美しく、伸びのある酸、たっぷりとしたミネラル感、果実味のバランスなど、どれもが超一流。
11.Chassagne Montrachet 1er Cru Baudines 2009
新樽比率30%。9樽生産。1973年と2002年に同程度の二区画を取得。とても良く熟しており、スケール感の大きいリッチなスタイル。白い花、桃、蜂蜜、柑橘系の香りに、百合の花やメンソールが加わる。華やかでゴージャス感が溢れており、 Embrazéesよりもさらにミネラルを感じる。優雅さも際立つスタイル。BaudineはThomasにとってとても好きなスタイルが出来るのだという。
12.Chassagne Montrachet 1er Cru Morgeot 2009
新樽比率30%。9樽生産。現時点では若干ガスがある。土壌の特徴としては地中深くなるにつれ、赤っぽく鉄分を多く含んでおり、上の方になると石灰岩により白い多様な土壌。Baudinesよりも熟度はやや控えめで、クリーミーな印象。酸も適度でミネラル感に富み、純粋で気品のある香りが美しく表現されている。
13.Chassagne Montrachet 1er Cru Vide Bourse 2009
新樽比率30%。4樽生産。緩やかな斜面に位置し、水はけの良い小石が多く水はけの良い、Bâtard Montrachetの隣の区画。力強く、ゴージャスで優雅なブーケとエレガントな余韻が特長のワイン。円みと厚みのある、ミネラル感と伸びのある清らかな酸は、しなやかでエレガント。清涼感のあるクリーミーさを持ち、やわらかさは抜群。
14.Chassagne Montrachet 1er Cru Dents de Chine 2009
新樽比率30%。1986年植樹。僅か0.6376haの小さな区画。なだらかな地形で茶色い土壌。Montrachetに隣接した区画。畑名のダン・ド・シアンとは"犬の歯"の意を持つ。これは犬の歯のような小さな石が多い為に名付けられた説と、畑の形が犬の奥歯に似ているから名付けられたという説があるそうだ。地質学的にはChevalier Montrachetに属している。酸もしっかりとあるが、果実味の凝縮感が素晴らしい。きっちりと焦点が定まったストラクチャーのしっかりとしたワイン。ミネラル感たっぷりで、素晴らしい芳香性とアフターに感じるハニーの要素がとても品がありエレガント。
15.Puligny Montrachet 1er Cru La Truffière 2009
新樽比率30%。6樽生産。現在、La Truffièreを所有するのは彼と兄であるVincent Morey、Michel Colinの息子Bruno Colin、J.M. Boillotの4人。J.M BoillotはSauzetの孫にあたる。1952年、1986年にそれぞれ植樹された区画から産出される。畑名の由来はトリュフの産地だったことから付けられたもので、心なしかそのようなニュアンスも香りから感じる気がする。エッヂの効いた酸と、ミネラルの塊のような飲み心地、昼の日光を蓄熱する小石も多いことから得られるしっかりとした熟度、それらのバランスがとても良い。ピーチ、柑橘系、ヘーゼルナッツオイルの香りも複雑な要素をさらに広げている。純度が非常に高く、力強くリッチなスタイル。
16.Bâtard Montrachet 2009
2つに分かれた区画から産する。1950年と1964年に植樹された。畑は240〜250mに位置する。茶色い石灰質土壌で、粘土と沈泥と小石がバランスよく混ざり合う、水はけの良い区画。2011年産からは貸し出している区画が返ってくるそうだ。2つの区画をの真ん中が戻ってくるとの事。この素晴らしいワインが少し増えるのはとても喜ばしいことだ。バター、ナッツ、ピーチ、柑橘系、アーモンド、ドライフルーツ、花、メンソール、蜂蜜、ヴァニラ、アニス、オレンジピール、トーストなど実に様々な香りが見事に調和し表現されている。より完熟した葡萄の豊かな甘みと、卓越したミネラル感としっかりとした酸の度合い。それらの構成の素晴らしさは絶品。どんな素晴らしい賛辞を並べてもチープに思えてしまうほど抜きん出た造り。
今回、一番印象に残ったのはThomas Moreyだった。どこのDomaineも素晴らしい造りだったが、Thomasの飛び抜けた品質は深く心に刻まれた。ワインは好きだけど感動するワインにはまだ出会っていないと言う方がもしいるなら、是非試して頂きたいワインだ。DRCの栽培責任者にもなったという経歴は伊達じゃないのだ。天才とは、まさに天が限られた者だけに与えた素晴らしい才能なのだと改めて実感させられた。
Domaine Paul Pernot et Ses Fils
陽も落ちかけた頃に訪問。出迎えてくれたのは1週間前にひいおじいさんになったというPaul Pernot氏と、その息子Paul Pernot Jr.、弟のMichel Pernot氏。偶然、時間があいたからなのか、3人が出迎えてくれ、早速試飲を始めることになった。
1.Bourgogne Aligote 2009
1300本生産。8年前から貸していた畑が2009年に帰ってきたそうで、その畑から産する。これまでドメーヌとしてAligoteをリリースするのはなかったそうで、初めての出荷になった。地元消費が多く、残念ながら、日本未入荷。翌2010年は花が咲かないまま落ちてしまったので、生産されない事となった。シャルドネよりもアリゴテはデリケートなのだそうだ。シャサーニュ村側のルフレーヴの家の近くの区画で、ヴィエイユ・ヴィーニュだが、詳しい樹齢は不明。バナナやトロピカルフルーツ、ハニーの甘い香りにフレッシュな酸が加わった、きれいな風味。
2.Bourgogne Chardonnay 2009
所有面積2ha。酸もあるが、熟度とミネラル感がとてもしっかりとしている。新樽は使用せず、旧樽のみで造られるため、純粋にその年の葡萄を感じることが出来る。ピュリニー村でも一番おいしいブルゴーニュブランができるとされる、シャンペリエという、石が多い畑から産する。どんな年でも安定した品質を持っている為、ドメーヌからリリースされてもすぐに完売してしまう人気は今でも健在。
3.Puligny Montrachet 2009
樹齢約45年。新樽比率30%。華やかで熟した甘い香りの印象のままに、濃密でミネラルと果実味のしっかりとした造りが際立つ。美しく清らかな酸とミネラルはとてもバランスが良い。
2009年は豊作だったが、2010年はそれに比べるとかなり生産量が減ってしまったそうだ。特に赤は大きく減ってしまった。春以降寒かったので、花が予定よりも咲かず、なった実は小さかったが、とても凝縮したものだったそうだ。「収量は減ったが、クオリティはかなり高いと思うよ」とPaul Pernot氏は自信を持って言う。「畑での地道な作業を怠らなければ、葡萄はそれに必ず応えてくれるんだよね」と、笑う。
4.Meursault Blagny 1er Cru La Pièce Sous Le Bois 2009
植え替えした畑で、ファーストヴィンテージとなった2007年までは生産されなかった。ミネラル感に富み、柔らかで厚みのある飲み口。凝縮度と粘性が高く、酸度も程よい。
5.Puligny Montrachet 1er Cru Clos de La Garenne 2009
樹齢50年。とても熟度が高く、甘く凝縮している。酸もしっかりとあるが、果実味の方が優っている。花と桃、ナッツ、バター、ヴァニラなどの香りがとても品良く混ざり合っている。
バランスの取れた秀作。とても狭いので馬を使うことが出来ず、働きづらい場所のこの畑は、大戦時の徴兵で男手がなくなってしまい、手入れが出来ず荒廃してしまっていた時期もあったそうだ。Meursaultなどは平地なので女性が手入れできたが、ここはとても難しい畑だったそうだ。Paul Pernotの祖父の時代には葡萄が出来づらく5年に1回ほどしか出来なかったが、今や毎年煌くワインを世に送ってくれる素晴らしい畑のひとつとなった。そこには彼らの血の滲むような努力があったに違いない。
以前から問い合わせを受けているクロ・ド・ラ・ガレンヌのモノポールに関して、他のドメーヌではモノポール(単独所有畑)とラベルに表記しているが、これはどういうことなのか聞いてみた。Paul Pernot氏は、あのとても大きなメゾンの事だよねと笑いながら答えてくれた。確かに同じ畑だから正確にはモノポールではないが、これには事情がある。
1980年頃、Ch.ド・ピュリニーのオーナーだった男が、所有するこのクロ・ド・ラ・ガレンヌをかの有名なメゾンに買わないかと持ちかけたそうだ。ここまではどこでも聞く類の話だが、オーナーはこれをモノポールだと偽って彼等へ売却したそうだ。当然、彼らはそれをモノポールと信じて購入した。まさか騙されるなんて夢にも思わなかったのだろう。後になって実はポール・ペルノも以前からこの畑を所有していたと知り、騙されてしまった事に気付いたが、それは既に手遅れだったのだ。ちなみにこの畑、確認できる範囲では、Paul Pernot氏の曽祖父の時代には既に所有していたそうだ。
売り払ったオーナーはその問題が解決しないままこの世を去り、うやむやになってしまった。騙されてしまった彼らはモノポールだと信じて買ったので、ラベルにはモノポールと今でも表記し続けている。彼らも可哀そうな被害者なのだ。
もちろん、購入の際、当然畑の視察にも行ったはずだが、地図を見ても分かるようにクロ・ド・ラ・ガレンヌは二つに分かれている。その間は森に囲まれて死角ができ、奥にある畑の存在には気が付かない位置に畑はあるのだ。Paul Pernotは、あえてその問題には割って入るようなことはしなかった。当然ながら彼らのクロ・ド・ラ・ガレンヌには今でもモノポールの表記はない。
6.Puligny Montrachet 1er Cru Folatiere 2009
所有面積3.1ha。樹齢約50年。クリーンでピュア、クリーミーでエレガント。この年の恩恵をしっかりと受けた特別なキュヴェ。
フルーツの甘みとミネラル感を舌でしっかりと感じることが出来る。酸も伸びがあり、とてもバランスよく仕上がっている。美しい余韻もとても長く持続する。
7.Puligny Montrachet 1er Cru Pucelles 2009
所有面積0.4ha。樹齢約40年。暖かみのある豊かな果実味。とても凝縮感があり、リッチなスタイル。ピュセルやバタールは急な斜面ではないので葡萄は昔から安定的にできたそうだ。アルコールは13.3〜14℃あり、ボリューム感もしっかりとある。酸度は2008年より低め。全体的にいえる事だが、2009年は、とてもやわらかく、熟度が高いおかげで、早くから飲むことが出来る。対して、2008年はがっしりとパワフルなスタイルで、長熟型のワインが造られた。どちらも年の個性を忠実に表現している。
8.Beinvenues Bâtard Montrachet 2009
所有面積0.37ha。シトラス、ミント、プロヴァンスハーブ、バター、ヴァニラ、白桃、柑橘系、白い花などの豊かで品のある香りが、複雑に混ざり合っている。うっとりするほどの透明感にあふれた美しい液体。粘性のある熟度の高い果実味と、ミネラル感は他を圧倒するほどの強い存在感を示している。フィネスとエレガンスの極みを早いうちから楽しむことが出来る。
9.Bâtard Montrachet 2009
所有面積0.6ha。新樽比率40%。所有する3つの区画が全てMontrachetに隣接する恵まれた区画から産する。蜂蜜、ヴァニラ、ナッツ、ミネラル、ミント、ユーカリ、ハーブ、レモン、オレンジ、花、オークなどの豊かな芳香。リッチで厚みがあり、ミネラル感に溢れ、魅惑的な果実味は多くのファンを改めて惹きつけてくれるだろう。
2009年は1999年に似ているが、もっと高いレベルにあるとPaul Pernot氏は感じているようだ。偉大な1973年にも似ているとも分析している。
今でも圧倒的な存在感のあるオーラを放つポール・ペルノ氏。高齢だが、まだまだ元気で楽しみの一つであるバイクに毎日のように乗っているそうだ。これまで無事故なんだよと少年のような笑顔が印象的だった。
Domaine Comte Georges de Vogüe
出迎えてくれたのは醸造責任者のフランソワ・ミレ氏。ドメーヌのカーヴで早速2009年を試飲することとなった。
1.Chambolle Musigny 2009
2009年はとても素晴らしい年で、アプローチが良く、分かり易い年だと分析するミレ氏。春は暑く、例年に比べても、花は早く咲いたそうだ。安定的に気候にも恵まれ、夏も暑さは続いた。収穫は例年よりも早い、9月9日。収穫時は暑苦しくもない、とてもいい暑さだったそうだ。猛暑だと必要な酸までもがなくなり、ただ大柄なワインが出来てしまうが、まだ程よいフレッシュさがあるうちに収穫することが出来たと振り返る。フルーツのクリームのような香りが、とても印象的で、タンニンは角がなく、果実味にきれいに溶け込んでいる。フレッシュでミネラル感をしっかりと感じることができる。フローラルのフレッシュな香りが主体で、牡丹やヴィオレットのエレガントな要素が現れている。ナチュラルさと繊細さが分かり易いのも特長的だ。
ミレ氏は彼独特の詩的な表現で、このワインをこう評した。夏のテラスに座っている。目の前に広がるのは美しい湖。その湖から気持ちがいい風が吹いている。
2.Chambolle Musigny 1er Cru 2009
樹齢10〜25年のMusignyから全てが造られる。(所有するMusignyの40%は未だ若樹)実際にリリースされるのはChambolle Musigny 1er Cruとしてだが、ミレ氏はこれをMusigny J.Vと説明している。人はこれをデクラッセ(格落ち)と表しているが、この言葉は1970年代によく使われた古い言葉で、我々はこれをルプリエ(後ろに下がる)と呼んでいるんだよと答えてくれた。ちなみにMusignyの一番古い区画が植樹されたのは1952年だ。
Chambolle Musigny 1er Cru(Les Fuées、Les Baudes)も所有しているが、このキュヴェにはブレンドされない。
それらの若樹から出来た葡萄は全て村名にブレンドされる。村名とこのキュヴェは実際のラベルより、ひとつ上のクラスのワインで構成されているのだ。この辺りが、他の生産者とは大きく異なる点だ。
牡丹、ミネラルを強く感じる。前出の村名に比べると、現時点ではタンニンは硬く、やや乾いている。ただ熟度も酸もしっかりとあり、清らかでエレガントな余韻は秀逸だ。
村名よりもさらにフレッシュさを感じる。それにつられるように果実のエキス分を感じる。フレッシュさもフルーツに負けないバランスを持っていて、フィニッシュに蜂蜜のような甘さが残る。夏の太陽のイメージがそのままワインになったかのようだ。
テラスから湖の方へ歩き出したぐらいだとミレ氏はこのワインを表現している。
3.Chambolle Musigny 1er Cru Les Amoureuses 2009
高い熟度と、伸びのあるしっかりとした酸、そしてきれいに液体に溶け込んだやわらかなタンニン。煮詰めたフルーツのような風味は、どのワインにも共通してある要素だが、それがとてもきれいに現れている。またフレッシュさとミネラル感をしっかりと感じることが出来る。ミレ氏はこのワインを穏やかで鏡のように波のない湖だと表現する。そして Amoureuses はChambolle Musignyの紛れもないファーストレディで、彼女はMusignyと結婚しているのだとも彼は語っていた。
4.Bonne Mares 2009
Bonne Maresの中でも北の区画を所有している。石灰が多い土壌で、Chambertinと良く似ている。Gevrey Chambertin村やMorey St. Denis村の色合いに近く、とても濃い。とても野生的でChambertinの従兄弟ぐらい性格が似ている感じとミレ氏は分析する。
Bonne Maresの方がMusignyよりも例年早く熟すが、この年は同時期に熟した。葡萄の皮が熟しているほどブルーベリーの香りが主体的になり、熟していないとサクランボの香りが主体となる。多くの要素を得るにはそれらを同時に得る収穫のタイミングが重要だ。
ブラックチェリーを中心とした熟した黒いフルーツと牡丹、ヴィオレットの香りがとても印象的。ストラクチャーのとてもしっかりしたワイン。このストラクチャーはブルーベリーなどの熟した甘いフルーツの風味から来ている。ブルーベリーは甘みはあるが、タンニンが強い果実でもある。ただとても熟度が高いので、タンニンもとても熟している。がっしりとして歯につくようなタンニンではなく、甘く熟したタンニンはこの年の特長でもある。
5.Musigny 2009
煌きのあるルビーレッド。柔らかく甘い果実味で余韻はひたすら長い。甘みだけなら同年の他の生産者の代表的なキュヴェよりは強くない。香りはフランボワーズ、赤いバラ、カシス、スパイスが見事に混ざり合っている。Les Amoureusesと良く似ているスタイル。
2009年は樽から試飲しても分かり易いことが特長のひとつでもある。ポテンシャルはまだ隠れているが、繊細で複雑な要素はしっかりと感じることができる。
2009年は、これまでと比べて、どの年に似ているかの問いには、2009年は2009年に似ているんだよと珍しくいたずらっぽく笑っていたのが印象的だった。
2009年は口にするだけでほっとする特別な年なのだという。
Bourgogne Blancは試飲できるタイミングではなかったので、ミレ氏がコメントしてくれた。
梨の香り、シトラス、アカシア、菩提樹、フローラルな香りが良く出ている。ナーバスではなくこれもほっとするような果実味と酸を備えたいいワインだよと語る。
普段はどんなワインを飲むのか尋ねると、ワインは毎日かかさず飲んでいるそうだ。もちろん、ブルゴーニュの他の生産者も飲んでいるそうだが、オレゴンなどもお気に入りのひとつなのだという。
2009年は前評判以上の素晴らしい出来だ。品質は期待をはるかに超え、今後ブルゴーニュワインを語る上でも確実に語り草になることは間違いない。
恵まれた天候によって育まれた熟度の高い葡萄はタンニンの角がなく、とても凝縮した果実味がきれいに現れている。その熟度と酸のバランスを如何に見極め収穫したかで、その出来は大きく異なるといってもいい。幸い、今回訪問した中ではどの生産者も見事に酸と果実味をコントロールしていた。入荷がとても待ち遠しくてならない。
訪問した11月の第3週と言えば、Beaujolais Nouveauが解禁される週だ。
さぞNouveau解禁を祝うお祭り気分に街は包まれているのかと思いきや、あまりの落ち着きぶりに拍子抜けしてしまった。
解禁前はもちろん、解禁後もワインショップで大々的に告知やセールをしている所は目に付く限りでは皆無だった。扱っていても細々と置いてあるだけのところが多かったのだ。
ある生産者が、解禁日に客先のショップに自分のワインを納品した際、店主にNouveauを買いたいと尋ねたが、驚くことに彼の納品先では、どこも扱ってさえいなかったと驚きを交えて話してくれた。
彼の話では、ずいぶんと前からBeaujolais Nouveauの人気は下降線をたどっていたが、Beauneではここ10年ぐらいで急速に需要がなくなってきたそうだ。
そこにはBourgogneという土地柄、Beaujolaisを低く見ているところも、やはりあるようで、少なからずともそれも影響を与えているのだろう。対照的にPARISのショップでは賑やかに売り出されていた。
日本はピーク時に比べれば、さすがに減ってはいるが、そこまでは深刻ではない。輸入量は未だ他国を圧倒しているし、これからも大きな市場であることに変わりはない。多彩な品揃えも日本ならではだ。
それは四季の移ろいを愛で、フランス以上とも言える豊かな食文化と、初物を好む国民性が、ヌーヴォーに関してはフランス人よりも合っているからかもしれない。
Bourgogne中心街であるBeauneはBeaujolais Nouveauよりも、週末のHOSPICES DE BEAUNEへ向けての盛り上がりが顕著だった。Beaujolaisに比べれば、地元だから当たり前なのだろう。週末は国内外から多くの訪問者を迎え、そこからBourgogneは本格的な冬が始まるのだ。










