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2009/05/21 ーOOO-洋式トイレに「和」の心 … トイレ「茶室」論

ーOOO-洋式トイレに「和」の心 … トイレ「茶室」論

 TOTOのウォシュレットが、日本を訪れた外人さんに大評判である、というお話を先日の記事に書きました

 このとき紹介された最新型のトイレ「TOTOネオレスト」は、ウォシュレット機能にとどまらず、便座が暖まり、音楽が再生でき、フタが全自動でオープンしてしまいます(!)。もう、すごいハイテクぶりです。

 そんな最新型のTOTOネオレストは、どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか?

 それは「最新の機能を盛り込もう」ということだけではなく、

「日本的なものとは、何であるのか?」

を意識していた、ということだそうです。


「夢会」

 TOTOさんは新製品を開発するときに、開発部門、企画部門、デザイン部門など、社内の普段直接顔を合わせることのない担当者たちが集まり、1泊2日の合宿を開くのだそうです。

 この合宿には由来があります。

 あるとき、開発の仕事を続けて煮詰まっていたときに、上司が「おまえたちは夢を持って仕事をしていない!」と、雷を落としました。

「お客様はトイレがどう変革するかに対価を払っている。だから、私たちは夢を見なければならない」

 ということで開かれたのがこの合宿、夢を見る会…「夢会」なのだそうです。

 新製品を開発するときに、いろいろな人が集まって合宿をすることで、普段の業務から切り離され、ワイワイガヤガヤとアイディアを出し合うのだそうです。


 今回の新製品、次世代ネオレストを開発するにあたり、TOTOさんはグローバルな商品展開を考えました。

 世界市場を意識する上で、「日本的なものとは何であるのか?」ということを意識し、突き詰めて考えたのだそうです。


 日本には、「ひだまり」「ゆうばえ」「せせらぎ」といった自然や天気をあらわす言葉があります。これらは外国語で一言で言い表すのがむずかしいニュアンスです。

 それから、禅寺の掃き清められた庭には、静寂の美学が感じられます。

 まずここで、「静かなる存在感」というキーワードを見つけ出しました。


 このキーワードを元に、トイレのデザインに生かしていきます。

 現行の商品はLEDが光ったり、センサー窓が付いていたり、デザインがごちゃごちゃしていました。

 もっとデザインをすっきりとさせていきたい。

 能面のように、シンプルでいて角度によって表情が変わるようなデザイン。

 新製品のデザインのキーワードは「CLEAN&SMOOTH」と決まりました。


 この1泊2日の「夢会」で、新製品のコンセプトの方向性を統一し、アイデアを各部署それぞれが持ち帰りました。


「CLEAN&SMOOTH」

 こうして決まった「CLEAN&SMOOTH」というコンセプト。

 便器そのもののデザインは、シンプルでいて、見る角度によって表情が変わります。

 デザインが強い主張をしないことから、どんな場所にも、どんな家にも、すっきりと収まります。

 このことから、この新型ネオレストはホテルのスイートルームデザイナーズマンションなどに広く使われています。

    D

 トイレのフチの形状を工夫して、スッキリとしたデザインを実現しています。

 それも単にデザインをすっきりさせるだけではなくて、そこに流れる水の角度や勢いなどにも注意が払われています。タンクが小さいネオレストだから、汚物が少ない水の量でキチンと流れるようにさまざまな計算がされています。デザイン部門だけでなく、技術部門と力を合わせることによって、このトイレの形状は作られたのです。

 また、フチの形をすっきりさせたことは同時に、トイレの掃除のしやすさを実現しています。

 デザインをシンプルにすることが、掃除しやすさにつながっている…まさに、「CLEAN&SMOOTH」です。

    D

 先日の記事にも書いたように、この新型ネオレストの便座の後ろの部分には、びっしりと機械が詰め込まれています。

 便器というのは巨大な陶器ですから、焼いているうちに歪みや縮みが生じます。手作りの陶器の製造誤差を小さくしなければ、設計通りには機械が中に収まりません。

 デザイン、設計、製造ラインが足並みをそろえることで、この新型ネオレストは誕生したのです。

    D

おもてなしの心

 この新型ネオレストにはハイテクが満載です。

 トイレに近づくと、フタが自動で開く仕組みになっています。初めて見ると、かなりギョッとしますね。

 これは過剰な装備で、いささかやり過ぎではないか、と思えますよね。

 しかし実は、これはメンテナンス性の良さにもつながっているのです。


 トイレのフタは、何度も開け閉めされるものです。

 このとき、あわてているためか、乱暴に開け閉めされることが多いそうです。ねじるように持ち上げたり、バシャンとたたきつけるように閉じたり。このため、トイレのフタのヒンジには相当な力がかかり、壊れやすいのだそうです。

 常に同じ角度、同じ力で、キチンと開閉すれば、ヒンジというのは故障しにくいものです。

 新型ネオレストでは、トイレのフタが自動で開きます。このため、機械を使っているにもかかわらず、むしろトイレは故障しにくくなるのだそうです。

 また、この新型ネオレストではトイレのフタが自動で必ず閉まります。

 フタが閉まっていれば、虫や悪臭の発生などを押さえらます。

 また、暖房便座の暖房効果も高められ、電気代が押さえられるというメリットもあるのだそうです。


 トイレの可動部と言えばもう一つ、水が流れるバルブ部分です。

 新型ネオレストでトイレの水を流すときには、ボタン一つで、あるいはセンサーで自動で水が流れます。

 人間がレバーをガチャガチャ乱暴に操作することはありません。機械が自動で水を流すことが、故障しにくさにつながっています。


 トイレのフタが自動で開くこと。

 トイレの水が自動で流れること。

 これは、ユーザーの便利さ快適さを追求すると同時に、トイレの故障しにくさにつながっています。

 こういうハイテクの使い方、実に「日本的」だなぁ、とは思いませんか?


トイレ「茶室」論

 茶の湯の心。

 小さな部屋の中で、毎回、同じ所作を繰り返す。

 最小限の空間には最小限の道具しかない。しかしそれが全てだ。

 限られた空間の中で、作法にのっとった所作を行う。

 作法は堅苦しいモノではなく、その一つ一つには意味が込められており、作法に乗っ取って振る舞うことは合理的であり、美しい立ち振る舞いとなる。

 同じ振る舞いを繰り返すことが、自分自身と向き合うことに繋がる。あるいは、心の安らぎを得ることになる。

 茶室という最小限の空間は、無限の広さを持ち、自分自身と向き合う場となるのだ。


 このようなことが、トイレでも言えるのではないでしょうか。

 トイレに行くと落ち着く、ホッとするような感じがあるというのは、「茶室」的な側面があるからなのではないでしょうか?


 そしてハリウッドのセレブたちは、トイレに強烈な「和の心」「日本的なおもてなし」を感じたのではないでしょうか?


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