第四の闇

第四の闇

 「最終ページに刻印された驚愕と慟哭の真実」とかいう文言はほんと勘弁して欲しいです。インターネット心中とバラバラ殺人の絡みはそこまで複雑ではなくちょうどいい按排の地点に着地しそこそこの結末でした。最終ページは何度読んでも別段驚愕しません。
留美のために (ミステリー・リーグ)

留美のために (ミステリー・リーグ)

 この人の作品はですね、「四神金赤館銀青館不可能殺人 (講談社ノベルス)」でも思ったんですがヤリ口がイチイチ癇に障るっつーかイライラします。本作は作中作である「紅玉の祈り」というのが非常に重要なのですが如何せん内容が異常に面白くない。面白くないのでネタが明かされても腹が立つばかりで感心も何もありはしません。文章もスッカスカでこんなんハードカバーで出版する必要あるかい。
警察庁から来た男

警察庁から来た男

 前作があるらしくそれを読まずに手を出してしまいましたが面白かったです。複数の事件の絡みと複数の場面展開が小気味良くて警察小説の醍醐味は味わえます。ただ主役の一人であろう監察官にあまり魅力が感じられず残念。警察小説の場合良い方向でも悪い方向でも突出した個性がないとやはりのめり込めないですね。なかなかの佳作です。
りら荘事件 (創元推理文庫)

りら荘事件 (創元推理文庫)

 純探偵小説。疑心暗鬼な必要最低限の性格を備えた容疑者、役に立たない警察、天才的すぎる私立探偵と見事に配置された本格ミステリですね。山荘物のはしりですかねこれは。人工的な度合いは強いですが真相は結構驚きました。ツッコミを入れたい登場人物多数ですが、推理は非常にロジカルで面白かったです。