Airbnbで部屋貸しビジネス?

他人へ貸すために不動産を購入。「Airbnb」を使って1年間運用した私が学んだこと | ライフハッカー[日本版]

という記事がはてブで賑わっていました。
まず、これは日本では(アメリカでも?)合法ではありません。おおむね1ヶ月に満たない期間で部屋を貸すことは、旅館業法の規制対象になるとされているようです。*1

非合法であることをさておけば、日本ではこの手のビジネスはおそらく、このラスベガスの事例と同等かそれ以上にうまく行くと思います。そもそも、ラスベガスは他の地域よりホテルが安く*2、それと競合する Airbnb での部屋貸しは不利と思われるからです。

ラスベガスでは不動産バブルの崩壊で相場がかなり下がっていますが、日本のリゾートもバブル崩壊以降、それ以上に相場が下がっています。


最近外国のスキーヤースノーボーダーが目立つ、日本最大のスキー場の志賀高原では、100-300万円程度で、バブル期に建てられたリゾートマンションが投げ売りされています。
http://www.himawari.com/search/?price_b=&price_t=&menseki_b=&menseki_t=&kanrihi=&chiku=&new=&henkou=&baikai=3&b_num=&b_name=%E5%BF%97%E8%B3%80%E9%AB%98%E5%8E%9F&add=&k_kaisya=&maxrow=20&showtype=2&sorttype=1


有名な温泉地の(岐阜県下呂でも、こんな温泉付きリゾートマンション物件があるようです。温泉であれば、スキー場と違って通年稼働できそうです。
http://www.rakumachi.jp/syuuekibukken/tokai/gifu/dim2001/229595/show.html
http://www.rakumachi.jp/syuuekibukken/tokai/gifu/dim2001/229596/show.html


地元の人に管理をお願い*3して、同じように工夫して運営すれば、多分同等以上の利回りが見込めるのではないかと思います。(でも非合法です。)

逆に言えば、旅館業法が改正されてこのようなビジネスが可能になれば、裁定が働いて、このようなバブルの徒花の格安リゾート物件の相場が上がるかもしれませんね!

*1:1ヶ月を超えると、不動産賃貸扱いとなるので、旅館業法対象外のようです。

*2:併設のカジノでの利益を見込んでいるから、だそうです。

*3:日本ではcraigslistで清掃してくれる人を見つけるのは難しいと思いますが、そのかわりに全国各地に「シルバー人材センター」という素晴らしい公営施設があります。

マカオのカジノの話

http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20131002/1380696734


どう見てもラスベガスのほうが規模がでかそうな印象があるんだが

私もそう思います。Revenue/Visitor と Revenue のグラフがあるので推測できる通り、Visitor 数はベガスのほうが多いです。なので、今でもベガスのほうが大きいと言っていいんじゃないでしょうか。

あと、EBITDA で、VIP と Mass Market を比べて Mass Market のほうが儲かる、と Economist の元記事にも書いてありますが、ここでなぜ EBITDA を用いるのかは疑問です。税率や償却等の制度が異なる国同士で同業種を比較するのには EBITDA は向いた指標ですが、この場合は同じマカオの中の比較ですからねぇ。

むしろ、VIP は、VIPのご機嫌伺いや、(元記事中で言う)intrepid junket operators に気前よく金を払う必要があるので、費用がかさみますが、この費用は多くが非償却性のものでしょう。対して、Mass Market の集客には、豪華な設備*1が重要、すなわち装置産業の傾向が強くなると思われます。そういう背景があるのであれば、減価償却費や金利費用を認識しない EBITDA での比較は Mass Market が過剰に有利に見えるという点で不適切な気がします。

プライベートバンキング装置産業ではないけど、セブン銀行はとっても装置産業*2、というのに似てるような気もしますね。

*1:ベネチアっぽいやつとか、エジプトっぽいやつとか。

*2:日本の銀行で、売上高減価償却費比率は断然トップのはず。

Re: news - 「原発ゼロで光熱費月3万円超 政府試算、10年比2倍


代替手段のコストは112/12 = 9.3倍でないとつじつまがあわないということになる。
高いといわれる太陽光でも、買い取り価格は現時点で販売価格の倍程度。なにをどうすると9倍になるんだ?


太陽光の42円/kWh という買取価格は、電力会社にしてみれば「仕入価格」。販売価格と直接比べることに意味は少ない*1
そこに物流費用(送電網のコスト)や販管費がのっかって、販売価格になる。

全てを同じ条件、すなわち「仕入価格」で比べると、





となる。普通に、原子力の9倍程度ではないか?
さらに、原発を廃止したとしても、なくなるのは燃料費などの「変動費」部分のみ。建設費などの初期投資はもう戻ってこない。*2

ろくに検算していないのは、どちらだろうか?

もちろん、それを考慮してなお自然エネルギーという主張も十分あり得る。技術進歩によるコスト低減の見込みが大きいことや、使われたお金が国内に還流する可能性が高いことだ*3。だがしかし、それはそれ、これはこれ、分けて考えるべきことである。


*1:そもそもその販売価格というのも、家庭用電力に限った話である。当然、大口はもっと安い。

*2:経済学的にいうと「埋没費用」。

*3:現状、燃料は大部分が輸入によって賄われるが、太陽電池は輸出超過の品目である。もちろん今後もそうである保証はないが。

日経BPの「未来予測レポート」がすごい(悪い意味で)件

日経BPから「未来予測レポート」のDMが届きました。

価格は20〜30万円くらいです。高いですね〜

未来年表とやらのサンプルがついてきたのですが、これがツッコミどころ満載・・・

70円が「安」? 米国側から見たということなのかもしれないですが(でもなんで対円なんだろう)、じゃあ株安が「続く」ってどこの国のことだろう・・・

電池容量の密度の単位は「Wh/kg」です。

アメリカのパスポートは2007年発行分から全部RFIDチップ入りなので、そりゃあ全ての古いパスポートの有効期限が切れる10年後の2017年にはすべてRFIDチップ入りになりますが、それって未来予測でも何でもなくね?

×超臨海水 ○超臨界水 海水ってなに・・・(^_^;

普通は「自己発火条件」ではなく「自己点火条件」って言いますけどね。

こんな感じでツッコミどころありすぎで、とても30万円払って買う気になんかなりません。

「購入企業・団体のご案内」って載せてますが、ここに載ること自体が、すごーく不名誉な気がするのは私だけでしょうか?

経済の基本的な理論?

: _

だそうで。
いやいやいや、確かに池田信夫氏はあれな時も多いですが、主張は「構造改革論」としてぶれてないですよ。需要不足論(デマンドサイド)の話と、構造改革論(サプライサイド)の話は根本的に異なるということは踏まえるべきです。


  | 今の日本で最大の問題は、物価水準ではなく成長率の低下である。

病気の原因は不健康なことだ、とかいうのと同じで、なんの意味もない話ですな。よくもまあ恥ずかしげもなくこんなことを言えるものだ(苦笑)。成長率を上げるのにどうすればいいか?という話をみんなでしてるのに、成長率が低いことこそが問題だ、と得意げに言ってなんの足しになるのだろう。


通貨供給量を減らす目的は、物価が上がりすぎるのを防ぐ以外考えられない。

というあたりから、この人が「構造改革論」の主張を全く読み取れていないことが明らかです。構造改革論では、「成長率」=「TFPの上昇率」≒「イノベーション」であって、そのためにはゾンビ企業に退出してもらって、新しい産業に資源(カネも人材も)を割り当てる必要があるというのが主張だからです*1。つまり、通貨供給量を減らす(金融引き締めをする)目的は、ゾンビ企業の退出もそのひとつであり、逆に過剰な資金供給はゾンビ企業を生き延びさせ、構造改革の妨げとなる、というのが「構造改革派」の主張です。

賛同する・しないは別として、相手の主張を理解していないのでは議論がかみ合うはずもなく・・・ http://homepage3.nifty.com/ronten/macro-QBS.pdf あたりにまとまった資料があるので、最低限それを踏まえた上で議論をしないと独り相撲になってしまいますよ、ということで。

*1:私はあまり構造改革論に与しないのですが、それでも JTB が就職人気ランキング1位と聞くと、うーん、とは思ってしまいますね。

孫正義のゴネ得が禿し過ぎて往年の大スターが太陽光発電事業に大集合の巻 - よそ行きの妄想

がホットエントリーに上がってきました。

もちろん、そういう企業だけじゃなくて、いろんな(まともな)企業が参入しているわけなんですけどね。

再生エネに異業種参入 全量買い取りで採算 :日本経済新聞

はっきり言って、誰でも参入できる程度に参入障壁が低いので、逆に競争が激しくなって、それらの企業にはさほど利潤は出なくなると思われます。

前にも書きましたが、DMMソーラーの 25万円/kW の初期費用をもとにシミュレートすると、IRR*1は、13%を超えます。電気のユーザから、ソーラーを載せられる屋根・土地を多く持っている企業に所得が移転するというのが、一番ありそうな結末ですね。

*1:内部収益率。まぁ利回りみたいなもの

メガソーラーより小規模案件が美味しそう?

ネット上などでは、固定価格買取制度=メガソーラー みたいな捉え方をされています。ほんとうにメガソーラーが有利な制度なのでしょうか?

調達価格等算定委員会の資料*1には「50kW、500kW、2,000kW、10,000kW夫々必要なコストを積み上げて計算した結果大きな差が見られなかった」とあり、2,000kW のケースだけ取り出して、IRR=6% で買取価格 42円 が導き出されています。しかし、50kW未満の施設は諸手続が簡略化されています。主任技術者も不要*2です。実際は、10〜50kWの小規模案件がかなり有利なのではないでしょうか?


DMMソーラーの 25万円/kW の初期費用をもとに、Solar FIT Simulator でシミュレートしてみた結果、なんとIRR は 13%以上に達しました。
http://solar-sim.appspot.com/index?a=true&b=49&c=0.27&d=0&e=250&f=0&g=0&h=1.6&i=0&j=14&k=0&l=17&m=0.7&n=1.4&o=5&p=42&q=20


メガソーラーよりも、商店や工場の屋根置きでの中小規模案件に、妙味がありそうに思われます。商店や工場のイメージアップにも繋がりそうですから、チェーンストアなどはこぞって発電事業に参入するのではないでしょうか?