神農本草経

豆三四個くらいて七転八倒の悶絶に苦しんだのに神農という中国の神様は人類のために敢えて植物や動物や鉱物の一部まで手当たり次第に食いまくってみて一日に[確か]72回も猛烈な中毒で死んでは復活しながら人間が食べても大丈夫なものを明らかにしたという。さすが神様だ。現代の感覚からすると神農の偉業も幼稚な作り話として一笑に付されそうだが神農の後ろに控えているのは紛れもなく数知れない無名の人々が命懸けで残した貴重な犠牲と経験と教訓だろう。まさに古代中国の偉大な神様とは多くの普通の人々の命の集積のことだ。神農がゲロゲロになりながらカラダで確かめた情報は神農本草経という本として現代にまで伝えられているが読んでみると食ったら死ぬよな食い物は基本的には入っていない。代わりにリストアップされるのは積極的に食うと薬になる動植物だけだ。その中には日常的に現れる不快な症状を緩和するものもあるし不老長寿や超能力の薬も記載されている。つまり神農は食べても大丈夫なものを確認した上で本草経には積極的にカラダに効く食い物を絞り込んで書き残したということになる。なお日本の薬の神様としては因幡の白兎を
蒲の花粉で癒した大国主が知られているが公式的には体系的な知識は残されていないようだ。大国主は温泉を開拓して多くの人々の健康を助けてきたから温泉の神様でもある。とにかく健康的な神様だ。