英語教育2.0 〜my home, anfieldroad〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

*英語教師による、英語教師のためのブログ。
*授業で使えるアクティビティの紹介、ハンドアウトのダウンロードも。
*ライフハックス、文具、デジタルガジェットなどについても徒然と。

2018-05-13

[] 1年生も初ぐるぐる

 1年生の授業は新鮮で楽しいですね。元気いっぱいで、英語に対しても目がキラキラです。勢いは保ちつつ、授業の約束事を徹底していくという1年間を占う大切な1ヶ月でした。

 前回の記事でも書いたとおり、今年度は音と文字の関係に時間をかけて取り組んでいます。なんとなく書けるだろう、と単語テストをやるだけで済ませてきた入門期の文字指導(というか音声指導)を丁寧にやっていたら、いわゆる中間テストに出しそうな、文法的な操作練習や語彙の拡充をあまりできていないことに気付きました。うーん、授業時間は有限ですから、なんでもかんでもできるわけではないのが辛いところ。

 まぁ、授業でやってきたことを中間テストで測ってあげればいいんだから、他の学校の中間テストと違ったっていいじゃない。リスニング問題ばっかりでもいいじゃない。文字の書き取りがたくさんあったっていいじゃない。と、開き直り。来週は、初めてテストを受ける彼らのために「中間テストの練習」でもやってあげようかな。

 さて、前回ご紹介した村上先生の本を熟読しながら授業していますが、先日ブログで増刷のニュースを見かけていた手島先生のこの本も、この機会に購入しました。勉強になります。

NHKCD BOOK 新基礎英語3 英語の発音・ルールブック つづりで身につく発音のコツ (NHK CD BOOK―新基礎英語)

NHKCD BOOK 新基礎英語3 英語の発音・ルールブック つづりで身につく発音のコツ (NHK CD BOOK―新基礎英語)

 1年生も、先日初ぐるぐるに挑戦しました。アルファベットの音読み(いわゆる「アブクド読み」)でやってみましたが、すぐに仕組みを理解して、頑張ってやってくれていました。いい感じです。4月からALTも変わったので、ALTも初ぐるぐる。(前の週に、私が3年生にぐるぐるするのをALTにも見てもらってました) 

 ということで、なんとなく軌道に乗ってきた今年の授業。中間テストまでとりあえず今の勢いで一気に進みたいです。

2018-04-30

[] 文字指導と意味順指導と

 怒涛のように駆け抜けた4月も終わり。GWなので、少し振り返ります。

 今年は1年生と3年生を担当しています。1年生はじっくり文字指導。特に、アルファベットのいわゆる「アブクド」読みから、書き取りができるように丁寧にやっているつもりです。どうせ急いだって中間テストの範囲はLesson1(I like soccer. 〜 Do you like soccer?くらい)だけだろうしということで、教科書のPre-Lesson的なページをいつもよりじっくりやっています。

 小学校で外国語活動をやってきて、ざっくりと英語の表現はインプットされてきていると思うのだけど、ぼんやりしていた一つ一つの音や文字をはっきりとした形にしていく作業をしています。相変わらず副教材のペンマンシップも謎な書き順が載ってたりするので、もっと自然な動きで書けるようにしようね、と指導しています。

 今年は先日のDUETAでお話を伺った村上先生の本を読みながら文字指導を考えています。指導しながら並行して読んでるので、春休みにちゃんと全部読んでおけばよかった、と後悔しています。ディスレクシアの子たちだけでなく、すべての学習者にユニバーサルに求められる指導の手順だと思います。

 3年生は意味順と名詞句の確認。many junior and senior high school studentsとかa lot of people from all over the worldとか普通のやつから、前置詞を使ったちょっとした後置修飾まで、教科書本文にえんぴつで四角化で視覚化(®tmrowing先生)しています。1つの意味順ボックスに入るものがIとかsoccerとかだった1年生の頃から比べるとずいぶん長いカタマリがボックスに入るようになったけど、構造はそんなに変わらないでしょ?というお話。

 そういえば、発売中の『英語教育』5月号は「語順特集」でしたね。田地野彰先生が記事の中で私の実践にも触れてくださっていて、びっくり&恐縮&大喜びしておりました。意味順って「学習法」として生まれたものだと思うけど、「指導法」としてのアイディアももっと積み上げられていっていいと思うので、いろいろまとめてみたところでした。

英語教育 2018年 05 月号 [雑誌]

英語教育 2018年 05 月号 [雑誌]

 「意味順指導法」は結構問い合わせをいただくこともあるのですが、埼玉県の中学校の先生方は、年度末に埼英研から送られていくる冊子(2016年度分)に私の実践紹介が全文載ってますので、よかったら学校の棚を探してみて下さい。あとは英語版になりますが、この本でも中学校での実践を紹介させていただいています。

 1ヶ月やってみて、生徒の到達度や反応なども把握できたところなので、このGWにもう一度作戦を練り直して、今年一年間の授業がより充実するように頑張ろうと思います。

2018-04-21

[] これは、先生のための本です

 活字、と言っても今回は自分で書いたわけではないのですが、話したことを活字にしていただきました。

 このブログでもいつもご紹介している教師用の手帳「スクールプランニングノート(SPノート)」ですが、なんとこのたび公式ガイドブックが発売になりました!(パチパチパチパチ!) すごい! 手帳の公式本なんて、ほぼ日みたい!

 そんな本の中で、「SPノートと教師生活」というインタビューと「SPノート120%活用法」という座談会コーナーに登場させてもらっています。

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 インタビューでは、週間計画表のページをどんなふうに使っているかなど具体的に写真を載せていただいて紹介しました。昨年度からUタイプとBタイプの「2冊持ち」でやってますので、そのへんの使い分けについてもお話しています。

 座談会では、ペタペタボードを使ってタスク管理する方法などをご紹介しました。私自身も実際に使っている先生方とお話して、同じノートでもいろんな捉え方があるんだなぁととても勉強になりました。

 実際のノートや使っている先生方の写真も多く、デザインもシンプルで美しく、出版物として素敵な本です。私もプロの写真家さんに撮っていただいてとても緊張しましたが、いつもより5割増しに写ってて、プロってすごいなぁと改めて感じました。でも、こうやっていろんな業界の「プロ」の方々とお仕事をさせていただいたことが、すごく刺激になりました。

 後半は、他のユーザーさんがどんな風に使っているかのアンケート結果や、一緒に使うと便利な文房具などの紹介もあるので一冊を通して楽しい本です。

 SPノートもそうですが、このガイドブックも教師のワークライフバランスを真剣に考えるための本になっています。トビラには「これは、先生のための本です」という文字が並んでいます。いろんな人の工夫を参考にしながら、私も少しでも仕事が上手に回って自分の時間が確保できるようにするために活用していきたいと思います。

 よかったら、書店で手に取ってみてくださいね。

2018-04-08

[] 「あんまりいい質問ではない」

 オリンピックの金メダリスト・ザギトワ選手が日本で受けたインタビューに関して、こんな記事が話題になりました。

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http://news.livedoor.com/article/detail/14535235/

 たぶん、日本人選手が同じような対応をしたら批判さえされてしまうのではないかと思うので、自然にこんな対応をしてくれたザギトワさんに拍手!というべきか全力でごめんなさい!というべきか。

 結局日本のテレビ番組(メディア)にとっては、政治もスポーツも音楽も「消費する」対象でしかなくて、インタビュアーも、誰をゲストに迎えても同じようなことしか聞かない。先日の記事と同じで質問が「テンプレ化」している。「今、話題のある人」ということでしか、その人に関心を寄せていないのでしょうね。そして、それは「視聴者が求めていること」でもあるわけで、そういう意味では視聴者が変わっていかないと、番組の中身も変わっていかないですよね。

 よく考えてみると、こんなやりとりは学校の中でも見受けられます。例えば新しいALTが来た時なんかも自己紹介の後に「質問ある?」なんて聞くと「彼女(彼氏)いますか?」くらいしか質問が出ないことがあります。(あとは「好きな食べ物はなんですか?」くらいという思考停止) その時にきちんと「それは失礼な質問だ」と教えてあげないといけないですね。

 ただ、別にこういうことは「外国では失礼」というわけではないはずだから、教育実習生等に同じような質問が出た時に、やっぱりきちんと教えてあげないと、悪しき「定番」として残って行くでしょうね。(受け流して答えてしまうことも同罪ですね) そういう経験の積み重ねが、あのインタビューなわけで、別に特殊な話ではないわけです。

 失礼な質問をするメディア。噛み合わない質疑をする政治家。たくさんのそういうインプットを受けて、子供たちの「質問する」「質問に答える」という力の素地が出来上がっています。学校の中でできる「言語活動」なんて、総量もたかが知れています。財界や政治家も教育界に口出しをする前に、まずは自分たちのできるところで、子どもたちに豊かな言語環境を提供していく努力をして欲しいです。

 もちろん、教師の言葉も大切なインプットなので、もっともっと気を配らないといけないですね。そして、気になったときに、ちゃんとフィードバックをしてあげないと、子供たちも学ぶ機会を失ってしまいますね。

 それにしても、「人に質問する」って本当に難しいなぁと思います。その人に、本当の意味で関心を寄せるってどういうことなのか、考えさせられます。

2018-04-07

[] AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子)読了。面白かったです。

 煽り気味なタイトルと帯だったのですが、内容は基本的に冷静。AIの可能性というより限界を示すと同時に、「AIには(当面)できないことが、果たして人間はちゃんとできているのか?」を問いただします。このへんは、初等教育に(しかも公教育に)関わる我々にはリアルなテーマ。

 同じ統計とか経済とか教育を扱っていた『「学力」の経済学』(中室牧子)は正直最後まで読むのが辛かったのとは対照的。あの本では、どの話題も結局「損得」の話に収斂してしまうからでしょうか。AI本は、より教員の問題意識に近い感じがしました。

 生徒たちがちゃんと「読めていない」のは確かで、実感としてもあるのですが、「読めていない」ことに対応する時間的・物理的な余裕がないのが実態です。「違うよね、どういう意味だろうね?」と問い返す時間・人が公教育の教室に足りない。だから、そのまま流れていってしまう(見過ごされてしまう)のだと思います。

 同じようなことは「書くこと」についても言えて、生徒にいろんな感想などを書かせる機会は多いけど、それをじっくり読んであげてフィードバックして(必要があればちゃんとした文に直させる)余裕がない。講演を聞いたら感想。行事が終わったら感想。誰かが来たらお礼の手紙。書く機会は多いけど指導はしきれないから、意味のよくわからないままの文 or 当たり障りのないテンプレっぽい感想文が溢れます。うーん。

 難解な小説とかじゃなくて、短めの文章(というか2〜3文のまとまり)をしっかり読めるか、というのは英語の読解問題としても定期テストで出題するけど、国語でも英語でも「何が読めたからできたのか」がわかりやすいテスト問題がもっと増えたほうがいいと思います。国語の教科書や授業やテストについて、もう少し知っておきたいところです。

 いずれにしても、生徒たちにRSTをやらせてみたい(自分もやってみたい)と思いました。戸田市の事例も興味深いので、教師向けにじっくり紹介してくれるような本が出たら面白いですね。

 昔、学校あげて漢字テストに取り組んでいたときに、普通の国語の漢字テストじゃなくて、「各教科の学習に必要な漢字テスト」やろうって提案して、「いいね」はたくさん集まったものの、実現まで辿りつけなかったのを思い出しました。「不平等条約」「同化」「四分休符」「現在進行形」みたいな漢字テスト。

 あれ、やっていたらどうなっていたのか、興味深いです。「板書が書けない」「先生の言ったことがメモできない」ために、学習が遅れがちになってしまう生徒もかなりいるだろうな、と感じていたので。今回の読解力のお話は、そういう意味で重なるところが大きいです。

 AI本では公教育の役割みたいな部分も考えさせられます。生徒たちを階層に区切って話すあたりは、現場の教員には抵抗がありますが、マクロに眺めればどこにどのような教育を提供するかは大切な部分でしょう。

 そういう意味では、グローバルでもサイエンスでもいいんだけど、「スーパー」じゃない「ハイスクール」にこそ、予算とか人員とか回せばいいのになぁ、と切実に思います。予算や人員を確保するには「教科書が読めるようになること」が行政にとってどれだけ売りになるか次第です。首長が「うちの町の子どもたちは教科書がちゃんと読めます」って威張れるならいいんですけどね。(いや、本来誇っていいと思うんだけど、残念ながら教育を政治利用したいと思う人は違うことを自慢するものです)

 言語教育の中に多読的なものはあっていいと思う(量は絶対必要だと思う)のだけど、精読が軽んじられてしまうと、「できる人はできる」っていう当たり前の状況になるだろうし、それって教育の成果なのかといつも思います。

 例えば面接練習をしていても、短い文章の中で「係り受け」ができない生徒は多いです。浮かんでは消えていく音声で、しかもプロダクティブなものはより難しいのだろうけど、そもそも文字で、しかもレセプティブなものでもできていないわけです。だから、テンプレに頼ってしまう。意味を考えずに、決まった文を並べる生徒が多くなります。

 「言語活動」という言葉が学習指導要領に踊るようになってなおさら、生徒の言葉がテンプレっぽくなってきた実感があります。英検にライティングが入って、生徒の書く英文がつまらなくなったのと似ています。みんな同じでみんな残念、みたいな。だから、大学入試と4技能外部試験の話なんかとも重なってくるけど、政策によってトップダウンで言語教育を変えていこうという流れには、いつも不安を感じてしまうのです。

 この本はずいぶん売れているみたいで、学校教育に直接かかわらない人たちにもこういう話題が共有されていくのはとてもいいなと思いました。ここからが議論のスタートで、いろんな考え方が共有できたらいいですね。

2018-03-31

[] 中学英語ラクイチ授業プラン

 スクール・プランニングノートでお世話になっている学事出版さんが、英語授業に関する書籍を発刊されました。その名も「ラクイチ授業プラン」ということで、「ラクに楽しく1時間」というコンセプトです。「急に授業の代行をお願いされた」「テスト前、授業数を調整したい」なんて時に役立つ、準備の要らない授業プランが収められています。国語、社会で先行して出されていた「ラクイチ」シリーズの第3弾ということで、英語版の登場です。

 ワークシートもダウンロードしてすぐ使えるということで、忙しい教師を助ける1冊になると思います。そういう意味では、スクール・プランニングノートを通して教師の働き方を考えてくれている出版社さんらしい企画ですね。編集部様よりご恵投いただきましたので、率直にレビューを書かせていただきます。

中学英語ラクイチ授業プラン

中学英語ラクイチ授業プラン

 本書は1年生〜3年生まで学年ごとに活動が分けられており、最後に全学年共通で使える授業アイディアが紹介されています。それぞれの活動には「基本文×タイムトライアル」「語彙学習×かるた」というふうに、素材(ソフト)と学習活動(ハード)の組み合わせが提示されていて、どんな活動なのかをイメージしやすくなっています。

 ただ、「助動詞」「There is」などその学年で教えるべき文法項目を素材(ソフト)のキーワードに入れてしまったのは、惜しい感じがします。その活動で練習できる文法項目が示されていることで、実質的に「この文法を教える時に使いたいアイディア」になってしまっていて、せっかく面白い活動が紹介されているから時間調整でどこかのクラスだけでやるのはもったいない感じがするからです。

 もちろん、アレンジをすれば他の学年でも使えそうな汎用性の高い活動もたくさん紹介されています。だから文法項目や対象学年は別にキーワードとして提示しておいて、こういう文法項目(学年)を指導する際に使えるということを示しておけばよかったかな、と思います。

 ラクイチ、と銘打ってはいますが、そういった文法項目(学年)しばりがあるために、ある程度ワークシートや指導が必要になると思います。本当の意味でラクイチということであれば、もっとシンプルにA4の紙1枚配ればできる活動などが望ましい気もします。ワークシート印刷している暇もない緊急事態も(あまりあっても困るのですが)それなりにありますもんね。

 私のブログで紹介している中では、

  「24マスライティング」

  「誰かへの挑戦状」  

  「アムニージアック」

  「クラス全員に聞きました」

  「VSビンゴ」

あたりが、ラクイチと言えそうな活動でしょうか。

 あとは、学期に1回くらいやっているド定番のPictionaryも白紙を持っていくだけで盛り上がるのでラクイチですね。「前にやったアレね」というだけで、ルール説明無しで何回でもできちゃう(しかもその段階に応じてレベルを上げられる)というのが理想ですね。そういう意味では、ディクトグロスとかフォー・コーナーズなんかもそうで、ラクイチって、自然に所謂「アクティブ・ラーニング」になっていくものですね。ちなみに本書ではこのブログで紹介している活動も載せてくださっていますので、よかったら探してみてくださいね。

 さて、前述のソフト×ハードという考え方は、とても興味深いです。授業アイディアを考える時に、こうやってあえて手段から発想を広げていくことを、私はよくやります。「比較級を教える」という目的からではなく、「回し読み」という学習活動(ハード)を使って過去形を面白く教えられないかな、みたいな発想法です。

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 本書では、そんな先生方のアイディア発想を促進しようと、本書で登場するソフトやハードのキーワードが切り取って使えるカードとして付録になっています。これは面白いですね。しかも他のラクイチ本(国語・社会)にもこのカードがついてるようですので、教科の枠を超えてアクティブ・ラーニングの研修会なんかも開催できてしまうかも。

 というわけで、新年度のスタートに向けて、新しい書籍のご紹介でした。私も春休みにいろいろ読んでみて、勉強してみようと思います。面白そうな新刊がありましたら、どうぞ教えて下さいね。

2018-03-21

[] 池に小石を投げ入れてみる

 先日無事に卒業式を終えて、一息ついたところです。私としては濃い3年間でした。教師としての自分のスタンスも改めて考えさせられる3年間でした。

 さて、英語教育に関して言えば、この3年間で貴重な経験も積ませていただきました。大修館『英語教育』誌において、「教えて先輩!」というシリーズの連載を担当させていただきました。最初は5人で、昨年度は7人で担当し、1つのお題に対してそのうちの2人がそれぞれの視点でお答えする、というコーナーです。

 最初の年度は授業以外の教師仕事についてのお悩み相談でしたが、次の年度からは、授業そのものについて語らせていただけて、とても楽しかったです。そんな連載も、前回の3月号で一区切り、終了になります。

 自分が書くとなると、もう一人がどんなことを書いてくるのか毎回ドキドキでした。私はお題そのものをひっくり返しちゃったり、いつもちょっとひねくれた視点で書いてしまうので、私と組む方は毎回書きにくかったんじゃないかなぁ、と心中お察しします。

 でも、こうやって多様な意見が自由に並べられる紙媒体があることは、とても大切なことだと思うのです。そう思って、少し意図的にトンガッて書いていた部分もあるように思います。

 英語教育関係の雑誌が少なくなってしまいましたので、大修館『英語教育』誌は、本来あるべき多様なニーズをほぼ一手に引き受けなければならない状況にあります。ライトな読者層には英語教育を取り巻く概況を広く浅く伝える役割もあるでしょうし、増えている若手の読者層に教科書的なスタンダードを語る必要もあります。文科省の方からの「伝達講習」っぽい特集もあります。

 だからどうしても内容がざっくりしてしまったり、各方面に気を遣ったために(そして各方面も気を遣ったために)当たり障りない内容になってしまう感も否めません。

 まぁ、同じ英語教師の中でライトだヘヴィーだと分断する必要はないのですが、いろんな世代、段階、立場の英語教師がいるわけですから、今後は「ヘヴィー」な層に向けても刺激のある特集を期待したいです。

 「教えて先輩!」は若手の先生方向けの連載ではありましたが、私は時々小石を投げ込みながら、池に小さな波紋が広がっていくことも期待していました。いろんな意見が提示されたり、時に論争が起こったり、提示された素晴らしいアイディアの落とし穴について語ったりするような特集・コーナーがあったら面白いですよね。特集でいろんな人に語らせた後、編集部で総括したり、対立する人たちに対談させたりして欲しいです。編集部にもお伝えしておきます。

 さて、4月号では、3年間の連載の総まとめとして、担当者7人で第1特集「授業開きにひと工夫」に原稿を書かせていただきました。また誌上座談会にも登場しています。相変わらず「それぞれ」で面白いです。座談会は、今書いてきたようなことを考えると、もっと荒立てても面白かったかも知れませんね。今回は紙幅の関係でご容赦下さい。

英語教育 2018年 04 月号 [雑誌]

英語教育 2018年 04 月号 [雑誌]

 あ、ブログ更新できてなかったのでご紹介し忘れてましたけど、3月号の特集「レッスンプランを作成しよう」にも、「脱レッスンプランのススメ」という天の邪鬼なタイトルで寄稿させていただいています。ただこれは編集部からこういうお題でいただいたので私のせいじゃない、と言いたいところですが、逆に言えば対外的にはもうすっかり「天の邪鬼キャラ」が定着しつつあるということですかね(笑) 気になる方はバックナンバー等でご笑覧ください。

英語教育 2018年 03 月号 [雑誌]

英語教育 2018年 03 月号 [雑誌]

 毎月というわけではありませんでしたが、定期的に「連載」という形で原稿を書かせていただいたのは本当に貴重な経験になりました。やっぱり「書くことは考えること」ですね。

 その他の活字活動としては、引き続き新年度もシーズン2が再放送されることになったEテレ『エイエイGo!』のテキストに、2年前にも連載した「マンガで英作文!」のコーナーを再び載せていただくことになっています。「和文英訳より漫画英訳」とあちこちで言ってますので、その効用を実感してもらえたら嬉しいです。

 その他、自分で書いたわけではないですが、ちょっと登場させていただく書籍なども近々発売予定ですので、そちらも正式に決まりましたらまたご紹介させていただきます。

2018-03-03

[][] 3年間の最後の授業

 3月1日・2日に県立高校入試が終わりましたので、そちらについてはまた別の記事で触れるとして、2月いっぱいで中3の授業は終了ということで、今年度の(というか3年間の)最後の授業について少し書き残しておきます。

 最後の授業では、これまでの集大成ということで、「修学旅行にもう一度(ただし今の班で)行くとしたらどんなコースにする?」を、英語のみで話し合ってコースを決めるタスクに挑戦しました。

 みんなの希望を「確認」したり、自分の案を「提案」したり、自分が行った時の「エピソード」を語ったり、どっちが先がいいか順番を「検討」したり、食べ物を何にするか「相談」したり、といろいろな言葉の機能を求められるので、よりリアルに近いタスクとして面白かったです。

 とはいえ、早い段階で京都のガイドブックを配布してしまったクラスでは、「指差しコミュニケーション」も生まれてしまったので、ガイドブックの投下タイミングが重要ですね。ある程度、自分たちの希望が出尽くしてから、順番を固める段階で投下したほうが効果的でしょうね。

 今回は15分くらいでざっくりコース案を作るところまでしか求めなかったんだけど、宿泊ホテルの場所や予算などもう少し細かい条件をあえて設定したほうが、話し合う必要性と必然性が生まれて、活動としてはさらに面白かっただろうなぁと思います。

 最後に各グループからコースの発表をしてもらったけど、こちらもたくさん時間があれば、"What are you going to do there?"みたいなツッコミをもっと入れたかったな。まぁ、質にこだわってじっくりやらさせたいけど、あまりPreparedになり過ぎちゃうにもスピーキングとしては面白くない。その微妙なラインをねらったために、「どっちつかずの欲張りタスク」になっちゃってましたね、今回は。

 私としては、「学活でやってるような話し合い活動は、英語でもできるんだ」というのを実感してもらうのが最大のねらいだったので、それなりに英語での会話を通してタスクをクリアしようとしていた班が多かったので、とりあえず良しとします。

 この3年間は「意味順」を系統的に文法指導の中に位置づけて指導できたことは個人的によかったと思います。作文指導にも、ある程度リンクできたかなと思います。特に名詞のカタマリについては、ずいぶん感覚が定着したと思います。

 一方で、今回の旅行プラン決定タスクみたいなものに向かって段階的に指導することや、あるいはタスク後にFonF的にフォロー(フィードバック)するようなスピーキング指導がもっと系統的にできていれば、最終的に今日のタスクでもっと達成感を感じさせてあげられたんじゃないかな、とは思います。トータルのバランスとして、ちょっと文字指導に偏ったかな、とも思います。昔は音声推しだったのに、ぼくもずいぶん変わりましたね。

 いずれにしても、久しぶりに3年間教えた生徒たちなので、責任の重さを感じています。高校の先生に受け取ってもらう上で、「中学で何やってきたんだ?」って言われたら、基本的に私の指導ですからね。ドキドキ。

 5年前の3年生は1年間だけだったし、3年前は2年間だけだった。でも、いろんな先生に教わるほうが生徒は幸せだよね、という話を今年の生徒にはしたばかり。結局「適性処遇交互作用(ATI= Aptitude-Treatment Interaction)」じゃないですか。だから、私はレッスンによっていろんな指導法・学習法を試してきたつもりです。自分に合うものが見つかるようにということで。

 今回のタスクでは、結局、単文を組み立てることはできるんだけど、どういう文を、どのタイミング(順番)で使うのか、というパラグラフレベルでの組み立てで戸惑っている生徒が多かった印象。こういう文を言ったら、次はこんな文が続くべき、というディスコースの明示的なインプットが足りなかったかなぁと反省。

 でもそういう文の論理的な組み立てって、そもそも日本語でもできてない中学生が多いですね。面接練習で志望動機を聞いてて痛感します。前の文と次の文がつながらない! だからそういうのは「まずは国語(母語)でやろうよ!」とも思うけど、一方で、英語を通して初めてメタに意識できることかもしれないから、英語を通して身につけることもできるかもしれないという淡い期待もあります。

 まぁ、行事のあとの作文とか、いろんな場面で文章をテキトーに書かせすぎている実態もあると思います。今の中学校は。このへんは、英語科に限らず、中学校教員で共有していくべき言語教育の課題だと思います。「言語活動」とか「思考・判断・表現」なんて言葉が教科の枠を超えて飛び交っている今だからこそ、チャンスかもしれません。

 いずれにしても、3年間400時間を超える授業を生徒とともに取り組んできて、少しでも生徒の英語力向上に貢献できていれば嬉しいです。県の学力調査結果から言える私のささやかな自慢は、平均点が高いとかじゃなくて、前年度より「伸び」が見られた生徒の割合が限りなく100%に近かったこと。英語が得意な生徒も苦手な生徒も、「それぞれ」「それなり」に、少し上のレベルに到達してくれていたことは、私の自信になりました。

 高校入試の結果はこれからですが、きっとよい結果が待っていると信じています。本当によく頑張ってくれた生徒たちだったなぁ、と改めて3年間の取り組みに感謝です。

 さて、あとは立派な卒業式ができるように、最後の声かけを頑張ります。

2018-02-10

[][] I like ◯◯ because I like △△.を抜け出す

 2月に入ったので、3年生の授業も終盤。

 この時期は、受験対策もしたいけど、3年間の集大成として英作文や英会話などの表現活動にもじっくり取り組みたい。というわけで、先週から今週にかけては私の中ではこの時期定番の「ペンタスロン」に取り組んでいました。(ペンタスロンの詳細はこちら

 その前にやっていた高校先取り講座「訳読体験レッスン」が眠かったためか(笑)、ペンタスロンには活き活きと取り組んでくれています。

 で、Writingのテーブルでは、高校入試の過去問題や、こちらも定番となりました「20年後の自伝を三人称で書く」に取り組んでたんですけど、今日はそんな入試問題のお話。

 埼玉県の公立高校入試問題の最後の英作文問題は、「合計5文以上書く」というのがもうすかり定着していますが、その問題形式はだいたい3年ごとに変わります。平成24年度〜平成26年度の3年間は、

(1)1文目はseasonという語を使い、「日本には四季がある」という文を、

(2)2文目はbestという語を使い、自分が一番好きな季節を伝える文を、

(3)3文目以降は、その季節がなぜ一番好きなのかが伝わるように

みたいな文ごとに縛りがあるタイプの問題でした。和文英訳のような、ちょっと違うような不思議な問題。当時ブログでもいろいろツッコミを入れた記憶があります。

 もっとも、それより前は、キーワードを3つ提示して(例:enjoy, have to, with)指定されたテーマについて(例:楽しかったこと)書けという問題だったから、埼玉県ってこう手足を縛ってこんな風に書けと誘導する問題が根本的に好きなんですね。キーワードからいろいろ「忖度」しなくてはいけない感じがつらい感じでした。

 それが、平成27年度にタイプを変えたわけですが、その問題がこちら。

[意見] We should read books.

[条件] 1文目はthinkという語を使い、[意見]に対する自分の考えを、

     2文目以降は、なぜそのように考えるのかが伝わるように、

 これは、今までのより難しいですよね。「自分の考え+理由」という構成は変わらないですけど、「自分の考え」の部分が単なる好き嫌いではないからです。こういう問題だと、

 私は本を読むのが好き → みんなも読むべき

にはならないわけで、それなりの「理由」が求められます。英検の大好きな、I like ◯◯ because I like △△.みたいな無限ループでは切り抜けられない問題になっています。

 実際、この問題は難しかったようで、県教委が発表している結果分析では、正答率は5%(得点計を人数×配点で割った通過率でも40.9%)でした。

 これには県も焦ったようで、翌年からはお題が"Which month do you like the best?"になり正答率は7.3%、通過率は46.9%、その翌年(つまり昨年度)は"Which do you like to do in your free time, stay at home or go out?"で正答率8.5%、通過率50.4%と、昔の定番の「好きなもの+理由」に戻して、通過率を上げる方を選んだようです。

 確かに平成27年度は急に変わって難しかっただろうし、あらゆる習熟度の中学3年生が受験することを考えると考慮が必要だけど、I like ◯◯ because I like △△.の再生産を抜け出すためには、いい問題だったんじゃないかな、とも思いました。だから、28年度の入試前には類似問題で練習させたんだけど、結局逆戻りで肩透かしを喰らった思い出があります。

 で、今年も3年生を指導しているので、やはり今年の出題が気になります。

 3年ごとに形式が変わるという流れを考えると、今年はまたスタイルを変えてくるかな? でも埼玉県は昨年度から難関校向けに学校選択問題が始まったので、今年一般問題を変えると毎年コロコロ変わる印象になるから、そういうのを避けるかな? なんて勝手に考えています。

 で、その学校選択問題の英作文問題はというと、

Some people say that students in Japan should study abroad when they are young. What do you think about this idea?

という問題。ああ、そうか、上位層には27年度版のようなReasoningを求める形で、一般層にはライト版で「好きな理由」という棲み分けで行くのかなぁ。別にライト版でもいいんだけど、like以外のちゃんとした理由付けを求める問題ができないものですかね。これは、自分でもどんな問題が可能か考えてみようと思います。

 さて、昨年度嬉しかった変化は、学校選択問題の方は「5文以上」ではなく「40語以上50語程度」という語数指定になったこと。この形式は、一般問題の方にも降りてこないかなぁ、と期待しています。25語程度でいいですから。これはありえるかな?

 この記事で英検3級の英作文問題との比較なんかについても考えたかったけど、今日は時間がないのでこの辺で。(正確にいうと、昨日から何度か修正しながらダラダラかいてしまった記事でした)

2018-01-20

[] 「即興性」は何でできているの?

 さて、「話すこと」に関して書いていくシリーズの中で、今回は「やりとり」について。(前回の記事はこちら

 あ、どうでもいいですけど、新学習指導要領的には「やり取り」という表記なのですね。個人的にはひらがなの方が好きなのだけど、きっと検索でブログに辿り着く人もいると思うので、今後は不本意ながら「やり取り」で統一します。

 さて、その「やり取り」ですけど、学習指導要領解説によれば「『即興性』を意識した言語活動が十分ではない」という現状の課題を解決するために新設された項目のようです。でも、私の知る範囲では、授業中にそういった会話練習をさせている先生は結構多いと思うので「今さら感」もありますけど、多くの教室でおこなわれている活動に「居場所」が与えられるのは、よいことかなとも思います。

 そして、そうは言っても、まだまだ会話練習の活動を授業に取り入れていない先生もそれなりにいるのが現状でしょうし、「会話やってます」と言う方々の中には、「スラスラ英会話」「弾丸インプット」といった名前のスキット原稿を日本語から英語に瞬時に言い換える活動や暗唱みたいなものをやらせて終わっている先生もある程度いそうな気がします。

 本当の意味で「即興性」を備えた「やり取り」の力を伸ばすためには、どんな練習に取り組めばいいのか、私も試行錯誤している段階です。ただ、ここでも、「じゃないほう」が役に立つのではないか、とは感じています。

 というのも、「やり取り」となると、「相手」が存在するわけで、授業の中での多くの場合は、「相手」も英語学習者(つまり中学生)になるわけです。極端な話、「相手」がネイティブ・スピーカーであれば、話し手も英語が上手くなった気がするでしょうし、活動量も増えます。しかし、学習者の習熟度にバラツキがある公立学校だと特に、一律にペアでの活動をさせていくのは難しいと感じています。

 そこで、私なりに考える解決策は以下のとおりです。

 

(1)「相手」を教員が務めるようにする

(2)3人以上で活動する 

 

 (1)に関しては、当然ながら物理的な限界があります。40人の生徒に対して教師は1人。ALTが入っても2人ですから効率は悪くなります。ですから、教科書のオーラルイントロの場面や授業の最初のスモール・トークなどの場面で、何人かの生徒とでもインタラクションをしていく必要があります。

 そこで(2)の解決策なのですが、例えば4人組であれば、自分以外の3人の中にそれなりの英語力の子がいて、自分たちを引き上げてくれる可能性が(少なくともペアでやる時よりは)高まるだろう、という見積もりです。

 例えば、私が地域の先輩から教わった「プロジェクトI(アイ)」という活動があります。

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 4人組の1人がメインの話し手になり、他の2人は質問者、残りの1人は記録者になります。質問者の2人は与えられたテーマ(例えば"Last Sunday")について、話し手にひたすら質問を続け、その答えを記録者がメモしていくという活動です。最終的には、記録者が書いたメモを話し手が受け取って、自分が答えた内容を基に家で英作文を書いてくるという宿題付きです。

 質問者が2人いるので、一人の力だけに左右されにくいですし、無駄な沈黙の時間が少しでも減ると思います。場合によっては、記録者もメモを取りながら質問してもいいことにすれば、さらに質問が途切れにくくなり、活動量が増えます。

 そしてこの活動中は、前の人の質問やそれに対する答えをしっかり聞いていないと、同じ質問を繰り返してしまったり、会話の流れを壊してしまったりするわけで、質問者には談話能力を磨く上でよいトレーニングになると思います。

 同じようなものとしては、2年生の3学期に取り組んでいるALTへのグループインタビュー活動があります。「しゃべくり6」と名付けていて、6人組のグループで、ALTをゲストに迎えて5分間の「トーク番組」をおこなう、という活動です。(詳細はこちらの記事でも紹介しています)

 この活動では予め「想定問答集」を作るので、グループで相談しておおまかな「台本」を作っておくことができます。とはいえ、相手のALTはその台本を見ていないので、そのとおりに行くとも限らない、スキットとも違う絶妙な自由度があります。

 だから活動中、ALTの答えに応じて、準備してある質問リストから「適切な」質問を選んで訊く、という「即興性」が鍛えられます。私の生徒たちは、英語の得意な生徒はアドリブでつないだり、苦手な生徒は"Anything else?"係になったりと、助け合いながら全員が発話できるようにやっていました。また、準備段階で流れを考えることが求められるので、知らず知らずメタ的に「談話能力」を学ぶ機会になったのではないかと思います。

 これは、このあいだの分類でいえば、ダイアローグ風でありながら少しだけpreparedという、まさに「じゃないほう」な活動です。

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 静岡で見た「ビデオレター返信動画作成」より一歩だけimpromptu 寄りな感じ、くらいの難易度でしょうか。いずれも、最終的にちゃんとした「やり取り」にたどり着くために必要なステップなのではないかと思います。

 さて、ここまで書いてきて、「やり取り」で期待される「即興性」って何なのだろうと考えてしまいました。これまで私は「瞬時に英文を組み立てる能力」なのだろうと勝手に思ってましたが、実は次の質問を考える(思いつく)「談話能力」のほうが、大きなファクターなんじゃないか、と思うようになりました。

 そう考えると、impromptuでダイアローグ形式のいわゆる「やり取り」そのものよりも、どこかで学習者の負荷を減らしつつ、その分談話の流れにフォーカスできる「プロジェクトI」や「しゃべくり6」みたいな活動こそ、練習として大切なんじゃないかと思いました。

 ほら、やっぱり「じゃないほう」を大切にしたほうが、いいんじゃないですか?