英語教育2.0 〜my home, anfieldroad〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

*英語教師による、英語教師のためのブログ。
*授業で使えるアクティビティの紹介、ハンドアウトのダウンロードも。
*ライフハックス、文具、デジタルガジェットなどについても徒然と。

2016-05-08

[][] ワークの答えを回収することに意味はあるのか?

 『エイゴラボ』の評判が気になって時々リアルタイム検索をかけてみるんですけど、教員より中学生のつぶやきがひっかかるので別の意味で興味深いです。最近は勉強時間と内容を記録してつぶやくアプリもあるので、そういう学習履歴なんかも結構ひっかかります。このGWなんかは、何ページかがまとめて宿題になっていたようで、「終わってない!」「答え学校に忘れた!」的な叫びも多いです(笑)

 こうしてみると、中学生にとってはどんなに楽しそうに作ったワークであっても「義務」であったり「負荷」であったりするわけで、教材に前向きな感情を持ってくれる生徒はそれほど多くないかも知れません。もっとも、それは教師の使わせ方(課題の与え方)にもよるような気もします。大量に「宿題」として与えて、提出期限で追い込むやり方だけだと、生徒にとっては「つらいもの」でしかありませんね。

 そういう意味で、今年の私は「少しずつ」「授業中にも」扱うようにしています。そして、『エイゴラボ』に出てきた英文や場面をピックアップして、使用場面を考えたり、続きを考えたりする時間を少しでも取るようにしています。

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 ところで、『エイゴラボ』についてこのブログでも散々書きましたので、「エイゴラボ」という検索ワードでこのブログに辿り着く人も多くなりました。でもとてもおもしろいことに、

エイゴラボ 答え

とか

エイゴラボ 中2 解答

みたいな検索ワードがセットになっているんです。

 これって、「丸付けをしようとしたけど答えを学校に忘れた」か「先生が回収しちゃってるから手元にないけど答えを写して提出したい」のどちらかのために、解答を求めている中学生の声ですよね。うーん。特に後者のような学習者を出さないように、『エイゴラボ』には英語が苦手な生徒でも紙面を探せば答えのようなヒントがたくさん配置してあるんですけど、提出日直前の中学生にはそんな願いは届かないようです。

 気になって、「他のワーク名」と「解答」で検索をかけてみると、いろんなワークの模範解答が画像としてたくさんネット上にあふれています。中には、「提出しないと内申点下がるから」と丸写しをすすめる塾のウェブサイトに画像が載ってたりして、いろいろ残念な気持ちになります。

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 同時に、これだけ需要があるということは、ワークの解答を回収しちゃってる先生が結構いらっしゃるってことですよね。こういう時代になったのだから、教師だけが「答え」を持っているような指導法は、成立しなくなってきているんですけどね。このへんは和訳偏重の授業が、成立しなくなってきていることとも通じますね。

 特に『エイゴラボ』は、解答に赤シートがついてて何度でも練習できるところがポイントなんだから、回収なんかしないで、生徒に日頃から持たせて、何度も自主的に練習するよう促したほうが、効果的だと思うんですけどね。そもそも「エイゴラボ解答」じゃなくて「ミニラボ」っていう名前が別についているくらいだから、別の教材として活用したほうがいいと思うんです。私の場合、『エイゴラボ』をやらせる前に、授業中に『ミニラボ』使って答えを入れて音読練習しちゃうことも多いですから。それでも、書けるかどうかはまた別の力が必要なわけで、十分に練習になると思います。少なくとも、答えをただ写させるよりは何十倍も。

 ということで、我々教師側の扱い方次第で、教材の価値ってどうにでも変化するような気がします。ノート指導や家庭学習指導も含めて、生徒の学習の実際を左右する責任が(塾なんかも含めて)我々教師にはあると思うので、しっかり考えた上で指示を出したいな、と思います。

2016-02-22

[] 教科書準拠ワーク『エイゴラボ』まとめ

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 「『エイゴラボ』を本屋で探したんだけど、置いてなかった。まだ出てないの?」という問い合わせを何件かいただいたので、改めてアナウンスしておきます。『エイゴラボ』は学校納入の副教材です。一般の書店では販売しておりません。塾や家庭学習で使いたい、という声も聞いてるので、一般書店売りされたら面白いのになぁ、とも思いますけど。

 学校教員のみなさんで気になる方は、どうぞ(株)正進社さまにお問い合わせください。なお、今年度の段階では、

 ・学校図書 TOTAL

 ・開隆堂 SUNSHINE

 ・東京書籍 NEW HORIZON

 ・三省堂 NEW CROWN

の4つの教科書の準拠版が発売されるそうです。(光村図書COLUMBUSと教育出版ONE WORLDユーザーのみなさま、すみません)

 追記

 正進社のウェブサイトに、『エイゴラボ』のページができていました。こちらでも詳しく紹介していますので、ぜひ御覧ください。

 これまで5つの記事でご紹介してきましたが、切り口によって違った顔を見せる、本当に面白いワークです。

 「どんな生徒でも自力でできるワーク」

 「生きた例文をインプットするワーク」

 「リアルに英文を書く体験ができるワーク」

 「何度でも繰り返し練習できるワーク」

 「持っているのが嬉しくなるワーク」

 私の記事で『エイゴラボ』が気になった方は、特にどの見出しに惹かれたのか、とても興味があります。それが、その方にとって「現行のワークに欠けている」と感じていることだったり、「指導する上で大切にしたい」と考えていることだったりするのでしょう。そういうことを、みなさんと共有したいなぁと考えています。

 3月12日(土)のサークル(副教材見本市)は、まさにそんな時間にしたいと思っています。教材に興味をお持ちの先生方は、ふるってご参加ください。お待ちしております。

2016-02-14

[] 持っているのが嬉しくなるワーク

 新刊教科書準拠ワーク『エイゴラボ』を通して副教材を考えるシリーズ、第5弾。これで最後です。最終回は「デザイン」について考えます。

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 これまでご紹介してきたように、『エイゴラボ』は他の教材と並べてみた時に異彩を放っていると思います。それを際立たせているのが、やはりデザインだと思います。教材にとってデザインって重要なのかと思う人もいるかも知れませんが、ぼくは大きな意味があると思っています。

 まず、「工業デザイン」という点から考えます。教材がまず一番に考えなければならないのは、使用する学生の感じ方です。教材を選ぶ際には、ユーザー・インターフェイスが教材としてどれくらい優れているかを考える必要があります。

 例えば「色」という観点1つとってみても、考えるべき点はいくもあります。白黒は学習者のモチベーションを喚起しないでしょうが、単純に色が多ければいいわけでもありません。近年はフルカラーの副教材も増えましたが、色数が多すぎてチカチカしてしまい、逆にどこが重要なのかわかりづらい教材もあります。教科書なんかは、ちゃんとユニバーサル・デザインを考慮して作るようになってきたんですけどね。個人的には、2〜3色刷のものが紙面が落ち着いていて好きです。

 また、ページ数を抑えるために、1ページにたくさんの情報と問題を詰め込んでいる教材も多いです。字も小さく、余白も狭い。そうなると、ワークをやりながら目を右に左に、そして上に下にせわしなく動かさなければならなくなり、結構疲れます。英語が苦手な子のためにいろいろ載せてくれているんでしょうが、そういう子ほど情報が多すぎて必要な情報にアクセスできない可能性があります。あるワークを見た生徒は、「どこが問題で、どこが解説なのか、パッと見てわかりづらい」と言っていました。

 その点、『エイゴラボ』はすっきりしていると思います。

・色数が抑えめで、淡い色中心で目に優しい

・イラストの線も黒以外でやさしい印象

・余白、行間が広いので安心感がある

・基本的に上から下に目線を動かせばいい

・問題のタイプによって背景が色分けされているので

 目的のページを探しやすい

・模範解答のフォントが手書きに近い

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 特に最後のフォントについては、見本を見た多くの先生方が気に入ってました。生徒に見せるフォントにはこだわりを持っている中学校の先生が多いですよね。3年生版でもちゃんと手書き風フォントを使っているのも、今まであまりなかったかも知れませんね。

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 こういう、ユーザーの使い勝手を向上させる、もっと言えば学習効果を促進する可能性がある工夫こそ、教材の工業デザインとして求められていることだと思います。

 さて、「デザイン」という言葉が持つもう一つの意味は、単純にファッション的な美しさです。例えばこのワークの表紙、単純にポップで美しくないですか? 学校納入のワークに見えないかもしれません。

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 ぼくは、中学生であっても(いや、中学生という年頃だからこそ)、そして学校という文脈で購入するものであっても、大人向けのオシャレなデザインものを持つべきだと思っています。市販の学参や問題集は、近年ずいぶん垢抜けてきたと思いますが、これまでの中学生向けの教材は、明らかに子供騙しというか、「教材らしさ」「学校らしさ」を全面に出した残念なものが多かったように思います。

 中にある文化紹介のページも、カラー写真で生徒を惹きつけようとあれこれ紹介していますが、『エイゴラボ』ではインフォグラフィックを用いてシンプルでオシャレな情報の提供をしています。まるで大人向けの雑誌のようです。こういう情報の提示の仕方があるんだ、ということを間接的に伝えていくことも、個人的にはすごく大切だと感じています。英語教育とは少し離れちゃいますけど、教材に限らず日本って子どもたちに質のいいデザインを見せていない気がするんです。家電も文房具も、日本のプロダクトデザインはどこか垢抜けないですよね。iPhoneみたいな潔い製品がほとんどない。なんでも詰め込んで軽くしてるけど、安っぽい。

 CMなんかを見ていても、直接的に商品名を連呼したり、値段を大きく提示したりするような手法のほうが、結局「効果がある」のでしょうから、そういうあまりオシャレではない方法が選ばれがちです。景気が良くなければなおさらでしょうけど。でも、伝え方ってもっと多様で、もっと奥深いものだと思うんです。受け取る側は情報だけでなく、「使う喜び」とか「持ってみたい憧れ」とか、情報以外のものを受け取っていると思います。デザインというのは、そういう情緒的なところを満たす役割があると思います。

 教材だって、そういったプロダクトの1つなわけで、ユーザーがそれを持ち歩いて、何度も開いて、学習して、成長して、という学習者の「人生」を彩る役割があります。持っていて嬉しくなる、開くのが楽しくなる、ずっと取っておきたくなるような仕掛けが、大切だなぁと『エイゴラボ』を見ながら考えていました。

 こういったデザインは、あくまで付加価値です。でも、これまでの教材は「無料でドリルが付いてくる」とか「テスト作成用のCDが付いてくる」みたいな物理的な「おまけ」ばかりで、それはもちろん助かるんだけど、それだったら値段下げてよ、と思うところもありました。その製品を選んだから付いてくる付加価値って、もっと目に見えなくて、お金では測れなくて(お金はかかってるだろうけど)、簡単には言葉にはできないようなものなんだと思います。もちろん、おまけではなく、製品の中の英文や問題の質をちゃんと吟味して、教師が教材を選んでいく責任があることも忘れてはならないと思います。

2016-02-07

[] 何度でも繰り返し練習できるワーク

 このブログで『エイゴラボ』をご紹介したところ、多くの問い合わせが出版社さんのほうにあったようで、多くの方に関心を持っていただけてとても嬉しいです。教材を作るのは教材会社さんのお仕事ですが、どういうものが欲しいかを日頃から考えて、よいと思ったものをしっかり選ぶ、ということが我々英語教員のお仕事だと思います。特に、全員に持たせることになる学校納入の教材を選ぶ責任は大きいですよね。

 さて、今日もそんな『エイゴラボ』の特長を1つご紹介します。今日のキーワードは「何度でも繰り返し練習できるワーク」です。

 最近は多くの教材で、「基本文が◯回練習できます!」と、1冊の教材の中で問題の形式を変えながら繰り返し基本的な英文を書かせる工夫が施されています。「繰り返し」という言葉が指導要領絡みでBuzzってからは特に、それを謳う教材が増えましたね。

 個人的には「◯回書く」ことにどれくらい意味があるのかはわかりません。もちろん、スパイラルに何度も英文に出会うことは大切だと思います。ただ、多くの場合、「穴埋め問題」で出会った英文に次は「並べ替え問題」で出会う、といった「出会いの違い」が提供されているのではないでしょうか。

 『エイゴラボ』の面白いところは、「このレッスンは不定詞だから答えはどうせtoだろう」という決めつけができないところです。単元に関わらず、場面に必要であれば既習表現が何度でも登場します。

 例えば、新出文型の導入部分では、sかedかといった「形式」だけでなくそれぞれの文の持っている「意味」や「使用場面」の違いでも、しっかり比べられるようになっています。

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 また、単語は各レッスンの最後にまとまっていますが、教科書とは違った文脈での例文で使用方法を提示しています。

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 ページ内でも示してありますが、文中の青の四角には、このレッスンで登場する新出単語(つまり上の枠内にある単語のどれか)が入り、グレーの四角には、既習の単語が入ります。教科書の内容に縛られない例文ですので、その単語の意味が活きる場面が選ばれているように思います。

 既習表現を場面に合わせて、という意味では前回ご紹介した英作文問題でも、2文書かせるうちの1文は既習表現をうまく使うことをねらった問題も多数用意しています。例えば、受動態を学ぶレッスンであっても、1文は最上級の文を書かせる、といった具合です。こうすることで、どの文法とどの文法が一緒に組み合わせて使うことができるかを体感することができます。こういう単元を超えた組み合わせの練習って、とても大切なのに、3年生の受験期の作文指導あたりまで、あまりさせてこなかったように思います。

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 もうひとつ、「何度も」という意味で役立ちそうなのが、解答集です。『エイゴラボ』には、『ミニラボ』という小冊子が、解答集としてついてきます。これがかわいい。

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 この『ミニラボ』は、何度も御覧いただいている見本ページと同様に赤字で解答が入った状態のものです。そして、これに「赤シート」が付いてくるそうです。ということは、そう、何度でもできるんです。

 先月のサークルで他校の先生から伺った話では、生徒の中にはすでにそういう風にワークを使いたくて、自分で赤でまず解答を書き込んでから赤シートで隠しながら何度もやっている、という生徒もいるようで、そんな生徒さんにはピッタリのワークですね。私だったら、この『ミニラボ』を持ち歩かせて、授業の最初に指定したページの英文でグルグルをやる、なんて使い方も面白かなと考えています。

 すっかり『エイゴラボ』宣伝ブログになってますけど、私が関わったのは英作文問題だけなのに、得意気にご紹介してしまってすみません。でも自分にとっては「こんなワークが欲しかった」という1冊なので、つい力が入って紹介してしまっています。

 これらの記事を読みながら、改めてワークで何をやらせるか、ワークでどんな力をつけさせたいか、そしてその分授業では何にフォーカスをするのか、について考える機会にしていただければと思います。

2016-01-23

[] リアルに英文を書く体験ができるワーク

 さて、新刊の教科書準拠ワーク『エイゴラボ』の紹介記事が続いてますが、肝心の私が担当したライティング問題のご紹介をまだしていませんでしたね。

 ワークのライティング問題を担当させていただくことになり、改めてこれまでのワークの「表現問題」を見てみると、要するにターゲット文法を使った例文の名詞のところを自分に関係する言葉(好きなもの・したいこと)に置き換えて書いてみよう、という問題ばかりでした。いわゆる「自己表現」なんですけど、これって本当にワークでやる必要があるのでしょうか?

 それってこの間の記事で書いた「お肉とお皿」の喩えで言えば、お皿はもう用意してあるから、そこに好きなお肉を盛りつけてみよう、ということになると思います。でも「表現する力」を身につけるために練習するのであれば、「このお肉にぴったりのお皿を選んで綺麗に盛りつけてみよう」の方が大切だと思うんです。

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 もちろん、文法シラバスで並んでいる検定教科書に準拠してますから、そのページで使って欲しい文法事項(お皿)は決まってはいます。だからあくまで擬似的にはなりますが、それでも自分でお皿を選んだような感覚を体験させてあげる必要があると思ったのです。

 ということで、ぼくが作るワークのライティング問題では、お肉となる内容語の部分をこちらから提示して、それをうまくターゲット文法に乗っける練習をさせてみることにしました。そうなると、和文英訳的なものも増えてしまいますが、それだけではなく、提示された情報から自分で選択して内容を決めていくような「自己決定」の仕組みを意図的に設定したつもりです。

 また、2文以上書かせていますが、ターゲットとなる文法事項を使って書く文だけでなく、既習の表現を使って書く文も意図的に織り交ぜています。前述のように、「不定詞のページだから不定詞使うんでしょ」っていうライティングばかりしていても、自律的に英文が書けるようにはならないでしょうから。自分で「お皿」を選ぶ練習が、できるようになっています。

 ということで、実際の問題を見ていただきましょう。

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 選択肢を示す際も、「レシート」とか「メニュー表」とか「アンケート」とか「グラフ」みたいに、リスト化されていることが必然的であるものを、できるだけ選びました。

 もう1つこだわったことは、「書く場面」です。これからの時代の英語ユーザーである中学生が英語を読み書きするのは、やっぱりインターネット上が多いのではないかと考え、LINEやfacebookのようなSNSに投稿するスタイルにしました。これまで作文問題って「スピーキングの代替としてのライティング」って感じのものが多かったけど、SNSのチャットを書くのであれば、「会話を書く」ことも自然なことに思えます。

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 また、amazonレビューや食べログのような「レビューを書く媒体」なども取り入れました。レビューを書くという行為には、「読み手」を意識して「どの商品を」「勧める/勧めない」といった「自己決定」と「書く目的」が自然に存在するんです。目的もなく「自分の好きなもの」を書かされるより、主体的に取り組めるのではないかと思います。

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 こうやって、書かせる内容をある程度コントロールするメリットは、「自己採点のしやすさ」にあります。特に英語が苦手な生徒は、これまでのワークをやる際、自分が書いた英文が合っているのか間違っているのか解答を見ても判断できませんでした。だからこの表現問題を飛ばして(やらないで)提出してくる生徒も多かったです。でも、このワークなら、模範解答として解答例を示すことができます。

 ちなみに、先日『エイゴラボ』を見てくださったある先生は「自己表現させる部分が少ない」とおっしゃっていましたが、その先生は、ワークに書かせた生徒の自己表現を先生自身が添削してあげているそうです。そういう先生であれば、これまでの自己表現問題でもいいんでしょうね。でも、それだったら、別にワークじゃなくて、ノートに書かせることもできると思います。私としては、ワークの中のライティング問題の役割をもう一度考えなおしてみた結果としてのこの問題なわけです。

 ということで、『エイゴラボ』は「リアルに英文を書く体験ができるワーク」になっていると思います。見本をお手にとってもらえると嬉しいです。

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2016-01-22

[] 生きた例文をインプットするワーク

 教科書準拠ワークの文法問題は、あくまで言語的な操作をさせるのが目的で、新出文型のコアな意味は確認しつつも、例文の意味はあまり深く考えることがありませんでした。不定詞・副詞的用法の例文の定番としては

I went to the station to see my uncle.

みたいなものがありますが、「そもそも叔父さんは駅で何をしてるんだろう?」というツッコミや、「このセリフをどんな状況で誰に伝えているんだろう?」という疑問を、みんなでスルーしたまま「そういうものだから」と練習させてきたように思います。

 英語を実際に使えるものにするためには、もっと生きた例文を読ませて、書かせて、考えさせて、練習させる必要があると思います。というか、せっかく練習させるなら、将来使うかもしれない英文の方がいいじゃないですか。

 前回からご紹介している『エイゴラボ』という教科書準拠ワークの例文は、そういう「生きた例文」ばかりです。例えば、今言っていた不定詞・副詞的用法だったらこんな感じ。

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 文法の導入・整理のセクションもこんな感じ。

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 これはこれで(例えばおじいさんとか)ツッコミどころもあるんですけど、それは英文の意味と場面を理解したうえでの「お遊び」のツッコミなわけで、むしろ意味のある刺激だと思います。

 さて、ここでポイントになってくるのが、イラストです。

 ワークのイラストって、これまでだったら"do my homework"を表すために「勉強している女の子」を絵にしたでしょう。それは、イラストの役割が単に語彙の視覚化だけだったから。現在形でも進行形でも過去形でも"do my homework"の絵は一緒です。

 一方、『エイゴラボ』のイラストの魅力は単に「ゆるかわ」なだけでなく、もはや一コマ漫画とも言える、「場面」が描かれていることです。さらに、発話している人だけ色塗りされていて、誰が誰に話しているかがわかるようになっています。宿題をしている場面ではなく、そのセリフを実際に言っている場面が描かれている、というわけです。

 漫画描きの端くれとして言わせてもらうと、1コマで場面を伝えるのってすごく難しいんです。それをうまく助けているのが、ぼそっとつぶやいているように見える日本語だと思います。これがあることで、登場人物たちの関係性や思いなどをうまく伝えて、世界を広げています。単純に漫画描きとしてもすごく参考になります。

 「問題集とかの穴埋めとか並べ替えは得意だけど、全然英語しゃべれません」という大人も多いように思いますが、せっかくたくさん練習してインプットしたはずの英文を、実際にいつどんな風に使えばいいかを考えてこなかったことが課題だと思います。もちろん、それは授業の中で、あるいは実際に誰かとコミュニケーションをする中で身に着けていくことだとは思いますが、ワークの中でも日頃から場面を考えながら英語にふれていくことで、感度が磨かれていくのではないかなと思います。

2016-01-18

[] どんな生徒でも自力でできるワーク

 少し前からテスティングや教材に強い関心を持つようになりました。授業ではいろいろ工夫をしているつもりですが、生徒が授業外で自力で英語にふれる機会が思いのほか多く、その質が生徒の伸びを左右するように思うからです。なんだかんだ生徒の目標となっているテストや、宿題等で全員に提出させる副教材などは、やはり波及効果が大きいな、と感じます。

 そんな中、これまでも教科書準拠のワークを買ってもらい、授業中やテスト前に活用してきましたが、少し前にこんなことがありました。

 提出されたワークを点検していたら、すべて赤ペンで書き込んであるワークが1冊ありました。英語がすごく苦手な生徒のワークでした。聞いてみると、「自力でやってみたけど全部わからなかったので、間違い直しとして解答を赤で書き込んだ」というのです。これは胸が痛みました。その子はいったいどんな気持ちでその作業をしていたんだろうと考えると、もっといいワークはなかったのかな、と教材を選ぶ側の責任を考えてしまいます。

 ワークに限らず、多くの教材における「英語の問題」というのは、「知っているか・いないか」「覚えているか・いないか」を問う問題が多いように思います。というか、そういう問題ばっかりではないでしょうか。知ってれば書けるし、知らなければ空欄。考えて書いたけど違っていた、という生徒ももちろんいるでしょうが、解答を見て、「なんだそれか」で書き写して終わり。紙のワークでは自己採点に限界があるので、「もう一度考える」ということも難しいです。

 これがワークの限界なのかなぁ? どんな生徒でも自力でできるワークってないのかなぁ? そんなことを考えていたら、面白そうな教科書準拠ワークが正進社さんから新刊で出るみたいです。その名も、『エイゴラボ』です。

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 私がこのワークを一足先に知ることができたのは、このワークの中の表現問題(ライティング問題)の作成をお手伝いをさせていただいたからです。そのライティング問題についての紹介はまた別の機会にします。それより、このワークが面白いなと思うのは、今言っていたような「どんな生徒でも自力でできる仕組み」がちゃんとあるということです。

 簡単にいえば、答えは同じページのどこかにあるので探したり、選択肢が示されていたり、並べ替え問題が中心だったりと、苦手な子が全く手が出ない、という問題が少ないと思います。

 例えば不定詞の問題だったら、こんな感じ。

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 まずは動詞の原形を確認(しかも右に選択肢がある!)、そしてそれにtoをつける形を練習してから、文の中に組み込んでいく、というスモールステップが組まれています。最初の一歩目が選択肢になっていることで、「スタートできない」という生徒を減らすことができます。こういう配慮って、今まであまりなかったように思います。

 そして、次のページでは、具体的な場面でその表現がどう使われるかを考えるのですが、ここの日本文がすごくくだけていて、本当に場面をイメージできて面白いんです。イラストもいいですよね。

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 でも、あまりにくだけていると、苦手な子は日本語と英語の距離がつかめずに英文を作るのが難しくなっちゃうのですが、そこにはちゃんと青字の語順ガイドがついているわけです。うーん、親切。ちなみに下の問題では、語順ガイドがもう少しざっくりになっていて、得意な生徒にとってもチャレンジングな問題になっています。

 知っているかどうかではなく、どれを使うか、どう並べるかを考えるワークって、今までなかったように思います。この間このワークを見たある先生は、「このワーク、俺の授業プリントに似てる!」と言ってました。確かにそうですね。私も自分でプリントを作るときは、こういう感じになるなぁと思います。

 1セクションで4ページ構成ですので書き込むスペースはゆとりがありますが、4ページと聞くと多く感じてしまう生徒もいるかも知れませんから、最初の2ページは授業で扱い、残りの2ページは宿題にする、といった使い分けもいいかも知れませんね。苦手な生徒でも負担感なく取り組むことができると思います。

 ということで、他にも面白い点がたくさんあるワークですので、今後何回かご紹介をさせていただければと思います。

2014-01-08

[][] 2つのセンテンスをつなぐ、から始める

 新学期が始まりました。

 そのせいか、昨日くらいからブログのアクセス数も急激に増えてます。みんな、活動が始まったんですね。「比較級 導入」とかが人気です。私も明日の授業の準備を始めなきゃと時計を見たらもう20時。なんだかんだいって、短時間で効率よく教材研究しないと、お仕事回らないですね。

 でもそんなみなさまのご期待に反して、今日もマニアックな話。ライティング指導について。

 立ち読みなので書名は控えますが、先日手に取った某「自由英作文」の学参がすごかったんです。ショートエッセイの構造解説では、

トピックセンテンス「小学校で英語を教えた方がよい」

  ↓

サポーティングセンテンス「英語を話せるのは大事だ」

  ↓

コンクルージョン「だから小学校で英語を教えるべきだ」

という例を紹介。ん? なんだかすごいぞ。これ、論理的と言えるのか? よく見ると、表紙に「大学入試」の文字。某有名予備校の先生による教材です。

 本の最初のあたりのざっくりとした説明だからかなと思ったけど、後半の実践例まで見ても終始そんな感じでした。パラグラフの構成要素(に関する言葉)にはやたらこだわってる感じはするけど、論理構成そのものにはあまりこだわってないみたいです。

 うーん。

 一方で、自分の勉強のために読んでいた日向先生のライティング本を改めて読みなおす。特に、第1部の第3章から第5章にかけての「センテンスをつなげる」話のあたり。

即戦力がつく英文ライティング

即戦力がつく英文ライティング

 書き言葉としての接続詞の使い方や、接続詞を使わずに2つの文に関連性を持たせるためのポイントが整理されています。ふむふむ。勉強になります。

 こういうのを読んでいると、高校入試の英作文問題の解答ではたくさん存在するであろう「AndやButで始めてしまう英文」をどう採点してるんだろう?という疑問が浮かびます。文法的にアウト? むしろ接続詞を積極的に使ってるとして好印象? そもそも気にしてない? 中学校でやってるのは実質書き言葉としての英作文ではないからあまり指導されてないだろうし、こういう書き言葉としてのお作法を採点規準にするのは難しいんだろうな、と思います。

 余談ですが、そういう意味では、「この問題は『書き言葉』を書かせようとしているのだ」ということを伝えるためには、確かにテストのライティングの問題にも「場面設定」が必要なんでしょうね。

 さて、埼玉県の高校入試問題の英作文問題では、「5文で書け」とセンテンス数にこだわってるけど、同時に「まとまりのある英文」であることも求めています。接続詞を積極的に使おうとすると、どうしても等位接続詞や従属接続詞になるから、センテンス数をかせげなくて非効率。中学生はあまり接続副詞は使わないだろうし。

 そう考えると、やっぱり語数指定のほうが積極的にそういう接続詞を使うだろうし、彼らの求める「まとまりのある英文」を引き出せるんじゃないか、と思ってしまいます。まぁ、このへんはずっと言い続けていることです。

 前述の「大学入試」対策の英作文教材みたいに、トピックセンテンスだサポートセンテンスだと構造ばかり語るより、まずは2文を有機的に、無駄なくつなげるトレーニングをするべきじゃないか、と感じます。パラグラフはその先でしょう。

 そういう練習をちゃんとやらないでいて、入試が近づいてからいきなり自由英作文とかやっても書けないでしょう。そして、和文英訳ではそういう論理構成を考える部分をすでに和訳として与えられちゃってるわけだから、そういう練習にはならない。じゃあどこで学べばいいんだ?と思ってしまうのです。

 中学校レベルの英文がある程度理解できるようになったら、高校のライテイングの授業ではこの本の第3章から第5章あたりの内容を学んで、繰り返し2〜3文をつなげて書くトレーニングをした方がいいんじゃないかなぁ。あ、「ライティング」という授業はなくなってしまったのだったっけね…orz 大丈夫、「英語表現」でもできる!

 現実的に、中学校ではここまではできません。でも等位接続詞&従属接続詞と、あまり大仰ではない接続副詞のいくつかと、代名詞くらいまでは指導できます。教科書の途中に現れる「プロジェクト」みたいなセクションで"First,〜. Second,〜" みたいな「記号」を教えるより、中学校でも文を適切につなげる練習をしたほうがいいと思いました。

 定期テストなんかでも、5文以上書かせるような問題をいきなり出さないで、まずは2文を「適切に」つなげる問題を出してみるといいんじゃないかな、と思います。

2014-01-05

[][] 何のために、どうやって、英単語を覚えるの?

 ぼくの最近の関心は、すっかり「テスティング」と「教材」なんです。ということで、本屋さんに行くと、つい学参売り場に立ち寄っていろいろ眺めてしまいます。

 中学学参のトレンドは「やさしいもの」のようです。店頭には薄くて、淡い色のデザインで、かわいいフォントで書かれている参考書&問題集がずらりと並んでいます。

「やさしくわかりやすい」

「とってもやさしい」

「ホントにわかる」

「ひとつひとつわかりやすく」

「やさしくまるごと」

「わからないをわかるにかえる」

 みんな「ひらがな」なのもなんかすごいですね。内容は正直、学校で買わせてる副教材の準拠ワークとそんなに変わらない気もします。あえて言えば、「やさしい」のはフォントくらい…? (言い換えれば、準拠ワークもずいぶん「やさしい」ものになってきてるということです。)

 さて、上記の「ひらがな」シリーズもそうですが、中学学参はいわゆる文法順にひととおり勉強させるワーク類ばかり。「英作文」「英単語」「英文解釈」と技能別に教材が並ぶ高校学参コーナーやTOEIC対策コーナーとは対照的です。まぁ、中学生はそれほど教材にお金かけられないから、どうしてもこういう総合的なものになるんでしょうね。その中で、ちょっとおもしろいなと思って手にとったのが次の2冊。

ハイパー英語教室 音と体でおぼえる 中学英単語ドリル [問題で練習する]

ハイパー英語教室 音と体でおぼえる 中学英単語ドリル [問題で練習する]

 シンプルに「英単語」に絞ってトレーニングするワークです。

 「ノート」の方は、書き込み式の単語練習ページのあとに、それらの語が答えになる穴埋めディクテーション問題が続きます。ただ練習させるだけでなく、そのあとにそれが別の文脈で(別のスキル運用の中で)使えるかを試すのは、こういうワークにしては珍しいかな、と思います。CD付属の教材も増えたけど、ちゃんと使わせる仕組みになっているのがいいと思います。

 「ドリル」の方は、(1)日本語に合う英単語を選んで書く、(2)穴埋めで英単語を書く、という普通の問題のあとに、(2)で完成した英文をCDに合わせて音読する、というタスク。穴埋めして終わり、ということが多いワークばかりの中、完成した英文そのものを体感できるのはよい作りだと思います。

 どちらも元になる単語集があってのスピンオフ商品のようですけど、安河内さんプロデュースということもあって、音読へのこだわりを感じます。中学生向けでもCD付きが増えてきて嬉しいです。

 最近新刊にリニューアルしましたが、いつもお世話になっているブログ「英語教育に物申す」の組田先生が出した『短文で覚える英単語1900』も前作からCD付きですね。

 こちらは、1900の重要単語をうまく組み合わせて300の英文にまとめていて、単語をちゃんと英文の中での使われ方を体感しながら覚えられるスグレモノです。中学校の6社の教科書で使われている単語を徹底的にチェックし、3社以上で使われている単語は95%以上使ってあるという苦心作です。1年生から使えるように、文法シラバス順になってるのも便利です。

 この本でも(前作から一貫して)CDを聞いて音読する、書き写す、といった具体的な勉強方法がガイドされています。こういう風に「単に穴埋めして終わり」「並べかえて終わり」ではない教材が増えてきたことは本当に嬉しいですね。

 高校だと、単語帳を買わせて、何ページかずつ毎週単語テスト、みたいなのがよくあるかと思いますけど、中学だとほとんどないでしょうね。塾ではやってそうですけど。教科書の単語を練習させたい、と考えると、別にこういうのを投げ込むのは結構勇気が要ります。

 ということで、ぼくだったら、この300個の英文で「グルグル」やるだろうなぁ。「単語集」というより「例文集」と考えると、今思えば、中2の子たちに今年度の頭にコレ買わせて、2年計画で使うのもよかったかなぁと後悔。(1年しか使わないのだと、1,200円の副教材を学校で買わせるのは負担が大きいのです) 

 自分自身の経験を振り返ると、高校時代、単語帳って嫌いでした。というか、単語テストが嫌いでした。理由は、その単語を覚えたらこんなことができるようになりますよ、という次のステージが示されてなかったからだと思います。「模試の点数」とかじゃなくて、もっと具体的にどんなことが英語でできるようになるかが学習者に示されるべきでしょう。そういう意味では、「◯単」という単語集だけでなく、「◯単でラクラク読める英語長文30」とか「◯単でスイスイ書ける50語エッセイ」とか、そんなスピンオフ教材こそ、必要なのではないでしょうか。

 ということで、英単語集あれこれでした。

 あ、ご紹介した桐原の2冊はちゃんと買いました。ここでレビューするからには、手元にあるものについて語ろうと思います。(短文1900の方は、組田先生のご厚意でいただきました。ありがとうございました。) 生徒の反応を見てみたいので、英語教室か学級文庫俺文庫に置いておくことにします。