トムをジェーンに。4

annojo2006-06-22


Mark Angelo Cummingsのトランスセクシュアルの本質は、圧倒的なものなので、テレビ番組のMaury Povichの中でも一人舞台だった。


「わたしは男性と結婚すら試してみた」と彼が言うと、スタジオの観客は「えー」とどよめく。


「私は自分の胸は切除した。」


おおー。


そして、フロリダのハリウッドから来たFTMTSの Cummingsは、テレビショーの「The Maury Povich Show」のセットに、ふんぞり返りながら、Gジャンにカウボーイハットをかぶり、ひげ面で、入場する。


司会者Mauryの最初の質問は、いきなり核心に迫る。「ズボンの中はどうなってるの」とふざけ半分に、股間を指さしながら聞いた。間髪をいれず、彼は聞き返した。「きみこそ、ズボンの中はどうなってるのかい」


場内爆笑。それからはもっぱら彼のペース。彼は、彼が好んで使う「性別違和(gender dysphoria)」について、その生物学的基盤について説明した。(司会者のさっきの質問に関しては、彼は手術に必要なお金が十分にたまるのを待っていると答えた。)彼の妻のバイオレットも壇上に加わって、彼が「愛には色もジェンダーも関係ない」と発言すると、観客から割れんばかりの拍手が起きた。番組の最後には、司会者は感無量となった。


「今日はとてもよい勉強になった。あなたはこの問題を語るには最高の人物だ。すばらしい。」と司会者は語った。


Cummingsが次に語った。「私が視聴者に知って欲しいこと。それはトランスジェンダーは罪でもなければ、変態でもないということ。それは生まれつきの障害です。われわれは皆、感情を持った人間で、望んでいるのは敬意をもって接して欲しいということ・・・」


観客が拍手し始めると、さらに語った。


「私は皆に頼みがある。憎しみはやめて、理解を始めて欲しい。心を開き、われれわもまた神の子であることを知って欲しい。アーメン。」


この番組のあと、アンダーソン夫妻はCummingsに連絡を取った。すると、ニコルに会う前から、Cummings にとって、ニコルが一番大事なこととなった。彼が信じるには、ニコルは子どものトランスセクシュアリティのシンボル的存在であり、何が何でも、彼から言わせればヒトラーのごときZuckerのような科学者たちから守るべき存在なのだ。


Cummingsは42歳のキューバアメリカン人だが、本物の自分の勲章として、乳房切除術の傷跡があり、もじゃもじゃの体毛をしている。そんな彼は、南フロリダのトランスセクシュアルにとって、十字軍の戦士となった。

また、彼は英語もスペイン語も話すことができ、スペイン語系テレビが待ち望んでいた人物でもあった。


Povichのトーク番組に1月に出場して以来、4ヶ月の間に、Cummingsと彼の妻は、6回テレビ番組に出演した。出演のたびに、すばらしい芸達者振りを発揮し、環境毒素が性別に与える影響を説明したり、妻のセクシュアリティに関する質問に答えたりした。出演ごとにトランスジェンダリズムは生まれつきの障害であることを説明した。


「観客はみな私の話を熱心に聴いた。」と彼は言う。


というのも、Cummingsはおそらく、ラテン系の人々にトランスセクシュアリズムを説明するには、最高の人物だからだ、とマイアミで、ヒスパニックの性について研究する性科学者のAnagloria Moraは言う。MoraはCummingsと一緒に、Cada Díaというテレビに出演した。そして、彼をMiami-Dade Community大学の性科学の授業の特別講師として招いた。


「Cummings夫妻は、彼の人生について語った。彼はとても活発で、洞察力に優れていた」とMoraは語った。「彼は狂人ではないことがわかり、共感ができる。これまでで最高の授業だった。私の夢は、Cummingsと私が、ヒスパニックがいっぱいの巨大スタジアムのステージに立つこと。そしてアメリカ中のヒスパニック系トランスの助けとなるべく、演説をすること。」


Cummings は、アンダーソン夫妻とインターネットで出会ってから、地元の教育委員会に圧力をかけるべく、作戦を考えた。彼は地元の責任者のFrank Till にEメールを送った。ニコルに必要なことはすべて許可するように、教師や校長をを教育し訓練するように、という内容だった。


学校当局は、Cummingsの申し立てを丁重に断った。彼が言うには「彼らは障害のある子供への対応方法は知っているというんだ。でも性別違和でも知ってるのかね。本当かな。」



Cummings はアンダーソン夫妻と密な連絡を取り続けた。彼はローレンに、学校側に圧力をかけ続けよと助言した。彼は、アンダーソン一家に、彼のトランスセクシュアル人権活動と、ニコルについての記録を助けるようにと、要請した。(Cummingsがアンダーソン夫妻に、マスコミへ話すことを説得した。)一家は、彼の援助に感謝したが、時々彼の存在を疎ましく思うこともあった。ローレンは言う。「マークは急ぎ過ぎる。今は自分のペースで進んでいきたい。」


しかし、 Cummingsに言わせれば、自分の仕事は、生きるか死ぬかの問題だ。彼は言う。「もう我慢できなくなって、どのくらいのトランスセクシュアルが自殺するのか知っているのか。もし一人でも救ってやることができたら、自分は仕事をしたことになる。」


Cummingsは、1964年ハバナで、Maritza Perdomoとして生まれた。彼は生まれつきひどい斜視で、男の子のおもちゃを好んだ。このことは、伝統的なキューバ家族にとって、2重に縁起の悪いものであった。


彼は言う。「3歳のときから、親戚中の人々が、この子は将来レズビアンになるといっていた。私はとても腕白で、男の子のものばかりが好きだった。5歳になったら、ドレスを脱ぎたかった。」


トイレトレーニングは特に問題だった。というのも、父親のように、たちしょんをしてはいけない理由が理解できなかったからだ。腕白な遊びで、フリルのドレスをいつも汚した。何をやるにも過干渉な母に、あれこれ言われ、、男のように遊びたいという気持ちは拒絶された。


10代になると、女性に恋愛感情を持ち、軍隊にいる間はコカインにどっぷり依存し、マイアミではゲイのナイトライフを楽しみ、低賃金労働に従事した。24歳のとき、ストレート女性になろうと、最後の努力をした。55歳の英国男性と、花嫁衣裳を着て、結婚した。結婚式のビデオでは、今ではテレビ出演時のネタになっているのだが、 若く、かわいらしく、とてもどきどきしながら、新郎の口にケーキを入れている。


婚姻生活はすぐに終わった。コカインをやめ何人かの女性とレズビアン関係を持った。一緒に家庭を持とうと思った相手もいた。しかし妊娠することはできず、パートナー関係は結局うまく行かなくなった。


38歳のとき、バイオレットとであった。彼女はストレート女性で、スポーツジムで知り合った。9ヵ月後、キーウェストでの婚約パーティーで、ある人が、「性別移行しているの」と聞いた。その質問の意味はよくわかる。そのとき彼は、ボディビルディングをやっていて、かつては丸々とした体だったのに、ムキムキの男らしい体になっていた。古典的な女性体型から、男性体型へと変わっていた。しかし、彼は理解できなかった。というのもそのときまでトランスセクシュアルという言葉を知らなかったのだ。


「私は家に帰り、インターネットに向かった。涙がこぼれ落ちた。青空が広がったように感じた。ほかにも私のような人がいた。まるで天啓のようだった。」


(写真はMark Angelo Cummings
http://ai.eecs.umich.edu/people/conway/TSsuccesses/FtM/Mark's%20Story.html
より)

The Mirror Makes No Sense

The Mirror Makes No Sense

<gid.jp 公開フォーラム 10th>

gid.jp様より

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      <gid.jp 公開フォーラム 10th>
埼玉医科大学における性別適合手術(SRS)の歩みと今後

gid.jpが主催するフォーラムも10回を迎えることができました。
今回は、埼玉医科大学総合医療センター形成外科教授 原科孝雄先生をお招きして、
埼玉医科大学における性別適合手術(SRS)の歩みと、今後の展望について考えて
いきたいと思います。
本年は、1996年埼玉医科大学において、その前年に原科先生により申請された
「性転換治療の臨床的研究」に関する審議経過と答申が倫理委員会より大学に提出され、
性同一性障害に関する治療が開始されてからちょうど10年にあたります。
http://www.saitama-med.ac.jp/hospital/douitu.html
それは、日本において「公式に」性同一性障害に対する治療の幕開けを告げるものであり、
また、同時に開催された記者会見で、私たちは始めてその未来を感じることができたのでした。
奇しくも、その日は本フォーラムが開催される7月2日にあたります。
この記念すべき日を機にこの10年間を振り返って、性別適合手術の歩みと今後の展望を考え
たいと思います。 特に、今後SRSを検討している当事者の方には、必見の内容です。

<主催>
性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会(gid.jp)

<1部 講演 〜人間万事塞翁が馬〜>
第8回GID研究会(福岡)で行われ、好評を博した講演〜人間万事塞翁が馬〜をベースに
新しい写真も加え、原科先生が歩まれた医師人生と、性別適合手術の実際について、スライド
でご紹介しながら語っていただきます。

<2部 シンポジウム>
原科先生を中心に、会場との質疑応答を交えながら、みなさんの疑問にお答えし、理解を深め
ていきます。

<講師>
原科孝雄さん
1939年生まれ。慶応義塾大学医学部卒業
埼玉医科大学 総合医療センター 形成外科教授
GID研究会(現GID学会)初代理事長
国際マイクロサージャリー学会創設会員
Harry Benjamin International Gender Dysphoria Association会員
gid.jp 顧問

<主な著書>
マイクロサージャリー最近の進歩(克誠堂出版)
性同一性障害って何?(緑風出版・共著)
こころとからだの性科学(星和書店・共著)


日時 7月2日(日) 14:30〜17:30  
定員 90名
場所 科学技術館 第1会議室 
     東京都千代田区北の丸公園2−1
     TEL:03-3212-2440(テープ案内)
地図 http://www.jsf.or.jp/smtmap.html

参加費 1000円

定員 90名
※予約は必要ありません。当日会場へお越しください。

交通
<電車>
・地下鉄 東 西 線 「竹 橋 駅」 徒歩7分
・地下鉄 東 西 線 「九段下駅徒歩7分
・地下鉄 半蔵門線九段下駅徒歩7分
・地下鉄 都営新宿線九段下駅徒歩7分
<車>
北の丸公園内駐車場(環境省所管)
・乗用者1台 3時間400円(1時間増す毎に100円加算)
※駐車台数に限りがありますので、なるべく最寄の交通機関をご利用ください。

懇親会
参加費(別途) 3,000円
フォーラム終了後、懇親会を開催いたします。
参加を希望される方は、当日受付でお申込みください。参加費は別途になります。
尚、懇親会のみの参加も可能です。その場合は、問い合わせ先までメールまたは
FAXでお名前と参加人数をお書きになり、事前にお申込みください。

参加資格
性同一性障害の当事者およびそのご家族、ご友人、支援者など、
性同一性障害にご理解のある方、興味関心をお持ちの方。

<注意事項>
※ 本集会は一般公開ですので、参加者は各自でプライバシー保護にご注意ください。
※ 会場においては、係員の指示に従ってください。
※ 他の参加者に迷惑や不快となる言動を行われた場合、退場していただく場合がございます。

<主催・問合せ先>
性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会(gid.jp)
URL http://gid.jp
e-mail forum2006@gid.jp (全て半角に変換してください)
Tel. 03-5715-2303
Fax. 03-5715-2702

案内URL http://gid.jp/html/forum/info/index.html

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