Anone、Anone

2018-04-18

『重力波 発見! 新しい天文学の扉を開く黄金の力』(高橋 真理子著、新潮選書、2017年9月発行)

重力波に関する本としては、2冊目なんだかあまり面白くない。

ホヴァート・シリングの本と比べると雲泥の差だ。

なぜ、面白くないか考えてみるに、まず、取材が足りないのではないか? どこかの文書や本を読んでまとめたかのように見えてしまう。新鮮味、あるいは、臨場感がない。

第2章 宇宙とはなにか、第3章 時間とはなにか、なんて本書のタイトルとあまり関係なく水増しのために入れたとしか思えない。

2018-04-17

『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』(ホヴァート・シリング著、化学同人、2017年12月26日発行)

重力波は、2015年9月に初めて直接観測された。電荷を加速すると電磁気が発生する。それと同じように、重力のあるものを加速すると重力波が発生するかもしれない、と考えられた。

重力波が存在するかどうかは、一般相対性理論から予測できそうだが計算が難しい。アインシュタイン自身が何回か論文を間違えて書き直しているくらい難解らしい。

典型的には、ブラックホール同士が合体するとき、二つのブラックホールが回転しながら引き合って結合する。このとき回転の速度がどんどん上がっていく。二つのブラックホールが結合すると質量はその和よりも少なくなり、余った分が重力波などのエネルギーとして放出されると予想される。

1968年ジョーウェーバー共振検出器により発見したと唱えたが誤りだった。同じような検出器がいろいろ作られたらしい。

中性子星は回転して磁軸にそって電磁気を発生する。磁軸が地球の方を向いたとき電磁気が計測できるのでそれはパルスとなる。このような星をパルサーという。パルサーは1967年に初めて発見された。

二つの中性子星がお互いに回転する連星パルサーでは、その回転速度が徐々時上がっていく。それはパルスの周期からわかる。そのとき、失われるエネルギー重力波となることが予想される。

1993年ノーベル物理学賞が、「新種のパルサーの発見、重力の研究に新たな可能性を開いた発見」として、ジョーティーラーとラッセル・ハルスに与えられた。これは間接的な重力波の存在証明である。

重力波を直接観測したのは、米国レーザー干渉重力波天文台(KIGO)である。

米国LIGOは、一辺4kmのL字型の観測装置である。ルイジアナ州リヴィングストンとワシントン州ハンフォードにある。ペアにすることで周辺などで発生するノイズを無視できるようになる。

LIGOプロジェクトの創始者レイナー・ワイス(1932年生まれ)。1972年MITの四半期進捗報告にレーザー干渉計の基本原理を掲載した。

1980年頃には重力波物理学レーザー干渉計に狙いが定まる。1989年12月にLIGOの最終案が全米科学財団に提出される。

紆余曲折があり、1994年夏NSFの認可を得る。

この本は内容もすごい面白いが、取材による臨場感がすごい。まぎれなく最高の科学の本といえる。

https://nl.wikipedia.org/wiki/Govert_Schilling

2018-04-15

『南海トラフ地震』(山岡 耕春著、岩波新書、2016年1月発行)

南海トラフ地震は、フィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフで起きる地震である。地理上の場所は、駿河湾から四国沖らしい。

別の首都直下地震と比べると、一つの原因で分類しているだけに概念的に分かりやすい。(首都直下地震首都で起きるさまざまな地震という概念なので分かり難い)。

南海トラフでは、大地震が歴史的に繰り返して起きている。前回は太平洋戦争終戦間際(1944年)の昭和東南海地震と戦後直ぐ(1946年)に起きた昭和南海地震である。その前が、1854年の安政南海地震安政東海地震なので、この間が90年である。同じ間隔でおきるならば2034年頃となる。

プレートの沈み込みは地球の歴史規模の話なので、これが原因であれば必ず起きると考えておく必要がある。

注意すべきは、地震がおきてから津波が来るまでの時間が短いということである。

首都圏は比較的影響が少ないが、名古屋大阪は影響が大きい。

2018-04-12

『仮想通貨バブル』(日本経済新聞社、日経プレミアシリーズ、2018年3月)

2017年仮想通貨バブル。ざっと読んで動向を理解するのには良い。さすがに新聞記者の書いた本で、本書を読めばひとおおり最新の動向がわかるのが良い。

仮想通貨は役に立たないという人と、役に立つという人がいる。事実として仮想通貨の残高がかなり大きくなっていることはみとめておきたい。

ICOが存在できる理由は理解できない。なぜICOにお金を投資する人がいるのか? 誰も投資しなければ成り立ちようがないはずなのに、結構大きなお金を集めているけーすがあるようだ。

マイナーが中国勢中心だった時代は変るんだろうか? SBIホールディングスGMOインターネットDMM.comなどの日本勢がマイナーとして参入しているのにはちょっとビックリだ。

いづれにしても変化は実に激しい。

日本の現金決済比率は65%で、先進国の平均32%の2倍以上だという。ATMの管理から現金の輸送まで含めると、銀行界全体でキャッシュの管理になんと年間2兆円掛かっているという。日本では現金からデジタル通貨への移行は大きな課題なことは確か。

でもSUICAのような仕組みをもっと便利にするのが良いという気もする。そもそもSUICAのチャージが小銭の現金ということから不便である。しかし、SUICAは無くしやすいし。あまり便利になってしまうと、紛失やらなにやらのリスクが大きくなるからなあ。

2018-04-11

『ヒッグス粒子の発見 理論的予測と探求の全記録』(イアン・サンプル著、講談社ブルーバックス、2013年2月)

ヒッグス粒子の理論が登場してからヒッグス粒子が発見(?)されるまでの過程を綴った本である。

ヒッグス粒子は物質に質量を与える素粒子のようだが、具体的にどんなものかは本書を読んでも分かり難い。

1964年にピーターヒッグス(実は同じ頃に別の物理学者のチームも同じような理論を発表したようだが)が理論を唱え、ヒッグス粒子を予想して2012年7月にCERNが発見を発表したということなので、48年掛かっていることになる。

こういう国際プロジェクトが長期にわたって、しかも何世代かの素粒子加速器を建設して続けられたということに人間の力の結集のすごさを感じる。

LHC大型ハドロン衝突型加速器:2008年9月10日稼働開始により発見された。

CERNは国際共同プロジェクトであるが、米国は自前のプロジェクトをいくつか動かしているようだ。このあたりがなかなか米国の底力を感じる。