Anone、Anone

2018-08-14

『物語 アラビアの歴史』(蔀 勇造、中公新書、2018年7月発行)

アラビア半島地域を中心に、紀元前から現代までの歴史を物語る意欲的な本だ。一読する価値はある。しかし、いろいろ似たような名前が山ほど出てきて区別が付かないので困るし、読むのに結構時間がかかってしまったが。

彼らは家系を大変重視しているようだが、しかし、それだけに家系相続争いが厳しい。親子・兄弟でもクーデター王朝をひっくり返しているのは毎度のこと。このあたりは日本人にはまったく理解できないのではないだろうか。長子相続が基本の農業社会と力の強いものに継承する略奪社会の相違と説明されているけれども。現代のアラビアは比較的国家が長く存続しているようではあったが、シリアの争いなどを見るとまったく変化していないとも言える。

アラビアの歴史を大きく分けると、イスラム教の誕生前と誕生後になる。イスラム教といってもいろいろな分派があり複雑ではあるが、なぜそんなに分派するならイスラム教になったのかということも不思議だ。

2018-07-22

『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』(本間 希樹著、講談社ブルーバックス、2017年4月発行)

巨大ブラックホールは、超大質量ブラックホールのこと。ブラックホールにもいろんな種類があるって、『ブラックホールをのぞいてみたら』で初めて知ったのだが、そう言う意味では超大質量ブラックホールに特化したテーマでこんな本ができるということ自体、研究の進歩が激しいことを示しているとも言える。

巨大ブラックホールは,銀河の中心に潜んでいるらしいが、そもそも銀河が核をもって回転しているということでその核にあたりそうだけど、銀河ブラックホールの関係も良く分からならしい。

巨大ブラックホールは、ブラックホール本体、降着円盤、ジェットの3点セットで存在するらしいが、いまのところ本体と降着円盤は、両方とも大変小さいため、まだ直接観測(撮影)されていない。ジェットの方は非常に大きく広がるので撮影されているケースもあるようだ。

天の川銀河の中心にあるらしい巨大ブラックホールはいて座Aスターといい、直接撮影される最初になる可能性がある。いて座Aスターの近くの星は、一定の周期で周囲を公転している。第2位は、おとめ座M87の中核、第3位はM104。

現在、世界の電波望遠鏡をつないで、ブラックホールの影を撮影しようというプロジェクトがある。

2018-07-21

『ビットコインはチグリス川を漂う マネーテクノロジーの未来史』(ディビット・バーチ著、みずず書房、2018年5月発行)

書名からして、回りクドくて意味が理解しにくいが、本文も興味深い内容なのだが、意味が理解しくにい箇所が多い。

文章の表現が回りくどいのは、原文が良くないのかそれとも訳が良くないのかどっちなんだろう?

本書の英文書名は、“Before Babylon, Beyond Bitcoin”だが、原書名もちょっとどうかと思うが、日本語の方の書名もどうかと思う。

本書は、キャッシュレスにむかう事実、技術、未来について様々に検討している。本書で説かれるまでもなく、確かに現金というもの不利益も良く分る。一方においてまだ現金を使い続けるのは単なる慣習なのだろうか? 現金を数えたり、保管したり、運搬するのは紙の書籍に比べて、電子書籍が同じように経済的な優位なのとほとんど似ている。しかし、まだ紙の本を読みたいという欲求の方が強いも同じである。

2018-07-14

『第二次世界大戦アメリカの敗北 米国を操ったソ連スパイ』(渡辺 惣樹著、文春新書、2018年6月)

立花隆の紹介文で本書を見たのだが、発行されたばかりだった。内容的にはなかなか面白い。フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領の時代に第二次世界大戦開戦となり、そしてIMF国連設立の準備ができたのだが、この間に、FDLの配下の重要人物ソ連スパイだったという。

ソ連アメリカは並び立たないとしたそれまでの大統領とは違って、FDLはソ連承認し、ソ連と共に連合軍を形成した。

その辺はチャーチルも同じである。ソ連の的ドイツは、米国ユダヤ人にとっても同じように難かったのだろう。

米国のモーゲンソープランや、連合軍のマルク通貨の発行の経緯などをみると実に生々しいドイツベルリンの悲劇が表現されている。ベルリン占領期に何が起きたのかはまだあまり読んでいなかったので、ほかの本も読んでみたくなった。

『ブラックホールをのぞいてみたら』(大須賀 健著、角川書店、2017年7月発行)

ブラックホールに特化した入門編。易しく書いてあってなかなか面白い。それにしても、宇宙論の本は面白いものが多い。書き手が易しく、分かり易く書こうと工夫しているのも良いと思う。

ブラックホールの面積は大きいと思っていたのだけれど、小さいということを初めて知ったのが収穫。最初に発見されたブラックホール(候補)第1号は白鳥座X-1だそうだが、写真がないなあとと思ってたら、まだブラックホールを写真にとった例はないそうだ。それはそうだよね。

あらゆる銀河の中心には巨大ブラックホール(大質量ブラックホール)がある、というのも面白い。どこかで読んだような気もしていたけれども、まとめた説明を読んだのは本書が初めて。

しかし、大質量ブラックホールが形成された過程はまだ誰も説明できない、宇宙最大の謎だそうです。

2018-06-25

『この空のかなた』(須藤靖著、亜紀書房、2018年7月発行)

新聞連載の記事をもとにしただけあって、分かりやすくてとても面白かった。

宇宙の壮大さ、美しさもさることながらびっくりすることが多い。

最近の話では重力波の観測が一番ロマンティックですが、本書の著者も大学院の最初の2年間は重力波の研究を行っていたが、途方もない困難さや才能の限界を思い知り研究分野を転校したと言う話だ。しかし、継続して30年後に重力波の観測に成功したチームもあったのだった(pp. 141-150)。

特に面白かったのは、貴金属のほとんど全ては中性子星連星の合体によって生成されたのだ、という話。

なるほどそうですか。宇宙の錬金術だって。