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(元)だめ大学生日記2.0 RSSフィード

2017-04-21-Fri

最近のもの

ピーター・トライアスユナイテッドステイツ・オブ・ジャパンハヤカワ文庫SF中原尚哉 訳)

ケイト・アンダーセン・ブラウワー「使用人たちが見たホワイトハウス 世界一有名な「家」の知られざる裏側」(江口泰子 訳)

大岡昇平堺港攘夷始末」中公文庫

栗田伸子 佐藤育子「興亡の世界史 通商国家カルタゴ講談社学術文庫

永積昭「オランダ東インド会社講談社学術文庫

新城道彦朝鮮王皇族 帝国日本の準皇族中公新書

ユナイテッド…」は、第二次大戦日独勝利した世界アメリカ舞台。「高い城の男」を思わせる。舞台設定は面白いが、執拗に残虐な記述が重ねられて辟易する。

使用人たちが見たホワイトハウス」はホワイトハウス番記者が長年の取材をまとめたものブッシュ家はホワイトハウスで働く人たちにとってはすごくやりやすい一方で、クリントン関係が築きにくくやりにくい面があったらしい。大統領就任の日がホワイトハウスへの引っ越しの日で、朝に前大統領荷物を搬出し、夕方には現大統領が元通り暮らせるように全て整えるらしい。

堺港攘夷始末」は、森鴎外堺事件への異議申し立てとして大岡昇平史料をあたりながら書いたもので著者の絶筆森鴎外が種本にしたものがそもそもバイアスがかかって書かれていることが明らかになる。事件当時の土佐藩が口裏合わせをしたことも浮かび上がってくる。

カルタゴ」は、カルタゴだけではなくフェニキア人全体について書いている。ハンニバル戦争のあたりは面白いローマを基本とする今の目から見ればカルタゴ異端児のようだが、当時の地中海ではメインプレイヤーだったことがわかる。

オランダ東インド会社」は1718世紀インドネシア史のようなものだが、エピソードがちりばめられていて面白い日本オランダ貿易についても書かれている。

朝鮮王皇族」は、彼らがどのような経緯で王皇族になったのか、戦前だけでなく戦後の歩みも書いていて興味深い。併合当初は天皇詔書で王皇族位置づけられていて法的な位置づけがなかったとか、宮内省朝鮮統監府で所管争いがあったとか。

2017-04-09-Sun

最近のもの

日本の「アジール」…」は、いわゆるサンカと呼ばれる人たちを含む漂泊民について、著者が各地で聞き取りをしながらまとめたもの。昔そういう人たちがいたことを覚えている老人や、幼少期に自らがセブリをしていた老人などから聞き取りをしていてリアルに書かれている。昭和30年代頃まではそういう人たちがまだ各地にいて、箕の修繕などを生業にしながら暮らしていたとか。そういう人たちがいた地域では、いまだに差別感情も残っていることも書かれている。あと20年たったら書けない本だろう。

「ブックカフェを始めよう!」は関心を持ったので読んだが、軽い考えではなかなかうまくいかなそうなことがよく分かった。

宮城…の謎」は時間つぶし用の本だが、明治初期の岩手県宮城県との区域変更の話などは興味深かった。

大塩平八郎堺事件」は森鴎外の名作。大塩平八郎本人が、醒めながらも蹶起に至る心情が端的に書かれている。あっという間に鎮圧された後に関係者処罰が行われるのだが、そのほとんどは牢死し、生きたまま処罰されたのは四人だけというのが恐ろしい。一度牢に入ったら生きて出られないということか。堺事件淡々とした筆致で書かれている。どちらの事件も2月に起きている。

白鯨」は何年も前に高円寺古本屋で買っていたが読んでいなかったもの衒学的な記述が多いが、注釈が丁寧で読みやすい新訳。スターバックエイハブ船長との関係性が読ませる。

2017-03-27-Mon

最近のもの

  • 北杜夫「どくとるマンボウ青春記」新潮文庫
  • 司馬遼太郎「世に棲む日々」文春文庫
  • 池田嘉郎「ロシア革命 破局の8か月」岩波新書
  • 安田敏朗「「国語」の近代史 帝国日本と国語学者たち」中公新書
  • 山本貴光「文体の科学」
  • 伊高浩昭「チェ・ゲバラ 旅、キューバ革命、ボリビア」中公新書

「どくとるマンボウ青春記」は相変わらず良い。昔は、旧制松本高校の寮時代の破天荒な頃の記述が好きだったが、今読むと、寮を出てからや東北大に行ってからの陰鬱かつ沈んだ雰囲気のところが良い。学生のときになぜもっと有意義な時間の使い方をしなかったのかと思わされる。もっとも30を過ぎてから読むものでもないのかもしれないが。

「世に棲む日々」は、大岡昇平が高杉晋作について書いていたので興味をもって読んだ。前半は吉田松陰、後半が高杉晋作。司馬作品はやはり面白いが、これも本来は大人になって読むものではないかも。解説を松本健一が書いていた。

「ロシア革命」は2月革命がなぜ失敗し10月革命に至ったのかを当時の経緯をたどりながら書いている。当時のロシアでは民衆との間に大きな断絶があり、権力を安定させるのに民衆の力を使うことができ、かつ権力を握った後には冷酷に弾圧することができたのがボリシェビキで、カデットやメンシェビキ、エスエルはそれができなかったんだとか。

「「国語」の近代史」は、植民地での日本語教育などの記載があったので読み始めたが、予想以上に面白かった。中国語をカタカナで表記し、日本語の学習を容易にしようと考えられた満州国における満字カナの存在などまったく知らなかった。また、敗戦によって、それまで植民地での使用を考えざるを得なかった日本語が事実上国内に限定され、国語学者たちは考えることが減ったが、それまで国語のあるべき姿を目指すためのお題目として「大東亜共栄圏での通用」としていたのをただ「民主化」と書き換えるだけで、その考えはさほど変わらなかったというのも面白い。昭和21年の現代仮名遣いは、元々は昭和10年の文部大臣の諮問があり、それを受けて行われたというのも興味深い。

「文体の科学」は、法律の文体に着目しているというので関心をもったが、それほど面白くはなかった。

「ゲバラ」は、キューバ革命史を丹念に追っていて勉強になった。キューバ革命直後、ゲバラは旧体制下の軍人や警官たちを処刑する役目を負わされていて、それはカストロが外部の人間であるゲバラに押しつけたとも言えるとか。

2017-03-15-Wed

最近のもの

  • ヨアキム・サンデル「スパイは泳ぎつづける」
  • 三上延「ビブリア古書堂の事件手帖7」
  • 大岡昇平大岡昇平歴史小説集成」
  • 光瀬龍「征東都督府」
  • 金成隆一「ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く」
  • 斉藤美奈子「文庫解説ワンダーランド」

「スパイ…」は北欧ミステリー。主人公が途中であっさり死んでしまうなど意外性が多い。最後が帳尻あわせ的に早足になるのが変だった。ブリュッセルのEU本部周辺の様子は、一国の首都とはまた違う雰囲気があるようで興味深かった。

「ビブリア」は最終巻で、6巻までは古本で買っていたがとうとう新刊で買ってしまった。シェイクスピアのオリジナル本が題材になっていて興味深い。

大岡昇平歴史小説集成」は、将門記が入っているので即買いしたが、そのほかの幕末ものも良かった。大島圭介についての作品の中で著者の比島山中での敗軍行の経験が語られていてぞくっとする。

「征東都督府」は、SFはふだん読まないが、戊辰戦争で幕軍側が勝った世界を描いているということで興味を持って読んだ。歴史改編をもくろむ者が、江戸初期に武蔵野に大きな湖を人為的に作ったために、戊辰戦争の道行きが変わったということなのだと思うが、よく因果関係が分からないまま最後は駆け足で終わってしまった。

「トランプ王国」は、アパラチア山脈付近のトランプ支持者が多くいる地域に、大統領選の前から通って取材していた著者がまとめたもの。ずっと民主党支持だった人たちが、今回ばかりはとトランプに流れていく様子がリアル。そういう人たちは4年後どのような判断をするのだろうか。

「文庫解説…」は、岩波の「図書」に連載されていたものがまとめられている。著者の文体は好みが分かれるだろう。内容はなるほどと思うものもあるが、文体で損をしている。

2017-03-01-Wed

最近のもの

  • 大江健三郎「水死」
  • 大江健三郎「晩年様式集」
  • 岩本裕「世論調査とは何だろうか」
  • 伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」
  • 黒木亮「ザ・原発所長」
  • 土肥恒之「興亡の世界史 ロシア・ロマノフ王朝の大地」

最近仕事に時間がとられてあまり読めていなかったが備忘としてまとめておく。

「水死」は5年ほど前にも一度読んだが、文庫の古本を買ったので再読。5年前も思ったが、最後の終わり方が納得がいかない。途中でのアカリとの衝突や自身の発作など、小説として面白い要素もあるが。

「晩年様式集」は文庫化されたので手を出したが、いまいちピンと来なかった。水死とつながっているのでつなげて読むのが良い。

「世論調査…」は、週刊こどもニュースを手がけていた著者が書いたもので、世論調査の歴史や、現在のやり方、回答率の低下という課題など簡単に分かりやすく書かれている。固定電話に限定されている現行の世論調査のやり方もそろそろ限界があるのでは。

「オーデュボンの祈り」は、伊坂作品の中でたぶん初めて読んだ。そういうグロテスクさが必要かなと思ってしまう描写もあったものの、小説として面白い

「ザ・原発所長」は吉田所長をモデルにした作品で、実際の福島第一原発の対応もさることながら、幼少期の様子や職業人生の中での原発との関わりなど赤裸々に書かれている。裏金工作の様子や、立地地域対策の話など、どこまで本当か分からないがリアル

「ロシア…」は、タタールのくびきの頃からの流れが短くまとめられている。タタールのくびきの影響をどう見るかというのは、ロシア史上大きな論点なんだろうと思うが、著者は割とネガティブにみる視点のようだ。