おめでとう

送還日記』と『ディア・ピョンヤン』を観て、顔ではにこにこしていても後ろ手で突っ立ったままの人よりか対岸から怒鳴り散らしながらでも腕を精一杯伸ばしてくれる人がいいな、と思った。


友人と夜桜能の日取りを話し合いながら、そういえば『停電の夜に』の「三度目で最後の大陸」で低く流れる母への思いは能の地謡に似ているかもしれないと一人で得心したつもりになっていたところ、母から携帯にメールが来て


> あなたが産まれた日は、あなたがなかなか出てこないので、
> 先生が仕方なく点滴しながらの出産でした。
> 雪が舞うとても寒い日でした。
> もうあれから30年ですね。
> 昨日の事のようです。
> 今年一年元気で過ごせますように。


その日の東京は風が強くて雲ひとつない青空でした。