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anti-monosの新メディア論 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-04-17

[] 個人そのものをコンテンツにするtwitterは既存メディアへの「最強の挑戦者」

twitterを2、3か月ほど、どっぷりとやってみた。そして、twitterは新聞やテレビなどの最強の脅威になると思うようになった。

  • 最大のコンテンツは個人の存在そのもの

twitterに書きこまれている内容は、他愛もないものがほとんど。「渋谷なう」とか言われても、これまでの新聞、雑誌、テレビだったら「それがどうした!!」という内容。ところが、twitterだったら、何となく興味深いものに感じられる。それは、つぶやきの内容と書きこんでいる個人の存在が切っても切れないものになっているから。「渋谷なう」という文章自体はつまらない。ところが、つぶやいている個人を直接知っている、あるいは自分が興味を持っている有名人だったら、「そうなんだ、渋谷で買い物でもしているんだ」などと思ってしまう。あるいはつぶやいている人に改めて親近感を抱くかもしれない。

つまり、つぶやいている内容自体に意味はなくても、つぶやいている個人そのものがコンテンツになっている。これは、新聞、テレビ、雑誌といった既存のメディアの鉄則とは根本的に異なる。あるいは、ブログのような、既存のネットコンテンツとも異なる。

新聞、テレビ、雑誌という既存のメディアで共通する特徴は、不特定多数が楽しめるということ。雑誌は新聞、テレビと比べると、かなり読者層がターゲッティングされているけど、不特定多数が楽しむという点では同じ。ところがtwitterは違う。不特定ではなく、特定された個人が楽しむのだ。逆にいえば、特定された個人しか楽しめない。

不特定多数に喜んでもらうためには、多くの人に受け入れられるための表現の作法が存在する。テレビだと、企画の立て方、映像のつなぎ方、構成の立て方…。制作上の作法を極められているかどうかが、プロとしての価値だ。作法を身につけるには、長い修練も必要だ。ところが、特定の個人だけに楽しんでもらうには「渋谷なう」だけでいい。それは「渋谷なう」という言葉そのものに価値があるのではなく、「渋谷なう」とつぶやいている個人に思いを馳せるから。つまりコンテンツとしての価値はつぶやきそのもの以上に、つぶやいている個人なのだ。匿名が普通だったネットの世界だが、twitterでは多くの人が実名登録というのは決して偶然ではない。匿名より実名の方が楽しめるからだ。まさに「究極の個人メディア」と呼べる空間が現れようとしている。

  • 実は既存メディアの延長線にあったこれまでのネットコンテンツ

日本で最も利用者数が多いネットコンテンツといえば、ヤフー。ネットコンテンツの老舗、ヤフーがこれまでの新聞やテレビ、雑誌の延長線にあるというのは、直感的にもわかりやすい。ヤフーニュースやヤフースポーツに掲載されているのは、まさに新聞社や出版社、テレビ局の情報だし、画面の構成もネット向けに最適化された雑誌の誌面を思わせる。

ブログにしても、まだ雑誌や新聞っぽい。ブログが粗いけれども、まとまった考えや行動を伝えるというのは、まさに既存メディアの特徴。そして、ブログの大多数が匿名で書かれているというのも、既存メディアと近い。

こう書くと意外と思われるだろうが、既存のメディアは、実はほとんど匿名の世界だ。例えば、新聞の記事、社説。署名記事は多くはないし、社説に至っては誰が書いているかもわからない。まさに「会社」の「説」なのだ。テレビや雑誌にしても、個々の制作者の名前が前面に出ることは稀だ。既存のメディアでもまとまった考えや何かを表現する。それは、極めて個人的な行いだし、製作者個々の人格や思考、感性に結びついている。だが、成果としての最終形は、個人名ではなく、雑誌名や番組名というブランドで再パッケージ化されて、世に送り出される。受け取る側も、いったんはそのパッケージに対して、何らかの価値を見出して、視聴するなり、購入している。

ブログは、既存メディアの独占であった情報の伝達手段が個人にも開放されたということであって、表現される内容自体はまだまだ既存メディアの文脈にあった。

既存メディアの特徴を引きずっていた、これまでのネットコンテンツ。逆に完全に切り離されている、twitter。性質があまりに違うがゆえに、既存メディアからは脅威とは見えないかもしれない。だが、確実に最強の挑戦者になりそう。

ブログより遥かに敷居が低く、誰でも何かを伝えられる、140文字。そして、つぶやく内容を受け止める相手がいる。それは実生活での交友関係をもとに広がる。誰でも簡単に入れて、受け止めてくれる世界。つまり、圧倒的に多くの人を包み込み、その時間を奪ってしまうのだ。テレビや新聞、雑誌が分け合う、個人の余暇時間を奪うという意味で、実は最強なのだと思う。

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