真魚八重子 アヌトパンナ・アニルッダ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

06-12-25

[]髪は洗わなかった

23日土曜日。山手線から一瞬見下ろした渋谷スクランブル交差点は、草間彌生のオブジェのように人の頭がブツブツ密集していて怖かったです。そんな中、一人で『スキャナー・ダークリー』を観にいって、わかってたけど激しくへこみました。続けて『プレスリーVSミイラ男』。男性の一人客が圧倒的に多く、虚しさ倍増。
映画を見終わったら23時を過ぎていました。渋谷を逃げるように去って、でも赤坂見附での乗り継ぎがうまくいかず、10分ほど電車を待っていたら黒人にナンパされたので、立ったまま寝たふりしてごまかしました。

クリスマスプレゼントに『花嫁人形』のシナリオ準備稿。映画がシナリオをすごく咀嚼していて、離れたところでの感応というエア恋愛を把握しているのがわかって感銘。

24日は飲み仲間主催のイベント行きました。イイお店だ。友人たちのDJを見て面白かった。みんな亜流すぎてカッコイイなあ。泡盛飲んでふざけてたら、家帰ってつぶれました。

[]スキャナー・ダークリー

監督:リチャード・リンクレイター、原作はご存知フィリップ・K・ディック。ディックのドラッグ経験を背景にした、麻薬で破滅していく男とその仲間たちのお話。実写映像にデジタル・ペインティングした作品で、出てくる俳優がキアヌ・リーブスロバート・ダウニー・Jrウィノナ・ライダーと、現実でも逝ったり来たりしてる人たちなので、不安定さの凄みが良いキャスティングです。

あやふやなまま落ちていく思った以上の取り返しのつかなさと、自分ひとりが壊れたくらいでも、世界はそんなことにかまわずいつも通り過ぎていくことが改めて悲しい。原作でも作者付記があってこそなのですが、本作も簡略化されたそれが出てきて激しく切ない。

[]らしゃめんお万 雨のオランダ坂

DVD買いました。昭和初期、上海で養父と暮らす金髪のハーフ、サリー・メイ。その父親が隻眼の男に殺された為、サリーは日本人の恋人・竜二に伴われて、自分を捨てた母の住む日本へ来る。だが、竜二は実はヤクザで、サリーは女郎屋に売られてしまう・・・。

隻眼の男を演じるのが大和屋竺なのです。あのアフロのようなモシャモシャの髪に、着流しで、アイパッチをしているというスゴイ見た目。サリー・メイは金髪で着物着て髪を結い上げてるし、なのにお話はほんとによくある任侠女復讐モノで、インパクトだけの映画(脚本は西田一夫)。

大和屋演じる隻眼の男・政吉がサリー・メイの養父を殺害したのは、兄貴分の竜二に言われたからですが、しかし竜二の借金でサリーが現在女郎屋にいると知った政吉は、ヤクザの賭場を襲い、その金でサリーを身請けします。

でも、二人の間に特に深いつながりが生まれるわけでもなく、サリー・メイの存ぜぬところで大和屋は大変かっこ良く最期を遂げたりする、なんだか異色の大和屋スター映画になっていました。曽根中生としてはガッチリとフォーマットの出来上がった任侠王道脚本をいじるのも大変だから、主役級のキャストにお友達でスゴイ顔の大和屋竺を持ってくるくらいしか、意趣返しが出来なかったのかなーと想像したり。

崇高で優しい交わりを持つ男女が肉体関係を結ばない、いわゆる騎士道精神の映画なのですが、その騎士道の尊い愛を捧げられるサリー・メイに情感が感じづらいので、男女の精神的交わりが主眼ではなく、男のかっこ良く生きて逝きたい映画になってしまってるなあと思います。それを同等以上に受けとめられる藤純子の美しい大きさよ。

この映画も、ロケ地とかセットとか頑張ってるのですが、何か全般に自由に遊ぶ隙がなくて、やる気や力が及んでない気がする。曽根中生のやはり近代時代劇『昭和おんなみち 裸性門』(脚本:大和屋竺)の独創性に比べると、微妙に他人行儀な気配がします。

監督:曽根中生、脚本:大和屋竺の『らしゃめんお万 彼岸花は散った』が観たい!一作目の遊ぶ隙のなさを、コチラの作品ではどうしたのでしょうか。