狼と香辛料
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
- 購入: 18人 クリック: 471回
- この商品を含むブログ (744件) を見る
評価 :C+
満足度:B
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ああ、そうだ。これもまたファンタジーのもつ姿のひとつだった。
その世界に生きる者達の生活や交流、様々なカタチを見せる心の遣り取り、そんな地に足をついたテーマをやさしく、時には厳しく物語る。
いまのラノベ市場では生まれにくい作品だったのに、望み期待するべき読者であった私がその事を失念していたとは、まったくもって不甲斐無い。や、これはとても良い作品でした。
社会経験を積んだ大人ながらもまだまだ若さと甘さを残した顎鬚生やした「行商人」ロレンス。老獪だけど寂しがり屋で意外とスキの多い花魁口調の「賢狼」ホロ。そんな二人の微笑ましくも心温まる交流を通じて紡がれる「人」と「神」の物語。
主人公が商人だけあってエコノミカルなエッセンスも加えられているのですが、それをただの味付け程度に終わらせず、キチンと物語に組み込む手腕はなかなか見事。多少荒さも感じましたが、方向性と着地点を間違ってない上手い使い方がなされていたかと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「狼と香辛料」というタイトルにある「香辛料」がどういう風に「狼」と掛かるのか楽しみにしてたのですが、「アノ出し方」はちょっと野暮ったかったかな。後付け感があるし説明的すぎます。んー、軽くニュアンス程度にとどめてて置いた方が粋だったんじゃないかな。作品世界のイメージはちゃんと読み手に伝わっているのですし。や、「意味」は良かったのですけどね。
この方にはこのままキャラクター描写力と抒情性に磨きをかけて欲しいなあ。
召喚教師 リアルバウトハイスクール
召喚教師 リアルバウトハイスクール〈13〉 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 雑賀礼史,いのうえ空
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
満足度:B
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あえて言いますけど薄いですな。物理的に。
この薄さで天魔降臨編の決着と、南雲慶一郎の過去編という独立した二本の話を入れて、それぞれキッチリ収めているワケですから不思議不思議。どちらも過不足なくといったクオリティでなかなか面白かったですし。<静かなる中条>な藤堂校長とフォックスハント・サムライダーがツボ。過去編のキャラの見せ方も良かった。あと、口絵見るまで表紙のダイナマイトナースが誰なのか素で解りませんでしたわ。祝、嫁復活。
ともあれ、次巻はもーちょい早く刊行して下さい。このクオリティを保てるのなら薄くてもかまわないので。