つきのうた

2020-01-01

カテゴリ紹介と注意事項


【古今集】… 最古の勅撰和歌集である『古今和歌集』に収められている歌。

【月】… さまざまな「月」の歌。(「有明の月」は除く)

【有明の月】… わたしが心を惹かれてやまない「有明の月」の歌。

【暁】… さまざまな「暁」の歌。

【雑】… 未分類の歌。

【百人一首】… 藤原定家が選んだ『小倉百人一首』に採られている歌。



※当ブログにおける和歌の現代語訳は、必ずしも文法や単語に忠実ではありません。

 碧による独自の解釈等を加え、わかりやすく、より情景が浮かびやすいように、と心がけつつ訳しているものです。

 大雑把に和歌の意味を把握したり、個人的に鑑賞したり、という用途で利用していただければありがたく思います。

 (学校の課題や論文に使用することはおすすめできかねます)

2012-02-06

長からむ心も知らず

[詞書]百首歌たてまつりける時、恋のこころをよめる


長からむ*1 心も知らず 

黒髪の 乱れてけさは 物をこそ*2思へ


待賢門院堀河*3(千載集・恋三・八〇二)


この想いは末永く続くだろう、と仰る貴方の気持ちも、信じてよいのかわからないのです。

寝乱れた黒髪と同じように私の心も乱れて、今朝は物思いにふけるばかりです。

(貴方の温もりが消えてしまった寝床は、私の心を一層不安にさせるのです)



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*1:“長くあるらむ”を縮めた形。

*2:こそ−思へ:係り結び〈強意〉

*3:たいけんもんいんのほりかは

2011-04-21

あたら夜の月と花とを

[詞書]月のおもしろかりける夜、はなをみて


あたら*1夜の 月と花とを おなじくは 

あはれしれら*2ん 人に見せばや*3


源信*4(後撰集・春・一〇三)


明けてしまうのが惜しいほどの夜、月と花とを同時に観賞したら、「あはれ」という言葉の意味が自然とわかることでしょう。

この美しい景色を、多くの人に見せたいものです。

(本当の「あはれ」というべき情景をたくさんの人で共有できたら、もっと素晴らしいことでしょう)

*1:惜〔連体〕:惜しむべき、大切な。

*2:知れる〔動・ラ行下二段〕:知ることができる、自然とわかる。

*3:ばや〔終助〕:〜したいものだ(自己の願望)

*4:みなもとの さねあきら

2011-04-15

春霞たなびきにけり

[詞書]延喜御時、歌めしけるにたてまつりける


春霞 たなびきにけり

久方の*1 月の桂も 花や*2咲くらむ*3


紀貫之(後撰集・春上・一八)


春の霞がたなびく季節になったのだなあ。月に生えているという桂の木も、今頃、花を咲かせているのだろうか。

(秋に美しいともてはやされる月や桂だけれど、春には春の美しさがあるのだ)


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*1ひさかたの枕詞〕:雨・月・雲・空・光などにかかる。

*2:や−らむ:係り結び〈疑問〉

*3:らむ〔助動〕:〜しているだろう(現在推量)

2011-04-05

今ぞ知るあかぬ別の

[詞書]男のはじめて女のもとにまかりてあしたに、雨の降るに帰りてつかはしける


今ぞ*1知る あかぬ別の 暁は

君をこひぢ*2に ぬるゝものとは


よみ人しらず(後撰集・恋一・五六七)


今はじめてわかりました。名残の尽きない別れをせねばならない暁は、貴女が恋しくて堪らなくなって、わが恋に涙してしまうものなのですね。

(一時の別れがこんなに辛いものだとは……私とともに、空も泣いてしまうくらいに)


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*1:ぞ−知る:係り結び〈強意〉

*2:「恋ひ」と「恋路」の掛詞

2011-03-30

月夜にはそれとも見えず

[詞書]月夜に梅花を折りてと人のいひければ、折るとてよめる


月夜には それとも見えず 梅の花

香をたづねてぞ*1 しるべかりける


凡河内躬恒古今集・春上・四〇)


月夜には、梅の花は月の光にまぎれてしまっています。でも、その芳しき香りをたどれば、見つけられるんですよ。

(ですからほら、こうしてあなたの為に、梅の枝を折ってさし上げることができたのです)


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*1:ぞ−ける:係り結び〈強意〉