暗いニュースリンク: ミャンマー:軍政とビジネス

暗いニュースリンク: ミャンマー:軍政とビジネス

AFPの報道によれば、ミャンマーの天然資源開発には、中国海洋石油(CNOOC)、中国石油化工(Sinopec)、タイ石油開発公社(PTTEP)、Petronas(マレーシア)大宇インターナショナル(韓国)、トタル(仏)、シェブロン(米)ONGC Videsh(インド)等が参入しているという。また、日本政府は新日本石油開発と共同出資で日石ミャンマー石油開発を設立し、イェタグン・ガス田を管理している。これら企業のうち、今回の騒乱を懸念して事業計画を変更したり、政府から撤退を指示された企業は今のところ一社もない。新日本石油の広報担当者はAFPの取材にこう説明した:「政治情勢とエネルギービジネスは別の問題と考えています。」

国際人権NGO団体のヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、2006年度にミャンマー軍政が天然ガス開発事業から得た総収入は21億6,000万ドル(約2,524億1,700万円)。この金の一部が、ミャンマー軍事政権が中国、インド、ロシアから武器を購入したり、軍事支援を求める際の資金源になっているという。

ミャンマー軍政の最大のパートナーである中国政府は、「内政には干渉しない」として制裁には慎重姿勢のままだ。つまり、政治情勢と武器ビジネスは別の問題、というわけだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのブラッド・アダムズ氏は言う:「ASEANが歯に衣を着せなかったにも拘わらず、中国、ロシア、インド並びに日本は、冷静な対応を求めるというだけより若干強い声明を出しているにすぎない。こうした国々の冷静さを求める声は、ビルマでの銃声や殴打、そして拘束にかき消された。」

ミャンマー軍政の弾圧により、これまでに何人の犠牲者が出たのかは不明だが、関係各国首脳や企業の方々の説明を鑑みると、いちどスタートしたビジネスを、発表だけでなく実際に中止するのは非常に困難のようだ。もっと多くの犠牲者がいないと、仕事を途中で投げ出すわけにはいかない?ということなのだろうか?

どの国も自国に多大な影響を与えなければ、ビルマに対しては制裁らしい制裁もしない、いいかれれば、ビルマの人々の人権抑圧を糾弾する事よりもビジネス優先、それによって得られる利益優先ということか。日本政府においても、ビルマ北朝鮮に比べれば自国に対する脅威とはなっておらず、日本人ジャーナリストが一人死んだぐらいでは、利権を放棄するわけにはいかないのだろう。