デザインとは、価値の発見を担うものです。_iMacのデザイン革命

 
私たちは、「あるがままのモノ」を、客観的に見ているわけではありません。
見たモノに貼付けられている「解釈」によって、
モノの価値を「発見(評価)」させられています。

その大切な役割、「発見」を担うのが、デザイン(ビジュアル化)です。

ゆえに、モノに貼り付いているカタチの「解釈の問題」に気付き、
その「解釈を書き変える」ことで、「創造的な変化」を
つくりだすことができます。

デザインも「解釈の創造性」が力を発揮します。

1998年に発売されたアップルの初代「iMac」は、
世界が驚いた「パーソナル・コンピュータのデザイン革命」といわれています。

当時、パーソナル・コンピュータのスタイリング・デザインは、
「スクエア(四角)」タイプの系統が永く続き、
色も、ホワイト系かブラックです。コンピュータの正体は計算機であり、
数理的・合理的な意識を感じさせるスクエアは、従来からのコンピュータの
支配的な解釈「ビジネスマシーン」にふさわしいものでした。
さらにこの解釈は、パーソナル・コンピュータの黎明期よりずっと続いただけに、
誰もが、このスタイリングに疑問を抱けなくなるほどの支配的な解釈として、
私たちの心に、べったりと貼り付いていました。

しかし、アップルは、パーソナル・コンピュータに貼り付いている
このスクエア・デザインという「解釈」が、「死んでいる」ことを読んでいたのです。

ゆえに、すべてが意外性(刺激)にあふれていた「iMac」の登場は、
パーソナルコンピュータのスクエア・デザインに退屈(麻痺)していた
私たちの目と心を、鮮やかに醒まさせました。

それは、美しい曲線によるスタイリング、
ビビットな多色展開されたカラーリング、スケルトン・ボディ(半透明ケース)、
ポップでカジュアル、オシャレなデザインです。


美の役割の大きさを暗示するのは
エステティック(美)」の反対語である「アニステティック(麻痺)」が
「無感覚」(生きながら死んでいる状態)を意味するということである、
といいます。(感覚の世界:イー・フー・トゥアン著より)

「美」は、生気を失っているものを、蘇生させ、輝かせるものです。

それは、モノゴトの「解釈」を、書き変える力(刺激)でもあり、
その起点になってくれます。ここに、デザインの創造性が存在しています。

この「デザイン革命」を実現させた原因は、
当時のパーソナル・コンピュータ業界に新しい時代が訪れていたからです。
それが分かるのは、「iMac」の購買者の32%は、これまでにコンピューターを、
買ったことのない人たちだ、ということです。

iMac」は、インターネットを楽しむ
普通の人のためのコンピューターという解釈でデザインされており、
そのデザインは、「オフィスにある事務機のようなビジネスマシーン」ではなく、
プライベートルームのための「素敵なインテリア・ファニチャー(調度品)」
としても解釈(発見)されたはずだからです。

デザイン(カタチ)は、単なる美醜の問題ではありません。
やみくもに、ただ美しくしても、人の目や心にヒット(アクセス)しません。

私たちは、「あるがままのモノ」を、客観的に見ているわけではありません。
見たモノに貼付けられている「解釈」によって、
モノの価値を「発見(評価)」させられています。

その大切な役割、「発見」を担うのが、
デザイン(ビジュアル化という創造性)です。

つづく・・・・・・・


by Axle
 

形の美しさの前にある切実な飢えが人を動かします。
美とは、何か?、それは人の急所です。


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