2009-05-31
自民党政治の終わり (ちくま新書 741)
今日、自民党政治の終わりは誰もが予感し、あるいは確信している。しかし。それにも拘らず、自民党システムに関わりうる制度を私たちは持っていないのではないか、本書を読了してはじめに感じたことである。
本書は、導入で小沢一郎というある意味自民党システムを体現してきた政治家と、小泉純一郎というシステムの破壊者とみられている政治家を取り上げ、その歩みを紹介することからはじまる。そのうえで自民党システムとは何かを丁寧に解説していく。当選回数主義に裏打ちされた人事のシステム、政治家の個人後援会と各種業界団体に支えられたボトムアップ型の組織として自民党の姿がはっきりと描かれる。評価は、論者によってさまざまだが、現実として自民党が日本の政治を担ってこれたのは、一定こうしたシステムが世論を吸い上げ、その願いを実現してきたからだと考えられる。
そうした自民党が政権を当たり前のように担ってこれた時代は、冷戦の終焉、グローバル化の避けようも無い進展などを受け終焉を迎えようとしている。企業経営において、成功体験を持つ企業がピンチに陥った場合、その成功体験が華々しければ華々しいほど、成功体験に固執せず改革をおこないピンチを乗り越えることが非常に難しいという話を聞いた事がある。ある意味、自民党も同じだったのかもしれない。
日本の成功、繁栄を導いたシステムとしての自民党であるとの自負も強よかったのだろう、この20年、自民党は抜本的な組織改革にあらゆる意味で取り組めず、あるいは失敗し、一時を取り繕う策に終始してきた。その結果として今日遂に終わりの日を迎えようとしているのだろう。
筆者は、本書の最後で自民党システムに変わりうる新しい政治システムとして、根本に立ち返った提言をおこなっている。つまりヨーロッパ標準の議員内閣制の本格的な導入である。いうまでもなく形式的には、日本は昔から議員内閣制をとっているが、筆者の言うヨーロッパ標準の議員内閣制とは、5つの要素からなっており、それが日本の議院内閣制には不足していると指摘していると私は読んだ。すなわち5つの要素とは、「政権交代」、「議会の一院と二院の機能の差別化」、「選挙時における明確な政策体系の提示」、「政府に一定の主導権を認める。与党が政府と退治することは認めない」、「説明責任を担保するためのルールと透明な仕組みの構築」である。こうやって書いてみると特に目新しいことでないことがわかる。当たり前の提言と感じる。
結局はオーソドキシーな制度に帰らざるを得ないという提言になんというか私は、日本の政治の現実を感じ、読後わずかな疲労感とでも表現するしかない感情を覚えずにはいられなかった。
- 作者: 野中尚人
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/09
- メディア: 新書
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kizasiで視る河村たかし
今朝、日経ビジネスアソシアに目を通していて1週間あたりのブログの記事件数をキーワードに基づいて検索できる『kizasi』がマーケティングに使えるウェブサイトとして紹介されていました。そういえば、こんなサイトあったなと思いながら、早速ためしに「河村たかし」を検索してみました。ちなみにちゃんと私のブログも検索結果に含まれていました。ちょっとうれしいかも(笑)
| 週 | 記事件数 |
|---|---|
| 3/30〜4/5 | 17件 |
| 4/6〜4/12 | 39件 |
| 4/13〜4/19 | 69件 |
| 4/20〜4/26 | 157件 |
| 4/27〜5/3 | 460件 |
| 5/4〜5/10 | 90件 |
| 5/11〜5/17 | 102件 |
| 5/18〜5/24 | 77件 |
| 5/25〜5/31 | 72件 |
グラフを読んで結果を週ごとにメモしたものが上記の件数です。選挙の投票日を挟んだ4月末から5月頭にかけてブログで取り上げている方が爆発的に多いのはあたりまえですが、就任一ヶ月たっても積極的にメディアに露出しコンスタントに話題を提供していることもあってかなかなか人気がありますね。ちなみに参考までに中田宏横浜市長や平松邦夫大阪市長も検索してみましたが、河村たかし名古屋市長の方がずいぶん人気があるという結果がでました。まあ、就任後の年数がまったく違いますので単純に比べることはできませんが。また、橋下徹大阪府知事は別格で就任一年たっても熱心に取り上げている方が多く、相当数の記事があがっていました。このレベルまで河村市長がいけるかどうか、6月議会ももうすぐ始まりますし目が離せないところです。
労働再規制―反転の構図を読みとく (ちくま新書 748)
はじめ本書を手に取ったとき正直面食らった、内容のことでなく、文体がですます調、それも口語に近いような文体で書かれていたからである。よく読んでみると筆者のブログ記事を下敷きに新書にまとめたものだということで、文体がそうなるのはある意味必然と理解できた。私もブログの地の文は口語に近い形で書いているので考えてみるとこれは珍しいことではない。ただ、テーマの硬さと文体のギャップがどうも最後まで気になって仕方がなかった。
さて、文体についてはともかくとして、本書は、新自由主義的労働政策に対する反転攻勢が官僚の側からおこっていることを審議会の議事録や報道等の公開資料からあきらかにしていく。その点に注目すると大変よくできた政策過程論のテキストとして読むこともできる。筆者の論を是とするか非とするかは人それぞれとして、その気になれば筆者のような研究者でなくとも公開情報を駆使して一定の説得力のある議論をブログ等で通じて展開することができる。そうした可能性を提示した書ともいえるのではないか。
- 作者: 五十嵐仁
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/10
- メディア: 新書
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50年前の憲法大論争
昭和31年3月16日、衆議院内閣委員会公聴会で政治学者や社会学者の公述人3人に対して与野党の八人の議員が議論を挑んだ記録を発掘したもの。国会の議事録には時々このような貴重な論戦の記録がある。本書を読むと憲法をめぐる論点は、すでに50年前にあらかた出尽くしていたのではとさえ思う。憲法を考えるうえで必ず一読しておきたい書。
- 作者: 保阪正康
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/19
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昭和史入門
当事者への聞き書きを中心に昭和史を描いてきたノンフィクション作家が昭和を考えるうえでのアプローチの仕方や昭和への思いをつづった一冊。表題には入門とあるが、単純な昭和史への入り口の書というよりは、筆者の昭和という時代への関心、視点の持ち方が率直に書かれており大変興味深い内容となっている。筆者の考え方をどう評価するかは別として、昭和という時代への真摯な思いが伝わってくる良書。
- 作者: 保阪正康
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/04
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昭和の名将と愚将 (文春新書 618)
おそらくお二人の好みでどの軍人を取り上げるのか決めたのか、結果的に有名、それほど知名度の無い軍事まで多様な人物が紹介され評されている。人物の側面から日本の近現代史を考えてみた人には手軽でお薦め。対談形式のためすらすらと読める。ただし、これ一冊を読んでよしという内容ではない。あくまである識者の見方という視点で読む必要はある。
- 作者: 半藤一利
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02/18
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サンデープロジェクトと年金
日記 |
皿を洗ったり、メールに返信したりしながらサンデープロジェクトを久しぶりに観ました。相変わらずだなあというのが実感。与野党ともにそれなりに話せる論客が出ているわりには話が深まらない。今日は、北朝鮮問題や年金問題などが議論の遡上に上がっていました。これは、司会(田原氏)が悪いのか、まあ、最初からテレビ番組というのは議論をすり合わせるための場ではないのだろうが、外交政策はもちろんだけど「年金」という生活や将来に直結する分野で国会議員が実のある議論をメディアでみせることができないというのは、それそのものが社会保障制度への不安をあおるのではないかと朝から考えてしまった。


