- asuna

aotoao2003-10-30

playback from commune-disc

commune-discからの新しいシリーズ"playback"は、非常にユニークなライブレコーディング集である。
ライブ音源といえば、その場で起きた生の感覚をCDでも再び味わうことが出来るようなイメージがあるが、このシリーズではいささか趣が違うようだ。そもそも録音という行為において、レコーダーやマイクロフォンというテクノロジーが介在している時点でライブがそのまま再現されることなどあり得ない。しかもこのシリーズでは1970年代のアンティークとも言えるような携帯用カセットレコーダー[TC-1100B]によってライブが録音される。当然テープ独特のヒスノイズが混じり、極端に高音域・低音域がカットされたような音になってしまい、いわゆるライブレコーディングからは程遠い。しかしながら、これこそがこのシリーズのユニークな点なのである。この一連の録音作品では常にその[TC-1100B]で録音された音の特徴が顕著にあらわれており、時には個々のアーティストの演奏以上に際立っている。いわばこのシリーズは、各々のアーティストのライブ演奏が[TC-1100B]というフィルターがかけられることによって成り立っている作品集なのだ。
カセットテープに慣れ親しんで来たものならば、この音の特徴はいくぶんかノスタルジックに感じられるだろう。テープ独特の音の揺れ、暖かみのある音。このカセットで録音されたCDRをカセットテープにダビングして聞いてみるのも面白いかもしれない。






□ ASUNA

『commune-disc』 "playback" シリーズのフライヤーに寄稿。(2003.10.30)


その後『Improvised Music From Japan 2005』誌上にてcommune-discのオーナーのaen氏が上記とほぼ同じ文章を勝手に氏自身のものとして掲載していますが事前にひとこと連絡くらいくださいよー…。