皐月の異



声も出なくなった。
いつの間にか上手いこと句読点を操るようになった。
頭痛の現象を観察することも、頭痛の原因を探ることもしなくなった。
砂山が崩れていくように、自分の何かが形を無くしていく。
そんなことも耳の奥で少しだけ小さな音として感じるだけの今。
人生というものが、よく分からない。