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Apes! Not Monkeys!  本館

2016-08-25

[]ウニを100円で食えなきゃダメですか?

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私の知るかぎり、マスメディアでニホンウナギの“代役”ウナギが大々的にとりあげられる嚆矢となったのがテレ東系列で放送されている「ガイアの夜明け」なのですが、8月23日放送分はウニとクロマグロのコンボ!

日本人が大好きな寿司ネタである、ウニとマグロ。世界の生産量のうちの多くが、日本で消費されている。しかし近年は世界的な食材争奪戦や気候変動による不漁などによって、こうした食材の確保が難しくなっている。そんな中、これまでの仕入れのやり方を見直し、生産地に日本の技術を持ち込むことで、日本人が求める味を確保しようという動きが活発になっている。そうした新たな食材調達の現場を追った。

前半は、回転寿司チェーンのスシローが1貫100円で出すウニを仕入れるために、ペルーまで行って水産加工場の処理プロセスを改善、というお話。「どうせ喰うなら旨く喰おうぜ」で結構なはなしと思われるかもしれないが、値段が安くなればカジュアルな消費を増やし、漁業圧を高め、絶滅を招くかもしれないわけですよ。ちなみに、国際的に取引されるウニのうち日本がどれくらいを輸入しているかといえば……。

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後半は(おそらく)地球温暖化の影響で、それまで獲れなかった大西洋クロマグロをアイスランドで獲ろう(現地の漁業者に技術指導して輸入しよう)というお話。「マグロの回遊コースが大きく変化している」という事実にもっと慄いたほうがいいと思うんですけどね。で、日本に届いたマグロが運ばれた先が銀座・久兵衛でした。そう、2013年のテレビ番組でクロマグロが「希少」になっているという実感はない、と言ってのけた主人の店です。


日本のマスメディアが生物多様性コンシャスではない企業や店舗を持ちあげなくなる日は来るのでしょうか……。

2016-08-24

[]「“加害企業”救済の裏で〜水俣病60年「極秘メモ」が語る真相〜」

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8月23日放送の「クローズアップ現代+」、「“加害企業”救済の裏で〜水俣病60年「極秘メモ」が語る真相〜」

番組で紹介された文書の内容について、藤井裕久元財務省が率直に「この通りだ」と認めていたのは印象的でしたが、やはり姑息な手法が被害者への誹謗を助長したのではないかと思わざるを得ません。原因究明の遅れには国にも責任があること、患者の犠牲で達成された経済成長はこの社会の多くの人間が享受したことを前提に、正面から確実に補償を実行する方法を議論すべきだったと言わざるを得ません。

2016-08-01

[]日本の縮図

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テレ朝系列の朝のワイドショーより。なにが「うまいものはうまい」だよ。なにが「子供が楽しみにしているので」だよ。

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絶望的な気分になるのは、例の金魚の放流の件を「きちんと議論して」云々とまとめている点です。「絶滅危惧種をとっちゃダメ」とか「人間がいじくり倒した生物を放流しちゃダメ」とかって、そんなの議論するまでもないことじゃないですか。

俗情が専門家の知見をやすやすと踏み潰していくという点で、歴史修正主義にも通じる問題ですね。

2016-07-30

[]絶滅記念日(予定)

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スーパーで、デパ地下で、コンビニで、ファーストフードチェーンで、ひとつの生物種を抹殺するプロジェクトが晴れやかに行われていました。みんな、笑顔で。売る方も、買う方も、幸せそうでした。

あと何年かたてば、土用の丑の日は「日本人がついにウナギを食べ尽くした日」として記念日になるでしょう。国民の祝日になるかもしれません。大人たちは子どもたちに言うでしょう。「君たちもあと10年早く生まれていれば、最後に養殖場に池入れされたウナギを食べることができたのに」と。

夏の暑さとともに人々は奇妙な喪失感を覚えるようになるでしょう。「あれ、なにかが足りないな」と。でも「ま、いいか」とすぐ忘れてしまうに違いありません。たかがウナギですから。

いくつの種が滅びたら、ひとは学ぶのでしょうか。「とりかえしのつかないことはとりかえしがつかない」と。

2016-07-24

[]尻すぼみな陰謀論

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なんやかやと田中角栄ブームだそうですが、『産経新聞』も【角栄逮捕・40年後の証言】なる連載を始めています。となると気になるのはロッキード事件陰謀説をどう扱っているか、です。

連載第2回の「無罪を信じ米国人代理人を断った元首相…依頼した石井一氏は「追い落とそうとした米政権のワナにはめられた」」は、例によって大久保被告がほぼ全面的に自供しており、嘱託尋問調書の公判における価値は極めて限られたものになっていたこと、を無視していますね。第3回は「虎の尾踏んだ田中の自主外交 米公電が示した不快感「対米従属批判を恐れた」」とおおきく振りかぶって見せますが、米政府の事件に対する態度について「国務長官になっていたキッシンジャーは、この公聴会に先立つ75年11月28日付で司法長官、エドワード・レビ宛ての書簡で、ロッキード社の資料公開に異議を唱えていたことが分かっている」と認めざるを得ず、尻すぼみに終わっています。

[]FNSドキュメンタリー大賞「死刑囚と姉」

素人目にもいまだ長期間の拘禁の影響が残る袴田さんだが、番組内でもナレーションで指摘されていたように、はやり釈放直後とは表情からして違う。いまさらながら、再審開始決定と同時に釈放命令が下ったことの重要さを感じた。

なおこの番組では虚偽自白の心理について浜田寿美男氏や高木光太郎氏のコメントではなく、日本評論社から刊行されている『なぜ無実の人が自白するのか―DNA鑑定は告発する』(S・ドリズィン、R・レオ)が援用されていた。訳者は現在、アダルト・ビデオへの出演強要問題を告発してちょっとした時の人となっている伊藤和子弁護士。

ただ、袴田事件における「虚偽自白の心理」としては特に問題のない説明だったが、任意の取り調べの段階や逮捕からまもなく起きる虚偽自白のケースについては誤解を与えてしまわないかな、と少し心配になった。虚偽自白を引き起こす要因はただ一つではないので、あるケースで重要だったファクターが別のケースではほとんど効いていないこともある、ということをここで微力ながら補足しておきたい。