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Apes! Not Monkeys!  本館

2012-05-06

[]「親学」的なものは右派の世界観の現れ

f:id:apesnotmonkeys:20081226100549j:image:right

大阪市の「家庭教育支援条例」案はその背景にある疑似科学的な主張が問題視されたため、そのままの形で成立することはないでしょう。しかしながら、これは「維新の市議団が運悪く疑似科学的な主張にひっかかってしまった」ために起きた問題ではありません。「親学」が右派の世界観、人間観によくマッチする主張だからこそ、その科学的な妥当性(のなさ)なんて気にせずに飛びついたわけです。当ブログの読者の方は、産經新聞が以前に(04年と06年)インテリジェント・デザイン説への提灯記事を載せたことをご記憶だと思いますが、これも統一教会への義理立て(だけ)というわけではなく、進化論=唯物論=道徳教育に悪い、という右派の発想にID説がマッチするからでもあります。科学が右派の世界観、人間観を支持してくれない領域においては、右派はどれだけ批判されても疑似科学に支持を求め続けるでしょう(南京事件否定論などもその例)。

ところで、かつての社会生物学論争を想起すれば明らかなように、一般に「氏か育ちか nature or nurture」問題においては右派が生得性の強調を好み、左派は環境の強調を好む傾向があります。教育という文脈では三浦朱門の「出来ん者は出来んままで結構」発言や江崎玲於奈の「いずれは就学時に遺伝子検査を行い……」発言(とそれに対する反響)などが例証となるでしょう。生得性の強調は右派が持ちがちな本質主義的民族観にもよくマッチしますし。「政治的DNA」とか言ってた右派政治家もいましたよね。

しかし右派が、発達障害については、「生得的なもの」とする定説ではなく「育て方のせい」とする説に飛びつこうとしているのはなぜか? といえば、この場合「育ち」「環境」といってもひたすら親のことだけが考えられており、左派が強調したがるような意味での「環境」が重視されているわけではなく、その限りで右派の世界観とは整合的なのです。

usi4444usi4444 2012/05/06 17:23 人口減は国家を重視する人々には重大事のはずなのですが
1.57ショックから20年経っても少子化を食い止められないのは
「親学」的なものと関係があるのだと思います。

http://p.tl/D9qT-
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2009/21webhonpen/html/i1210000.html

Gl17Gl17 2012/05/06 19:20 ネットで保守を標榜するアルファブロガーの大物・切り込み隊長(やまもといちろう)氏は、この件が悪評を呼ぶや「あれは俺の思想に合わないから、保守性とは関係ない」と、すかさず逃げを打ってましたね。

世間的に「保守」の代表として扱われる大物連中、そして保守派として隊長も支持してきた連中が、アレの中核として関わってることは、決して保守一般にとって他人事じゃないと思いますけど。
(無論日本社会一般にとっても深刻ですし)

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/06 19:40 usi4444 さん

>1.57ショックから20年経っても少子化を食い止められないのは
>「親学」的なものと関係があるのだと思います。

まったく同感です。多少なりとも有効そうな手だての実現にとって、「親学」的なものの好きな勢力が最大の「抵抗勢力」ですね。

Gl17さん

>この件が悪評を呼ぶや「あれは俺の思想に合わないから、保守性とは関係ない」と、すかさず逃げを打ってましたね。

このエントリですね。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/05/post-3c90.html
そんなことは安倍晋三や稲田朋美を見事自民党からパージして見せてから言えや、って感じですね。

tikani_nemuru_Mtikani_nemuru_M 2012/05/06 20:17 >この場合「育ち」「環境」といってもひたすら親のことだけが考えられており、左派が強調したがるような意味での「環境」が重視されているわけではなく、その限りで右派の世界観とは整合的なのです。

親の問題を「環境」とは認識していないということでしょうね。
要は責任を社会が引き受ける必要がないのなら、「環境」も大好きだということです。
あと
親学とやらが子供に親への「報恩」を要求しているのが気になります。
テンノーは日本国の「お母さん」ですからね。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/06 20:22 >親の問題を「環境」とは認識していないということでしょうね。

あえて言葉にするなら「宿命」とかですかね。左派が考える「環境」よりははるかに「生まれ」に近いものなんだろうと思います。

田中田中 2012/05/07 05:57 公教育が責任を負う領域を拡大したほうが、政府に都合のいい人材を育てやすいはずなんですけどねえ。

mash_plusmash_plus 2012/05/07 06:37 今回の「条例」案は、それが疑似科学的な主張を帯びてることもが問題ですが、それ以上に(掲示板でホドロフスキさんもおっしゃってたとおり)条例レベルだとはいえ、公権力が家庭に直接介入しようとしてるも同然ですからね。そっちの方がもっと問題ですよ。橋の下を支持していた女性層(どの程度いるか分かりませんが)もさすがにこれには反発せざるを得ないんじゃないでしょうか。となるとはたしてどういう展開になるのか…そこが非常に興味深いんですが。
だいたいこの条例の主張は要するに専業主婦を増やすことが目的なわけでしょうけど、しかしながら今のご時世、子育てに専念できる専業主婦の女性なんて何人いるんでしょう?そこからして「???」なんですが。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/07 09:00 田中さん

「政府に都合のいい人材」は一握りいれば十分で、後は「都合の悪い人材」にならず「実直な精神」(三浦朱門)だけ身につけてくれればいい、ということなんでしょうね。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/07 09:09 mash_plus さん

>条例レベルだとはいえ、公権力が家庭に直接介入しようとしてるも同然

日本の保守の場合、こういうパターナリズムに対してほんとためらいがないですからね。

>橋の下を支持していた女性層(どの程度いるか分かりませんが)もさすがにこれには反発せざるを得ないんじゃないでしょうか。

維新があんなもの持ち出すのはこれっぽっちも以外ではなく、ごく自然なことなんですけどねぇ。

田中田中 2012/05/07 12:26 apesnotmonkeys さん:
 それなら「発達障害の者は発達障害のままで結構」となるはずですが、そうはいわないところをみると、何か「都合の悪い」ことがあると思ってるわけでしょう? なのに、この問題に関して知識もノウハウもある専門家を利用する仕組みを考えずに、単なるど素人の親になぜ責任を負わせようとするのか(負えるはずがないのに)が疑問です。

mash_plus さん:
 伝統的な日本の家族制度には「専業主婦」なんて存在しないですよ? (「主婦」という概念は存在するが、意味がちがう) というのはさておき。
一般の親は、主観的にはよい子育てをしているつもりの人が大部分なので、自分たちが介入の対象になるかもしれないという危機感はないし、「問題家庭」に権力が介入することに対する反発はほとんどないんじゃないかな、と。

rawan60rawan60 2012/05/07 14:39 田中さん

>それなら「発達障害の者は発達障害のままで結構」となるはずですが、そうはいわないところをみると、

「すべからく面倒を見る」という気なんてさらさらないわけですよ。「親子の関係はかくあるべし」「学校教育はかくあるべし」という教育勅語的体制を提示して、適応できないものは「自己責任論」で最初から切捨てを前提としたアリバイ作りでもあるわけです。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/07 17:59 田中さん、rawan60 さん

「実直」なだけの非エリートは彼らの考える「社会秩序」を乱すどころかむしろ秩序を支える存在であるのに対して、「発達障害」の子どもは秩序の撹乱だと思ってるからではないでしょうか。

rawan60rawan60 2012/05/07 18:27 6月議会の提出を撤回しましたね。

ユースケユースケ 2012/05/07 19:12 rawan60さん

すいません、文意がよく分からなかったのでご質問させてください。

>「すべからく面倒を見る」

上記の文章は以下のうちのどちらの意味でお使いでしょうか?

1、是非とも面倒見るべきだ。

2、すべて面倒を見る。

お手数ですが、お答えいただけると幸いです。

rawan60rawan60 2012/05/07 22:33 ユースケさん

「須らく」の誤用ですね(笑
まあ、「両方」としておいてください。

田中田中 2012/05/08 06:30 apesnotmonkeysさん:
>「発達障害」の子どもは秩序の撹乱だと思ってるからではないでしょうか。

それなら、なおさら、秩序を撹乱されないようにただしく対処しなきゃいけないはずなんですよねえ。

ただ、rawan60 さんのコメントをみて考えたんですが、
実は「氏か育ちか」という対立ではなくて、

「環境要因」−「生得的要因」−「自己責任的要因」

というような構図でものごとをとらえていて、右に行くほど切り捨てやすいと思っているのかも。
それで「親の育て方」がなぜか「自己責任的要因」にいれられてしまっていると考えれば、いちおう理解はできそうな気がします。どうやったら秩序を維持できるかというような問題はそもそもどうでもよく、単に社会ができるだけ責任を負わなくてよいような理屈をさがしているだけ、という。

ユースケユースケ 2012/05/08 08:24 rawan60さん

お答えいただきありがとうございます。

田中田中 2012/05/08 18:20 zeroset さんのブックマークコメントでいいのか:
>基本「イエ」単位で考えたいという欲求があって、それ以上の還元化〔ママ〕には抵抗したいってことなんだろうなあ。

そうすると、親 (族) の選択は本人の選択とおなじものなのであって、「環境」などではありえないことになりますね。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/08 20:39 田中さん

政治的、イデオロギー的闘争は「なにが変更可能/変更すべきで、なにが変更不可能/変更すべきでないか」を巡る争いという側面を持っていると思いますが、右派にとっては「現在の社会秩序(ないしはほとんどの場合過去に措定されたあるべき社会秩序」こそが「変更不可能/変更すべきでない」ものです。とすると、原因を生得的なものに帰属させるか親の育て方に帰属させるかは、いずれにしても現在の社会秩序を変えずにすむという点で交換可能な選択肢なのかもしれませんね。
もしそうだとすると、単に「発達障害は生得的なもの」という「科学的」知見のみを強調するのはかなり危ういかもしれません。「親学」の代わりに「女は20代のうちに子どもを産め」とか、さらには優生学的な主張が出てくることになってしまいかねませんから。

田中田中 2012/05/09 12:23 >過去に措定されたあるべき社会秩序
 日本史上の著名人には、現在の基準からは発達障害とみなされそうな人が大勢いるように思うのですが、かれらがその辺の認識にどう折り合いをつけているのか知りたいところです。

>発達障害は生得的なもの
 「科学的」な知見からわかるのは、単に、生得的な要因によって発達の過程にさまざまなばらつきが生じる、というだけのことなのであって、広く分布している発達の様態のうちでどの部分を「標準」とみなすかとか、標準でない発達を遂げた人がどのようなあつかいを受けるかは社会制度が決めてるんですけどね。実際のところ、発達障害への対応としては、標準的な発達過程をたどるように矯正するというのではなく、むしろ標準的な発達をしている人のほうが、非標準的な発達過程やそこから生まれる思考やコミュニケーションを理解すべき(そうすることで、学習や社会生活に支障がでるのをふせぐ)という発想のほうが一般的と理解しています(なんかまちがってるかもしれないので、くわしい方からご意見いただけるとありがたいです)。

>女は20代のうちに子どもを産め
 これはすでに出てると思います。かつての「マル高」は基本的に高齢「出産」のリスクに焦点を合わせたものでしたが、現在では加齢にともなう卵の劣化が主たる論点ですから。ある種の障害については、出生前にスクリーニングする技術も普及してますし。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/09 15:22 田中さん

>かれらがその辺の認識にどう折り合いをつけているのか知りたいところです。


「そもそも認識しなければ折り合いをつける必要もない」ということになるかと。

>広く分布している発達の様態のうちでどの部分を「標準」とみなすかとか、標準でない発達を遂げた人がどのようなあつかいを受けるかは社会制度が決めてるんですけどね。

「親学」などを推進してたりそれに飛びついたりするタイプの人々が最も強く否認しているのがこの点ではないかと思います。こちら
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/52396482.html
の記事でも触れられていますが。

>これはすでに出てると思います。

調べてみるとおっしゃるとおりでした。

つうこうにんつうこうにん 2012/05/11 01:31 どこに投稿すべきかちと迷いましたが、とりあえず最新の場所をお借りして勝手に宣伝失礼します。NHKラジオ第一及びFM(同時放送)で、元沖縄県知事太田昌秀氏のインタビューが放送されます。

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2012-05-14&ch=05&eid=77761
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2012-05-15&ch=05&eid=78361
▽明日へのことば                     
  「本土復帰40年、明日の沖縄を信じて」         
              大田平和総合研究所主宰…大田昌秀

5月15日・16日の早朝午前4時過ぎです。ただ、先にあった早乙女勝元氏のと同様、今回も番組公式サイトでストリーミング配信される可能性大ですので、それを待ってもいいかも・・・
大田氏は、まあ毀誉褒貶のあるところではありますが(政策以外のところでよろしくない話も当時けっこう聞きました)、2期8年間の知事時代のことも含め、専門である歴史の話は聴くに値すると思います。

apesnotmonkeysapesnotmonkeys 2012/05/11 20:41 つうこうにんさん、ご紹介ありがとうございます。

ところで、大阪ではさっそくこのエントリの主張を裏付けてくれましたよ。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20120511/p1
「維新」の正体見たり、ですね。

つうこうにんつうこうにん 2012/06/13 00:04 勝手に宣伝ですみません。
上記の大田昌秀氏のラジオ番組が、ようやく公式サイトでストリーミング配信されるようになりました。
http://www.nhk.or.jp/shinyabin/jyoyou.html
期間限定ですので、今のうちにどうぞ・・・

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