姉刺殺事件、判決要旨


すでにご存知の方も多いかと思いますが、アスペルガー症候群の被告人に対して、「社会の受け皿がなく、再犯の可能性が心配される」「許される限り刑務所に収容することが社会秩序の維持にも役立つ」などとして検察の求刑を上回る懲役20年とした判決の要旨が、ネットにアップされています(リンク先PDF)。
求刑を上回る量刑にした理由にあたる前述の部分については、すでに批判的な論考のエントリがいくつもあがっていますので、ここでは「アスペルガー症候群であったことを量刑上考慮すべき」という弁護側の主張を斥けた理由について。動機の形成には発達障害が影響していることを認めたうえで、判決はこう述べています。

しかし、被告人が供述するような動機に基づいて被害者を殺害することは、社会に到底受け入れられない犯罪であるし、被告人もそのことは分かっていた旨供述している。

だから被告人は「最終的には自分の意志で本件犯行に踏み切った」のであり、障害は刑を軽くする理由にはならない、と。
この「供述」というのが供述調書なのか、法廷証言なのか(あるいは両方なのか)、現時点では不明ですが、どのようなやりとりの中で出てきた供述であるのかを専門家が検証する必要があるかもしれません。例えば「そのことは分かっていた」という供述にしても、どのような意味で分かっていたというのかが、十分に検討されたのかどうか。