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  今宵、すべての劇場で。

2008-01-31

[] 「Sheep fucker's exit」 tsumazuki no ishi

不穏な空気がたちこめる光なき世界を舞台上に出現させるtsumazuki no ishi。わたしが足を運ぶのは3度目だが、今回の「Sheep fucker's exit」は、以前スエヒコケイスケが流山児事務所のために書き下ろした作品のようだ。2003年に、同じザ・スズナリで上演されており(演出は天野天街)、今回はセルフカバーということになる。

寂しい夜の公園で、砂場前のベンチに三々五々やってきては、打ち合わせや内輪もめを繰り返す男たち。彼らは、自己啓発セミナーのスタッフたちだが、実はインチキ商法で弱者たちから金をせびりとっている悪い奴らだ。生徒たちに募金活動や勧誘(エンロール)を強いているばかりか、実はもっとヤバイ人材の育成もこっそり行っている。

しかし、次々と生徒たちは脱落、見込んだ収入が入ってこないため、会社は借金まみれになっている。人材育成の方も、あと一歩のところで生徒が暴走してしまい、警察に逮捕される始末。ついには彼ら自身が、危ない立場に立たされることに。

どういう発想からこういうシチュエーションが生まれるのか、実に不思議だ。歪なデフォルメがあるものの、物語には明らかにわれわれの現実と地続きな不気味さがあって、観る者を魅了する何かがある。ただし、アクの強さでまったく受け付けないという人がいるのも良く判る。贔屓するわたしも、どこか尋常でない何かに惹かれているのを十分に承知しているからだ。

啓発セミナーのスタッフをはじめとして、洗脳された生徒、さらには公園内を徘徊する怪しげな警察官、盗撮魔のカップル、謎の女と、登場するのはどこか病んだ人間ばかり。よくも社会的不適応者をここまで集めたものだと感心させられるが、阿佐ヶ谷スパイダースからの伊達はまさにはまり役で、この異様な集団に混ざって外様の違和感はほとんどない。

どこか、アングラの懐かしい匂いもあり。わたしは観てないが、流山児版よりも30分ほど長いというのも、今回のリメイクへの意気込みが伝わってくるようだ。都会の暗がりで繰り広げられる病んだ者たちの饗宴は、さながら異形たちの夜のカーニバルで、恐ろしいクライマックスに至るまで、固唾を呑んで見守るしかなかった。(145分)※6日まで。

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■データ

降板の猫田直さんが入り口でもぎってくれた初日ソワレ/下北沢ザ・スズナリ

1・31〜2・6

作/スエヒロケイスケ 演出/寺十吾

出演/伊達暁阿佐ヶ谷スパイダース)、寺十吾、釈八子、宇鉄菊三、日暮玩具、竹下カオリ、松原正隆、太田晶子、鈴木雄一郎、岡野正一、松嶋亮太、中野麻衣、永野昌也(スエヒロアンドザスローモースローガンズ)、金子岳憲(ハイバイ)、今井勝法(幹生/横浜未来演劇人シアター)、蒲公仁(個人企画集団*ガマ発動期)、高橋圭(Mカンパニー)※出演予定だった猫田直は降板

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