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米国統合医療ノート RSSフィード

 食事・微量栄養素・サプリの研究が世界中でどんどん進み、その効果も限界も、
 次第に明らかになっています。このブログではその最新情報をご紹介します。

2007年05月02日

CTR

抗がん剤と抗酸化剤

活性酸素には2つの面があります。体内に発生した過剰な活性酸素は遺伝子を傷つけ、それが修復しきれないとがんの原因になるとされています。抗酸化剤は活性酸素を捕捉し無力化してくれますので、長期的に服用するとがんのリスクが低減します。

一方で体内に侵入した微生物などを攻撃する際には、活性酸素は重要な役割を果たします。また抗がん剤の作用機序のひとつは、活性酸素を発生させてがん細胞を攻撃することです。つまり活性酸素は善玉でもあり悪玉でもあるのです。

では抗がん剤とともに抗酸化剤を服用するとどうなるか? ある人は、抗酸化剤の作用で正常細胞が保護され、抗がん剤の副作用が抑制でき、治療効果が上がるといいます。またある人は、がん細胞を攻撃すべき活性酸素も無力化されてしまうので、がん治療にはマイナスだといいます。抗がん剤と抗酸化剤の併用は是か非か。専門家の間でも意見が真っ二つに割れ、激しい議論が戦わされてきました。

今回米国の医学誌に、抗がん剤と抗酸化剤の併用はいい結果をもたらすことを示唆する論文が公表されました。がんの患者さんや統合医療に取り組む方々にとって重要な情報だと思いますので、ご紹介します。

研究者らはいくつもの医学論文データベースから、抗がん剤と抗酸化剤を併用した臨床論文を845件収集しました。そこから重複を除き、対照群のないものを除き、<同時に併用>していないものを除くなどして、両剤を同時に併用し、しかも奏功率または生存率(生存期間)が記載されている論文を選び出しました。

合計19の論文が該当しました。内訳はグルタチオンが7件、メラトニンが4件、ビタミンAと配合剤(C+E+ベータカロテンまたはセレン)が各2件、ビタミンC、Nアセチルシステイン(NAC)、ビタミンE、エラグ酸が各1件でした。研究の対象が多様で症例数も多くなかったので、全論文を統計的にまとめるメタ解析は行わず、各試験の概要を列記する方法をとりました。

結果ですが、グルタチオン(注射)では、抗酸化剤投与群(以下投与群という)が奏功率が高く、生存期間も長い傾向にありました。副作用は投与群が少なく、4つの論文では有意差がありました。

メラトニン(20mg経口)では、奏功率は高く(2論文で有意差)、生存率も高く(3論文で有意差)、副作用も抑制されました(3論文で有意差)。

ビタミンAは1つの試験では5万IUを経口投与し、投与群は有意に進行と死が抑制されましたが、有意に多い副作用が報告されました。もう1つの試験では35万−50万IU/m2という高用量が投与され、奏功率も生存率も有意に高い結果が得られました。この試験では副作用の解析はされませんでした。

配合剤では両群の間にほとんど違いは認められませんでした。ビタミンC(10g経口)では投与群で奏功率が高い傾向がありました。NAC(5.5g経口)でも奏功率が高い傾向がありましたが、副作用もやや多く報告されました。ビタミンE(300mg経口)では奏功率が逆にやや低く、しかし副作用は有意に抑制されました。エラグ酸(180mg経口)投与群では奏功率も生存率も高い傾向にあり、副作用は有意に抑制されました。

各研究とも症例数が20−250例と少ないため、有意差に至らないケースが多く見られました。しかし全体を通して見ると、抗がん剤と抗酸化剤を併用したとき、奏功率や生存率(生存期間)は良くなることが多く、副作用は抑制されることが多いようです。

現段階では確定的なことを言うのは早すぎますが、しかし「抗酸化剤の併用は良いのではないか」というコンセプトを支持するそれなりの臨床的データがあることがわかりました。逆に「抗酸化剤の併用は控えたほうがいい」という考えには臨床的裏づけが乏しいことも示されました。

これはがんに取り組む人々にとっては、ひとつの迷いを拭い去ってくれるうれしい結果です。この結果を踏まえて、さらに併用効果を検証する大規模な臨床研究が行われることが期待されます。

(追記)その後新しい論文が出て、最新情報を掲載しました。こちらをご覧ください。

(last updated 6/8/2008)

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