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2007年12月16日

milk

小児期の食事の影響

妊娠中にお母さんがどんな食事をするかは、生まれた子の健康に影響します。お母さんが妊娠中に魚やリンゴを良く食べると、子供のアトピーや喘息のリスクが減ることは、前に書きました

アメリカ臨床栄養学会誌の12月号に、子供のときの栄養がその後の健康にどう影響するか、という論文がいくつもありました。その1つは小児期の食事と成人後のがんのリスクについて65年もフォローした、とても貴重なデータです。

第二次大戦前の1937年から39年の間に、イギリスの1,343家族の1週間の食生活が詳しく調査されました。中に4,999名の子供がいましたが、うち4,374名についてがんの発症の有無を2005年まで追跡することができました。

その間に770名ががんを発症し、あるいはがんで死にました。内訳は肺がんが156名、乳がんが98名、大腸がんが76名、前立腺がんが41名、胃がんが33名などでした。

食生活とがんのリスクを検討すると、乳製品との関係が浮かび上がりました。家庭の乳製品消費量を4段階に分けると、一番少ない家庭から順に、毎日一人あたり平均89、163、255、471gの乳製品を消費していました。そして最も少ない家庭に育った子に比べ、最も多く摂った家庭の子は、2.6−4.3倍多く大腸がんにかかることがわかりました。

乳製品を多く摂る家庭は比較的経済的に豊かで、したがって果物もカルシウムもカロリーも多く摂っていました。しかしこれらの影響を差し引いても、乳製品を多く摂ると大腸がんが多いという結果は変わりませんでした。

特に牛乳の消費量に注目して解析すると、同様の結果が得られました。すなわち少ない順に、一人あたり毎日平均118ml以下、118−188ml、188−282ml、282ml以上の4段階に分けると、最も少ない群に比べ最も多い群では、大腸がんのリスクは2.5−3.3倍でした。他のがんについては、乳製品や牛乳の消費との間に明確な関係はありませんでした。

この結果について研究者らは、乳製品が小児期に血中のIGF-1(インスリン様成長因子1)の濃度を高め、これが将来のIGFのシステムに影響を与えるのではないか、としています。ちなみにIGFは、細胞の成長、増殖、あるいは好ましくない細胞の自然死(アポトーシス)をコントロールする重要な因子です。

同誌の先月号と今月号には、他に「母乳だけで育てる期間が長いほど、幼児期に体脂肪率が高くならない」とか、「幼児期に動物タンパクをたくさん摂るほど小児期に体脂肪率が高くなる」とか、興味深い研究が掲載されています。

小児期の肥満は成人後の肥満に直結しますし、成人後の肥満はメタボリック症候群を初め、高血圧、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな疾患のリスクを高めます。一方で一度太ると減量することはなかなか難しく、できるだけ太らないように心掛けることが大事だという声が大きくなっています。

ところがそのリスクが、ものごころつかない子供のころの食生活に左右されるというのです。さあ親の責任はますます重大です。子供の幸せのために、両親はますます賢くならなくてはなりません。


(last updated 12/17/2007)