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2008年12月16日
乳がんと自然退縮
乳がんは気づかないうちにできては治っているのではないか。しかもそういう例は結構多いのかもしれない。そういう驚くような研究が発表されました。報告したのはノルウェーの研究者らで、発表になったのは米国医師会の内科学アーカイブです。
研究者らは50〜64歳の女性について、10万人超のグループを2つ作り、6年間観察しました。第1のグループは109,784人で、1992年から始まって6年後まで観察し、6年後に1度だけマンモグラフィ(乳房X線撮影)によるがん検診を行い、がん患者を検出しました。第2のグループは119,472人で、1996年から始まり、2年目、4年目、6年目に同じ方法でがん検診を行い、がん患者をそのつど検出しました。そして確定診断を行い、「浸潤性乳がん」と診断された人の数を比較しました。
もし一度できたがんは二度と治らず、同じ状態でいるか進行するなら、6年目に全部まとめて発見しても、2・4・6年目に新発見された患者数を合計しても、どちらも同じくらいになるはずです。
結果は、6年後に1度だけがん検診を行ったグループでは、乳がんは10万人中1564人の比率で発見されました。ところが2・4・6年目にがん検診を行い、そのつど新発見された患者を合計すると、10万人中1909人という比率になり、統計的に有意差がありました。中間検査をしなければ、乳がんの見つかる人は10万人中345人少ないのです。
研究者らはこの違いを説明すべくいろんな仮説を確かめました。6年目の1回だけの検査では見逃しているのではないか。2つのグループの質が違ったのではないか。がん検診の精度が良くなったのではないか。ホルモン補充療法が普及したためではないか・・・。しかしすべての仮説は否定されました。
この違いを説明するには、「一度できたが6年目には無くなった乳がんがある」と考えるしかない、と研究者らは述べています。もしそうなら、2年おきに乳がん検診を行ったとき発見された1909例の乳がんのうち、345例(18%)は実は治療しなくとも消えていたのかも知れない、ということです。
がんが発見されれば、誰でも治療します。治療せずに放置したときがんがどうなるかは、実はあまりデータはありません。もし乳がんが消えるなら、他のがんもそうではないか、と考えるのは自然です。現代医学の治療をせずにがんが直った、という医学誌の論文ばかりを集めた英語のウェブサイトがありますが、ここでは各種のがんについて多くの例が報告されています。
私もそういう例を直接知っています。今年4月、ある80代の米国人の元医師の方が末期の膀胱がんで、主治医からもう手術もできないと言われました。彼は高齢でもあるし、体への負担が大きい化学療法や放射線療法はもう受けようと思わず、マイタケエキス(D-フラクション)とビタミンCだけを服用することにしました。
半年後の10月に検査を受けたら、がんが無くなっていました。主治医は何度も確認し、信じられない、と繰り返しました。患者は元医師なだけに、前後の検査値、検査画像、診断書をきちんと保管してあり、すべて私に見せてくれました。確かに存在したがんが半年の間に消えたことをデータは示していました。この例は彼と主治医の協力の下にニューヨーク医科大学の研究者が論文にまとめ、いま医学誌に投稿中です1。
(今日のまとめ)
がん検診や現代医療が無用だと言っているのではありません。どのがんが消えるがんか区別できず、どうすれば消えるのかも十分わからない以上、がんを見つけるのも、ベストと思われる治療をするのも重要です。お伝えしたいメッセージは、「けしてあきらめない!」こと。がんが退縮する例は、本当にあるのですから。
1 その後論文はInternational Journal of General Medicine誌に掲載になりました。
(last updated 4/9/2009 H)