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米国統合医療ノート RSSフィード

 食事・微量栄養素・サプリの研究が世界中でどんどん進み、その効果も限界も、
 次第に明らかになっています。このブログではその最新情報をご紹介します。

2011年11月05日

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レスベラトロールはヒトでも効いた

以前に食事のカロリーを制限すると寿命が延びるという記事を書きました(こちら)。でも食事を減らすのは強い意志が必要です。そのため、カロリー制限に似た効果をもたらす物質はないか、というのが多くの研究者の関心でした。

最近とみに話題になったその候補物質が、レスベラトロールです。レスベラトロールはもともとワインの健康効果のもととして知られていましたが、長寿遺伝子サーチュインのスイッチを入れる作用があることがわかりました。最近日本のテレビでも何度か取り上げられ、人気急上昇のようです。

しかしレスベラトロールの作用は、これまで酵母、線虫、昆虫、マウス、ラットなどでは確かめられましたが、ヒトでの研究はまだほとんどありませんでした。今回オランダとスイスの研究者らが、ヒトでの効果を発表しました(ソースはこちら)。

==要約==
研究者らは11人の肥満の、それ以外は健康な男性に、レスベラトロール150mg/日またはプラセボ(偽薬)を、無作為化二重盲検クロスオーバーという試験デザインで30日間投与しました。

するとレスベラトロール投与時には、睡眠時代謝率と安静時代謝率が有意に低下しました(カロリー制限時と同様の反応です)。

筋肉では、レスベラトロールはAMPKを活性化し、SIRT1(サーチュイン長寿遺伝子)とPGC-1αタンパクレベルを高め、ミトコンドリア量を変えることなくクエン酸合成酵素活性を高め、脂肪酸由来の基質での筋肉ミトコンドリアの呼吸を改善しました(すべてミトコンドリアの機能が高まっていることを示します)。

さらにレスベラトロールは筋肉細胞内の脂質レベルを高め、肝臓の脂質含量、血中の糖、トリグリセリド、ALT(GPT)、炎症マーカーを低下させました(燃えやすい筋肉の脂肪が増え、肥満者の肝臓の脂肪が減るのは良いことです。また血中の糖や肝機能マーカー、炎症マーカーも良くなっています)。

またレスベラトロール投与で収縮期血圧は低下し、HOMA指数は改善しました(HOMAは糖尿病で高くなります)。

食後の脂肪細胞の脂肪分解、血中の脂肪酸、グリセリンは低下しました(脂肪の分解が進んでいることを示します)。
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なお体重は変わらなかったようです。「カロリー制限と同様」というと、飲むだけで体重が減るのかと勘違いする人がいるかも知れませんが、そうではないので誤解のありませんように。

飽食より30%ほどカロリー摂取を減らす飢餓状態をつくると、生物は生存し続けるために体の仕組みをがらりと変えます。その結果寿命が大幅に延びるということが、さまざまな生物で確認されています。レスベラトロールは、カロリー制限することなしに、体の仕組みをそれと同じように切り替えてくれるのではないか、というのがレスベラトロール研究者たちの狙いです。

この研究で、レスベラトロール150mgの30日投与は、カロリー制限と同様に、代謝率の低下、ミトコンドリア機能の向上、脂質代謝の改善、糖代謝改善、肝機能改善、炎症マーカーの改善などをもたらすことが示されました。

ミトコンドリアを元気にするというのはすごいですね。もしレスベラトロールがカロリー制限と同様に体の仕組みを切り替えてくれるとすれば、脂質代謝や糖代謝ばかりでなく、実にさまざまな健康効果が期待されます。これは楽しみになってきました。

(last updated 11/6/2011)

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