ドバイワールドカップ出走馬

出走馬の全成績と詳しい血統は,こちらドバイワールドカップ出走表[海外],海外競馬より)がとても良いです.というか,かなり参考にしました.というわけで,簡単な血統と戦績,近3走,一言コメントでも.

1.Electrocutionist,牡5,L.Dettori,S bin Suroor

Red Ransom,母Elbaaha,母父アラジ.Nearctic 4x5,Nasrullah 5x5というインブリードを持つ.
9戦7勝.主な勝ち鞍は,05年インターナショナルS(G1),05年ミラノ大賞(G1).2着04年ジョッキークラブ大賞,3着05年カナディアンインターナショナル(G1).
8/16 G1 インターナショナルS(10F88y)1着 → 10/23 G1 カナディアンインターナショナル(12F)3着 → 3/2 G2 マクトゥームチャレンジ・ラウンド3(D2000m)1着
最有力候補.2005年,日本から英国に遠征したゼンノロブロイに立ちはだかった馬.基本的に鋭い差し足を発揮するため,後方からのレースをする.ゼンノロブロイも差し切った.その後はカナダに遠征したが,直線で大幅な不利があり,4位入線後の繰り上がり3着.差し足なら負けないこの馬,このレースに限り不利があったとはいえ,Relaxed Gestureに差し勝負で相手にならなかった.ジャパンCにも選出されていたが辞退.その後,イタリアのヴァリアニ厩舎からUAEのサイード・ビン・スルール厩舎に移籍.所有権もゴドルフィンのものとなった.今期は,ドバイのマクトゥームチャレンジで復帰し,初ダートも苦にせず,Chiquitinに7馬身差の楽勝.

2.Shakis,牡6,Supple,D Watson

Machiavellian,母Tawaaded,母父Nashwan.Natalma 4x5,Nasrullah 5x5のインブリードを持つ.
前走ナドアルシバのMaserati Trophyというレースを1着というくらい.去年のドバイデューティフリーで12着.そのままドバイに残り,2006年はG3のAl Rashidiyaというレースを2着,そして前走というのが分かったところ.というか,この馬,よく分かりませんでした.

3.カネヒキリ,牡4,武豊角居勝彦

フジキセキ,母ライフアウトゼア,母父Deputy Minister.5代アウトブリード.近親はあまり目立った馬なし.曾祖母の孫にDa DevilというG2馬がいるくらいか.サンデーサイレンス父系孫で,初の大物と言ってよいかなあ.
12戦8勝,2着1回.主な勝ち鞍は06年フェブラリーS(G1),05年JCダート(G1),05年ダービーグランプリ(G1),05年ジャパンダートダービー(G1).
10/29 G3 武蔵野S(D1600m)2着 → 11/26 G1 JCダート(D2100m)1着 → 2/19 G1 フェブラリーS(D1600m)1着.
芝ではいまいちも,ダートでは圧倒的人気で連勝を続けてきた馬.3歳ながら古馬有力馬を相手に,JCダートシーキングザダイヤを鼻差退け,中央G1初制覇を成し遂げた.フェブラリーSは距離もあっていたか,再びシーキングザダイヤを相手に3馬身差の楽勝.完調なら勝ち負けだが,武蔵野Sの時のように,差し足発揮も届かずが懸念でしょうか.

4.Choctaw Nation,セン6,Espinoza,J Mullins

父Louis Quatrze,母Melisma,母父Well Decorated.Bold Ruler 4.5x4,Nasrullah 5x4.5,Nearco 5x5,Precious Lady 5x5という血統.父はNorthern Dancer系で,プリークネスSをSkippy相手に勝ち,BCクラシックがAlphabet Soupの2着(Cigarに先着)が目立つのかな.祖母は3着スピナウェイS.
15戦7勝.主な勝ち鞍は,05年サンディエゴH(G2),04年サンディエゴH(G2).3着は05年ドバイワールドC(G1)
10/29 G1 BCクラシック(D10F)6着 → 1/1 G2 サンガブリエルH(9F)7着 → 2/10 アローワンス(D8.5F)1着.
この1月にシェイク・ラシッドにオーナーが変わったそうで,初めはゴドルフィンマイルに出るように報じられていたが,前年3着のドバイワールドC出走.当初,距離が長いという判断だったが,状態が去年よりいいとか.04年のサンディエゴHで,Pleasantly Perfectを破る実力者.05年は,DWC出走後,カリフォルニアS5着(ハリウッドパークがいまいちだった?)も,サンディエゴHは人気に応えて連覇.ただしその後のパシフィッククラシックやBCクラシックなどG1では連にも絡めない.今年の初戦,芝のサンガブリエルHはBadge Of Silverの7着で,オーナーの変わった初戦,サンタアニタのアローワンスを勝利して臨む.

5.Chiquitin,牡6,Kinane,I Jory

父Fitzcarraldo,母Murias,母父Big Play.エルセンタウロ 4x4というインブリードを持つ.
主な勝ち鞍は,05年マクトゥームチャレンジ・ラウンド3(G2).
去年のドバイWCに出走時し,11着だった.その後,サウジアラビアで3走して1勝,マクトゥームチャレンジ・ラウンド2はJack Sullivanの4着,前走マクトゥームチャレンジ・ラウンド3はElectrocutionistの7馬身差2着.流石に力不足と思う.

6.Maraahel,牡5,Hills,M Stoute

Alzao,母Nasanice,母父NashwanNorthern Dancer 3x5というインブリードを持つ.曾祖母から重賞勝ち馬が出ていて,その分岐からも幾らか重賞勝ち馬がいる.AlzaoNashwanの組み合わせは,ディープインパクトの母ウインドインハーヘアを髣髴とさせる.
15戦3勝.主な勝ち鞍は,05年ハクスリーS(G3),04年アムロS(G3).3着は,05年香港C(G1),05年チャンピオンS(G1),05年インターナショナルS(G1).
8/31 G3 Strensall S(9F)3着 → 10/15 G1 チャンピオンS(10F)3着 → 12/11 G1 香港C(10F)3着.
ここ4戦3着続きのいまいち君.香港Cでもいいところを見せたのだけど.昨年以来のレースで,叩かずに挑むというところがどう出るか.実力はあることを証明しつつも,G1で勝ちきれないので,今回も入着までか.しかしSingspielでの勝利実績のあるスタウト厩舎なら,というのもある.Singspielも勝ちきれない馬でしたが,JCという実績がありつつも,年を跨いだDWCを勝ちきり,G1連勝路線に入りましたしね.

7.Brass Hat,セン5,Martinez,W Bradley

父Prized,母Brassy,母父Dixie Brass.5代アウトブリード.曾祖母はファンタジーS勝ち.その子孫にダークウィザードなんかが出ている.
13戦6勝.主な勝ち鞍は,06年ドンH(G1),06年ニューオーリンズH(G2),04年オハイオダービー(G2),04年インディアナダービー(G2).
12/17 LR プレーリーバイユーS(D9F)1着 → 1/7 G2 ニューオーリンズH(D9F)1着 → 2/4 G1 ドンH(D9F)1着.
前走泥馬場の米国G1ドンHのレコード勝ち馬(ガルフストリーム9ハロン1:47.79).やや人気薄だったが,4馬身3/4差の完勝.2004年3歳時は芝を走っていたこともあったが,ダートに向かうとオハイオインディアナのダービーを連勝.しかしその後のローンスターダービーのレース中に顆部骨折に見舞われ,休養となった.13ヶ月の休養後,2005年11月のチャーチルダウンズの芝アローワンスで復帰(7着).ターフウェイのリステッドのプレーリーバイユーSで2馬身半差で勝利し,連勝でG1制覇まで達した.オークローンとドバイを選択肢に入れて,ドバイを選択.一番上り調子の馬ではないかな.

8.Magna Graduate,牡4,Velazquez,T Pletcher

父Honor Grades,母Peacock Alley,母父Fast Play.Buckpasser 4x4,Sir Gaylord 5x5.父はA.P.Indyの半兄で,母父はBold Ruler系なので,5代血統表外でBold Rulerインブリードもあり.母父はSeeking The Goldの半弟で,何か兄弟の威光が目立つような… 近親は,曾祖母の産駒に仏G3勝ち馬Savannah's Honorが居る位か?
16戦6勝.主な勝ち鞍は,05年クラークH(G2),05年ディスカバリーH(G3),05年ペガサスS(G3).
10/29 G3 ディスカバリーH(D8.5F)1着 → 11/25 G2 クラークH(D9ハロン)1着 → 2/4 G1 ドンH(D9ハロン)4着.
前走はBrass Hatと同じドンHで,やや積極的なレースをして,ハイペースの中を4着.ただBrass Hatに9馬身以上の差をつけられているのでどうかだが,雨の降った馬場というのが一応理由.ドバイは雨が降ることが少ないしね.ドンHまでは重賞を3連勝で,ドンHでは人気になった.G1での実績はないが,クラークHでPerfefct Driftを破っているので,実力はあるのだが.ただ,10ハロンは未経験の距離なので心配.

9.Wilko,牡4,Gomez,J Noseda

Awesome Again,母Native Roots,母父Indian Ridge.5代アウトブリード.母はIndian Ridge,タップオンウッドと重ねられていて渋い.近親はタイキシャトルピースオブワールド
20戦3勝.主な勝ち鞍は,04年BCジュヴェナイル(G1)
12/26 G1 マリブS(D7F)11着 → 2/5 G2 サンアントニオH(D9F)3着 → 3/4 G1 サンタアニタH(D10F)3着.
2歳時に12戦.BCジュヴェナイルを勝つ前は英国で調教されており,5月から10戦,DubawiShamardalとも対決していた.米国ではこのBCジュヴェナイルしか勝ち鞍なし.BC後,米国に移籍も,ケンタッキーダービーは6着,プリークネスSが12着と,どうしてもBCジュヴェナイルジンクスに勝てない.その後骨折で,12月にレース復帰し(3着),G1マリブSではいいところなし.サンアントニオHでは動きのいいところを見せて人気も,あまりいいレースをしたと言えない様で3着.サンタアニタHでも3着に突っ込んでGiacomoに先着だが,2着と7馬身半差(1着とは8馬身以上).ここ2戦で3着と相性の良い感じの騎手を継続して据えてDWC挑戦も,追込脚質はDWCと相性が良くないし,ちょっときつめのローテーションがどうか.

10.スターキングマン,牡7,O.Peslier,森秀行

Kingmambo,母Princess Timide,母父Blushing GroomNasrullah 5x4.4.半兄PsychobabbleはG2ロベールパパン賞を勝ち,2着モルニ賞で,現在韓国で種牡馬
37戦7勝,2着7回3着5回.主な勝ち鞍は,03年東京大賞典(G1),03年日本テレビ盃(G2).2着は,04年川崎記念(G1),03年JBCクラシック(G1),3着は05年JCダート(G1),03年南部杯(G1)など.
11/26 G1 JCダート(D2100m)3着 → 11/29 G1 東京大賞典(D2000m)10着 → 2/19 G1 フェブラリーS(D1600m)13着.
03年は実に14戦と経験豊富なダート馬.11競馬場でのレース経験を有す.04年の川崎記念後にドバイワールドCを目指すも直前で骨折.今回リベンジなるか.ただ近走,年齢からかG1では人気にならず,衰えがないかどうか.JCダートでは3着に来たものの,東京大賞典フェブラリーSと2桁着順.

11.Super Frolic,牡6,Nakatani,V Cerin

父Pine Bluff,母Landsay Frolic,母父Mt. Livermore.5代アウトブリード.母,祖母と重賞勝ち馬.
33戦11勝.主な勝ち鞍は,05年ホーソーンGC(G2).
9/24 G2 ホーソーンGC(D10F)1着 → 10/29 G1 BCクラシック(D10F)4着 → 2/4 G1 ドンH(D9F)8着.
日本馬以外では最もレースキャリアが豊富.ドンH8着という結果を度外視して,DWC挑戦.去年のBCクラシックSaint Liamから2馬身ちょっとしか負けていないことが自信なのかな.BCの後,ドバイを見据えて休養し,ドンHを叩くという良くあるステップを踏んだ.サンタアニタHを使うことも出来たが,ベストのためにドンHからDWCというローテーションを組んだとのこと.5歳になるまで重賞を勝たず,5歳で重賞を勝ち,その後のBCが僅差ということで,この成長の度合いとローテーションは良いのだが,いかんせん重賞1勝ではねえ…

ということで,予想は,
Electrocutionist
カネヒキリ
▲Maraahel
△Brass Hat
△Choctaw Nation
Electrocutionistの色々なところでの実績や負けの少なさが目を引きます.カネヒキリは,実力を認めつつも日本の閉鎖競馬の中での実力では評価しづらい.堅実Maraahelが着に入ってくるかなと3番手評価.Brass Hatは前走の着差が他の米国馬に抜きん出ていると踏んで.オーナーが変わったChactaw Nationは不気味.