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映画カラフルを見た。
http://colorful-movie.jp/index.html
- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/09/10
- メディア: 文庫
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ティーン向け文学ということで普通にいい話だったのだが、ある登場人物が褒められない方法でお金を稼ぐ理由として、
今お金が欲しい
大人になってからにしろと言われるけれど、
今の私に似合う服は今しか着れないし
私には着たい服が沢山あるもの
という台詞が強烈に頭に残ってた。これを説得出来る言葉が自分には浮かばなかった。
そして映画版。ストーリーの芯はそのままだが演出によって「映画」へとチューニングしていて、完全に大人向けの内容になっていた。前作「河童のクゥと夏休み」では血の描写があったものの全体的には全年齢対象の映画でありメッセージにキレがなかったように感じたので、この方針は歓迎。待ってました!とばかり。
ストーリーは破壊と再生のはなし。結論はみんなちがってみんないい、っていうよくあるはなし。しかし結論までの理論立てに共感出来たのが良かった。過去を受け入れた上で自分の将来を考える、というのには激しく同意。
声優は可もなく不可もなく、って感じだったけど破壊のシーンで憔悴しきった母親が発した一言が素晴らしい。台詞自体は会話の流れから予想出来るのだけれど、演技が予想以上で思わず震えた。麻生久美子はいい仕事してた。父親の高橋克実が演じる気の抜けた声にも暗示させる内容があって良かったね。
音楽は普通。そつ無くやってるけど印象に残るシーンは無い。ダサいロックが流れたのにはちょっと萎えたけど、中三の主人公に身の丈合う音楽と考えると悪くないかな、とあとで思った。
先に公開されていたイメージビジュアルが劇中で出てこなかったのが残念だった。カラフルな花に囲まれた眠る主人公と、カラフルな油絵の中にいる主人公の相方、という二枚の絵。公式サイトのトップに出てくるやつね。どちらもインパクトあるビジュアルで、最後まで出てこないか期待してた。
背景に違和感のあるシーンがいくつかあった。いつものアニメらしい背景が大半なんだけれど、時折実写をデフォルメしてない背景になり二次元の登場人物とでは違和感がありあり。涼宮ハルヒの消失の時も似た感想を持ったけど、今回はそれ以上の写実っぷりで明らかにキャラが浮いてた。
視界の狭い中学生が少し大人になるはなし、っていう大筋だけでも大好物なんですが、原恵一監督の今までには無かったダークな演出と明確なメッセージ。
人に勧めたくなるストーリーではないけれども興味のある人は見て損のない出来かと。
ちなみに自分が原作で印象に残ってた台詞は劇中だとサラッと出てきた。