ジョナサン・ノットのモーツァルト

コシ・ファン・トウッテ(演奏会形式)

日時:2016/12/9 開場17:45開演 18:30
場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演者:フィオルテリージ:ヴィクトリア・カミンスカイデ
ミア・パーション)グリエルモ:マルクス・ウェルバ、フェルランド:アレック・シュナイダー(ショーン・マゼイ)ドラペッラ:マイテ・デーモン、デスピーナ:ヴァレンティナ・ファルカス
東京交響楽団 第一ヴァイオリン6、第二ヴァイオリン6、
ビオラ3、チェロ3、コントラバス2、オーボエクラリネット、フルート、ホルン、トランペット各2打楽器2の小編成の構成
指揮:ジョナサン・ノット
集客: 55%
曲目 第一幕 80分
休憩25分 第二幕 80分
終了は22時10分くらい
歌手はダブルキャストではないみたいで、12/1にフェルランド役のショーン・マゼイ氏が急遽体調不良でアレック・シュレイダー氏に変更、12/6(なんと3日前)にはフィオルディリージ役のミア・パーション氏が、急病のため、代わって、ヴィクトリヤ・カミンスカイテ氏が急きょ来日し、出演いたします。との手紙が届きました。すなわち主役と準主役が急遽入れ替わるという出来事があったわけです。当日は金曜日のこともありお客さんの入りも55〜60%くらいで、途中で正面の席に代わる人もいたくらいでした。
この演奏会場は何回も来ているのだけれど、3階席の端っこだと前の手すりが邪魔して、字幕が見れないということに気が付きました。少し後ろにさがるとこんどはバルコニーに舞台がかくれてしまい、歌手が見えません。この会場でオペラを聴くときは今後、正面の1Fか2Fの手すりから離れた場所がいいように思えました。
演出は演奏会形式で半円形の舞台の中央部に中州のように小編成のオーケストラが配置され大きな舞台周辺部を歌手や合唱が展開するというもので、指揮者はハンマーフリューゲルを弾きながら半円の中央で指揮をするというものでした。この演出のおもしろいところは、歌手は正面で歌唱するのではなく舞台の周りも歩き回ることで空間をより大きく立体的に見せることができるということです。ここの舞台は観客席からみわたせるようにすり鉢状になっているので、こうした演出はより効果的でした。
演奏は、は少人数にもかかわらず、厚みがあり、とてもテンポが良くスムーズで、かつ陰影も豊かで変幻自在でした。特に序曲のオーボエ木管は細かいニュアンスまで表情に富んでいて素晴らしかったです。このオペラは2重唄、3重唄の美しいアリアが多く含まれているのだけれど、フェルナンドを歌ったテノールのアレック・シュナイダーは、代役だったにもかかわらずとてもうまく歌われていたのに感心しました。
ところで、こうした、演奏会形式のオペラのメリットは何かというと、1、ミューザ川崎のようなワインヤード型の演奏会場ではオペラの舞台をつくると、舞台背面の客席が無用になってしまうが、今回のように小規模のオーケストラと合わせれば、舞台背面も客席として使えるし舞台上の空いたスペースに歌手が動き回り、演出の幅を大きくすることができる。2.オーケストラがにわか作りのオーケストラルピットに入り込まないので演奏の音が十分に観客席に届く、また歌手も歌に専念でき、しっかりとした歌唱を聞くことができる。3.大がかりな舞台道具や、舞台衣装も不要なので、コストダウンにつながる。また、舞台の準備も不要なので準備に時間がかからない。などがあり、今後も増えることが予想されます。まあ、オペラといえば豪華絢爛たる衣装で大規模なセットを期待しているファンにはもの足りないのだろうけど、純粋に音楽としてのオペラを楽しんでいる私は内心よろこんでおります。