『アヒルと鴨のコインロッカー』

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

発端の謎、中盤のサスペンス、意外なラスト、と本格のコードに則って書かれた作品ですが、その仕上がりは「これぞ本格!」とはいえないものになっています。でもそんなことはどうでもいいのです。これが一級品のエンターテインメント作品であることは間違いないのですから。魅力的なキャラクター、交差する物語、独特の文章と読みどころ満載。ミステリ的なトリックは気づく人はすぐに気づくかもしれません(僕はまったく気づかなかったがな!)が、気づいたとしても十分に楽しめるのではないでしょうか。それに伏線の回収の仕方も巧み。最後の余韻もよいです。泣きながら一気に読みました。
伊坂作作品はまだ3作しか読んでいません(オーデュボンと陽気なギャングとこれ)が、いまのところはずれなし。まーべらす。