京都朝鮮学校いやがらせ事件が起こるまでを振り返る

2月1日に京都朝鮮学校いやがらせ事件の刑事裁判が執り行われる事を先のエントリーで紹介したが、今回はこの事件が起こる前段階、首謀者と目され在特会京都支部長に復帰した西村斉氏らの、学校襲撃に至る前の行動がわかる映像から事件に至る彼らの思惑を推測してみたい。

下記に首謀者と目される西村斉氏と荒巻氏が襲撃前の事前調査?らしき事をしている映像がある。
「京都朝鮮学校が児童公園を不法占拠【主権関西/在特会関西】
http://www.youtube.com/watch?v=R8lj_IMkIqg

まずこの映像の紹介文として以下の文言が並べられている。
「京都朝鮮第一初級学校は、京都市勧進橋児童公園を、朝鮮学校の運動場として子供に教えています。11月1日にも、京都市に無許可でバザー(学校運営資金集めで、焼肉やビールなどのアルコール販売等)をしました。教育の場で焼肉や酒類の販売とは・・・・。京都市も占有利用を認めてないにもかかわらず、注意も無視して強行突破でイベントを行ないました。(公園の利用申請許可書類は、今まで提出されたことがありません。)オモニ会の(保護者会?)親までが学校の運動場と苦情を言われるまで知らなかった??と、・・・・・自分たちも子供のころに、学校の運動場と教えられたそうです。・・・・ドあほです・・・・。注意も受けたその後も、我が物顔で今でも授業やサッカークラブの練習を行なっており、サッカーゴールや、コンセント、放送設備等の撤去も行なわない。今まで、何度も注意されても全く反省も無い。地元の子供や老人が、当たり前に使えなくて辛い思いをしています。日朝友好促進の前に、嘘を教えない朝鮮学校内の教育促進が先に行なわれるべきである。上記の情報を在特会会員が教えてくれ裏を取りに公園に行ってみたが情報に間違いはなかった。朝鮮に弱い京都市も珍しく朝鮮学校側と揉めているという事でした。尚24日に京都市緑地管理と話をする予定です。12月○日に突撃します(笑)後期待ください!」

この映像を上げた人物が誰かはわからないが、この紹介文自体は主体的な文言となっており西村斉氏自身が書きあげたものか、或いは襲撃事件に加わった誰かの可能性が高い。
この紹介文の惨さの指摘はいろいろあるが、まずここでは「在特会会員が教えてくれ裏を取りに公園に行ってみたが情報に間違いはなかった」という文言に注目したい。つまり在特会会員の通報により行動を起こしたという事だ。
ここで朝鮮学校弁護団の第三準備書面で述べられていた学校の公園利用に対して「怒鳴り込むようなクレーム」を起こした人物がいた事を思い出してほしい。
この件で京都市役所に確認したところ、この「怒鳴りこむようなクレーム」をした人物は事件のおこる半年程前、2009年5月頃から学校行事がある時に役所にクレームをつけ始め、事件がおこる直前までクレームの電話をしていたそうだ。
また「尚24日に京都市緑地管理と話をする予定です」と書かれているが、これも京都市役所に確認したところ事件以前西村斉氏が役所に来訪した事実はないとの答えをもらった。
つまり彼らは上記紹介文で書かれたものは、何の公的問い合わせ裏付けもなしに書かれたものという事になる。

それでは映像を見て見よう。
この中でいきなり訪ねたにしては、のっけから何の脈絡もなしにやたらと朝鮮学校側へのクレームを述べ西村斉氏に同調する「阪神高速建設現場のガードマン」という不思議な人物が登場する。この人は周辺住民が不満をもっているという証人として出てこられるのだろうか?上記の「市役所に怒鳴るようにクレームを電話した人物」といいなんとも胡散臭さが漂う。そのうち正体が明らかになると思うがN氏のマッチポンプ的手法は底が見えていると言っていい。

あと、襲撃前のリサーチとして役所(京都南区役所?)に赴いてはいるが公園管理の窓口を確認しただけである。ここで事件の被告の一人である荒巻氏が09:05より公園遊具は朝鮮学校が勝手に撤去したのではと言い、高速道路建設による工事都合により撤去されたという事実が判っていない事が判明する。また10:08より学校側と市の窓口が話し合いをしているという事実を知るのだが、公的機関の話し合いもおかまいなしに事件を自己都合で確信的に引き起こした事がここでもわかる。そして再度言うが彼らは事件前にその窓口を訪ねていない。

また、話は紹介文に戻るが「京都市も占有利用を認めてないにもかかわらず、注意も無視して強行突破でイベントを行ないました(公園の利用申請許可書類は、今まで提出されたことがありません。)」と書いてある。これは恐らく弁護団第三準備書面で書かれていた、「工事に伴うグラウンド移転」に関しての市役所と学校側協議の事を指し、映像でも「話し合いを継続中」という中身なのだが歪曲も甚だしいと言える。また「今まで、何度も注意されても全く反省も無い」という点について市役所に確認したが、「怒鳴りこむようなクレーム」以前は確かに散発的にゴミ処理とかのクレームらしきものはあったが、強いて問題を感じるようなものはなかったとの認識であった。「つまり何度も注意」というのは「怒鳴りこむようなクレーム」以外はなかったという事だ。


少し蛇足ではあるが、裁判においてその不満をもった近隣住民の証言がどの程度得られるかも甚だ疑問な点であるが、彼らはそういう掘り起こしはやっているのだろうか?弁護団の対応を含め推測するにこれで何かがひっくり返るとは思えない。むしろ藪蛇の感がある。
あと、彼らは元校長の略式起訴の件を「学校側が公園を不法占拠」の根拠とする可能性が非常に高い。しかしこれは弁護団第三準備書面でもいうように検察都合による脅しによる処置であり、なによりも公訴事実である半年間における「ゴールポスト等の備品」を置いた事をもって「不法占拠」というのはかなり無理がある。また公園使用においても「学校・市役所・自治会の3者協定」の存在は大きく、教育関連ではあるが京都市役所関係者の後援の学校側記念式典が公園で行われた事実も重い。これで被告らは「朝鮮学校による50年に渡る公園不法占拠」というものが裁判所に理解されると本気で思っているのだろうか?

さて上記映像と紹介文において言えるのは首謀者と目される西村斉氏は弁護団第三準備書面で明らかになった「公園使用の経緯」も「工事前までフェンスが張ってあった」事も「遊具が工事都合で撤去されていた」事も「学校・市役所・自治会の3者協定」の存在もろくに知らなかったようで、その上で在特会会員の通報により自らの思い込みのみで襲撃に至ったと言えるのではないだろうか。
なんの事はない。京都朝鮮学校いやがらせ事件に至るN氏らの調査というのは、なんの裏付けも存在しない稚拙の上で、彼らが底の透けた3文芝居を演じているように見えるのは私だけではないはずだ。