第8回口頭弁論傍聴記

今回の裁判は、被告側からの傍聴希望者が見当たらず、ほとんどというか、ほぼ学校側支援者で埋められた。前回、被告側の対抗書面が出たので動員というか報告集会まで行ったのに、今回はこれである。相変わらず被告側は裁判を避けているというか、ないものと思いたいようで、相も変わらず被告側のやる気をまったく感じなさはなんだろう。
自分達が仕出かした事への責任を放棄していると言っていい被告らの態度は毎度の裁判の風景を見れば一目瞭然である。今回も、被告席には被告代理人である徳永弁護士と八木在特会筆頭副会長のみ。
さて、裁判長が入場して、早速、双方から提出の今回証拠映像に関する説明書の確認が行われた。どうも被告側は用意していなかったみたいで後の提出となる。
今回の証拠映像は原告被告双方が用意した映像を事前に確認をしておるもので、原告側は「2009年12月4日の学校襲撃」「2010年1月14日の学校周辺街宣」「2010年3月28日の学校周辺の街宣(仮処分違反)」と題してブレノ氏と主権回復を目指す会の撮影した映像を元に問題点を抜き取ったものであり、被告側のほうは西村斉、荒巻両氏が12月4日の事件前に事前調査と称して撮られた映像の中から、例のガードマンへのインタビューと区役所訪問の抜き取り映像であった。
なお、この元の映像はリンクしない。もろに肖像権侵害を引き起こしており、筆者自身気持ちの悪くなる映像紹介は二の足をふんでしまうので、申し訳ないが探せば出てくるので確認したい方は自力でどうぞ。

では、原告側弁護団より出された「証拠説明書」を元に当日のやりとりを書き起こしたい。
ちなみに内容、コメント部分での個人情報にかかわる個所は筆者がより分け改変した。また時間軸のとこは今回の裁判で出された映像に合わせたものなのでこの点のズレはご容赦願いたい。




2009年12月4日 学校襲撃

Tr内  容立証趣旨・コメント
1子どもが見える。荒巻氏「こっちおいで」
校長が「ここは学校です。」となだめているのに全く聞き入れない。
荒巻氏「ジャングルジムとか滑り台とかどないしたんや」と誤解に基づく攻撃
西村斉氏がメガホンを使い始める
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被告らは児童の存在を十分認識。大音量で授業にならない妨害。相手の意見に全く耳を貸さず攻撃するだけ。遊具撤去の件が思い込みに基づく誤解であることは甲41?02:00以降参照
中谷氏、慶次郎氏、rockyosk氏、N元大阪支部長らが朝礼台を動かし校門まで持ってくる
川東氏はアルミ梯子に乗りスピーカーの断線作業中
荒巻氏が、「ブレノさん、こいつ、こいつ」と学校の中の人を指さし松本に撮影をさせる
被告らによる自力執行
ブレノ氏は被告らによく協力している
川東氏が配線を切断、N元大阪支部長が装置を校門前まで持ってくる
西村斉氏は「我々は1時から3時までここ(公園)の管理権を持っている」と言う
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川東氏が器物損壊罪に問われた実行行為
なお西村斉氏がいう管理権には根拠がない。
西村斉氏「各種学校扱い。学校教育法に基づいている学校ではないんですよ。北朝鮮のスパイ養成所。だからマイクを使おうが何しようが関係ないんですよ。」公訴事実にもなったヘイトスピーチ
川東氏が「在日特権を許さない市民の会」と書かれた幟を持ってくる。/td>被告在特会と行為者らの結びつき
中谷氏が演説中。怒った人が抗議に来ると取り囲む。
西村斉氏「何が子どもじゃこんなもんお前、スパイの子どもやないかスパイの」
被告らの攻撃性・危険性
ヘイトスピーチ
西村斉氏、 1月に学校自ら設置物を撤去するという市との約束について言及
「ということは、うそついてるんですか京都市は」
被告西村斉氏は学校と市との約束(1月の撤去)を認識している
動画の中で西村斉氏は学校側が約束の存在を否定したかのように決めつけて「京都市はうそついてるんですか?」と言っているが、学校側は約束を否定しておらず、むしろ約束どおりに撤去するところだったことを根拠に被告らによる自力執行を批判していたので、噛み合っていない。この部分の発言はマッチポンプである。
「日本に住ましてやってんねや」「端の方歩いといたらええんや」「目には目を歯には歯を」など。ヘイトスピーチ
西村斉氏、Kさん(京都市役人名)の許可を得ていると言う被告らの行為を正当化しているが、そのような事実は確認されない
西村斉氏、I弁護士との会話の中で、「トップ」の存在を示唆桜井誠氏・在特会という組織が行為者らに及ぼした心理的因果性
西村斉氏「我々は話し合いに来たんじゃないんですよ。」
中谷氏、自力執行について弁明「(市が)やらないからやってるんですよ」
話し合いの余地はなく行為の押しつけであることの自認
被告らが行政代執行を申し立てたことはなく、最初の現地調査から15日しか経過していない。やるだけのことをやったとはとても言えない。
当日になるまで学校への連絡や申し入れは全くなし。
川東氏「約束というのはね、人間同士がするもんなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません。」
斉氏「在特会会長桜井誠公開討論会を」
ヘイトスピーチ
桜井誠氏が行為者らに及ぼした心理的因果性




2010年1月14日学校周辺街宣

Tr内  容立証趣旨・コメント
参加者「不逞鮮人ども、お前らがこの公園のベンチどけたから弁当食えんやないか。どうしてくれんのや」荒巻氏の思い込みによる虚偽の事実が伝搬
サングラス女性(クロエ氏)参加者の粗暴性
西村斉氏「もし妨害があれば徹底的に行きましょう(失笑)」参加者の粗暴性、騒動の扇動
中谷氏「12月の4日、あの動画が配信されてからというものは、この活動の流れというものは、一段と加速したと思うんですよ。やっぱり、この勢いを消してはだめです。更に更に加速して、一気に持って行けるように、寄り切れるように、わたしたち力を合して頑張っていこうじゃないですか。」(甲9の反訳には入っていないので追完予定)ブレノ氏による動画撮影・配信の重要性(影響力)
西村修平氏「…連中を容赦しない。…徹底的にやりますからね。よく顔見ておいてくださいよ。」もはや反論を前提とする「言論」ではない。揉め事をすることを念頭においた発言。
西村修平氏「朝鮮人を叩き出す。」→出発最も重要な参加者である被告西村修平により、デモの動機が朝鮮人嫌悪に基づくことが宣言された
(学校前の道路に進入していく街宣車児童が在校していれば授業が成り立たないほどの大音量
使用差止の目的となっている車両の存在・使用形態
荒巻氏、通行人を挑発「覚えておけよ、こら」もはや“デモ”などではなく集団での市民への挑発にすぎない
(学校前で、過激な挑発的発言 甲9・p7冒頭〜)ネット上に流布・伝搬している神話「戦後に朝鮮進駐軍がした蛮行」について宣伝している
(学校前で、過激な挑発的発言 甲9・p7冒頭〜)ネット上に流布・伝搬している神話「戦後に朝鮮進駐軍がした蛮行」について宣伝している
(学校前、差別的偏見に満ちた虚偽の事実摘示)同上
西村斉氏「朝鮮総連、文句あったらかかってきなさい。」と挑発。正当な言論などではない。ケンカの扇動。
西村斉氏「排除。うるさい。目障りや」正当な言論などではない。反論しようとすると、排除。
戦後、不当朝鮮人に理不尽に殺された先祖の恨みを絶対に忘れないぞー。
ゴミはゴミ箱に、朝鮮人朝鮮半島にとっとと返れー。
前述の“朝鮮進駐軍”について述べている
出て行けと連呼するサングラス女性(クロエ氏)。それに呼応する街宣参加者個人攻撃の連続、怒る市民
(デモ隊と警察官がもみあいになっている)
こら…不明…。こら、なめっとたらあかんぞこら。
おいこら、なめっとたらあかんぞ。…不明…
西村修平氏「日本が嫌いな朝鮮人は脱日しろー。
日本が嫌いな朝鮮人は脱日しろー。」
表現の自由の行使などではなく集団による市民への威嚇である
中谷氏、警察の制止に逆らうように挑発、騒動を起こそうとしている。
「土地を返せー。挑発させるなー。排除しろ、排除。」
別の人物「ぶち殺しなさいよ、あのひとを。」「逮捕しろ〜」
同上
K氏(排外社代表)「朝鮮人の公園不当占拠を許さないぞー。朝鮮総連は解体するぞー。スパイ養成学校、朝鮮学校をたたきつぶせー。朝鮮学校をたたきつぶせー。朝鮮学校を閉鎖せよー。京都にのさばる朝鮮人は出て行けー。」公園の問題から論理飛躍させて差別意識扇動に結びつけて効果的に用いられている。
美久氏「我々日本人は朝鮮人に祖先を殺害された恨みを未来永劫あの世に行っても忘れないぞー。復讐するぞー。かならず日本から…不明…をたたき出してやるー。
ゴミはゴミ箱へ、朝鮮人朝鮮半島へ帰れー」
美久氏が極めて重要な役回りを演じている
サングラス女性(クロエ氏)「戦後、不当朝鮮人に理不尽に殺された祖先の恨みを我々は日本人は決して忘れないぞー。今こそ日本人は決起し、不逞をはたらく朝鮮人を日本からたたきだせー。来るなら来い。不逞朝鮮人。文句があるなら殺してみろ。差し違えても戦うぞ。」挑発して騒動に発展させようとする発言内容。
発言の根拠はまたしても“朝鮮進駐軍
美久氏「違法換金のパチンコをー日本からたーたき出せー。
パチンコの資金で反日のかぎりを尽くす朝鮮人を日本からたーたき出せー。」
美久氏による演説
警察官「警察官の歩く速度に合わせなさい。」
西村斉氏「合わしてるやないかい。」
警察官「警告します。
警官の指示に従わずに騒動を起こそうとする。
川東氏「朝鮮人は保健所で処分しろ。」に扇動されて、
街宣参加者「朝鮮人を保健所で処分しろー。」と叫ぶ
川東氏によるヘイトスピーチ
西村斉氏「出てこい、今誰や。おつるさんを侮辱した男は。出てこーい。」
警官「デモについては終了しています。解散しなさい。」
個人攻撃を行うことは、政治的言論とは無関係なのは明らか。
警察の制止にもかかわらず、「出てこい」と連呼する西村斉氏と、これについて歩く街宣参加者/td>集団での個人攻撃に向かう参加者ら。警察以外に歯止めがない。
解散を命じる警官。にも関わらず、騒動を続ける。同上
西村斉氏「黒のジャージ。出てこい」同上
解散を命じる警察官。無視する西村斉氏同上
朝鮮学校に近付こうとして、警察官に阻止される。制止にも従わず、あえて突破しようとして、騒動にしようとする街宣参加者。同上
黄色のコートの街宣参加者が(rockyosk氏)、黒ジャケット・サングラスの男性に突っかかっていくのを見て、荒巻などが騒動を起こしに行っている。同上
警官の制止されながらも突っかかっていこうとする黄色コート街宣参加者(rockyosk氏)及び日の丸旗を掲げる街宣参加者。同上
サングラス女性(クロエ氏)が、差別的侮蔑で後方から騒動をあおる。同上
騒動の場に冷静に近付く街宣参加女性。衝動に駆り立てられた群集心理といったようなものではなく、騒ぎを起こすこと自体を目的としていることのあらわれ
「集合、集合、撤収、撤収」集団としての一体性を保ったまま行動をしている。個別の突発的、衝動的な行動などではなく、組織的な目的のもと、意図的に騒動を起こしていることが示唆される。
デモ解散を呼びかける警官の警告に食ってかかる街宣参加者。被告らの粗暴性
現場を離れながらも、街宣車の大音響でヘイトスピーチを続ける。許可されたデモの終了後。





2010年3月28日 学校周辺の街宣(仮処分違反)

Tr内  容立証趣旨・コメント
警官に西村修平氏と中谷氏が仮処分決定の送達について聞かれている。
中谷氏は決定の存在を認識。
なお、西村斉氏にはすでに送達されていた
地元の少年に対し,「ゴキブリ朝鮮人をたたき出せ」などと罵声を浴びせる西村修平氏は、どれほど自分の発言が人を傷つけているか認識しているのであろうか。
怒号につつまれデモ隊が出発する住宅地の中で大音量を発する。
少年らに怒声を浴びせながらの出発。
被告美久氏がマイクアピールを行う。西村修平氏「朝鮮メス豚はでていけ」などと発言する美久氏の関与。
演説ではなく個人攻撃。
被告西村斉氏,抗議する車両に対し「ぶち殺したろかコラ」などと述べる西村斉氏による脅迫文言。
被告美久氏がマイクアピールを行う。西村修平氏「ゴキブリをたたき出せ」、「蛆虫を排除、たたき出せ」、「ゴキブリ朝鮮人をたたき出せ」などとマイクアピール。仮処分の境界(ローソンのあたり)に接近する。使用差止の目的車両。
被告らが仮処分決定に反して第一初級学校に近づくことを必死で止めようとする近所の人たち(父母・卒業生ら)。
100円ローソンのあたりが仮処分のライン(校門から200m)。
仮処分決定違反の事実。
西村修平氏による聞くに堪えないヘイトスピーチ・個人攻撃。もはや表現の自由の行使ではなく、侮辱の連発である。
危険な状態となり被告らのデモ隊が前進できなくなる
デモ隊が朝鮮学校周辺にちかづく。被告美久氏によるマイクアピール仮処分決定違反。
美久氏の関与。個人攻撃。






原告側証拠映像は以上である。
2時間程の長時間に渡る映像検証となり、何回もこの映像を見た筆者でさえも、気分の悪さがこみ上げてきたし、途中退席する御婦人もいた事を記しておく。
この映像の合間に原告側と被告側の双方の応酬があったが、正直、被告側代理人である徳永弁護士と八木在特会副会長の反論の力のなさが際立った。
徳永弁護士は言われたから言い返したとの「応酬言論」であると言い張るが、その「応酬言論」の中見についてはついぞ答えられるものはなかったし、段々と消耗し疲れていく様が見えた。さらに八木氏にいたっては「ひどいと言われりゃそのとおりだが・・」と認めてしまっているし、なんとか食い止めようとし挙手し発言を求めるが裁判長が見てなかったのかそのまま流される場面もあった。被告側からすれば苦痛の2時間であっただろう。
その証拠に八木氏自ら「リンチ状態」であった事を告白している。


民事訴訟の報告」


http://www.zaitokukai.info/modules/wordpress/wp-ktai.php?view=content&num=0&start=0


しかし、八木氏のこの能天気さには恐れ入る。彼には当事者意識というものがあるのだろうか?筆者は前から疑問に思っていたが、彼は何故、徳永弁護士があれほど消耗したのか理解できていないのではないだろうか。映像で指摘された被告らの蛮行の数々がどれほどに人を傷つけ怒らせ、この裁判に結びついたかを理解できてないのではないか。

手をださねば大した事はないと思っているふしが見える。断言していいが、人は言葉の暴力により死ぬ事がある。その例はいくらでもある。言っておくが、被告らのその想像力のなさがこの裁判で裁かれていると言っていい。

八木氏は賠償金が発生して自らの給料が差し押さえられて初めてそれに気がつくのだろうか。

ちなみに八木氏の報告であるが「原告の方は動画に出てくる朝鮮人の仲間をなるべく関係者では無いとしようとしておりましたが」とはどんなに都合のいい妄想だと思える。弁護団は逐一、知っている人間は児童の親類等と説明していたし、関係者でないものはないとはっきり述べていた。「要するに少年も含めて皆さん、関係者なのでしょ。何処のどういう人だかよく分かっているようですし」と言うならばその立証責任は被告側にある。さっさと調査して裁判で提出すればいい。

ただし、筆者は何処の誰かは知っているので断言していいが学校関係者ではない。
八木氏は、被告らの蛮行を学校関係者しか怒ってないと思えるその想像力のなさを本当にどうにかしたほうがいい。
あと、「保険所の処分」については三羽の雀さんの指摘のとおり。再度言うが本当にどうにかしたほうがいい。


三羽の雀日記「京都朝鮮学校襲撃事件裁判:ふたたび裁判スルー(=現実逃避)モードに戻った在特会 ※追記あり


http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20111026/p1




原告側映像の後に引き続き被告側より例のガードマンの「学校側が公園使用ために嫌がらせを行った」というインタビュー映像があったが、そのインタビュー内容を明確に原告弁護団は否定した。被告側はこれもこのガードマンを出廷させなければ証拠能力が認められるとは思えないのでさっさと連れてきてほしい。
さらに、区役所で西村斉氏、荒巻氏による学校の公園使用について述べる映像もあったが、原告弁護団も述べていたが、両氏が一方的に役所の人間に決めつけ押し付けているだけで、これが何のために出されたのか理解できなかった。



長時間に及ぶ映像の検証後、裁判長より次回の予定についての話があった。

次回はいよいよ証人尋問となるのだが、裁判長よりまずは美久氏、西村父氏、ブレノ氏をしたいとの話になり、出廷するかどうかは被告側より11月14日までに確認される事となった。ここでおやっ!?と思ったのだが、ブレノ氏に関しては裁判長より「質問時間が長くなるかもしれないので次々回になるかも」という発言があった事である。確かにブレノ氏に関しては原告側より書面一つまるまる出すほどのものがあるのだが、ひょっとして、警察においても屁理屈をゴネ通しだったブレノ氏の人となりを裁判長は既に知っているのではという推測をしたのだが、どうだろう。


次回日程は11月29日(火)午後1時半より。
人証を予定。



本日のグルメレポート
大阪梅田・泉の広場にある「焼賣太樓 ホワイティー梅田店」
泉の広場の老舗でお昼のランチはどれもウマー。チャーハンとラーメンをお勧め。