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2016-07-29

[] フロントの会見と横浜FC戦に向けて

長谷部茂利監督代行および高橋悠太GM囲み取材レポート(ジェフ公式サイト)

塚監督から長谷部監督“代行”へ。指揮官交代の背景と今後のプランとは?(サッカーダイジェスト)


 監督交代に関して高橋GMなどのコメントが出ましたが(社長のコメントはなぜ公式サイトにアップされないのでしょう)、個人的には予想以上に残念な内容でした。

 言いたいことは多数ありますが、細かなことは置いておくとして、結局フロントは短期的な結果や昇格のためだけに監督を交代したということなのでしょうか。

 しかも、その上でクラブとしての具体策は何もなく、ただただ新人の長谷部監督にすべてを委ねるということなのでしょうか。


 それではこれまでのジェフと、なんら変わないように思えます。

 ネット上での反応を見ても、概ねフロントとサポとの見解には大きな乖離があるように感じます。

 そんな状況で、果たして真の意味での「一致団結」が望めるのかどうか…。



 個人的には関塚監督の解任に関しては、理解できるものではあったと思います。

 先日もお話した通り、昨年末の段階で解任が妥当だったと思いますし、今年に入っても同じ課題を解消できなかった。

 今後チームが安定して成長していくようには見えなかったし、あとはタイミングだろうと思っていました。


 しかし、すでに関塚監督体制で始まってしまった今シーズン。

 シーズン中の解任はリスクが高いし、出来る限り今季は関塚監督が責任を全うすべきではないかとも考えていました。

 特に関塚監督は未だ一部に根強い人気があるようですから、今年1年は関塚監督がやり切って白黒つけた方が未来のためになるかもしれないとも思っていました。



 すべては現在のクラブのためではなく、将来のクラブのことを考えて。

 より良いスタートを切るための、的確なタイミングを見極めることが重要であろうと。

 ただ、逆に言えばシーズン中であっても良い新スタートが切れるのであれば、監督交代も問題はないとも思っていました。

 しかし、蓋を開けてみれば監督を交代して、監督経験のない長谷部監督にバトンを渡した上、コーチ陣の人数すらも揃えられない状況。


 おまけに新人監督をじっくり見守る様子もなく、具体的なノルマ(一応社長は否定しているようですが)まで課して「手腕に問題があれば来季は代えます」とまで話している。

 もちろん残りシーズン次第で長谷部監督の来季が決まるのは妥当ではあると思いますが、果たして現状でクラブが新人監督に厳しいプレッシャーをかけるのことが得策なのかどうか。

 例え昇格が親会社やスポンサーからの命題だったとしても、あまりにもサポート体制がなっていないように思います。



 個人的に気になったのが、高橋GMの「今年だけでなく来年再来年と継続的に強化させていかないといけない。そう考えるとプレーオフ進出というのは1試合1.5〜1.6くらい勝点を重ねていかないと…」と話している部分。

 そのまま受け取れば、継続的な強化のためにPOに進出しなければいけないという話になります。

 どちらも前向きな話ではありますが、継続的な強化とPO進出はそのままイコールにはならないでしょう。


 PO進出のために継続的な強化が必要であるというのならまだわかりますが、これでは順番が逆ではないでしょうか。

 例えそこから昇格してもJ1では通用せず1年で降格してくるクラブも少なくないわけで、J1に上がれれば必ず強くなるとも言えないでしょう。

 その前にまずはいかに強化するかが何よりも重要なはずですが、監督を解任して最低限のコーチを内部昇格しただけで「今以上の結果を出せ」と言っていることになります。

 個人的にはPO進出圏という結果以上に着実にチームを成長させることができるかどうか、来季以降に可能性を感じられるチームになるかどうかの方が重要なのではないかと思います。



 結局のところどのようにチームを強化するのかに関しては、何ら説明がないままといった印象です。

 高橋GMは数字が好きなようで西部謙司氏もコンサルのようと話しており、開幕前にも「昇格のためには3連敗しないこと、70得点以上40失点未満で2桁得点が2人いること」などと話しています。

 しかし、連敗しないこと、得点を増やし失点を減らすことは、あくまでも目標であって方法論ではない。

 今回の説明もそうですが、"目的"と"手段"が逆に来ているような印象です。


 フィジカルコーチについて聞かれ「今以上によくするのが強化の仕事」と答えてはいますが、今日までとなるはずの夏の移籍ウインドウでも今のところ動きはなくコーチの外部招聘もなく、具体的な強化策が見えてこないというのが現状だと思います。

 総じて"監督解任ありき"で、クラブの将来に関して計画性があるように見えない。

 コーチ陣の退任、昇格の発表経緯からしても、行き当たりばったりになっている印象です。

 高橋GMが就任して半年となりますが、数字やノルマばかりが先行していて、どのようなクラブ作りをしていきたいのか見えてきていないように思います。



 もちろん昨年の監督継続も、今回の監督解任も高橋GM主導のものではないかもしれないし、もっと上からの力が働いている可能性もあるでしょう。

 ただ、これまでの経緯からしても、今回の具体的な数字はGMが課したものではないかとも思います。

 個人的に残念なのは、まるで新人の長谷部監督を試すかのような発言をしていること。


 確かに結果的にそうなる部分もあるかもしれませんが、まだまだこれからの指導者なわけでいきなり完璧に物事をこなすというのは難しいでしょう。

 新人監督を就任させたのであれば、まずは最大限のバックアップをして、しっかりと見守ることが大事なのではないでしょうか。

 ましてや高橋GMが連れてきたであろう指導者なわけですから、高橋GMが後盾にならずして誰がなるのか。

 プレッシャーをかけ続けるのではなく、じっくりと監督やチームを見守ることが、将来に向けての継続的な強化にもつながるのではないかと私は思うのですが。


 やはり神戸での経験しかなく、まだ若いGMいうことで今のジェフには荷が重すぎたということでしょうか。

 親会社やスポンサーなど、裏で様々な力が働いているのではないかと言われる中で、クラブをコントロールするのは並大抵の人物では難しいということなのでしょう。

 また今回コーチが外部から招聘できていないのも、長谷部監督のコネだけでなく、GMのコネも少ないからなのかもしれません。

 先日「厳しいノルマも課せられない状況ではないので、ノビノビとやれるのではないか」と期待を込めて言ったのですが、全く逆の状況になってしまいました。

 これでは江尻監督に丸投げした時と何ら変わらず、今回の会見を読んで今後のクラブが一気に不安になってしまいました。



 さて、そうはいってもシーズンは進むわけで、まずは試合に集中しなければなりません。

 新チームの初戦は、アウェイ横浜FC戦となりました。

 横浜FCは6月に入って体調不良のため、ルス監督が辞任しています。


 当初は増田コーチが監督代行を務めていましたが、辞任が決定した後の6月19日岐阜戦からは昨年も代行を務めた中田TDが指揮を執っています。

 中田監督が就任してからは2勝2分3敗。

 しかし、ここ3試合は1勝2分で負けなしの状況となっています。



 チーム状況も徐々に改善されてきた印象で、守備時のポジション修正なども細かくなり、ボールに行けるようになったように感じます。

 攻撃に関しても、ここ2試合は大久保、イバの2トップでスタート。

 2トップが落として中盤で繋いで、サイドから攻撃という形が出来つつあるように思います。


 順位で言えば横浜FCは15位ですので、9位のジェフが上ということになります。

 しかし、ここ最近の成績で言えば、横浜FCの方が勝ち点を稼いでいる状況。

 勝点差も「5」しかなく、横浜FCの方が1試合少ないですから、J2中段争い直接のライバルということになります。

 アウェイゲームですし、嫌な相手となるのかもしれません。



 ジェフは長谷部監督就任直後ということで、どのようなサッカーになるのか読めない状況です。

 シーズン中の監督交代で1週間しか猶予がなかったわけですから、継続する部分も出てくるのでしょう。

 特に攻撃面は大きく変わらない可能性もあるのかなと思います。


 注目はやはり守備組織を、短い期間でどれだけ構築できるか。

 丹羽などはどのポジションでもこなせそうですし、北爪や勇人も好調のように見えましたから、どのように選手を配置するのかも気になります。

 一方でアランダやエウトン、富澤など怪我人も増えている印象ですから、新チームのスタートということを考えるとメンバーが揃わない不安もあると思います。

 今いるメンバーでどれだけベースを作れるかが、重要ではないでしょうか。



 フロントの姿勢とは反するのかもしれませんが、まずはじっくりと新チームがどのようなサッカーをするのか見守っていきたいところではないでしょうか。

 シーズン中に、新米監督へバトンタッチ。

 解任前は試合内容も非常に悪く、成績も中段勢に飲み込まれかけている状況。


 フロントの楽観的な見立てとは異なり、現状のジェフはかなり厳しい状況に立たされているように思います。

 それだけに新チームには焦らず一歩一歩、前進していってほしい。

 それによって最終的に将来に期待を持てるチームとなれば、それが今のジェフにとっては何よりも大事なことなのではないかと私は思います。

 さまざまな逆境を跳ね除けて、良いスタートを切ってほしいと思います。

2016-07-28

[] 連戦中に実施した4.5バックを振り返る

 連戦中に始まったのでじっくりと振り返ることも出来なかった新システムを、改めて取り上げたいと思います。

 関塚監督が交代となりましたし、もうこのシステムをやることもないのかもしれませんが、何が狙いだったのかどこが問題だったのかを反省して次に活かすことは変わらず重要なはずです。

 戸田や鈴木隆行、水沼など解説陣にあれだけ揃って否定されることも少ないと思いますし、基本的には大きく失敗したシステムだったと言えるでしょう。

■攻撃時は4-4-2、守備時は4.5-4-1(町田戦)

f:id:aratasuzuki:20160727200336p:image

 まずは町田戦ですが、攻撃時は町田と船山の2トップで、北爪が右SHに上がる4-4-2。

 守備時は図のように北爪がMFラインとDFラインの間、右外にポジショニングするような形で、相手選手がサイド後方に出てくれば北爪が下がって5バックになる。

 北爪が攻撃時のSHから後方に下がることになるため、町田が右SHの穴を埋める変則的なシステムでした。


 しかし、北爪が右外に位置するため、その分中央は少なくなり、中盤から前がスカスカに。

 特に1トップは広範囲を守らなければいけないので、プレスが全く効かず後方で跳ね返すだけといった状況になりました。

 そのため中盤にスペースが空き、セカンドボールも拾えず、前半は防戦一方に。


 右サイドに関しても、相手が出てくると北爪が下がるので北爪の前が空き、そこを谷澤に使われてしまいました。

 また3試合を通じて、若干前寄りに位置する北爪が1人で広範囲をカバーするような状態だったため、北爪の裏に対して中央から斜めに出てくる動きを取られて、攻撃を作られることが多かった印象です。

 町田戦では後半からプレスをかけていき、結果的にリトリート状態にならず4-4-2の状態を維持できたことで巻き返すことが出来ました。

■攻撃時は5-2-2-1、守備時は前3人で追いかけるも(山形戦)

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 山形戦では立ち上りこそ4.5バック気味でしたが、相手が3-4-2-1でWBも前に出てくるためほぼ5バックで対応。

 町田戦とは違って、攻撃時は右SHの町田と左SHの長澤が2シャドーのような形で前に出ていきました。

 相手が後方でボールを回している際も、1トップと2シャドーで追う姿勢が見られました。


 しかし、全体のラインは低いままで、1トップ2シャドーで追っても後ろがついてこれないため、結局全体が低く構えた5-4-1のようなシステムになってしまいます。

 特に1トップが追いまわすので中央前方は良いものの、図のようにサイドの前方は誰が見るのか定まっていないため、そこからチャンスを作られてしまいました。

 試合途中から山形の左右ストッパーである栗山、田代が前に出てきて、どのように対処するかはっきりせずそこからやられてしまった印象です。

 町田戦に続いて、勝手知ったるはずの元ジェフ選手を止められなかったことになります。


 町田戦で北爪の前を取られたのも、山形戦で1トップ2シャドーが追っても後ろが付いてこなかったのも、結局「後方を人数で埋める」という発想がこのシステムの前提であるため、後ろから前で出ていくことが出来なかったのだろうと思います。

 もともと4.5バックにしたのも、サイドをうまくスライドして守れないため、4バックに人数を追加したのでしょう。

 しかし、そのまま人数を追加しては他が薄くなるため、北爪にアップダウンして1人2人役をやってもらう…という考えだったのではないかと思います。

■4.5-3-2で更にサイド前方にスペースが(清水戦)

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 清水戦では2トップに変更し、左SHの井出が中央まで絞る3ボランチのような形に。

 しかし、勇人なども5-3-2と言っていましたが、実際には左サイドから右サイドに振られた際などには、北爪がSHの高い位置まで出ていくかなり変則的なシステムでした。

 北爪がSBとSHをこなすという点に関しては、これまでと変わっていなかったと思います。


 しかし、中盤が3枚になったことによって、相手SBを誰を見るのかはより不明瞭になり、サイド前方のスペースは山形戦以上に空いてしまいました。

 特に右サイドに関しては北爪1人で守るような状況となり、長い距離を走って前に出て行かなければならない極めて難しい状態で、実際そこからやられてしまいました。

 左サイドも井出が外に出ていくものの、2トップがプレスに行くべきなのか引いて守るべきなのか迷っていた印象で、パスコースを限定できていなかったため左サイドへの守備も遅れがちでした。



 4.5バックの内容としては最後の山形戦が一番悪く、守備のタスクが不明確で選手たちも迷い、戸惑っていた印象でした。

 なぜより変則的な4.5-3-2に変更したのか。

 狙いははっきりと見えてきませんでしたが、イタリア代表がEUROで5-3-2を実施していたので、それをモデルにしたのかもしれません。

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 しかし、イタリア代表とは根本的な発想が違うように思います。

 イタリア代表は2トップがパスコースを消しながら前へプレスをかけ、サイドにボールを追いやったところでスライドしたボランチやSB、FWの選手たちで囲んで奪いに行く。

 ようするに、現在のトレンドである4-4-2で鍵となっている「前へのプレス」や「スライド」などは、5-3-2でも変わらず実行していたことになります。

 しかし、4.5バックでのジェフは「前からのプレス」を放棄して、「左右へのスライド」も出来ていなかった。


 イタリアがあえて2トップにしたのも、以前話したように、2トップの方がプレスをかけやすいという発想があるからではないでしょうか。

 その上でイタリアは伝統的に3ボランチで戦うことが多いので、うまく3枚で中盤をコントロールしながら守ることができ、5バックも維持することが出来た。

 トレンドと伝統をうまく取り入れながら戦う、美しい組織的なディフェンスだったと思います。

■勇人が魅せた前への姿勢

 清水戦でもう1つ気になったのは、今季初スタメンとなったアンカー勇人の前への守備でした。

 相手ボランチにボールが入った瞬間に前に出ていきチェックに行く、積極的な姿勢を見せていました。

 しかし、前からのプレスがはまっていない状況で、アンカーがプレスに行ってもかわされる危険性がある。

 実際、前半終盤には勇人が前に出ていきボランチにかわされて、そこからテセにシュートまで持ち込まれた決定的なシーンがありました。

 あれが決まっていればあの試合はあそこで終りだったのではないかと思いますし、その他の場面でも勇人が前に行ったものの簡単にいなされるシーンが目立っていました。


 あの場面を見て改めて、最低限の守備の整備というものが必要不可欠だと感じました。

 守備は選手1人で成り立つものではなく、チーム全体で意思統一を図り、狙いを決めていくもの。

 例え勇人1人が前へチェックに行きたいという姿勢を見せたとしても、1人だけではボールは奪えません。



 何度か話していますが、関塚監督の発想は古いのではないかと思います。

 今年のCL前にオシム監督がアトレティコ・マドリードに対しても、モウリーニョの影響が大きいと話していました

 アトレティコやレスターの活躍も、源流をただせばモウリーニョのサッカーなのかもしれません。


 モウリーニョが成功したのも、「リトリートしながらプレスをかける守備」を構築したからではないかと思います。

 後方のスペースをバランスよく消しながら、前にプレスに行く。

 これが現在のトレンドと言える、4-4-2のベースにもなったのかもしれません。



 しかし、関塚監督の守備はプレスに行ける時は良いものの、リトリート時はSBとボランチも後方に構えてゴール前で跳ね返すというのが基本ロジック。

 そのため全体のラインがどうしても低くなり、前から追いきれず、中盤やサイドのスペースも空いてバランスよく守ることが出来ない。

 ようするに、「プレス」と「リトリート」の二者択一で、同時に成立させることが出来なかった。


 これが一昔前のサッカーならそれでもよかったのでしょう。

 川崎時代では川崎山脈を並べて外国人選手がカウンターで走る、五輪でも吉田、徳永、酒井宏、鈴木を並べて永井が走る。

 しかし、それだけでは現在のサッカーには適していないのではないかと思いますし、現代サッカーに順応できなかったということになるのではないでしょうか。

 

 この3連戦でも試合途中から巻き返した試合はありましたが、それも前からのプレスが効いていた時間帯だけ。

 結局この2年間の課題であった、リトリート時の安定は築けないままでした。

 プレスを全試合90分間こなし続けられるのであればそれでも問題はないのでしょうが、当然それは現実的ではない。

 ジェフで関塚監督がうまくいかなかった一番の理由は、やはりそこだったのではないかと私は思います。