補強の話しは面白いし来期に向けての準備も必要ですけど、しっかりとした反省の下で次のステップに進まなければいくら投資をしても水の泡になってしまうだけです。
本当は時間を置いて一度頭を整理してから反省会を開きたかったのですが、今オフのジェフは積極的なのでそうも言っていられません。
昨年もゴタゴタがあってタイミングを逃してしまったことを考え、早めに始めたいと思います。
初めの方は暗いけど、だんだん明るくなっていく予定です(笑)
今期のジェフを反省するに置いて、選手の大量流出は避けて通れないでしょう。
ではなぜ大量流出してしまったのか?
私はその原因はチームの『急激な方向性の転換』にあったのではないかと思います。
そして、その急激な方向転換の直接的な原因は、アマル監督の解任にあったのでしょう。
アマル監督、クゼ監督、ミラー監督…。
ジェフはこの短い間で、戦術もチーム作りの手法も全く違う監督3人が指揮をとったことになります。
例え同じ欧州の監督でも東欧の監督でも、監督が変ればサッカーも変り当然の如くチームの方向性も変わってしまう。
この3人の監督を比べてみれば、良くわかることだと思います。
唯一監督を変えても方向性を変えなくて済む方法があります。
それが優れたGMを保持することでしょう。
祖母井さんは監督を短期間で変えざるを得なかった状況においても、自身の描く理念を貫くことでチームの方向性を維持し続けました。
しかし、このような有力で欧州へのコネもあるGMは日本では稀です。
唐井GMも昼田GMもまだそのレベルではなく、監督を解任すれば方向性が一気に変わってしまう可能性が高い。
そして、『急激な方向性の転換』はチームの崩壊を意味するということを、サポーターも含めて認識していた関係者がほとんどいなかったのが大きな問題だったのだと思います。
実際、アマル監督に変わって就任したクゼ監督はまずフォーメーションについて言及し、守備的なサッカーを目差しました。
昼田GMも守備の構築を初めから公言しており、クゼ監督がまず守備を整備しようとしたのは間違いではなかったはずです。
(そして、ミラー監督もまずは守備をベースとしたサッカーをしている。)
しかし、方向性が変わっていく様子は外部からもわかっていたはずで(現実を見れなかった人もいるが)、内部にいる選手達はもっと早い段階でその変化に気づいていたでしょう。
実際、勇人や羽生など数人は監督の話しを聞いてから移籍を決めており、監督のコンセプトが彼らの移籍に少なからず影響したはずです。
加えて移籍していった選手達としては、我慢して1年間戦ったチームを監督交代という手段で、簡単に変化させてしまうことに関しても抵抗があったはずです。
若かった主力選手達に加え工藤、伊藤、米倉、青木孝太なども育ち、後半にはレイナウドも加わって6連勝も出来た。
代表との掛け持ちにも少しずつなれてきた。
来期こそは…と思っていた選手も多かったんじゃないでしょうか。
また、急激な方向性の変化は残ったチームにも影響を与えました。
4バックを採用したはいいけれどSBの経験者は坂本しかいなかったり、ゾーン(にも前半はなっていなかったけれど)への移行に苦しんだり、新加入の選手達が馴染むまで時間がかかったり。
言うまでもなく戦力的に苦しんだ部分もあったはずです。
もちろんいつかは監督というものは変わるものです。
しかし、監督の交代というのは何よりもタイミングというものが重要です。
その監督と方向性で全てをやりきった、あるいは全く結果が出ずこれ以上の向上が見込めないというのならわかる。
例えばとして、クゼ監督の後のミラー監督はやりやすい部分があるでしょう。
一方でイビチャ監督を強奪された後のアマル監督、あるいはイビチャ監督の後の岡田監督というのは、今までの出来が悪かったわけではないため非常にやりにくい状況だったと思います。
戦術を継続しようにも前任と比べられ、自分の色を出すまでに時間がかかり、色を出したら出したで批判され…。
アマル監督の解任も、そういう意味で非常にタイミングの悪いものだったと思います。
しかも、クラブが完璧なサポート体勢が組めていたのならまだしも、阿部、坂本といった当時Jリーグでもトップクラスの選手で精神的な柱でもあった選手を失い、ハース、クルプニといったエキストラキッカーの代役もなかなか補強できず、主力選手達は代表に招集されて怪我ばかり。
例え試合に出れてもボロボロな状況でした。
それを差し引いて考えれば、決してそこまで酷い状況ではなかったように思います。
では、なぜアマル監督解任となったのか。
もちろん前社長の独断だったという見方もあるでしょう。
しかし、サポーターもその判断を結果的に後押しにしていたのは事実でしょう。
ブログを振り返ってみると、07年の8月頃には既にアマル監督への批判の声が増えていました。
アマル監督が就任してから、たった1ヵ月後のこと。
その頃から08年の監督への試合前からのブーイングの火種は出来ていたんじゃないかと思います。
それはやはり異常だったと言わざるをえないでしょう。
(今思えばフロントへの不満が監督チームへの批判につながっていた部分も少なからずあるのではないかと思います。しかしフロントへの不満を現場に向けるなど言語道断です。)
また、サポーターからの異常なブーイングは、選手達にとっても居心地が良くない状況だったのではないかと思います。
それも選手の大量流出=チームの崩壊につながったのではないでしょうか。
これに対して「今はいいからいいじゃない」とか「サポーターも頑張っている」とかいう話しで、まるで過去はなかったかのように話しを進める方もいますが、正直に言って私は大いに違和感を覚えます。
嫌な過去から目を背けたいのは私も同じです。
残留が決まって、大量流出も忘れ、あの忌々しい雰囲気だった07年のフクアリを忘れ、出来ることなら前だけを向いて歩いていきたい。
しかし、しっかりと反省しなければ、今後また同じことがおきるとも限らない。
浦和サポによる監督批判を笑う声も多いですけれど、少なくともジェフサポは笑えないはずです。
逆に私は「負けてもブーイングをしないジェフ」といわれる度に、苦笑いを浮かべてしまいます。
同じことをついこの間までしていたわけですから。
サポーターというのは時に暴走し、クラブにとって有害なことをしてしまうことがある。
それはジェフサポに限らないことだと思います。
だから、起こったことは仕方がないかもしれない。
しかし、しっかりと反省し次に活かすこと。
サポーターも世代交代というのがあるわけですから、次の世代にしっかりと語り継ぐこと。
そのあたりが重要なのではないかと思います。
もう少しチームの将来と方向性についてサポーターやファンも考えていくべきでしょう。
個人の好き嫌いのみで批判するのは、チームの方向性レベルの話しではありません。
クラブのことを本当に考えるのであれば、個人的な意見だけでなく周りからの目線も必ず重要になってくるはずなのです。
周りからのクラブの評価を高めることで、メディアでの露出も増えて収入なども増やし、選手やサッカー関係者から一目置かれるようになることで、よりクラブの価値を高めていく…。
そうすれば、最終的には今いるサポーターにも利点が帰ってくるはずなのですから。
アマル監督の批判が多かったときも、今が良くないという話しばかり論じられていたけれど、ではどうればよくなるのか?といった話しをする人はほとんどいませんでした。
酷い場合は個人的な選手名を出してきてあの選手を出したからいい監督、あの選手を使うからダメな監督と、幼稚な話しばかり…。
いくら娯楽の1つとはいえ、もう少しチームの行く末を考えるべきではないかと私は思います。
それこそがサッカーを見る者の、クラブを応援する者の醍醐味ではないかと思うのですが。
それが嫌ならゲームでもしていればいい話しで。
見ている側にそれが出来なければ、チームがよくなるはずないと私は思うのですが。
しかし、一方で今期のジェフサポーターは素晴らしい応援を見せていたということは付け加えなくてはいけません。
それこそ応援によって、お客さんが呼べるレベルではないでしょうか。
大きくはないけれど迫力のあるフクアリと素晴らしい黄色い応援が相乗効果を得て、立派なアリーナ(劇場)のような雰囲気を醸し出しています。
加えて、そのようなサポーターの素晴らしい応援の裏には、新フロントのサポーターへの歩み寄りも非常に大きかったのではないかと思います。
これを続けることが何よりも重要ですね。
熱狂的になればなるほど一度踏み外すと危うい状況になるわけで、サポーターに関しても長い目で見ていかなければいけないのではないでしょうか。
けれど少なくとも今期のジェフサポーターは私が言うことではないのですが、世界にも誇れる“日本一のサポーター”だったのではないかと思います。