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江尻監督独自の方向性

 先週末の岡山戦は村井、林など、懐かしいメンバーが多く見られた試合になりましたね。
 同じく今期復帰組となる茶野の負傷交代は心配ですが…。
 ミリガンも負傷していることもありますし、怪我が重くないことを祈るばかりです。



 村井が見せた縦に突破をしかけて相手を抜き切らずにクロス…という一連のプレーも懐かしく感じたのですが、久々のフル出場となった坂本のパス&ダッシュも非常に興味深く感じました。
 前方の選手にボールを預けてオーバーラップする…というプレーは決して珍しいわけではなく他のジェフ選手でも見られるわけですが、坂本の場合はその時のダッシュで思いっきり走りきる。
 他の選手の場合ボールを再び受けようという気持ちが強く、スペースを探したりスピードを調整したりするわけですが、坂本の場合はともかく全力で走るという意識を強く感じる動きを見せてくれます。


 オシム監督から学んだ当時の動きを、今でも真面目に変わらず実行しているということではないかと思います。
 いわゆるパス&ムーブの動きで思い切り縦に走り切ることで、相手選手のマークを引き付ける(あるいはマークが来なければ自分が裏に抜け出すことになる)。
 これによって相手の守備陣を混乱させ、パスを出した相手をフリーにすることもできるかもしれない…と。
 しかも長い距離を走る。
 オシムサッカーの基本となるプレーで、これを続けていくことでスピード感を感じるサッカーになっていくということではないでしょうか。



 ただ、今の江尻監督が目指していると言われているバルセロナサッカーの基本は、また違う狙いがあるはずで。
 基本的には、相手選手と相手選手の間のスペースでボールを受けることがベースとなるはずです。
 例えば相手のラインが引いていれば、中盤の引いた位置でボールを回して引き出すような動きが必要となってくるはずで、どちらが良い悪いではなくオシムサッカーの考え方とは異なるロジックがあるはずです。 

 


 しかし、ここ最近のジェフの試合を見ると、少しずつそのバルササッカーから離れてきているのかなといった印象を受けます。
 どちらかというと、昨年後半のジェフのような試合に近づいているんじゃないでしょうか。
 2トップ気味にして、一方のサイドにサイドアタッカーを置いて、もう片方の選手は外から中に入っていって、中盤を助けるイメージ…。
 個人的には、決して悪い傾向ではないのではないかと思います。


 監督自身の目指していく方向性と、現状のチームを考えながらチームビルディングを行っていく。
 それが理想的なチームビルディングなんじゃないかなと思います。
 例えばオシム監督だってジェフでははっきりとしたマンマークでしたが、代表ではゾーン気味の4バックを採用しています。
 それでもオシム監督自身のベースとなる部分は変わらず、「攻撃的なサッカーを目指す」ということだったはずです。



 問題は江尻監督の中で、その方向性が何なのかということ。
 それがバルササッカーの完璧なコピーでは現実的に完成させるのは難しく、どこかで躓いてしまう可能性があるのではないかと思いますし(実際そのあたりで苦労したようにも思いますし。戦力の面でもノウハウの面でも)、しっかりと自分なりの方向性を定めていくことが何よりも重要なんじゃないかと思います。
 そういう意味で、昨年後半の江尻監督の独自色が見えたようにも思えた昨年後半のサッカーに近づいているというのは、良い傾向にあるのかなぁと思うのです。
(急遽監督就任となった昨年の方が時間がなく、変に迷うこともなかったので、監督本来の独自色が出ていたのかなぁとも思ったりして…。)
 目指すべきところが決まれば、あとは迷わずにその方向を突き進み、積み重ねを作っていく…ということになっていくのではないでしょうか。