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兵働が大分に移籍 ケンペスは退団 戸島はレンタル移籍

兵働昭弘選手 大分トリニータへの移籍について(ジェフ公式サイト)


 ジェフの背番号10、兵働の大分移籍が発表になりました。
 残念なニュースではありますが、予想する方も多かったのではないでしょうか。
 兵働は2012年に柏からレンタル移籍し、翌年からジェフに完全移籍という形になりました。
 筑波大監督時代の教え子ということで、木山監督の要望での補強ということだったのでしょう。
 ジェフとしては大分に移籍した村井と入れ替わる形で、獲得したことになります。


 1年目からリーグ戦で41試合に出場し、7ゴールという成績を上げます。
 視野の広さとスルーパスのセンスで、非公式のアシスト数も7とチーム最多となっていました(スーパーサッカーの公式サイトより)。
 スルーパスのレンジが長く、中盤の低い位置からも裏へのボールが出せるのが1つの武器だと思います。


 完全に主軸選手の1人だったわけですが、チームの戦い方がなかなか安定しない状況に合わせてボランチやトップ下、両SHなど中盤の様々なポジションで起用されることになります。
 加えて兵働自身もフルシーズンを通してプレーするとコンディションに不安が見受けられ、スタミナ面に課題がありました。
 そのため、1シーズンで考えると期待された確固たる中盤の軸としては、不安定な内容だったように思います



 監督の変わった2年目も開幕戦からスタメンの座を確保し、レギュラー選手としてプレーしていました。
 シーズン序盤はトップ下でプレーしていましたが、鈴木監督の求めるバイタルエリアでボールを受けるプレーが上手くいかず、相手に潰される場面も目立ってしました。
 しかし、5月に入ってから右SHでプレー。
 右SBへのコンバートが成功した米倉の前でタメを作って米倉を活かす展開を作れるようになり、チームにおいて攻撃のポイントになりつつありました。


 しかし、6月末に負傷して戦線を離脱。
 7月末には復帰しますが、コンディションはなかなか改善しきれず、プレーは重いままでした。
 チームは8月に入って夏の疲れも出てきて苦戦していったわけですが、その中での兵働の不調は大きな痛手だったと思います。
 それでも10月からはスタメンに復帰します。


 正直当初はこの起用法はどうなのかな…と思っていたのですが、そこからコンディションを回復。
 シーズン終盤にはパスサッカーにおける攻撃のアクセント作りにおいて、欠かせない存在になっていったと思います。
 右SHとしてタメを作るだけでなく、中央に米倉の前を開ける動きをしたり、トップ下をサポートしたり、プレースキッカーとしても活躍するなど、エキストラキッカーとして機能していました。



 2014年も引き続き期待していたのですが、開幕時はウェイトオーバー気味でスタートしていたように見えました。
 兵働は過去に甲状腺機能障害を2度発症しており、その影響もあって体調が不安定だったり、体重のコントロールなども難しい状況なのかもしれません。
 14年のちばぎんカップで前年同様に右SHでスタメン出場したものの動きが重く、開幕戦ではスタメンから外れることになります。


 それでも第5節の熊本戦でスタメン出場し、3-0での勝利に貢献。
 14年のチームは開幕時に積極的にボランチが上がるサッカーを目指していましたが、健太郎と慶のコンビではなかなか高い位置に上がってプレーしても効果的に攻撃に絡めない課題がありました。
 そこにコンディションが上がってきた兵働を使って、良い攻撃が作れるようになったということだと思います。
 ただ、兵働は運動量には課題があり、守備面に関しては大きな不安があった。
 そして、第7節湘南戦ではその裏を取られる形で、大敗を喫してしまいます。
 しかし、チームはそこから4×4のボックスディフェンスに変更。
 両SHがしっかりともどり、ダブルボランチが攻守に近い距離を保つことによって、兵働と健太郎のコンビも攻守に安定していくことになります。


 関塚監督が就任してからも、当初は兵働と健太郎のコンビを維持していました。
 当初は兵働が得意とする中距離の浮き球のスルーパスを積極的に使ってチャンスメイクが、非常に目立っていた印象でした。
 町田がスタメン出場するまでなかなか細かなパスワークが作れなかったチームにおいて、兵働のチャンスメイク能力は極めて重要だったのだと思います。
 けれども、関塚監督になって深く守る守備になってしまい、兵働のボランチでは守備面で問題が起こってしまった。
 そのため9月20日の第31節岐阜戦からは、出場機会は大きく激減していきます。
 その後チームは勇人と健太郎のコンビで守備は安定しましたが、今度はボランチからの展開力に大きな課題が残ってしまいました。
 第38節の群馬戦では途中出場で兵働がボランチに入ってチャンスメイクをし、残り5分で2点を取っての2逆転勝利に大きく貢献しました。



 こうやって振り返っても、今年のチームはシーズン中に監督を交代しているため、同じようなことを繰り返している印象が強いですね…。
 ボランチ兵働もそのまま使ってしまっては、守備で無理が生じてしまう。
 かといって、健太郎と勇人(あるいは慶)では、パスワークでは物足りない。
 町田のトップ下起用も、ラストパスやシュートの面で大きな課題が残ってしまう…。


 このあたりはシーズン序盤の段階で既に分かっていた課題なのに、シーズン終盤にまた見られてしまったことになります。
 違う監督が指揮して同じ問題がこれだけでるということは、それが現状のチーム力の限界ともいえるのかもしれませんが、同じことを繰り返すのは時間的にも非常にもったいなく感じた部分でした。
 あるいはコーチがそこに対して、しっかりと助言できなかったのか…。



 兵働に関してはシーズン終盤の出場機会も非常に少なくなっていましたし、年齢を考えても移籍になるのかなと思っていました。
 これで山口智山口慶、竹内、兵働とベテラン選手が退団することになりますから、チームは意図的に世代交代を目指しているのだろうと感じます。
 契約満了の発表は智だけですが、後の3人もジェフから契約満了を言い渡した形である可能性もあるかもしれません。
 智は代理人が付いていなかったということですから、契約満了を発表することで他チームに知らせたという意味合いもあるのでしょうか。


 また智と同時に加入した兵働が退団ということは(兵働は1年目がレンタルではありましたが)、当初ら智も兵働も2014年までの契約だったということなのかもしれませんね。
 その考えでいくと谷澤や健太郎なども14年末までの契約だったのかもしれませんが、シーズン終盤の活躍で何とか残ることができたということになるのでしょうか。
 加えて今オフ退団となったこの4選手は神戸TD時代に獲得した選手たちということになり、齋藤TDの色がようやく出つつあるのかなとも思わなくもありません。



 個人的には何度も言ってきたとおり、近年のジェフは近年ベテランに頼りすぎている印象を感じていました。
 ジェフの予算はJ2では豊富でもJ1レベルまで行けば平均レベルですし、J1に昇格して戦えるチームになるためには伸び代があって成長できる環境を作らなければいけないと感じていましたし、世代交代には基本的には賛成したいと思います。
 しかし、以前にも話した通り、世代交代をするためには次の選手たちをしっかりと確保する必要がありますね。


 特にボランチは長年ジェフが育成に失敗しているポジションでもあるため、中堅がいない状況に陥っています。
 ベテランの勇人・健太郎のコンビの次で考えると、来季の去就が不透明なナム(22歳)、レンタル加入でSHで起用されていた幸野(21歳)、SBでのプレーも多かった佐藤祥(21歳)、来季加入内定の仲村(18歳)あたりがボランチ候補で、すっぽりと中堅選手が抜けている状況です。
 パウリーニョも加入し来季は人数面で足りるのかもしれませんが、その後については色々と考えなければいけないように思います。



 これで大塚、兵働といった純粋なパサータイプの選手がいなくなることにもなります。
 ペチュニクパウリーニョも足元の技術はあると思うのですが、どちらも身長が高くフィジカル面も強い選手なのではないかと思います。
 昨年の後半やこれまでのサッカーを思い返してもサイズやフィジカル面を重視していた印象がある関塚監督ですから、関塚監督の好む選手構成に近づいてきていると言えるのではないでしょうか。
 しかし、あまりにもそれによって、チームが一本調子な状況になってしまうのはどうかと思います。
 例えば現在の浦和も監督の意向に合わせすぎて同じような選手ばかりを集めた結果、補強してもなかなかチーム力が向上していかない状況になっているのかなと感じますし、バランスもしっかり考えていかなければいけないのではないでしょうか。


 兵働が加入する大分は、ジェフから移籍した伊藤大介が1年で岡山に移籍。
 昨年は40試合に出場し主力選手として活躍していたため驚きの移籍だったわけですが、同じく中盤の主力だったレンタル加入の末吉も1年で退団。
 終盤にアンカーとしてプレーしえいたキム・ジンヒョン、ダニエルの残留は発表になったものの、今のところパサータイプの選手は補強も少なく不足がちな状況ではないでしょうか。
 そのため兵働に掛かるところは大きくなりそうですし、良い移籍先と言えるのかもしれませんね。



 それにしても、村井、林、伊藤、兵働と元ジェフの選手の大分移籍が続きますし、こちらも何かしらのつながりがあるのでしょうか。
 村井も伊藤も移籍して大きく出場機会を伸ばしていますし、同タイプの兵働も同じように活躍できるのかもしれません。
 元ジェフの選手が移籍先を見つけるのは嬉しくもあるのですが、ライバルチームに移籍しての活躍はどうしても複雑に感じる部分もありますね(笑)


 とはいえ、ジェフからすれば、その活躍に負けないチームを作ればいいだけのこと。
 チームは変わってしまいましたが、お互い頑張ってJ2を盛り上げていきたいですね。
 3年間、お疲れ様でした。


 思いの外長くなってしまいましたが続いて。
ケンペス選手の契約満了について(ジェフ公式サイト)


 ケンペスの退団も発表となりました。
 こちらは事前報道のあった通りでしたので、心の準備はできていましたね。
 ジャイールあたりはどうなるんでしょうか…。


 2013年、突然の藤田移籍を穴を埋めるように獲得したのが、ケンペスでした。
 その年に38試合出場し22ゴールを決めて、J2得点王に輝きます。
 非常にフィジカルが強く、ヘディングでの競り合いが強い。
 相手選手を抱えてのドリブル等を見ても、非常にパワフルなFWでした。 


 しかし、ゴールにおいても固め打ちが非常に多く、安定感に課題がありました。
 守備で計算が出来ず、ポストプレーでもミスが目立つ選手だったと思います。
 また決定力という面でも課題があって、数を打ってゴールを決めるタイプのストライカーと言えるでしょう。
 夏場にはコンディションを落としいて、運動量も激減。
 エースであるケンペスの不安定さは、悩みの種だったと思います。



 2014年もシーズン序盤は、調子が上がりきらない状況が続いていた印象でした。
 怪我などもあり森本が代わって出場するも良いプレーを見せれず、苦しい状況に。
 それでも5月からチーム状況が改善していくのに合わせて、ケンペスも結果を残していきます。
 5月3日の第11節群馬戦でゴールを決めると、6日に行われた第12節岐阜戦でも途中出場から2ゴールと連続ゴール。


 関塚監督就任後も当初はスタメンで起用されていました。
 森本との2トップという形もあり、森本をCFにしてケンペスを浮遊させケンペスの前への強さを活かす形は興味深く感じました。
 しかし、さすがにその形だとビルドアップや守備面に問題があったのか、森本の1トップが増えてき、ケンペスの出場機会は減少していきます。



 出場機会が減り、本人もモチベーション面で難しさがあったという話をしていましたが、10月26日の第38節群馬戦で途中出場し後半41分にゴールをあげ、ロスタイムにはオウンゴールを誘うクロスをけって2-1での逆転勝利に成功。
 ちょうど兵働が途中出場して活躍したのと同じ試合ですね。
 すると、それ以降はスーパーサブとして大活躍し、第41節富山でもゴールを決め、続く最終節でも脳震盪を起こした森本に代わって出場しゴールを決めて1-0での勝利に貢献しました。
 試合終盤での逆転勝利が多かったシーズン終盤のケンペスは、スタメン出場こそなかったものの12番目のレギュラー選手といっていいほどの活躍を見せていましたし、見方によってはスタメン以上に重要な選手だったと思います。


 ただ、前年は得点王だったことを考えれば、スタメンを外された状況で来季を迎えるのは精神的に難しいところがあったでしょう。
 32歳という年齢を考えても、もう一花咲かせたいという思いがあったのではないでしょうか。
 一方のジェフとしてもメンタル的に悩みを抱える可能性のある選手を抱えるというのはリスクがあると思いますし、外国人枠や予算面を考えても致し方ないところなのかなと思います。



 先ほども言ったように一発のあるパワーは持ち合わせていましたが、運動量にも課題があり、守備面、ポスト面でも大いに問題のある選手だったと思います。
 それ故に使いにくい選手だったと思いますが、そういった異物感を上手く取り込めるかどうかもチーム作りにおいては時に重要だと思います。
 規律を重んじる日本人選手だけでチームを作った方が統率はしやすいといった面もあるでしょうが、チームの幅を広げる、可能性を高めるといった面では日本人選手だけでは難しい時もあると思います。


 もちろんその異物感が、許容範囲であるかどうかも重要だと思います。
 川崎では多くの外国人選手を起用していた関塚監督ですが、ロンドン五輪チームでは宇佐美をほとんど起用しなかったことが一部で話題となりましたし、意外とそういった選手は好みではないのかもしれませんね。
 とはいえシーズン終盤にはスーパーサブとして成功したわけで、あれはあれで1つのあり方ではないかとも思いますが。



 ともかく、2年間ありがとうございました。
 試合終盤にビハインドだと急に走り出して、真剣にゴールを決めようとする姿勢は印象的でした。
 そんなに動けるのならそれまでに動こうよ…と思わなくもなかったですが、手を抜ける時は抜いて、やるべき時にやるという姿勢なのかもしれません。
 14年終盤などはそれで本当に何度も試合を決めてしまったわけですから、そういった"勝負どころ"にかける強さがブラジル人らしいともいえるのではないでしょうか。
 ブラジルサッカーの根底の一部を見せてもらった気もしますし、そこはジェフも日本のサッカーも学ぶべき部分がどこかにあるのかもしれませんね。


 来季はブラジルに戻ることになるのでしょうか。
 Jリーグの他チームでも見てみたい選手の1人だったようにも思いますが、移籍はタイミングが重要でもありますしね。
 良い移籍先が見つかることを願っております。



 また、昨日は戸島のレンタル移籍も発表になりました。
戸島章選手 FC町田ゼルビアへの期限付き移籍について(ジェフ公式サイト)


 191cmと身長のあるFWですが、もともと走れて足元の基礎技術のあるタイプの選手でした。
 昨年天皇杯でのプレーを見ると体幹も強くなってきて、しっかりと成長している印象を受けました。
 しかし、FWというポジションを考えれば、どこか1つ明確な強さが欲しい。


 そういった点で、ルーキーでもバネがあって身体能力に長けたオナイウに1歩先を越されてしまった印象です。
 2014年は天皇杯準々決勝C大阪戦、準決勝山形戦の2試合にスタメン出場しましたが無得点で、リーグ戦出場はなし。
 一方のオナイウは天皇杯柏戦で途中出場しゴールをあげると、リーグ戦でもスタメン2試合計6試合に出場し第31節北九州線では1ゴールをあげています。
 CF3番手争いにおいて、水をあけられてしまった印象がありました。


 
 2015年も外国人CFを獲得するのであればポジション争いで4番手ということになるわけですし、退団かレンタル移籍になるのかなと当初は思っていました。
 しかし、獲得したペチュニクは本人のインタビューによるとトップ下でプレーするという話になっているようですし、ケンペスも予想通り退団。
 このままいけばCF3番手でベンチ入りをオナイウと争う可能性があるので、残留となるのかと思っていました。
 本人としてもそういった状況であるのなら、ジェフに残ってチャレンジしたいのではないかと思いますし。
 それでもレンタルで町田に移籍することになったということは、新たにFW獲得の目途が立ったということでしょうか。


 2013年の藤枝MYFCへのレンタル移籍に続く武者修行。
 藤枝MFFCでは大きな活躍とはいきませんでしたが、今回は開幕前から移籍が決定ということで、腰を据えて戦うことが出来ることになります。
 町田はJ3で3位で勝点1差でJ2との入れ替え戦を逃した形となっていますから、来季は大事なシーズンということになるでしょう。


 戸島としてもジェフにはオナイウという存在が現れましたので、いつまでも若手期待のFW枠が残っているわけではありません。
 しっかりと町田で成長し結果を残すことで、アピールしてほしいと思います。