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東京Vに攻め込まれるも勝点1を拾う

 連戦4試合目にして、13時キックオフという過酷な環境下での試合。
 全体的に見ると東京Vが攻め込む時間帯が長く、決定機の数も相手の方が多い展開でした。
 ジェフからすれば守り切ったというよりも、東京Vの決定力不足に救われて何とか勝点1を拾えた試合と言えるのではないでしょうか。
 東京Vとしては「後は決めるだけ」といった状態でしたが、そこを決めきれなかったところに、2連敗による流れの悪さも感じました。
■東京Vが押し込みジェフが守る展開
 ジェフは前節横浜FC戦のスタメンから、井出に代わって田中が復帰しました。
 第9節から2人が交互に入れ替わって、スタメンで起用されていることになりますね。
 やはり井出は、連戦だとコンディション面で難しい部分があるという評価がされているということなのでしょうか。
 

 東京Vは平本、杉本、ブルーノ・コウチーニョと、前節讃岐戦で途中出場した3人のメンバーがスタートから出場。
 澤井、南、アラン・ピニェイが、スタメンから外れたことになります。
 また怪我の福井に代わって安在がスタメンに入り、4人の選手を入れ替えてきました。



 試合序盤はイーブンな展開。
 東京Vは低い位置でサイドを中心に細かく繋ぎつつ、そこから長いボールを使って攻撃を作っていこうという狙い。
 それに対してジェフは早い展開から相手DFラインの裏などを狙っていく形が多かったですが、うまく通らずボールを失うシーンが目立つ状況となりました。



 キックオフ当初はファールが多い試合となりましたが、徐々に落ち着いていきます。
 東京VのジェフCBの裏を狙うボールによって、ジェフのDFライン、MFラインが下がり始めていきました。
 それによって、前半25分あたりからは東京Vがボールを持って攻め、ジェフが守ってカウンターという構図になっていきます。


 しかし、ジェフも後方の守備陣が頑張って、最後のところで粘りを見せます。
 最終ラインに加えて、ボランチ2人がDFのサポートに行くことによって、後方の守備を厚く守っていました。
 けれども、その分ボランチを中心とした中盤選手の守備エリアが低い位置になるため、前へのプレスには行けなくなり、高い位置が空くケースが増えていきます。
 それによって、守備では押し込まれる時間が長くなり、攻撃にも転じにくい状況になっていたと思います。 



 前半は両チーム、ほとんど決定機がなく終わります。
 6分には東京Vの杉本がFKで直接ゴールを狙うも、GK高木がキャッチ。
 36分には東京V左サイドからのクロスをブルーノ・コウチーニョが落として、平本がミドルシュートを放つも決まらず。
 このあたりが目立った攻撃の形と言えるでしょうか。


 しかし、数字で見ても前半が終わって、シュート数はジェフが2本、東京Vが4本と少ない展開。
 決して動きの少ない試合展開というわけではなかったと思いますが、中盤での争いが多く、ゴール前でのプレー数は限定されていました。
 ジェフからすれば守りの試合。
 東京Vからすれば、そこをどう攻略するかといった展開が続く前半でした。
■東京Vがチャンスを決めきれず0-0
 後半開始直後、東京Vの決定機。
 右サイドからのCKを安在が蹴ると、中後がゴール前で競り勝ちヘディングシュート。
 勢いのあるシュートはゴール左隅を逸れましたが、決まってもおかしくないシーンでした。
 この試合、両チームにとって初めての決定的なチャンスと言えるのではないでしょうか。


 ジェフは63分、町田に代えて井出を投入。
 この試合でも動き出しの早い町田に素早く繋ごうとする場面が多かったですが、そこに対して周りがついていけないシーンが目立った印象でした。
 加えて町田本人もフィジカル面で課題があって1人でボールを持っても潰されることが多く、結果的にボールを引き出せるものの失うシーンも多くなってしまいました。



 50分頃から東京Vの運動量が落ちて、ジェフが攻め込む時間が増えていました。
 しかし、64分には東京Vの攻撃。
 平本が中盤に下がって受けると、ブルーノ・コウチーニョを狙ったスルーパス
 ジェフDFラインの裏を取りますが、GK高木が良い飛び出しを見せて事なきを得ます。
 パウリーニョの前で平本に受けられて、そこからスルーパスを出されてしまいました。


 ここからは、再び東京Vがチャンスをつかむ展開が増えていきます。
 東京Vも動きは落ちていましたが、この時間帯からはジェフも動けなくなっていきました。
 69分には左サイドから杉本がブルーノ・コウチーニョにつなぎ、シュートを放つもGK高木がキャッチ。
 その直後にも中盤中央で東京Vにつながれ、右サイドへ展開されてクロス。
 中央でフリーになった杉本がシュートを放ちますが、キックミスで終わります。


 ジェフは72分、田中に代わって北爪を起用。
 北爪を右SBに入れて、金井を1つ前に上げます。
 途中からは井出が右SHに移って、金井がFWとしてプレーするような状態になっていきました。



 しかし、流れは変わらず75分にも東京Vの決定機。
 左サイドの安在から、大きく逆サイドに展開。
 中村がヘディングでのクリアに失敗すると、平本に仕掛けられてマイナスのクロス。
 これをゴール前で受けた安西がシュートを放ちますが、わずかにゴールをそれます。


 80分には右SB安西が、ワンツーでジェフDFラインの裏を抜け出してシュート。
 その直後にも、東京Vの中盤からのスルーパスを杉本が右サイドで受けてクロス。
 リバウンドのボールを中後が受けてゴールを狙いますが、ゴールバー上をかすめるシュートでゴールならず。
 後半のジェフは中盤での寄せが甘く、中盤の高い位置でスルーパスを出される展開が増えていきました。



 87分にはジェフの攻撃。
 右サイドでパウリーニョが粘ってクロス。
 金井がニアでスルーして途中投入のオナイウがシュートを放ちますが、GK正面に終わります。
 オナイウは前節もシュートを決めきれませんでしたね。


 88分、今度は東京Vの決定機。
 右サイドからパスをつないでいって逆サイドに展開し、安在がマイナスのクロス。
 杉本が少し引いた位置でフリーな状況で受けますが、合わせきれずこれもゴールならず。
 ジェフはずるずるラインが下がることもあって、マイナスのクロスに対しての対応が悪かったですね。


 結局、後半は東京Vが何度もチャンスを作りましたが、得点には至らず。
 ジェフとしては相手の決定力に助けられ、スコアレスドローに終わった試合だったように思います。
■ロングカウンターの形が作れず
 確実に連戦と気候による影響は大きくそれに苦しんだ部分もあったとは思うのですが、本質的な部分は過去2試合と変わらなかったのではないかと思います。 
 東京Vは過去2試合の相手より、しっかりジェフを研究してきたように思います。
 攻撃ではサイドの低い位置で、パスをつないでリズムを作る。
 ここ数試合ジェフは前からのプレスに行けず、特にサイドで自由に持たせるところがありますから、そこでつないでフリーな選手を作る。
 そこからDFライン裏を狙ったボールを展開し、相手を押し込んでいくと。


 ジェフを押し込んでからは、さらにサイドの深い位置を狙う。
 サイドの深い位置を攻め込むと、パウリーニョが外に出てくるので、中央が若干薄くなる。
 そこを狙ってクロスを上げる…という狙いだったのではないでしょうか。
 パウリーニョをサイドの深い位置に追いやれば、パウリーニョによる攻撃面への関与も弱くなりますしね。
 守備時もパウリーニョを平本が見ている時間が長かったですし、やはり基本的にはパウリーニョ対策をとれるかどうかが大事になってくるのでしょう。


 一方のジェフは過去2戦と同じくプレスは目立たず、パウリーニョも低く構えて後方を厚くする展開。
 確かにその分ゴール前は非常に堅くなるし、ハイプレスを続けてばかりでは体力的に厳しくなるリスクがあるので無理をしないという考えも必要ではあるでしょう。
 これを「賢い戦い方に変えてきた」という見方も、できるのかもしれません。


 しかし、昨日も話した通り、あまりに受けに回り過ぎるのもどうかと思います。
 実際この試合でも前からのプレスに行けないがために、押し込まれてしまった。
 押し込まれてばかりだと、さらにパスの出所が高くなってしまい、そこから決定的な裏へのパスを出されてしまう。
 そうやって何度もチャンスを作られたのが、この日の後半だったと思います。


 もっともこの日の選手たちの動きをみると、「戦い方を変えてきた」というよりは「変えざるを得なかった」のかもしれません。
 特にパウリーニョはやはり一時期ほどのアプローチの鋭さ、守備範囲の広さはないように思います。
 それでも局面では確実に強さを発揮できる選手ですので、いかにその強さをチームとして使っていくのか、パウリーニョ頼りにならないようにするかが重要なのだと思います。



 過去2試合との大きな違いは、セットプレーで点が取れなかったことではないでしょうか。
 熊本戦、横浜FC戦ではセットプレーから先に点を取れたことによって優位に戦え、相手の隙ができ追加点を奪うこともできた。
 しかし、やはり得点の部分をセットプレーばかりに頼るだけでは、厳しいところがあるということだと思います。


 では、現状の戦い方においてどこが一番の課題なのか…さらに言えばなぜこの試合に勝てなかったのかと考えると、ロングカウンターの形を作れないところが大きな問題なのではないでしょうか。
 無理にプレスには行かず後方に引いて守って戦うスタイルにシフトしていくのであれば、いかにロングカウンターでチャンスを作れるかが今後のカギになってくるのではないかと思います。
 しかし、関塚監督になってからロングカウンターで型を作れた印象はなく、今季もそこの質は低いと思います。


 ロングカウンターにおける攻撃のスイッチを入れるタイミングがはっきりせず、カウンターに反応する選手の数が少なく、スプリントする選手も少ないことが多い状況。
 どこでタメを作って、誰がどのように受けるのかといったデザインも出来ていない印象で、ロングカウンターの質というのは大きな課題になっている印象です。
 そこが作れず"引いて守ってセットプレー"というだけでは、まだ「賢い戦い方」というところにまでは至らないのではないかと思います。



 ハイプレスがかけられていた時は、そこからのハーフカウンターが大きな武器でした。
 自らの力で展開できるパウリーニョが高い位置でボールを奪えれば、そこから一気にチャンスが作れるし、細かな攻撃のデザイン作りの必要性も薄れることになります。
 しかし、低い位置でボールを奪ってのカウンターはそうはいかないところがありますし、重心を低く戦う形をメインとするのであればどうしてもロングカウンターという重要性というものは極めて高くなっていくのではないでしょうか。


 あるいはロングカウンターの中でも、個人技でチャンスを作れる選手が出てくるかどうか。
 町田や井出がもう1回りも2回りも進化すればその可能性も考えられなくはないのかもしれませんが、現時点ではまだ物足りないところがあると思います。
 または森本が復帰して、クロスからの形も狙えるようになれば変わるのかどうか。
 終盤に金井がFWとしてプレーしたのも、やはりペチュニクと町田や井出ではクロスからの攻撃も期待薄との判断なのでしょうし。
 それともまた新たな形を模索するのか。
 

 まだ町田が入って戦い方が変わって間もなく変化の段階だとも考えられますが、一方で昨年終盤の戦い方に"戻った"印象もあります。
 昨年終盤も攻撃においての確実なチャンスメイクという意味では課題があり、途中投入のケンペスに救われた試合も多い状況でした。
 ハイプレスが効いていた序盤の方がチームとしての完成度としては高かった印象があるだけに、今後の変化に注目ですね。