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関塚監督続投への思い

 来季のジェフの監督人事ですが、先週取り上げたサッカーダイジェストに続いて、スポニチも「続投が決定している」と報じています。
 日刊には島田社長のコメントとして「まだ2年目でチームが強くなるには時間がかかる。新しい強化スタッフの判断に委ねたい」と掲載されていますが、千葉日報にはより詳しく書かれています。

島田社長は「新たな強化陣営が考えること」と前置きし、首脳陣については「関塚監督は去年の途中、スタッフ陣はことしから。簡単に勝てるとは思っていない。ことし学んだことを、きちんと来年に生かしてほしいと僕は思う」と述べた。

 鈴木監督をあっさり解任しているわけですから、「時間がかかる」というような説明では全く筋が通らないと思うのですが、ジェフがそういった筋を通さないのはいつものこと。
 本当は慣れるのも良くないのでしょうけど、いちいち気にしていたらきりがないと思います。


 本来は関塚監督の去就が決まってからアップしようと思っていた内容ですが、話の順序もありますのでさらっと関塚監督に関する印象を先に書き留めておきたいと思います。
 ジェフは監督続投の場合、アナウンスがないまま新シーズンがスタートする場合もあるので、そこまで待っていられません。
 GMに関する発表もありましたが、それは後に回したいと思います。



 まず、一般的な話になりますが、サッカーは監督の影響力の高いスポーツだと言えると思います。
 広いピッチを11対11で戦い、ルールも最低限のものだけで、選手たちが自由にプレーすることが出来る。
 よって1人の選手が、チーム全体をコントロールするのは無理があると言えるでしょう。


 そのため、監督がチームの方向性を打ち出して、戦術や約束事を決めて、チーム全体をオーガナイズしなければいけません。
 けれども、ジェフでの関塚監督は、残念ながらそこが出来ていなかった。
 それが今季長らくチームが低迷し、浮上のきっかけも作れなかった大きな要因だと思います。
■言い訳の出来ない状況
 関塚監督が就任してまだ1年半とはいえ、言い訳はできない状況だと思います。
 確かにジェフの監督は、難しい仕事と言えるのかもしれません。


 今季も夏場に成績が落ちるとガクッと入場者数も減少するなど、周囲は何よりも結果を求める傾向にある。
 そのためじっくりとチームを作り上げようとした鈴木監督に対しては冷静な評価が下されることなく、昨年は開幕戦でサポが居残り、バスを囲い込むという前代未聞の事態を起こしています。
 そんな状態で良い結果が出るわけもありません。


 加えて、戦力面でもジェフは中途半端な状況にあると思います。
 他を圧倒するような戦力があるわけでもなく、かといって有力な選手がいないわけでもない。
 そのため"強者"のサッカーも"弱者"のサッカーも難しく、それに最も戸惑ったのが戦力の整ったチームを指揮したことなかった木山監督でしょう。
 愛媛で一貫して"弱者"のサッカーを実行し成功していることによって、ジェフ時代のサッカーは中途半端だったことがより一層浮き彫りになっている印象です。


 しかし、関塚監督には追い風があった。
 ネームバリューがあったこと、鈴木監督批判が進んでいたこともあって、関塚監督は多くのサポーターの支持を受けていた。
 昔からジェフはイビチャ監督、アマル監督、クゼ監督の頃などもそうだったように、支持と不支持が交互に出るところがある。
 鈴木監督の前の木山監督も一部では人気があり解任を良しとしない層もいたわけで、その後の鈴木監督はやたらと批判され、関塚監督が持ち上げられた部分もあったように思います。



 加えて、今季は関塚監督の意向が非常に強い選手構成になりました。
 関塚監督は川崎時代から川崎山脈と呼ばれていたほど、SBも含めたDFラインとボランチに背の高い選手を並べたがり、前線にもフィジカルに特徴のある選手を配置する傾向にあった。
 五輪時代にもボランチ山村の起用にこだわり、オーバーエイジ枠では吉田、徳永とやはりサイズとフィジカルのあるCBとSBを選んでいます。
 一方で宇佐美などテクニックのある選手は、早々にチームから外されていました。


 ジェフでも兵働、大塚といったテクニカルな選手は関塚監督が就任してから出場機会が遠ざかり、オフにはパサータイプの選手が退団して、パウリーニョペチュニク、金井といったサイズやフィジカルのある選手たちを補強。
 山村獲得には失敗するものの、夏には近いタイプの富澤を獲得。
 シーズン中に2トップになりロングボール展開が増えれば空中戦に強い安を補強し、得点力不足となれば松田を補強。
 その他に獲得した水野、北爪なども、十分に戦力になりうる選手たちで、関塚監督のコネで鈴木隆行も獲得しました。



 過去2年間は積極的な補強が行われなかったことを考えれば、十分な補強を行った年だったと言えるでしょう。
 実際、経営データを見ると「人件費」が増して赤字となっていますが、これもオフに積極的に補強を行ったことが原因かもしれません。
 加えて体制強化のため、小倉コーチ、里内コーチも招聘。
 ここ数年はトップチームのスタッフが少なくアカデミーコーチが助っ人に来るような状況だったことを考えると、異例ともいえるサポート体制が整っていました。
 それだけ関塚監督シフトが強い年だったということになります。


 言い訳はできないと言いましたが、決してそれは昇格に対する言い訳ではありません。
 関塚監督就任時に長期政権という話も出ていましたから、私も当初は昇格できなくても最低2年半は覚悟しなければいけないのだろうと思っていました。
 しかし、あまりにもチーム状況が悪すぎる。
 攻守においてチームとして成り立っていない期間が長すぎ、それに対する言い訳は難しいだろうといった印象です。
■攻守に形が作れなかった
 昨年終盤も守備においてはリトリートして、走力でスペースをカバーしていた印象で、組織的に守れていた印象はありませんでした。
 攻撃においてもサイドでのパスワークからのクロスと、ケンペスを投入してのパワープレー気味の展開で得点を狙う展開。
 しかし、サイドでのパスワークは今季失われてしまったことから考えても、やはり鈴木監督の遺産だったところが大きいでしょう。



 今季はシーズン序盤にハイプレスを実行し、快進撃を見せました。
 ボールを失った直後に激しいプレスをかけて相手を押し込み続け、そこからショートカウンターアーリークロスで迫力のある攻撃が出来ていました。
 しかし、その期間は短く、GW前には2連敗を喫してしまいます。


 ハイプレスが綻びを見せていた4月には、関塚監督自身も「攻撃のバリエーション不足」と発言しています。
 ハイプレスが機能しなくなり始めてきたことで、ショートカウンターからの攻撃も作れなくなっていたということになります。
 そこから町田のトップ下や金井のSH起用、中村が負傷中は両SBを極端に上げるシステム、水野の右サイド起用や松田を使ったカウンターなどなど、選手を動かすことで様々な形を試してきました。
 しかし、それぞれ可能性は感じる部分はあったと思うのですが、どれ1つとして細部までは作り上げることが出来ず、短期間で諦める形となっています。



 守備においても、シーズン序盤以降は裏を取られる展開が多発。
 7月下旬からようやくリトリートの意識を高めて、昨年終盤のような重心の低い守備に変わっていきました。
 それで一時は安定したものの今度は後方を固めすぎて中盤にスペースが空き、そこから守備の綻びが現れてしまいます。
 残り数戦といったところで、松田や田中といった走れる選手をSHに起用しカバーする形を取ったものの、全ての穴は埋まりきれず。
 守備組織の穴を選手の走力でカバーしようという展開は、昨年終盤と同様の流れと言えるでしょう。


 「ハイプレスを続けていれば…」という意見も目にしますが、4月上旬には既に90分間持たず試合終盤には足が止まって、押し込まれる状況になっていました。
 夏場はさらに体力的に厳しい状況になっていたはずで、フルシーズン・90分間ハイプレスを実行するのは、不可能に近かったと思われます。
 そうなると、ハイプレス継続で現実的なのは時間限定で行うことだと思います。



 しかし、それはハイプレスとリトリートを使い分けることを意味するわけで、結局はリトリートディフェンスの安定が求められることに変わりなかったでしょう。
 そのリトリートの守備を作り上げることが出来ていないわけですから、どちらにせよ同じ問題に直面していたのではないかと思います。
 どういったサッカーをするにせよ、90分間リードし続けるのは難しいわけで、相手が攻めてきた状態での守り方というのは、現在サッカーにおいて必要不可欠な要素だと思います。
 そこが作れていないわけですから、厳しい戦いになるのは必然とも言えるのではないでしょうか。
■1年半でチーム状態が悪化
 関塚監督の続投を考えるとして、一番の不安材料はこの1年半で徐々にチーム状態が悪化しているということ。
 さまざまなことを試して一時的には良くなっても、そこからチームを熟成できず積み重ねが全く作れていません。


 組織力を見てもパスワークなどを筆頭に、この1年半で右肩下がりで悪くなっている。
 今年はハイプレス期以降は浮上の兆しを作れず、攻守に軸を作れずに結局昨シーズン終盤の引いて守るサッカーに戻さざるを得なかった。
 監督としての引出しの少なさが、顕著に出た1年だと言えると思います。



 例え最終成績が同じであっても、チームとしてやりたいサッカーが明確に見え、この1年半で徐々にチーム力を高めていったというのであれば、来年以降にも期待できる部分はあったのかもしれません。
 しかし、現実はその逆だった。
 そうなると来年の伸び代というものも、どうしても期待できない状況と言わざるをえないと思います。


 「長い目で見るべきだ」という意見もあるかもしえませんが、1年半を通じて積み重ねと言えるものがほとんど作れなかった状況で、来季以降に期待できる確証がどこにあるのかという話になると思います。
 確かに監督を交代すれば、また短期政権ということになってしまう。
 事情を知らない人から見れば、勝手に批判的な意見を言うかもしれない。



 しかし、ここ数年のジェフの問題は「継続しないこと」以上に、「良い継続性を作れていないこと」でしょう。
 継続すれば必ず良くなるというような単純なものではなく、継続性にも良い悪いがあるわけで、悪い継続をしては状況は悪化するばかり。
 ここ数年のジェフは監督経験の少ない人選が目立ち、関塚監督もネームバリューで招聘し、クラブ全体が浮足立っている印象も強かった。
 しかし、ブログでも書いていた通り、個人的には当初から手腕には懐疑的だったし、実際今でもそのイメージは大きく変わっていません。



 さすがにこのチーム状況の中での監督継続には、反対意見も増えているようです。
 このまま監督継続となれば、サポーターの士気も下がる可能性があるのではないでしょうか。
 もちろん「決まったからには応援する」というのが、本来あるべきサポーターのスタンスだとは思います。


 しかし、今季も長らく我慢しながら応援し続けてきたという方は多いでしょうから、そこからさらに我慢しなければいけないと考えると辛いものもあるのではないでしょうか。
 もちろん我慢した先に何かを見いだせそうなのであれば継続する意味というものも出てくるとは思いますが、現状ではなかなかそれが見えてこないといった印象を受けてしまいます。


 本来はあまり口にしたくはありませんが、個人的には潔く辞任されるという選択もありなのではないかと思います。
 そうすれば関塚監督も面目も保たれることになるだろうし、クラブとしても新たなスタートを切ることができる。
 関塚監督としても4月末から長らく悩んだような表情を見せていましたし、現在の状況が良くないことも当然わかっているでしょう。
 最終節後のコメントからすると継続が濃厚なのかもしれませんが、クラブにとっても関塚監督自身にとっても続投が良い選択のようには感じられないというのが現状なのではないでしょうか。