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セットプレーからの3ゴールで柏に勝利

 まず業務連絡。
 先週忙しくてコメントが返せませんでしたが、週末にまとめてお返ししました。
 本文とは無関係ですので、興味がある方だけご覧ください。


 さて、ちばぎんカップ
 当日午前中は雨も降り、試合直前には強風でピッチ上の看板が倒れるほど、荒れた天気となってしまいました。
 それでも無事開催できてよかったと思います。
■CKから先制もその後は押し込まれる
 柏は報道の通り、甲府から加入した伊東が右SBでプレー。
 GK中村、DF中谷、MF小林とユース出身の若い選手たちがスタメンに名を連ねました。
 中谷は佐倉市出身の19歳ですね。
 ベンチにはポルトガルから復帰した田中順也や、元ジェフの山中の名前も入っています。


 ジェフはGK佐藤優也、DFが左から阿部、イ・ジュヨン、若狭、多々良。
 MFは左から井出、山本、アランダ、小池。
 FWはエウトンと船山ということで、ほぼ予想通りのメンバーだと思います。
 元柏の近藤はベンチにも入っておらず、負傷したのでしょうか。
 ベンチには藤嶋、北爪、勇人、長澤、富澤、吉田、オナイウが入りました。



 立ち上がりは、ジェフが積極的に前に出ていく展開。
 柏は比較的のんびりとしたスタート。
 気持ちの面でもジェフの方が、気合が入っていたように見えました。


 しかし、先にチャンスを作ったのは柏。
 10分、柏がカウンターから攻撃。
 大津が左サイドからドリブルで仕掛けてそのままシュートを放ちますが、GK佐藤がキャッチ。



 得点が生まれたのは15分。
 ジェフが右サイドからのCKで、ショートコーナーを選択。
 井出がゴール前にクロスを上げると相手選手に当たり、転がったボールが船山に入りそのままシュートを放って先制。


 柏はショートコーナーへの対応が遅れ、それによってゴール前のマークが混乱した印象があります。
 ボールウォッチャーになってしまって、結果的に選手を捉えきれず中央で船山が完全にフリーになっていました。
 井出がしっかりと上げ、船山も冷静に仕事をしたことになりますね。



 19分には、柏のチャンス。
 右サイドのエデルソンから、アーリークロス
 茨田がジェフDFラインの裏を取ってクロスに合わせますが、シュートは枠に飛ばず。
 

 4-5-1がベースの柏ですが、ビルドアップ時はボランチの一角が下がってくる形を取っていました。
 両SBが積極的に上がりその分SHが前にポジショニングする時間が長く、3-4-3のような状態になっていたように思います。
 SBを押し上げる狙いがあるため、攻撃力を期待して右SBに伊東を起用しているのではないでしょうか。
 

 19分の攻撃では、そのサイドからチャンスを作ったことになります。
 両SHが高い位置で開いたポジショニングをすることで、ジェフの4バックをワイドに広げて後方に押し込む。
 それによって中央のスペースを空けて、このシーンではトップ下の茨田がゴール前へ飛び込む。
 そこへジェフのSBの1つ前の位置から、ゴール前にアーリークロスを上げてチャンスメイクをしたシーンでした。
 柏の狙いの1つが、見えたシーンではないでしょうか。



 21分にも、柏の攻撃。
 大津が左サイドでボールを奪ったところから、ディエゴへ展開。
 ディエゴが持ち込んでシュートを放ちますが、GK佐藤が対応。


 この頃から、ジェフは後方で守る時間が長くなっていきました。
 鹿島戦後半と同様にボールサイドに人が寄るのではなく、DF4枚とMF4枚が等間隔な位置で深く守るスタイル。
 これによって後方のスペースがなくなり、ゴール前に人数が増えて跳ね返す時間が長くなっていきました。


 しかし、その分柏は後方で、楽にボールを持てるようになっていきます。
 特にCB+ボランチの一角が高い位置までボールを持ち込めるようになり、ジェフはそこを封じられず攻撃を作られてしまう状況に。
 それまでは後方の選手がボールを持っても距離感が離れすぎていたところがあった柏ですが、ジェフのラインが下がったことで距離感が近くなりパスワークを構築しやすい状況になっていきました。



 33分、柏の攻撃。
 中盤でボランチがフリーにになったところから、右サイドのエデルソンに縦パス。
 エデルソンは中央の大津に繋いで大津がシュートを放ちますが、大きく枠を逸れます。
 この日の大津は積極的にシュートを打ってきましたが、枠を逸れることが多かったですね。


 44分、久々にジェフの攻撃。
 カウンターから右サイドの小池が縦に仕掛けて、そのままシュート。
 しかし、ここはGK中村がストップ。


 前半途中からのジェフは後方で守る時間が増え、高い位置でボールを奪えなくなったため、カウンターにも持ち込めな状況が続いてしまいました。
 ここでは小池の縦への速さが活きたことで、ロングカウンターでチャンスを作れたということになります。
 しかし、全体的には得点以降、苦しい時間が続いた前半だったと思います。
■後半もセットプレーから2ゴール
 後半開始と同時に、柏は2枚替え。
 鎌田に代わって、今井を投入しそのままCBへ。
 茨田に代えて山中が入り、左SHでプレーしました。


 ジェフは、山本に代えて富澤を投入。
 引いて跳ね返す展開になれば、やはり富澤の方が良いということなのでしょうか。
 アランダも体は決して小さくないですが、出来れば守備の負担は軽くして攻撃に優先させたいところではないかと思います。


 後半早々に、追加点が生まれました。
 49分、ジェフが右サイドからのCK。
 小池が蹴ったボールをニアで柏の選手が触りますが、クリアしきれず。
 そのボールがファーに流れてエウトンの足元に入り、そのままシュート。
 これが決まって2-0となり、試合の勝敗に関してはこの2点目が大きかったように思います。
 若干ラッキーな得点にも思えましたが、エウトンがゴールを決めたことは今後を考えても大きいのではないでしょうか。



 55分、ジェフは選手交代。
 負傷した船山に代えて吉田を投入。
 この試合では菅嶋はベンチに入りませんでしたが、セカンドトップの第二候補は吉田なのかもしれませんね。
 

 57分には、柏が選手交代。
 小林に代えて、柏に復帰した田中を投入しました。
 この交代が、試合の流れを大きく左右したのではないかと思います。



 柏はボランチを1人下げて、1ボランチ気味の4-3-3のようなシステムに代わりました。
 田中はCFに入り、CFだったディエゴがサイドに。
 インサイドに大津とエデルソンといった布陣になりました。


 しかし、前半までのジェフは柏のボランチ1枚が下がって3バック気味になる最終ラインを追い切れずに攻撃を作られていましたが、これで1ボランチになったことでそういった形はとれなくなりました。
 加えてジェフはサイドからの攻撃に苦しんでいたように思いますが、ディエゴがSHに回って中に入るプレーが増えてサイドを広く使う攻撃もなくなっていきます。
 中への攻撃が増えていき、中央を厚く守るジェフとしてはやりやすい状況になっていったと思います。
 また、ディエゴによる中央での仕掛けも効果的だったと思うのですが、田中はまだ状態ももう一つといった印象でこの試合では良さを見せられなかった印象です。


 加えて柏は連携面にも問題が生じ、例えば中盤で選手がボールを持っても、周りの選手がボールを受ける姿勢ばかりを取って、裏へ飛び出す動きがなくなってしまった。
 単純にポジションが重なる場面も目立ち、前半のようなチームとしての攻撃の狙いが見えなくなってしまいました。
 田中との連携がもう1つだったこと、ディエゴのサイド起用の熟成も足りていないことなどが考えられますが、2人を入れ替えたことで他のポジションにも大きな影響を及ぼしたのかもしれません。



 追加点の直後はジェフも攻め込む時間がありましたが、2-0になったこともあってかその後は落ち着いていきます。
 柏も上記の通り攻撃がうまくいかなくなり、ボールを持っても攻めあぐねる時間帯が増えていきました。
 結果的に、動きの少ない展開となっていきます。


 64分、柏がエデルソンを下げて秋野を起用。
 66分には、ジェフは小池に代えて長澤を投入。
 その直後には、アランダを下げ勇人を投入。



 73分には、柏の攻撃。
 ペナルティエリア前でディエゴが倒れて、FKを獲得。
 田中が左足で直接狙ったボールは枠を捉えますが、GK佐藤がセーブ。


 76分、ジェフがエウトンを下げて北爪を投入。
 この試合でも北爪はSHで、長澤が1つ上がって吉田と前線のコンビを組むことになりました。
 78分には柏が輪湖に代えて、太田を起用。



 80分にも柏のチャンス。
 左サイドの深い位置で得たFKを太田が蹴り、中央で合わせます。
 GK佐藤が飛び出すも触りきれず、今井がフリーでヘディングを放ちますが、シュートは枠の外。
 この試合でも再三ファインセーブを見せた佐藤ですが、鹿島戦でもサイドからのボールをパンチングして相手選手の目の前に落としてしまったシーンがあります。
 正面からのシュートへの反応は素晴らしいですが、サイドからの鋭いボールへの判断に関しては若干課題もあるのでしょうか。


 追加点が生まれたのは、その直後の82分。
 若干距離のあるFKを阿部が蹴って、ニアでイ・ジュンヨンが合わせて3点目。
 これで勝負ありといったところですね。


 85分には、ジェフが井出に代えてオナイウを投入。
 87分には、柏が大谷に代えて栗澤を投入しますが、そのまま3-0で終了となりました。
■準備段階の柏とハイペースな仕上がりのジェフ
 柏はまだまだ準備段階、といった状態だったと思います。
 コンディションはここから上げていくのかもしれませんが、連携面がどこまで整うかが注目ではないでしょうか。
 特に田中が入ってからの形は、手探り状態といった印象でした。


 それもそのはずで、田中の復帰が発表されたのは2月7日。
 いくら古巣への復帰といっても監督も選手も変わっている状況ですし、合流から1週間でフィットさせるのは難しいでしょう。
 ちばぎんカップでの出場も、ぶっつけ本番に近いものだったのかもしれません。



 それでも57分からの出場と比較的長い時間起用されたのは、それだけ田中に期待しているということなのではないかと思います。
 今オフの柏はチーム得点王で14ゴールを上げたクリスティアーノ、次点となる10ゴールを上げた工藤が退団しており、3位だった5ゴールのレアンドロも昨夏神戸に移籍しています。
 それを考えれば田中へ期待が高まるのも自然な流れだと思いますし、特にこの試合では新加入のFWディエゴとの併用がテストされたということなのではないでしょうか。


 しかし、結果的には現段階だと、田中投入前の方がスムーズに戦えていた。
 キャンプから取り組んでいたのは田中投入前までの形で、前半の戦い方は連携がある程度出来ていたということではないかと思います。
 具体的にどうやって田中をチームに取り込んでいくのかは、まだ模索段階なのではないかと。
 そう考えていくと特に後半途中からんp柏はジェフやこの試合での勝敗以上に、自分たちのテストを重視したと言えるのではないでしょうか。



 対するジェフは、やはりニューイヤーカップの延長線上のサッカーを展開したと言えるでしょう。
 リトリートする時間が長く、カウンターからのチャンスを伺う。
 特にハーフカウンターから、攻撃を作ることが多かったですね。


 そのカウンターを相手に遅らせられると苦しくなりましたが、この試合ではセットプレーから得点が奪えたことが大きかったと思います。
 ただ、スカパーで解説を務めた戸田も話していたように、セットプレー時の柏の守備には甘さもあったわけで、そこは差し引いて考えないといけないかもしれません。
 昨シーズンも前半はセットプレーからの得点が多かったジェフですが、後半に入ってからは相手に警戒されて得点が減少していった印象でしたし、セットプレーの質を高めていくことも重要なのかもしれません。



 守備に関しては、前半は苦しい時間が長かったと思います。
 柏の3バック気味なシステムにうまく対策がとれなかったこともあって、全体のラインが下がっていった。
 全体のラインが下がることでカウンターも作れなくなり、より押し込まれる時間が長くなっていった。


 しかし、後半に入ってからは相手の出方が変わったこともあって、守りやすい状況になっていったと思います。
 リトリートといっても後方に張り付いているだけでは、防戦一方となってしまいます。
 後半はMFラインもDFラインもある程度の高さをキープできたと思いますし、その状態で安定して守れればゴール前に攻め込まれることも少なくなり、カウンターも作りやすくなる。
 そういった状況をシーズン中も維持できるかどうかが、重要ではないでしょうか。



 あとはニューイヤーカップでも話した通り、コンディショニングがどうか。
 宮崎の後に追い込んで一度コンディションを落として開幕を迎えるのかなとも思いましたが、ちばぎんカップでも調子は良いままでした。
 さすがに仕上がりが早すぎるのではないか、といった不安はあると思います。


 昨年序盤にはハイプレスで他を圧倒していたジェフですが、それを支えたのもコンディションの良さだったと思います。
 相手よりもアプローチが一歩速く、球際に激しく行けて、運動量でも上回る…。
 今年のニューイヤーカップの3戦でもちばぎんカップでも、相手より明らかに機敏に動けており昨年開幕時を思い出すようなコンディションではないかと思います。



 しかし、昨年はあまりにも開幕時にコンディションが良く約1ヶ月しかその状態が保てずに失速していったわけで、今年もこのままいけば同様の不安が出てくるのではないでしょうか。
 もっとも昨年は開幕前の山形戦ではそこまで状態は良くなかったように思えましたし、メンバーも大きく変わっている。
 それらがどれだけ良い方向に作用するか…。


 とはいえ、どちらにせよこのコンディションをフルシーズン保てるとは思い難いですので、コンディションが悪くなった状態でも安定した戦い方ができるかどうか。
 あるいは、いかにコンディションの波を小さくするかが、重要なのかもしれません。
 昨年開幕時のようにコンディショニングに頼ったサッカーではシーズンを通しての安定は難しいと思いますし、ここから賢くチームを作っていかなければいけませんね。