先日行われた熊本戦で、多々良が7月3日の愛媛戦以来となるスタメン出場を果たしました。
多々良は今シーズン開幕時からスタメンを維持していましたが、丹羽が加入してからは出場機会がなく、関塚監督終盤にはベンチからも外れていました。
しかし、長谷部監督が就任してからはベンチに復帰していたので、丹羽のバックアップとして期待されているのではないかと感じていました。
長谷部監督が就任した初戦から、丹羽がビルドアップのスタートになることが多かったと思います。
そのためボールを出せる右SBの控えとして、多々良をベンチに置いたのではないでしょうか。
北爪も攻撃の期待できるSBではありますが、基本的には飛び出しがメインでパス出しの起点になるタイプではないと思います。
チームの意図がはっきりしていれば課題も手応えも明確に見えてくるわけで、今までにはそれがなかったわけですからとても良いことだと思います。
SBが攻撃のスタートとなって、角度をつけて相手の裏やFWへの楔のパスを狙う。
あるいはSBから縦にパスを出して、SHやボランチなどが絡んでサイドからパスワークを構築する。
関塚監督は攻撃陣に自由を与えた結果、中央への攻撃が増えて渋滞状態を起こしがちでしたから、よりサイドからの攻撃を増やそうということなのではないでしょうか。
サイドでのパスワークからSHやSBを前へ押し出せる展開も増えて、そこからのセンタリングも狙えるようになったと思います。
多々良の場合は丹羽と比べて、そこからの飛び出しに関しては、まだ躊躇してしまう場面も見られます。
ただ、丹羽が簡単に長いボールを蹴ってしまうことがある一方で、多々良の方が冷静に状況を判断できるところがあるのではないでしょうか。
守備時に右SBが絞りすぎて外が空いてしまう問題も解消され、やはりそこは多々良の問題ではなくチーム戦術の問題が大きかったことが明らかになったと思います。
SBが絞れば当然中央の守備は厚くなりますが、その分サイドにスペースが空くだけでなく、SBが不利な状態で相手とマッチアップすることになってしまう。
しかし、長谷部監督が就任して横のラインが等間隔に守れるようになり、SHがサイドで守備を出来るようになった。
それによって結果的にSBの守備の負担が少なくなり、右SBだけでなく左SBも簡単に崩されることはなくなったように思います。
多々良はやはりクロスボールに関しても、精度は悪くないと思います。
熊本戦でも56分には、町田の足元に入るクロスを供給。
アーリークロスで相手の裏ではなく表にボールを出した形ですから、「あそこしかない」ところだったと思います。
決して簡単ではないクロスボールだったと思いますが、ピタリと足元に配球することが出来ていました。
逆になかなか精度が上がってこないのが、左SB阿部だと思います。
クロスボールやセットプレーだけでなく、ミドルパスにおいても相手に引っかけてしまう。
阿部は長らくパフォーマンスが上がってこないですね。
もともと左足に自信があって積極的に蹴りたがる選手なだけに、余計にミスが増えてしまう。
熊本戦でも阿部が攻撃の起点になる動きをしていたことは多かったと思うのですが、そこからのボールがつながらない場面が目立っていた。
長谷部監督が就任してSBからのビルドアップとサイドからの攻撃を実施していくのであれば、阿部がこの状態のままだと悩ましいところがあるのではないでしょうか。
阿部の左足の精度が上がってこないのであれば、いっそ比嘉の方が良いという話になるのかもしれません。
比嘉も足元の技術があるタイプではなく、ビルドアップの起点などとしてはあまり期待できるタイプではないと思います。
しかし、運動量やスピードにおいては比嘉の方が計算できると思うし、それによって左サイドでのパスワークなどの活性化も狙えるかもしれない。
特にここ数戦はチーム全体のコンディショニングや運動量において課題が出がちですから、走れる選手の存在が重要になってくる可能性もあると思います。
ただ、理想を言えば左SBにクロスを出せる、あるいはパスワークを構築できる選手を置きたいところではあるのでしょう。
浦田や乾もいるとはいえ、現在のチーム状況で新人に期待するのも難しいところがあると思います。
そうなると理想をいえばやはり阿部の復活というのが望ましいと思うのですが、シーズン序盤以降長らく低迷しているだけに、現実問題として期待していいものかどうか…。
やはりベテラン選手の補強は難しいものがありますね。
現状だと右SBには丹羽も多々良もいるので、左SBの方が悩ましい状況になっているようにも思えます。
長谷部監督はこの連戦でも積極的にメンバーを変えていましたし、あまり選手を固定するということはないのかもしれません。
そう考えると今後も選手をやりくりして、状態の良い選手を選んでいくことになるのかもしれませんね。
うまく阿部を休ませながら、復活を期待するということになっていくのでしょうか。