2016年の岡本はリーグ戦、カップ戦含めて、7試合のみの出場に終わりました。
リーグ戦での一桁出場は2007年以来。
しかし、その年もカップ戦を含めると13試合に出場しており、2006年から10年間も続いていた公式戦二桁出場が今年途切れたことになります。
05年といえばオシム監督が指揮していた頃で、ナビスコ初制覇を果たした年。
立石と櫛野のが熾烈な正守護神争いをしていた頃で、岡本のその年の公式戦出場はありませんでした。
その頃にはまさか櫛野がトップチームのGKコーチとして、岡本を指導する立場になるとは思ってもいませんでした。
出場機会の減ってしまった岡本でしたが、今年は良いパフォーマンスを見せてくれたと思います。
今年初の出場となったのは、シーズン終盤の4連敗後に勇人と共にスタメンとなった10月30日の長崎戦。
正直に言って、状況からして"引退への花道"的な起用なのかなと思ってしまったところもありました。
しかし、勇人と共に活躍しその試合を引き分けに終えると、続くC大阪戦と長崎戦での連勝に結び付けました。
プレー内容も安定しており、失点が増えていた守備陣をしっかりと締める役割を果たしてくれたのではないかと思います。
33歳とベテランの域ではありますが、健在であることを見せてくれました。
今までの岡本はチームが劣勢になると、自身も周りから影響を受ける形で空回りすることが多かった印象です。
2015年も開幕以降チームが停滞し続けていたこともあって、夏場とシーズン終盤に高木に代わって出場しましたが、そこでもミスが目立っていた。
チーム状況が悪かったことや試合勘の問題などもあったのでしょうが、昔から精神的に弱い部分があるように感じていました。
しかし、今年は一転して「苦しいチーム状況を変えてやろう」という強い気持ちが表れていて、それが良い方向にプレーにも作用していたように思います。
劣勢でも焦ることなく落ち着いたプレーを見せており、課題であるロングキックも大きく外すことは少なかった。
ここ数年は控えに回ることも増え「ピンチに弱いGKでは控えとして難しいのではないか…」とも思っていたのですが、今年の状態であれば控えGKとしても心強く感じますね。
正守護神であった佐藤優也は前に飛び出そうとして失敗するプレーが目立っていましたが、岡本も若い頃はサイドからのクロスボールへの対応に課題のあるGKでした。
しかし、2008年から2010年までジェフでGKコーチを務め、2011年に亡くなられた真田コーチに無理に前に出ないようアドバイスを受けて改善していったという話があります。
今年も前に飛び出してカバーするというようなプレーはなかったですが、その分落ち着きのあるプレーをしていたのではないでしょうか。
真田コーチといえば、Jリーグ創設時から長らく清水で正守護神として君臨した名GKでした。
2004年に現役引退をしますが、その時に清水ユースからトップチームに昇格したのが山本海人。
そして、2011年途中まで清水のコーチを務められていたわけで、真田コーチからの指導を受けた岡本と山本海人が同じチームでプレーするということになり、どこか不思議な縁も感じますね。
来年のGKコーチの去就も、気になるところです。
今年はシーズン途中に関塚監督と共に藤原GKコーチも退任し、アカデミーから櫛野GKコーチが昇格しました。
監督によってはGKの選択をGKコーチに任せる場合もあると聞きますし、今年は第3GK扱いだった岡本が終盤に出場できたのも、櫛野GKコーチの存在が大きかったのかもしれません。
そう考えると来年のポジション争いにも、GKコーチの存在は大きく関わってくる可能性もあると思います。
今年はアカデミーから櫛野GKコーチを引き抜いてその分の補填はなかったはずですが、来年はそういったことはないようにしたいところです。
そのためにも、まずエスナイデル監督がしっかりと手腕を見せることが何よりも大事ですが。
来年のジェフは山本海人、佐藤優也、岡本と、ベテラン3人でGKのポジションを争うことになるのでしょうか。
どちらかといえば3人とも前に出るのは得意ではないように思いますし、3人も主力候補がいる割にはあまり選択の幅を感じない印象もあります。
年齢的にも来年で32歳、31歳、34歳と近いところがありますし。
3人でポジション争いをする場合、控えGKのポジションにも注目ですね。
控えGKは実力だけでなく精神的なサポート役として期待する場合もあるでしょうし、そうなった場合は求められる要素もまた違ってくるでしょう。
今季終盤は控えGKとして岡本が存在感を見せてくれたと思いますし、控えGKも含めてポジション争いに注目ではないかと思います。